見慣れない色に包まれていった 実はまだ始まったとこだった

 早朝8時過ぎの公園で歌声……を響かせてはいけないのですが、本日「男く祭」2日目@K市シティプラザ、のメインイベントとして開催されるクラス別コーラス大会の発声練習をしている我らがB組(だけでなく、高3全クラス)の面々。
 あれぇ、確か私、昨日の内にコーラス委員に「確かに備品移動の昨日と『男く祭』初日の今日はコーラスの練習が出来なかったからいきなり本番で3日ぶりに歌えって言われて歌えるか3年の歌声がさぶかったら大会全体が失敗するわボケってのはあるけど、シティプラザ徒歩3分の広い広い公園のほんの隅っこで朝の8時過ぎから当日の仕事がない生徒だけでも集まって発声練習をしようっていうのは、やっぱり公園が公共空間であるという点を鑑みたら遠慮した方がいいんじゃないかなぁと、大人としての担任はこれ思わないわけでもないのですよ」って伝えたような記憶があるんですけれども。
 歌の練習などせずに真っ直ぐに会場広場に整列していると思っていたので、そこで配ろうと思っていたのど飴(1人2粒分)を慌てて取り出して、練習している最中のお生徒さんたちに配布する担任です。

 本日、「男く祭」@K市シティプラザ大ホール、は生徒・保護者・卒業生・教員というF校関係者オンリーが臨席する発表会。メインイベントは高校全クラスが参加するコーラス大会ですが、パフォーマンス・映画・太鼓等々の生徒による演目、外部講師(今年はタレント・文筆家の牧村朝子氏)を招いた講演、等々9時半から17時まで一日「文化三昧」です。
 昨日と同じく教員は「お客様」で基本的な仕事は(生徒指導部の世界史・柔道先生のお二人を除けば高3担任団ですら)座席に座って見てるだけ。例えば演劇部顧問高2学年主任国語先生は舞台の専門家として裏で指示を出すとか、合唱部顧問高3地理先生はホールにお詳しいので警備担当の生徒の総括をするとか、非常勤声楽先生はコーラス大会の審査員をなさるとか、個人が委託されて背負う仕事はありますが、そういうのが全くない(平たく言えば芸が無い私みたいな)教員は本当にな~んの義務もありません(途中抜け出しても見つからなければ怒られないくらいです)。
 それが証拠に、「男く祭」とはな~んの関係もない行動を午前10時に。シティプラザには「K市なのにこんなに素敵な舞台が?」と卑屈に訝しんでしまうような豪華な舞台が(例えばこの間の「ラ・カージュ・オフォール」のように)やって来るんですけれども、本日の狙いは8月中旬に来る「レインマン」(藤原竜也椎名桔平)。昨日が一般発売だったのですが、本日「男く祭」で来館する序でに窓口で直接買えばいいかなぁ、と思って10時窓口受け付け開始を狙って飛び込んだのです。そうしたら、10時一番の段階で(窓口取扱分は)二階席のみ残席2という有様でした。勿論その場で押さえて、K市の母・Hさんと一緒に行きます。

 さて、舞台に目を転じれば、今回は種々の演目の間を演劇部・文化委員・映画出演者等の有志による寸劇が繋いでいくという構成。これは、演劇部先生が操って(失礼!)るのかな。この手の構成は、58回生がそうだったような記憶があります。
 オープニングは太鼓。女子リーダーの某さんは先日「あれは自己満足ですよ」と謙遜(?)していましたがなんの、しっかりと魅せてくれました。演舞の後は、男子生徒を中心に号泣でしたがこれもまた「あるある」ですね。
 その後は、先述の牧村朝子氏による講演。「まきむぅと多様性を考える~もうなんかいちいちLGBTとか言われなくても済むように。~」の演題。講演P長の才女某さんは最後の花束にピンクの百合と薔薇とを選び演者に「わかってる!」と絶賛されたくらいで、昨日の打ち合わせも(和やかながら)確りと行っていた(様子だった)ので、私は何の心配もせずただ聴いているだけでした。牧村氏は私よりもずっと年下でいらっしゃった(あぁ、遂に講演に年下が!)のですが、例えば嘗て講演顧問だった時にお招きした内田樹先生・森達也先生等々と比較しても「場」を制圧(って言葉は下品ですが)する力に長けて居られたような気がします。知的な意味で所作が融通無碍でいらっしゃいました。そりゃあ多少のタレント臭はしましたけれども、テーマのLGBTに関しては確りとしたお話を聴かせていただきましたし、同じタレント演者でもあんなのやあんなのとはもう全然次元が。
 映画は、関係生徒諸氏、ごめん。自分が出ているのが余りにも恥ずかしかったので、ここだけは会場の外に出て、頻繁に漏れ聞こえてくる笑い声を聴いているだけでした。大体のストーリーは(脚本を見せて貰ったので)知ってます。

 コーラス大会。クラス替えがなく高2の終わりからコーラス練習を始められる高3と違って、高1・高2は4月の新学期で新クラスが決まってから曲決め・練習を始める訳で、開催が1週間前倒しになるというのは本当に辛いことなんですよ(嘗てと異なり高1・高2は1曲だけで良くなったとはいえ)。だから、コーラス大会が始まって高1が歌い始めた時に、私と隣で聴いていた高3地理先生(前述の通り合唱部顧問)とは思わず顔を見合わせてしまいました。私「……巧くないです?」 地「レベル高い。短い時間だけど、ちゃんと合わせてきてる」
 高1・高2に関しては、毎年各学年に1~2クラスくらいは全然完成していないクラスがあって観客にちょっとした笑い(安らぎ)を提供するってのがあったんですよ。それが、練習期間が一週間も短い今年のコーラス大会では、1クラスもなかった(と言って殆ど過言ではない)。どの先生に伺っても「高1・2が良かった」という評価です。きっと一所懸命に練習したんでしょう。F高生、本当に真面目になりました。

 さて、高3コーラス。昨年度優勝のA組がトップバッターで、その次が我らがB組。ですのでA組の演奏は舞台袖(次の入場待ち)の状態で聴くことになります。ここは、春休みの練習も4月の練習も全クラスの中で最も熱心にやっていました(毎日朝練まで!)。
 B組の入場時には私は舞台袖で待機。1曲目の「Vive L'amour」は練習時間が取れない私では立ち入ることが出来ず。後で審査員の先生に「知的」と褒められた指揮の某さんの統率の下、ア・カペラで熱唱です。男女ソロパートが2人とも巧かったですね。と、1曲目が終わり、2曲目の準備で指揮者が交代、ピアニストが準備をするその時間で私も舞台袖から入場。学ランを着ようかとギリギリまで迷いましたが、途中から入って行くのはただでさえ目立つし、それに高2某組担任(国語科の後輩)先生が学ランを着て歌ってらっしゃるのが清水ミチコの溶け込み芸並にサマになっていたのでもう諦めることにしたのです。歌はスピッツの「春の歌」。いざ舞台に立って歌うとその時初めて気づくことがあるというのは毎回のことですが、今回のB組のコーラス大会は今指揮をしている某くんのお陰でクラスがまとまったみたいです。へぇ、この人にメンバーはついて行くのね、って言ったら何だか失礼ですけれども、多分そうだな。
 自分の出番が終ったらすっかり弛緩しちゃいまして、以降のクラスは聴きこんではいないのですが、C~E組も含めてどのクラスも甲乙つけ難いというのは先の高1・高2の時に書いた印象と同じで、高1・2も巧かったんですけれども流石に高3は更にその上です。英語科パイセンが「ウチのクラスはまとまらん! 他のクラスにじゃなくて去年の自分に勝つのが精一杯だ!」と仰ってたD組のハーモニーも素晴らしくて、副担任の関西数学先生には「B組かD組かが勝ちやと思った」というお言葉を賜り。

 前記お言葉だけでもう十分……っつっても、やっぱり優勝したかったなぁ。今年の優勝は、主任地理先生のE組。最後に主任に花を持たせる辺り、学年として流れがいいんじゃないでしょうか(勝ちたかったけど)。コーラス大会の優勝発表は祭りのフィナーレ、この頃には、最後列でずっとビデオを回してお出での世界史先生も、優勝した主任地理先生も、涙が溢れて止まらなくなっています。
 ダンスやア・カペラ等のパフォーマンスを経て、各種表彰(コーラスの伴奏者賞はB組のピアニスターが涙の受賞でした)、最後に文化委員5人・各P(Project=係)長が全員登壇しての挨拶。文化委員長のB組某くんは、関わった全てのメンバーにひたすら感謝を述べながら号泣。

 「男く祭」2日目@シティプラザ、全てのプログラムが終了して散会が17時。会場ロビーでは、生徒指導部柔道先生が男泣き、その横では……「お前は関係ねぇだろ!」と全ての教員から総ツッコミを受ける中学担当若手数学・ザ・スプリンクラーが「だって感動的じゃないですかぁぁぁぁ」と大泣きしながら涙の価値を下げに来てて大笑いしてしまいました。
 高3の仕事はこれで終わりではありません。全員で学校に戻って校舎中の掃除をする。これが19時過ぎまで。その後、1時間の「後夜祭」が行われてから、20時半過ぎに祭は完全に終了です。と言っても、教員が「お客様」として参加する本祭とは異なり、「後夜祭」は高3生が高3生に見せるために行うイベントなので「教師不介入」の原則で私は会場には入っていません。その間は、校内の見回りをしたり、明日配布の学級通信を作成(既に出来上がっている予定稿に手を入れます)したりしていました。

 21時に入った「もりき」で軽く飲んで、帰宅。生徒も教員も疲労がマックスですが、明日は半ドンの通常授業です(午後に最後の片付け・点検があって、今日の分の代休は明後日の火曜日です)。23時過ぎに就寝。