彼が、自分の中に、誰にものぞかせない小さな部屋のようなものをつくっている、という自覚にある。

 3時起床、書斎で昨日の特講の添削を3時間半。入浴後に学校へ。本日は授業がなく一日デスクワーク。昼休み(生徒の「40分休み」ではなく、教職員が制度上取ってよいとされている1時間の休み時間……教員は職務上満足に取ることが非常に難しい休み時間)にタクシーで自宅まで往復して、クリーニング屋に行ったり買い物をしたり。
 放課後は、文系京大現代文特講。今年の初回教材は迷った挙げ句に12年の小説、尾崎一雄『痩せた雄鶏』にすることに。京大特講は、その場で解いて解説・添削をする「演習教材」と、それと通底する内容が問われた別の問題をセットにした「配布教材」とを配ります。清水哲郎「死に直面した上京において希望はどこにあるのか」は07年の評論で、これまでの特講なら清水哲郎を「演習」、尾崎一雄を「配布」にするのですが、67回生は高2の授業で清水哲郎の文章を解説したのでそれを逆にしたんです。尾崎一雄の問題は、リード文に「私小説」とあるところから主人公の緒方が「作家」だと気づいてそれをきちんと解答に反映させられるかどうかで答案の質が別れる、と勝手に思っています。「『私小説』の主人公の職業はたいていの場合、何?」みたいな短文クイズはもう誰かが作ってますかね。

 京大の答案は1枚を添削するのに15分は優にかかりますが、特講の参加者が10名程度と少ないので結局3時間もあれば終ってしまいます。未明の書斎で十分。で、明日は今日と同じ問題を理系の生徒に解かせる特講があります。