白い手は とても小さくなった

 本日も授業が無く、半ドンの午前中はゆっくりゆったりと仕事(授業準備や月曜配布の学級通信作成など)。遊びに、じゃない打ち合わせに来ていた我らが63回生Kくん・Sくん・Mくんとお話したり。

 63回生が(普通に進学・進級したら)大学4年生なんです。私が初めて担任をして、私の30代前半の私生活を蒸発させることに貢献してくれたあのお生徒さんたちがもう直ぐ就職だなんて、しみじみしますねぇ。
 で、前述のK・S・Mくんは来週月曜から3週間(Sくんだけは2週間)の教育実習なんですね。Kくん・Sくんは化学、Mくんは数学。今日はその教育実習の打ち合わせに来ておいでなのです。私の担当している67回生は高校3年生で、中1と高3とには実習生は入れないことになっていますから、実習自体で私と接点があるわけではないのですが、まぁ63回生の担任・生徒の関係ですから当然何回かは(っつーか何回も)飲みにつき合ってもらうことになりますわな。Kくん・Mくんとは過去に飲みに行ったことがある……っつか、Mくんとはこないだ餃子「T」~小料理「S」とかいうコンボを決めたばかりです。

 っつわけで、昼過ぎに(残念ながらSくんが先に帰った後で)職員室に残っていたKくん・Mくんに話しかける。
 私「きみたち」
 K「何です?」
 私「来週の月曜、実習初日に早速歓迎会をするわけだが」
 K「初日に? 嘘?」
 私「そらそやろ。本格的に授業が始まる前の見習いの時期の方が飲みに行きやすい(←本格的に授業が始まっても連れて行く気満々)。67回生担任団の数学・体育・英語には話がついてます」
 M「ありがとうございます。で、どこに行くんですか?」
 私「それよ。何が食べたい?」
 M「この間は中華に連れて行ってもらいましたよね。洋食はいつも食べてるから……和食で!」
 私「心得た。でだ」
 K「何です?」
 私「今晩空いてる?」
 K・M「「空いてます」」
 私「なら、月曜日にどんな店に行くのか考える飲み会しない?」
 K「アホだ。行きます!」

 半ドンの放課後、一旦自宅に戻る。母君は相変わらず心身の充電が足りてない様子で、一昨日の絵画教室には辛うじて出かけたもののそれ以外は一歩も。いい加減あれなんで、丁度米も切れたところですからその買い出しに強引に誘い出しました(一緒に行きましょう、と言って嫌だとは仰有いません)。
 小脳への転移は、先日デパートで失神なさったように何が起こるか分からないという怖さがありますし(あれで母君は臆病になりました)、歩行に明らかな影響が出る程度にはバランス感覚を麻痺させます。自宅の中での移動は(緩慢ながら)全く問題ないのですが、家の外では私がずっと手を引いて歩きます。ペンギンの散歩をスローモーションにした歩き方に、早足の私がよく耐えられるなぁと自分に感心しながらゆっくりゆっくりと手を引きます。井上陽水がデビュー曲で「母の細い手」と歌ったのは20代、でもきっとその時の彼はまだ「母」の手を引いて歩いたことはなかったんじゃないかなぁ、実際に手を引かなきゃ細さは解りません。

 買ってきたお米(無洗米)を早速炊き始める母君。ゆっくり、ゆっくり。私は入浴後に学校に戻り、15時半からの特講(京大理系現代文)です。京大は解答欄が広く解答だけで50分、休み時間の10分を挟んで解説を(本文を朗読しながら)30分もすればそれだけで100分(2コマ)なんてあっという間です。

 添削は明日以降の業務(本来なら月曜の朝に返すべきなのですが、月曜が外部模試初日で朝は受験票記入以外の配布物などが出来ず、返却は下校時になります。要は日曜でなく月曜午前中の添削でも良いということ!)にして、Kくん・Mくんと西鉄へ。Kくんの運転する車での移動です(Kくんは今日は市内に車を泊めて電車で帰るそう)。西鉄近くの色々な店が月末土曜で満席という状態にやや手こずりましたが、方々を当たった結果シティプラザ近くの和食「K」に落ち着きました。「月曜に何を考えるか考える」という大義で集まったものの、話題はほぼ全て67回生の面々の近況報告(告げ口)と高校時代の思い出(懺悔)。Kくんはあんまりお酒が強くなくてそれでも飲み会の場は大好きみたいなタイプ、Mくんは流石「駒場三大飲みサー」(バレー)のメンバーだけはあるという印象。
 実習中の卒業生に無茶はさせないということを立証するかのように1軒だけでちゃんと解散しました。解散前。
 私「和食……食べちゃったね」
 M「もう満足しました」
 K「結局月曜何食うかとか話してないし」
 私「まぁ、和洋中以外だったら良いんでしょ? 韓とか印とか。適当に探しとくわ」
 ……「メキ」かなぁ、など考えながら帰宅……は取りやめて、独りで文化街へ向かい、ライブバー「A」で独酌。6年前くらいに退店したバーテンのHくん(メチャクチャ面白い子)が復帰してたのに驚きつつ喜ぶ。

 〆にラーメンまで食べてしまいました。文化街の老舗「K」は、客に麺の固さを委ねたりする無粋をしないから好き。