乾杯! 乾杯! 夢追い人ね

 年齢を超越した女優が逝くと不思議な気分がします。12年前、56回生のスキー研修中に岸田今日子の訃報に接した時は、大好きな人だったこともありますがそれより何より死なない人だと思っていたので驚愕しました。他には、曽我町子加藤治子野際陽子菅井きん、とかかな。そして今日は樹木希林。やっぱり不思議です。ただ、12年前ほどは驚かない。水木しげるが亡くなった時にしみじみと知りました。人ってやっぱり死ぬんですよ。

 連休初日(巷では三連休の2日目なんだとか)。今日は中学体育大会で学校が騒がしそうなので出勤はせずに、書斎でブログを更新したり、有栖川有栖の新刊(何年ぶりだよ国名シリーズ)を読んだり、母君と血痰ネーミングスーパーマーケット「You Meマート」で買い物をしたり、料理をしたり、とのんびり。

 まっぴぃからメールでクイズが届いたので、即興で作った問題を返信。問題「Wikipediaの説明文に、三宅裕司黒柳徹子という二人の芸能人が登場する日本の芸術家は誰?」 まぁ、悪問ですかね。恐らく黒柳徹子で一択でしょうが、知らなかった人が三宅裕司との関係を知れば逸話の濃さに少し驚くかも知れません(長文クイズの前振りとかでもうずっと昔に出ていると想像)。
 クイズの問題を作ったのは、北白川くんの結婚式二次会で披露して以降だから2年ぶり? 即興でもう一問作ろうと思ったら浮かんだのは「ずばり、哲学者の三木清が亡くなったのは西暦何年?」というやつでした。ベタなのかは知りません。
 何せ離れてもう15年。現状の「クイズ界」がどういう世界なのかは知る由もありません。Twitterで「教育現場の用語は既に問題化されてるのかなぁ(「公欠」とか「冠模試」とか)」と呟いたら、no-dash氏から「公欠は既出」との情報を戴きました。成文化しづらそうな言葉や身近な言葉を文章化して出題することを「やわらかい問題」と呼び、ここ数年それが流行っているとのこと。「やわらかい」というのは良いですね。私が在籍していた頃のTQCSystemFなどを形容する時にも「やわらかい」の語が使えそう。そういう場所がたくさんあるなら、卒業生にも安心して「クイズ界」を勧められますよね。

 15時に行きつけの美容室で髪をセットしてもらい、本日は市内のホテル「N」の広間で「もりき」30周年パーティー。カジュアルで良いのですが、「もりき」に二次会を任されているので一応ジャケットを着ていきました。「リバティ」と名付けられた広間はF校の歓送迎会でも度々利用しており、フロアマネージャーの方の顔も存じ上げています。常連60人、平均年齢は大体マスターよりちょっと下(50代後半)ってところで、勿論私は若造中の若造(私より若い人は、マスターのお子様2人を除けば1人だけです)。事務嬢さんも参加して下さり、私の隣の席に。
 「もりき」のある我らが国分町の町内会長さんの挨拶で乾杯。「もりき」の日本酒をほぼ一手に引き受ける酒屋さん、「もりき」ご贔屓の酒蔵さん、四国からお越しのご友人、等々が次々に挨拶……するんですけど常連一人残らず呑兵衛、聞いてるのか聞いてないのかとにかくビールに日本酒(勿論、酒蔵さんの「とっておき」)が進む進む。あ、日本酒の銘柄は林酒造の「残心」です。
 さて、前述の通り私は若造も若造なのですが、通ってる回数だけとれば幹事のHさん(30年来)の次くらいになるかも知れません。だからなのか知りませんが、Hさんに「いけのっちゃん、〆の挨拶はお願いね、んふふふふふふ」って。あんたそら無茶ぶりやろ、と思ったけれどもK市の母の命令には逆らえません。「一週間前もこの部屋で飲んだ」とか「私は昨日も」とか言ってるような(要はホテルパーティーが茶飯事みたいな)ステータスの高い人たちの前で恥をかく……にしてもノープランで壇に上がるのは怖すぎる、ととっさに「核」になりそうなフレーズを紙にメモしてポケットへ。
 F高の大先輩であるY先生やH先生(ともにお医者様)だとか、Hさんのお友達にしてK市看護師界のドンであるMさんだとか、まぁ様々な方々とお話をしつつ、唯一私より若いKくんに手伝って貰って二次会(野菜料理「B」)への参加を聞いて回ったり、時間はあっという間に過ぎていきます。

 「……名残惜しくはありますが、それでは〆の挨拶を……」と司会のHさんの横で、そう言えばさっき何かメモをしたよねぇ、と最早泥酔の頭でよく思い出せた偉いぞ私、とメモをこっそり覗いたら。
 「うちの生徒は誉めたら伸びる、マスターは鼻だけ伸びる」
 頭が真っ白になりました。そこらに林立してるビール瓶のどれかを使って一時間前の自分を殴打したい。

 若輩が高いところから失礼致します。F校で教員を務めております、池ノ都と申します。私は28歳から「もりき」に通い始め、現在38歳ですので丁度10年目になりました。「もりき」の30年を前期・中期・後期に分けた内の後期に立ち会った……この言い方だと「もりき」が閉店してしまうかのようですが……人間になります。週3回は通っておりますので、年に150回、10年で1500回、一回で3000円を使ったと計算致しますと車が2台……今日は本来ならば私がマスターに感謝されるべきなのではないかと強く思いながらここに立っている次第です。さて、週に3度、即ちほぼ2日に1度のペースで通う人間ですから、私のこの身体の半分はマスターによって作られていると言えます。親よりも親です。私には子どもがおりませんが、成人した……大事なので2回言いますね、成人した卒業生を連れて「もりき」で飲むのを趣味の一つにしています。あなたを教えた教員の身体の半分はここに居るマスターが作ったのだと教え子に紹介するのは、私を多少とも誇らしい気持ちにさせてくれます。勿論、普段ならマスターにこんなことは申しません。私の教え子は誉めると伸びますが、マスターは誉めても鼻しか伸びません。今日だけのリップサービスです。さて、そろそろ終会とのことですが、このような会で閉める閉じるは禁句でしょうから……既に言ってしまいましたが……、皆様方には大変恐縮ですがご起立を願いまして、「もりき」の40周年へ向けた乾杯を以てスピーチを終えたいと思います。それでは、ここにお出での皆様の益々のご健勝、そして「もりき」の発展……はしなくてもいいので地道な継続……そのためのマスターの健康を祈念致しまして、乾杯!

 マスターへの花束贈呈も事務嬢さんでしたが、20人超の参加者(マスターご家族と常連をさらに煮詰めたメンバー)を「バッタ屋」まで誘導なさったのも事務嬢さん。お強い。ホテルとのやり取りがあるHさんが二次会以降の参加が出来ないのは残念でしたが、二次会の「バッタ屋」も、三次会のバー(さらにさらに煮詰めたメンバー)も、大変盛り上がった……とだけ書いてこの日記を終えるしかないのは、もう本当に記憶がひとっつも残ってないから。お祝いだからって飲み過ぎたわ。