夕食の後

 上京中に読了の本は以下。
 安田弘之ちひろ(下)』読了、★★★★★。
 吉本ばなな『「違うこと」をしないこと』読了、★★★。スピリチュアルが過ぎて煙幕みたいになってますが、核として言っていること(要するにタイトル)が響くのは事実で、何しろ私自身が就職に関して「F校の国語教員」と中1で定めて以来その為だけに中高大の11年(あれ?)を生きて、他一切の選択肢は一秒だって考慮したことがない人間ですので(他のことに関しては割とユルユルなんですけれども)。
 幸田文『ちくま日本文学5 幸田文』読了、★★★★★。不穏な(翳りのある)内容のものが多いんですけれども、雅味滋養の極み。「黒い裾」とか、凄まじいですよ。
 衿沢世衣子『ベランダは難攻不落のラ・フランス』読了、★★★。読後感は良。
 松岡清剛『遊読365冊~時代を変えたブックガイド』読了、★★★。分かってる人の断定口調(Twitterより短い100字書評)は鮮やかなんだろうけれども最早「さいですか」としか言いようがなく、既に読んだ本に関しては膝を打つけれども味読の本を読みたいと思う読者は(余程の識者じゃない限り)いないんじゃないかなぁ、と。「千夜千冊」の執拗に一票。
 内田良・斉藤ひでみ『教師のブラック残業 「停学働かせ放題」を強いる給特法とは?!』読了、★★★★。これについては、以下。

 公立の教員の勤務実態は地獄。「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」「原則として時間外勤務を命じない」という1972年施行の「給特法」があり、その結果教育現場で起こったことは「命じられたわけではない自主的残業」が無給(無休)で永続するという事態。働いている教員自身が「給特法」の存在すらしらないまま、子どものためのやりがいというイメージに操られて果てのない奴隷労働に身をやつすのですね。ブラック企業なら法で捌かれますが、学校は法に守られている分ブラック企業より悪質です。
 私(私立)の場合も残業代はありませんが、時間外労働(特講・添削・修学旅行引率等出張・部活顧問、等々)には全て何らかの形で手当がつきます(主観的な印象としては「安い」ですけれども)。これが無いならF校だって呆気なく地獄。あ、でも、F校は「授業が命」が生きているのも救い。どこまで本当かは知りませんが、業務忙殺の公立教師には、準備の時間が取れずに授業本番で初めて教科書を開く人も珍しくないとか。
 国語科恩師先生は時々私に「自由に授業が出来なくなったらF校を捨てていい」と仰いました。先生は長い長いF校生活の前に数年間だけ別の学校で働かれた経験がおありでそれを踏まえてのご発言なのですが、その詳細は略します。

 さて、本日は授業無し。出勤して最初にやったことは、生徒・担任団へのお土産配布です。2日間担任を代行して下さった若手柔道先生にはお子様たちが喜んで下さればとチーズケーキを。後はずっとデスクワーク。放課後(終業時刻後)には長い長い会議があったのですが、まぁこれに残業代は出ません。所詮「命じられたわけではない自主的残業」ですので。
 独りなら帰る時間などどれだけ遅くなっても構わないのですが、今は家族が居るので夕食の心配があります。バタバタ帰宅してちゃちゃっと準備。19時を過ぎたら母君にとっては「深夜」ですからねぇ。

 夜は「もりき」に。時々お会いする腰の低すぎる銀行員さんと、K市の母・Hさんと3人でお話しながら。今日はお店がゆっくりの日みたいで(30年選手ですからマスターには読めるんでしょうね)、私が持ち込んだ「貴」(生徒某くんのお父様から)をカウンターの3人だけでなくマスターも一杯(←意味が二通りに取れますね)。私「味見というには」 H「量が多いんじゃないの? んふふふふふふふ」
 マスター(のご家族)にはチョコレートケーキ、Hさんには「品川珈琲」のお土産。これにて上京は終了。18歳は、とっくに38歳に還っています。