カナリつぼ ハニカミポリスメン

 大人の財力はあるんだから気になった時点で買っときゃ良かった、折坂悠太『平成』が好きすぎる、★★★★★。弾き語りが基本で「合奏」もする人みたいで、弾き語りの時は細野晴臣が引き合いに出されそう。実際、アルバムを聴いていたら細野晴臣宮沢和史高橋徹也遠藤賢司福岡ユタカUA小島麻由美で……以下何人だって挙げられますが……その誰でもない。以前読んだ本で「歴史家が正しい歴史を記述するためには多くの他者との交流交感を経て得た個性が普遍性(突き詰めた多様性の全てが一つに調和した状態)にまでいかなければならない」という記述(大意)をみたことがありますが、まさにそんな感じ。そして、その調和を統御しているのが歌声だという身体性が凄い。
 「その誰でもない」なんだから当たり前なんですけれども、新しいタイプの歌手が好きになった訳で、こういう時は否が応でも自分の方が変えられてしまうことになりますね。とても嬉しい。

 さて、職員室で国語科後輩お洒落男子をつかまえる。
 私「後輩先生後輩先生、これ知ってる? すんごいの。あのね、この『平成』って曲と『夜学』って曲だけでもいいから聴いてみて」
 後「はぁ」
 しばらくたって。
 後「あ、先生、これお返しします。確かに凄いですね」
 私「でしょ? でしょ?」
 後「才能が……」
 私「うわ~、良かった。誰かに言いたくてたまんなかったんだけど、どうせ言うなら確かな人にだからねぇ」
 バンドマンお洒落番長が折り紙をつけてくれるなら大丈夫だぁ(←自分に自信が無い)、と喜んで、喜んだ後から先輩権限で無理矢理言わせたんじゃなかろうかという疑念が湧く(←自分に自信が無い)。

 本日は午前中がデスクワーク、一旦自宅まで往復して母君の昼食、昼休みに生徒面談があって5・6限がセンターの授業。「スピンスピン」で2013年1月のオンラインを賑わせた小説、牧野信一「地球儀」です。放蕩の父親に作家崩れで口だけの息子(←これが主人公)、母親はどちらにも愛想づかしで家は自分一人で守るとまで言っています。最初に読んだ時は「んまに碌でもない主人公だねぇ。口だけやんけ」と超上から目線で読んでいたんですが、ラスト一行で主人公に息子がいる(ということは少なくとも嫁がいる/いた)ことが明かされ顔面殴打の敗北感を味わいました。

 さて、学校事務室には昨日ポチったCDが2枚、もう届いちゃってます。あら、水曜日着の予定じゃなかった? とメールボックスを開いたら、例の会社から「ご注文いただいた商品を少しでも早くお届けするため、本日、Amazon.co.jpが一部の商品を発送いたしました」と本日到着の旨。嗚呼、ブラック企業の労働者酷使に加担してしまった!

 母君の夕食をお出しした後、読書独酌は自宅徒歩3分の中華料理「H」。相方の料理人が都合で辞め、現在ワンオペになってしまったマスターは天手古舞い。昼・夜ともメニューは大幅カットの臨時バージョンです。私は唐揚げと春巻の盛り合わせ、パリパリ焼きそばを肴にビールと焼酎。昨日のジュンク堂では久々に原克玄の新作が出ていたのを買いましたが、幼女を主人公にしているので過剰な下ネタがなく且つじんわり感動路線に寄せたりすることもあるのが心地よいです。アリ王は……この作品には出ないかなぁ(期待)。