もうすぐ春ですねえ 彼を誘ってみませんか

 ゆったりと起床、母君の朝食をお出ししてから入浴。少しだけ書斎で作業をして、9時半過ぎに出勤。今日が今年最後の学校入りで、新年の初出勤は3日の予定です。とは言っても、特別にこれというノルマのある業務ではなく、それどころかメインの作業は年賀状の宛名印刷・イラスト印刷という。年賀状は、時に例外はありますが、大体毎年30日か31日に葉書の準備をして、各人宛の文面は1日の朝(文字通りの元旦)に書くことにしています。投函は1日午後で、2日は配達が行われないので最速でも到着は3日。他には、大学(医学部)に提出する志望理由書に関する面談が1件。昼には自宅往復で母君の昼食をお出しし、今日は昼食も(近くの中華「H」で)摂りました。やっぱり、ここしばらくの昼食ありの生活が意を大きくしている印象。

 上京の間に読んだ本を列挙。今回は昼から深夜まで泥酔してたような日もあるからそもそもの態度が問題ではあるのですが、やっぱり新幹線往復を飛行機往復に変えてから、旅行中の読書時間がガクッと減りましたね。
 三田完『あしたのこころだ 小沢昭一的風景を巡る』読了、★★★★。筆者は『小沢昭一的こころ』のライターとして小沢昭一の晩年に関わった人物で、彼の目から見た小沢昭一という人間、そして歴代のライター等「小沢番」の人々の思い出やインタビューを元に書かれたこの本は、随想でもなく小説でもなく伝記でもなく、さて、いったい何なんでしょう。個人的には、刺さるところが違うんじゃないかとも思うんですが、やっぱり登場する人々の小沢昭一に対する「心酔」の仕方に感動しました。12歳のF中教室で恩師先生を見て「この人!」と思って以降の人生が正に「そう」だったから、もう「分かる! 分かる!」の連続なんです。因みに、ビルしか見えない車窓でも、やっぱりこの本は東京で読んだ方が良い本だと思いました。
 樹木希林『一切なりゆき 樹木希林のことば』読了、★★★。人生訓として聞くのも良いんでしょうけれども、そういう方向性で感動するように恣意的に配列されたお言葉集からすら、美輪明宏のアドバイスをさらっと無視したという(そうは露骨に言ってないけれど)エピソードみたいに後からじわじわ笑ける毒がそこここに転がってて、この人さそり座なんじゃないかとググったらやぎ座だったんですけど、今度はWikipediaに夢中になって山手線を乗り過ごしそうになったり。
 安田弘之ちひろさん(9)』読了、★★★★★。おぉ、遂にマコトくんの母親まで屈服させてしまった。結果、母親はぎゅっとマコトくんを抱きしめましたが、マコトくんの方はどうやら直に反抗期に入りそうな様相。
 荒川弘銀の匙 Silver Spoon(3・4)』読了、★★★★★。来年中に最新刊に追いついたら、間違いなく2019年のベスト5に入ります。

 「もりき」に通い始めて10年ですが、毎年30日恒例の常連忘年会に参加するのは本当に久しぶりです(ちょっと顔を出してお酒の1本でも差し入れたとかいうのは除けば)。30日夜は上京中、或いはまだ小倉にあった当時の実家に帰省中、ということが多かったんですね。後は、これは言うと角が立つけれども、間違いなく訪問回数はぶっちぎりで一番なんですが、そんなに他の常連さんとベッタリ仲良しという訳ではない(K市の母・Hさんは除く)という理由で大人数の会に馴染みにくいというのも正直あります(しこたま飲んだら垣根は取れますが、その時には大抵周りの人が「終わってる」んですね)。例外は、今年の30周年パーティーくらいで、まぁ要するにあれが楽しかったから今年の忘年会は自分から手を挙げて、一升瓶の一本でも持って(っつっても頂き物の「鍋島」をお裾分けですが)出掛けたという次第。

 さて、その「もりき」から徒歩1分の場所にある焼鳥「T」は30年選手の「もりき」より更に古い町の老舗。そこには、「もりき」に通い出すさらに5年前から5年間、それこそ週4とかの割合で通っていました。「もりき」の前の私の台所です。
 店を選ぶほど立派な客だという自信はありませんが、私は一つの店で三度本当に嫌な目にあったらその店に行くのをやめます。例えば実は「もりき」でも一度そういう「嫌な目」があって、常連Uさん(ベテランの看護師)が泥酔して1時間くらい私に結婚しないのか彼女はいないのかどんな人がタイプなのかと絡んできたのがそれ。Uさん自体は嫌な人ではないのでその後も楽しくお喋り出来ますし、その日はマスターがUさんを叱って追い出してくれたし、帳消しにしようかなぁ、とも思うけれども、一応「嫌な目①」のカウント。10年(1500回以上)通って1回しかないってのが逆に凄いですよね。

 で、前述の「T」に10年前から通うのをやめたのは、「嫌な目スタンプカード」が①・②・③と埋まったから。
 ①20年上の常連Hさんと意気投合していたのですが、Hさんの取り巻き某氏が私の態度が馴れ馴れしいからシメると息巻いていたというのを、当のHさんから聞かされたこと(宥めて下さったことへの御礼は言いましたけれど)。
 ②常連の若い女性からからマスター経由で電話番号を渡されたこと(まだ20代だったからね、遠くに座ってる目の悪い人からちらっと見られて勘違いされるようなこともあったのよ、ほんとに。捏造だとかオッサンの思い出自慢だとか言わないで。「嫌な目」だっつってんだから許してね)。
 ③その電話番号を無視してたらマスターの顔を立てて電話をしないといけないと色んな人から言われたこと。

 久しぶりの「もりき」の忘年会と「T」と何の関係があるんだと言われたら別にないんですけれども、いや、今日の忘年会、楽しかったんですよ。何が楽しかったって、小上がり10人(マスターご夫妻含む)は私も全員顔を知るメンバーだったんですが、カウンター6人が全員初対面の方々で、これが面白かった。
 先ずは、市内の中学の家庭科の先生(女性)とその連れの男性(二人とも20代)。マスターは2人がつき合ってると仰ってました。
 続いて、元酒屋で今は長距離の運転手をなさっている男性と、そのお友達の男性(二人とも私と同じ年くらい)。
 最後が、レスラー体格の輩(やから)あんちゃんと、その先輩で絶対「狂犬」とかそんな感じのあだ名がついてた(る)ような人(二人とも私よりちょい上くらい)。

 もうさ、「最後」の扱いを間違ったらボロ雑巾みたいな目に遭うって分かってるじゃないですか。こういうのって、メチャクチャ燃えますよね。だって、小上がりの一番奥に座ったマスター、「料理は全部作った。酒と合わせたら原価で参加費とトントンだ。もう俺は絶対にここから一歩も動かん!」ですもん。そしたら、他の人に日本酒注いだり空いてる皿を片付けたり冷蔵庫の中のビール取り出したり(あ、ビールは参加費に入ってないので、スーパーで買って持ち込みました)、ってのは全部カウンターに一番近い小上がり席に座った私がやることになるんですよ。
 でね、家庭科の先生と学校のお話をしたり、酒屋のお兄さん(ど酒豪)に日本酒注いだり、輩(やから)コンビのご機嫌とったりしてたら、カウンターの食事と酒とが全部綺麗さっぱりなくなってしまったんですよ。そのスピード、小上がりの1.8倍。

 私「マスター、ちょっと食べ物買ってきて良い? 持ち込み料までは取らんやろ?」
 マ「何でもいいけど、俺はここから一歩も動かん!」

 折り紙をつけてもらって「もりき」を出て、さて、輩(やから)パイセンにいちばん喜んでもらえる食べ物って何だろうってそんなもの考えるまでもなく肉肉肉に決まってんじゃんか今日マスターが準備した食べ物全部魚介だったし、あ、持ち帰りの注文できます? 5000円分で……って人の顔見て幽霊見たみたいな表情するのやめてもらえませんかね、あ、中身は全部お任せでいいです、っつかおいちゃん痩せましたねびっくり、あ、やっぱりHさんまだ通ってるんですか今日はいないんですね、折角ですし来年また来てもいいです? 本当? 本当にいいの? 信じますよ? あ、このお皿は返さ……なくてもいい。じゃあ口実なしで来るしかないのかぁ、ごちそう様。

 「もりき」に戻ったら、やっぱり輩(やから)パイセンたちに喜んでいただけました、っつか小上がり軍団も結構食べるんですね。さすが16人、焼鳥の5000円分なんてあっと言う間です。
 マ「よくこんなの売ってたね。どこ?」
 私「え、『T』だけど」
 マ「えっ? いけのっちゃん、あそこは二度と行かんって言っとったやんか」
 私「だから雪解け。あのね、自腹切るんだからこっちに少しは得することがあったっていいでしょ? ご心配なく、ここが定休の月曜にしか行かないから」

 色々動いている内に、カウンターの6人(泥酔)には「態度のでかい店員」という扱いを受けるように(家庭科の先生、さっき私と学校的な話をしたことを忘れるくらいは酔っ払ってます)。結局、小上がりもカウンターも全員、マスター夫妻と3人でお見送りしました。まさか忘年会で店に最後まで滞在することになるとは。楽しかった証拠かな。

 では、ラスト一ネタ。私が同じ教員だと2時間前に喋ったことをすっかり忘れるほど酔っ払ってしまった家庭科先生、が油断している間に連れの男性、結構面白かったです。何年ぶりかで「男から男のナンパ(?)は触る」を味わいました。泥酔している連れの女性は勿論他の参加者が誰も見ていない陰になる位置で、その男性(っつか男の子)が突然、私の乳首をつねろうとシャツに触ってきたんですね。メチャクチャ慣れてる手つきにいっそ感心しながら拳骨を落としたら、上目遣いに「てへぺろ」って再チャレンジされたんでもっかい拳骨。
 ま、初対面だし何しろ「忘」年会ですから、これを「嫌な目②」にするほど狭量ではないです。