平成

 大晦日の私的恒例、本とCDとのベストを列挙するだけ。

 今年発売の書籍5冊(A~Eは50音順で、以下同じです)。
 A.仲島ひとみ『大人のための学習マンガ それゆけ! 論理さん』
 B.ナンシー関ナンシー関の耳大全77 ザ・ベスト・オブ「小耳にはさもう」』
 C.濱田研吾『脇役本 増補文庫版』
 D.原研哉『白百』
 E.山田ルイ53世一発屋芸人列伝』
 私的ベストはC、学級文庫的ベストはAです。CとEとは通底していますけれども、Eの方がプロが書いている分外連味があります。Bは面白いのが決まっているんですが、内容よりも編者の武田砂鉄さんの印象が初読の時以降どんどん上がっていきます(どんだけ厭味な文体だろうが、もう絶対いい人じゃん、というのがダダ漏れてます)。Dは精米歩合(切れ味)に一票。

 昨年以前発売の書籍5冊。
 A.幸田文『ちくま日本文学5 幸田文
 B.齋藤希史『漢文脈と近代日本』
 C.美馬勇作『女優 山田五十鈴
 D.向田邦子『霊長類ヒト科動物図鑑』
 E.山口瞳山口瞳ベスト・エッセイ』
 私的ベストはC、学級文庫的ベストはAです(どうかこの本が届く高3が居て欲しい)。Cは私家版の本がこのクオリティだというならプロの評論家は要らないと言っても過言にならないくらいの本、喜ばれるか否かを全く無視して国語科恩師先生にお届けしました。幸田文が面白いのは知っていましたが、今年はD・Eの書き手2人に手を出して贅沢(こういう「読む前から面白い」と分かっている書き手は、この後の人生の楽しみのために3年に1人くらいの割合で取っておかないといけないんです、本当は)。Bはセンター直後に流し読みしたので本当は再読なのですが、研究者の矜恃に打たれます。

 漫画5作品。
 A.あずまきよひこよつばと!
 B.小山健『生理ちゃん』
 C.原克玄『ハテナテナ』
 D.矢部太郎『大家さんと僕』
 E.RENA『本橋兄弟』
 私的ベストはAかな。何とかこれまで10年間に選んできた作品は除外したかったんですが、Aはもうどうしようもないですよね。Bと『昨日何たべた?』はどちらにするか悩みました。

 今年のCD5作品。
 A.絵恋ちゃん『EREMANIA』
 B.折坂悠太『平成』
 C.高橋徹也夜に生きるもの/ベッドタウン
 D.松任谷由実ユーミンからの、恋のうた。』
 E.矢野顕子『ふたりぼっちで行こう』
 ベストは圧倒的にB、個人的な事件はCの再発売(と再現ライブ)でした。Bは『ミュージックマガジン』の年間ベストにも選ばれていたので、結構有名な人だという認識で良いんですかね。DとEとはファンだから選びました(後述の「紅白」ユーミンが偉大だったことも今年の事件だと言って良いかな)。Aはアルバム未収録の楽曲集。絵恋ちゃんさんのライブ活動無期限休止というのも2018年の哀しい事件だ!

 幾ら上京中の読書時間が減ったとはいえ読了の本が少なすぎると思ったら、昨日の日記で2冊書き漏らしていました。
 西原理恵子『りえさん手帖 ホントにやせた編』読了、★★★。子育てを離れたら、新聞に載せるような一般性のある話題はないんじゃないかと思っていたら、案の定ダイエット企画等始まってしまいました。ただ、もう新聞に「一般性」を求める姿勢の方がおかしいのかも知れないな、とは思います。ファンだけ相手にしてればいいのかな。
 苅谷剛彦『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』読了、★★★。「スイッチ」という言葉のセンスが筆者のものでないことを祈るばかりですが、とにかく大学生の啓蒙への使命感は通じました。「我疑う、故に我在り」が近代的な人間定義だというなら今の若者は人間ではない。そんな若者に対し、この本の目標は通念常識に対する「疑いのスゝメ」。2010年代の啓蒙書のトップに私は前述の『論理さん』を推しますが、それと合わせて読んでもいいんじゃないかなぁ、など。
 読みさしの本が3冊ありますが、三が日は絶対に本を読まないと決めているので、次の読了は4日以降になります。

 いやぁ、昨日は飲み過ぎました(「絶対的に」ではなくて、私基準の「相対的に」)。7時の母君の朝食は根性で作りましたがその後2時間の二度寝。9時から風呂に入って書斎で作業をしながら、上京中の東京から送った荷物2つ(旅行鞄・ジュンク堂)を受け取りました。母君に昼食をお出ししてから市内の割烹「G」にタクシーで行き、限定30個のお節を受け取り。1~2人前の小お節は、それでも工夫の届いた料理がぎっしりと三段のお重に。

 さて、東京で働いているHさんのご子息が、昨日帰省してくるはずなのに待てど暮らせど帰って来ず電話も繋がらない(そのためにHさんは「もりき」の忘年会に参加出来ず)。漸く今日になって電話が繋がったと思ったら、腰を痛めて起き上がれず帰省できないとのこと。電話にすら出られないほど悪いのかとHさんが即座に上京しようとしたら、それは全力で止められたんですって。私「それは……」 H「怪しいでしょ~?」 私「彼女なら、すっと紹介すりゃいいと思いますけど」 H「まぁ、『お母さん来て~』って泣きつくほどの痛め方じゃなかったんだと信じて」 私「私にこれを持って帰れ、と」
 Hさん、帰省予定のご子息のためにたっぷりとお正月料理を準備していました(ご子息が帰ると、ご友人がわっと集まってくるのが常)。私もそのために日本酒の一升瓶を2本供出したんですけれども。H「日本酒は日本酒で戴いておくとして」 私「まぁ、Hさんなら飲めますよね」 H「料理ばっかりは持って行ってもらわないととても消費できなくて」
 ・「もりき」から受けとった鴨の骨で取ったスープ
 ・大量のがめ煮
 ・カマスの開き2匹
 ・大量の茹でほうれん草
 ・ソーセージ
 の5点セットを頂いて、これは有り難く我が家のお正月の食卓にのせます。

 お陰で、お正月の買い出しが随分減りました。夕方に母君と近くの血痰ネーミングスーパーマーケット「You Meマート」にて買い出し。随分減ったとはいえ、やっぱり正月分の買いだめですから、結局これまでここで払った最高額の買い物をしています(7000円ちょっとかな)。米・蕎麦・餅・野菜・果物・魚・肉・水、ちょっとした笠地蔵ですが、私は引っ張るのは食材だけではなく母君の手もですから、商品を入れる袋は1つ、これが右手に10kgです。左手で母君の手を取りつつ、流石に今回だけは母君よりも私の方がふらついて母君にかなり心配されました。いや、米、水、重いわ。

 今日の日のために卓上コンロと鍋とを買っており、夕食は鍋料理です。昆布だけでとった出汁の中に、豆腐・白菜・カブ・鶏肉・ブリ・マロニーを入れてポン酢で。〆は蕎麦で、これもポン酢で食べます。うどんの代わりに年越し蕎麦を使った格好。
 TVは「紅白歌合戦」と「ガキ」とをザッピング。「ガキ」は年々クオリティが下がっていっているような気がします。最早「紅白」よりも攻めていない印象で、途中のロバート秋山杉咲花がとても頑張っていたのがピークだと思ったのでそれ以降は観るのをやめて「紅白」で固定。

 「紅白歌合戦」のユーミンは、「ひこうき雲」が○、「やさしさに包まれたなら」が△、まさかの「勝手にシンドバッド」が◎、というところ。松任谷正隆が先程まで立っていたステージの上で、そして原由子がバックで演奏している中で桑田佳祐にキスをした瞬間に「やっぱり持ってる人は振り切り方が違う」と心底感動しました。平成を作ったのはユーミンで、牽引したのはサザンです。これは間違いなく「昭和」ではなくて「平成」の『紅白歌合戦』で、平成デビュー組は次の元号に幕が引かれるときに同じことをする義務があると思う。
 というわけで、今日の「紅白」で初めて観たアーティストに関しては、Little Glee Monster△、DAOKO×、あいみょん△、純烈○、刀剣男子△、Aqours×、米津玄師○、「おげんさんといっしょ」△、武田真治◎。

 母君は21時にはお布団に入られたので、その後でリビングの私は缶ビールをぷしゅ~。大晦日にお酒を飲むのは、もしかしたら人生初かも知れません(30日の飲み会が0時を越えたのをノーカウントとすれば)。