苦さと歓びを

 外進高1A組で担任を務め、推薦入試で某国立大医学部に合格を決めた女子某さんから、ネクタイを贈られました。合格発表期間は、毎日そのネクタイ(イタリア製!)に国語科恩師先生から戴いたネクタイピンをつけて出勤しています。
 その御利益たるや甚だだったのですが、残念な結果だった生徒も居るので、喜びには常にほろ苦さがついてきますね。

 多くの国公立大学が一斉に合格発表を始める8日。例えば今日は、一橋大学九州大学神戸大学、等々。ここからの合格率は50%を割ることを覚悟(後期合格、若しくは私大選択による進学を合わせて、春から大学生になる現役生が50%を超えれば御の字だという認識)。文字通りの泣き笑いで忙しい一日になるでしょう。夜は、合格発表期恒例、高3担任団有志による中締め慰労会。美味しいお酒になると良いですが……。

 学年主任地理先生が、九州大学の合格発表(受験番号の掲示板貼り出し)を確認する出張に向かわれています。「合格発表の現場に立つとか何年ぶりやろ」と行く前から若干興奮のご様子でした。地理先生は、年若い(私の6歳上)ながら既に生徒指導部長を務められた経験をお持ちで、その間は担任団を離れていた関係もあり、高3の担任団に加わる(入試関係の仕事をする)のが十数年ぶり二度目なのです。新鮮な気分でいらっしゃいましょう。
 後で伺ったら、貼り出し前に67回生の生徒(医学部受験)2人と会って、一緒に掲示板の確認に行かれたそうです。それを聞いたときは反射的に「そいつらが落ちとったらどうすんのさ」と敬語を忘れてツッコんでしまいました。落ちてなかったからまぁよかったんですけれども。

 今朝も職員室で「今日は九医の発表ですね」と言われましたが、63回生の時と違って「九医ではなく九大の発表です」という訂正はしませんでした。前回は文系Aクラスの担任でクラスに九大文系が数名以上居たんですけれども、今回は文理混合Bクラスで、実際ウチのクラスの九大受験者は全員が理系医学部だったからです。我ながら現金なもんです(他のクラスには、九大の非医学部がたくさんいます)。医学部の数ばかりを注視するのも、営業上は仕方ないことではあります。
 で、その九大医学部の数。現役が18人で、浪人が6人、合計25人。合格者は112人なので、5人に1人がF高出身ということになります。凄いですね。女子は現役5人と浪人3人とで合計8人。これは過去最多かな。驚くべきは、高1A(外部中出身)だった女子が2人合格したこと。外進女子の医学部は他に、熊大・長大・鹿大に1人ずつが合格しています。

 九大医学部は、今年からセンター試験の生物必須(理科は3科目が必要)を廃止し、センター・二次の両方で化学・物理だけを選択して受験することを可能にしました。これは恐らく公立優遇(というか私立有利になる制約の撤廃)が目的だったのだと思います。例えばF高なら2年・3年次に「九大医学部センター生物特講」を開いてガシガシ教えてましたが、全ての高校でこのようなことが可能だとは思えません。
 しかし、蓋を開けてみればF高は(過去最多の20人には及びませんでしたが)現役18人の合格を出し、浪人を合わせれば25名。九州南部の某私立高校からの合格者を合わせると112人中45人となる異常事態。
 私「2校で4割て」
 地「嬉しいけど、ちょっとアレだよねぇ」
 私「で、次なる手は面接、と」
 地「面接が入ったら、ウチは不利になるの?」
 私「さあ?」
 来年度から、九医は面接が入るそうです。今年の合格者18人の中に、面接をしたら不適切だと認定される生徒が居るのかどうかは知りませんが(というか、面接がどのように評価・加味されるのかを知りません)、取り敢えずこれから入学する生徒には「ちゃんと勉強してF高のイメージアップに貢献してね」とは言いたい。スプリンクラーみたいにネガキャン撒き散らしてるのも居るみたいですから。

 合格を決めた生徒が凱旋(報告)に来ます。私服率が高いですが、時に制服の子も混じっており。今日は、B組から九大医学部に合格した生徒が2人ご挨拶に。一方教室では後期試験に向けて(小論文その他の)勉強を続けている生徒もおり、この時期は表情の作り方が難しいというのが「高3担任団あるある」です。

 夜は、担任団有志6人で中締め慰労会。会場は英語パイセンの指示で初めて訪れる魚料理「O」。私は幹事の嗜みで20分前に到着し、テーブルに皿を並べ、開始(乾杯)時に逸品とお刺身とがテーブルに並んでいるよう料理を予め注文しておくという気働き(←自分で言いますよ)。何と言っても、6人中最若手ですから。
 今日の合格の仕方なら「祝勝会」と言っても過言ではない(私が最若手という年齢構成の集団とは思えないくらいの分量を飲み食いして、久しぶりに会計が「7通し」とかになりました。一人7000円です)。勿論、後期に挑む生徒も浪人を決めた生徒もおり、歓びにはほろ苦さが混じるというのは冒頭に書いたとおりです。

 昨日の夜は緊張して殆ど寝付けず、1時間おきとかで目が覚めました。だから中締め乾杯の時点でかなり眠たくて(「メガシャキ」飲みました)、会が終わる頃にはおねむMAX状態だったんですけれども、それより歓びが勝るんですねぇ、解散後に一人で文化街に寄ってました。ライブバー「A」で少し飲んで少し歌って帰ったんですけれども、店内での記憶が殆ど残っていません。