真直な線を 引いてごらん 真直な線なんて

 「鉛筆なんて持たせるのは初めてですよ」と奥様ダブルダッチ体育先生、「そんなことしたら家の壁が終わる」と旦那同窓数学。ということは、今私の机に座って私のプリント作成のためのコピー用紙にガシガシと筆を走らせているこれがお嬢様(1才)の初お絵かきなわけですね。
 先ずは一本、キャンバス(B4長方形横向き)左下から中央上にえいやっ! と黒一本を斜めに走らせる。次いですかさず、キャンバス中央下から右上にえいやっ! と黒一本を斜めに。丁度平行に引かれた2本の黒一本の中を、今度は無数の平行線でえいやっ! えいやっ! と塗り上げてお出で。その後、右端の黒一本の右側、キャンバスの右下の部分を、何本もの短い線で彩って行かれました。
 「画伯、そこまでで御座います」とお嬢様を抱き上げ(私、最近、幼児が触れるようになりました)、完成した作品をしげしげと眺めます。作品の左下から右上に向けて黒い流れ、これは私が見るに「川」ですな。作品左上は無地の岸、右下は黒く塗られた岸、「成程、向かって右は此岸、左は彼岸を表してお出でと見ました。流石、画伯! 世には決して渡ってはならぬものがあるということをその御年にして見抜いておられる」
 奥様体育先生に「他人の子に何を教えようとしてるんですか」と窘められました。が、今日からお嬢様は「画伯」です。

 高校入試に合格した受験生の中で入学を決めた人、即ち春からF高70回生高1Aクラスのメンバーになる方々、が親子で参加する「入学者説明会」が行われました。この中に数学・英語・国語科からF高での教科教育についての説明をするコーナーがありまして、私が国語科として5分間ほど喋りました(67回生の時以来3年ぶりです)。本来なら、現在中学3年生をメインで(即ち現代文の授業を)担当されている先生、若しくは国語科主任の先生が話すところなのですが、今日はお二人とも授業・校務で動けず、だったら高3も終わって授業の一切が無く暇を持て余しているだろうお前が喋れや、と言われたからです。3年前の我ら高1Aの生徒・保護者の時もそうでしたが、突然細長いのが現れてなんぞ意味の分からんことを喋って去って行くという展開にきょとん顔の人々が散見され面白かったです。

 挨拶に来る卒業生と連絡先を交換するんですけれども、私は電話番号・ショートメールかEメールかの2択で(一緒に飲める年齢になったらTwitterという手はありますが)、この情弱アラフォーの提示する連絡手段が18歳世代にとっては頗る都合の悪い様子。メルアドなんていらねえよ、夏。って感じです(←言い回しで年齢感を出してみました)。
 流石社会科の先生方はLINEを自在に使いこなしてお出でで、世界史先生と女子数人が車座になって(座ってはいませんが)携帯をふるふると振っているのを見た時には本当に「え、何やってんの? 流行の儀式なの?」と思ってしまいました(あれで連絡先が交換できるそうですね)。主任地理先生など、生徒への緊急連絡先としてご自分のLINEを用いておられたくらいです(配布プリントにQRコードってやつ? を載せておられました)。
 で、私も、先日故あってLINEの登録をしたんですよ(卒業式謝恩会のスピーチでは少し話したんですけれども、お見合いみたいなことをやった関係でですね)。で、今は殆ど使ってないんですけれども、数人(例えば55回生Tくんとか、56回生Yくん・Nくんとか)とはそれでやり取りをしてるんですね。これを67回生に解放するか否かをちょっと悩んで……我らB組春から慶應ボーイのKくんから「LINEなら画像、簡単に遅れますよ。東大の得点開示」と言われた瞬間に即陥落、連絡先を交換してました。仕事じゃ仕事じゃ。因みに、とあるご恩に報いるために、Kくんとは明後日の夜に焼き鳥を奢ることを約束しています。

 シタラマサコ『おそ松さん(8)』読了、★★★。やたら刊行されてる気がしてるんですけど、一応半年に一冊のペースなんですね。
 向田邦子『父の詫び状』読了、★★★★★。山本夏彦翁に「『ほとんど』って要るんですか?」と伺いたくなるくらい巧い。38才にして満を持しての向田邦子読み始め、これから読める作品は要するにこれより面白いわけでしょう? こんな幸せなことってありますかね。そう言えば、でっくんはF高同級生だった時代に既にこの『詫び状』が面白いって言ってた記憶。凄いなぁ(彼の読書歴は「血筋」でしょう。二度だけお会いしたことのあるお父様がそういうお方でした)。高校時代の私にこれは読めなかったと思います。

 美術先生の奥様が先生を務められている高齢者向けの絵画教室に週一で通われている母君。市内のギャラリーで開催中の展示会に作品を飾っていただいているということで、明日の「S病院」月一受診が何事も無く終えられたら二人で足を伸ばしてみましょうか、などと計画しています。