会社のためなら記憶は消せよ

 4泊5日の非日常を終え、本日からは「日常性の維持」。5時起き、入浴、母君の朝食作成、7時半出勤。午前中は職員会議、午後は職員室の机移動(旧学年のスペースから新学年のスペースへ自分の机を動かす)他の雑務。

 職員会議。前回の職員会議の投票で、私、就職15年目にして初めて「議長」に選出されてしまいました。要するに会議の司会をするんですけれども。この選挙、「司会」属性の先生方が持ち回りみたいに順番に選出されるのが常で、私は大体いつも「3番目とか4番目の得票数で選出を回避する枠」の教員だったはずなのですが、そういう枠の人間が何かの間違いで選ばれてしまうことが15年に1回くらいあったという事故なのかな。えぇ、選出、全然嬉しくありません。得票同数で私と共に選出されたタメ年英語先生……に私も投票しているので因果応報感はありますけれどもね。
 で、本日が私の司会デビュー。今回は、進路指導部・生徒指導部・教務部・総務部・寮・旧高3(67回生学年主任)・新中1~新高3学年主任、という流れで12人が報告・審議事項を順番に述べるという形式で、要するにプログラムは1~12番まであるんですが……「発表→質疑」のプログラムを6番までこなした時点で、9時開始の会議が既に2時間半経過した! 長ぇ!
 私が一旦休憩(10分)を告げて全員が席を立った途端、数人の先生方から「長いよ!」「後2時間やるのか!」と叱られる。文句は6人の発表者に言えよ……と言おうとしたら、よりによってトップ(校長先生)から「池ノ都さん、これ、12時半までに終わる?」って。
 会議室ホワイトボードに赤で「12時30分終了」と大書。微苦笑の先生方に「私じゃない、管理職命令です! 前半6人で2時間半、後半6人は1時間、割り算して下さい!」と宣言して笑ってもらった上で始まった後半戦が本当に1時間で終わったんで、あぁ議長の役目ってこういうのなのね、と間違った学習をした年度初め。

 さて、職員室の机の移動を終えたら、私の「シマ」は新高1(70回生!)ということになります。今年は副担任(と、進路指導部主任と)ということで、学年主任タメ年体育先生(中学から継続)、及びA~E組担任の英語先生(継続)、国語先生(継続)、物理先生(新任)、化学先生(新任)、数学先生(継続)、更に今年度からF校に着任なさる副担任地理先生・公民先生、合計9人の学年団の一員(副担任の中でいちばん若いので、要するに学年団の最も下っ端)として他8人の先生方に土下座外交をしながら生きていく所存。
 例えば。D組担任若手物理先生(初めての担任)に「学級文庫、手伝ってもらえません?」と言われてへぇへぇと直ちに20冊の本を持っていく(67回生我らB組の本棚にあった本のベスト盤です)。そうしたら、その中の藤木TDC『アダルトビデオ最尖端』と永青文庫春画展』図録との2冊が秒で投げ返されてきました。私「何故で御座りますか、この2冊こそこのラインナップの白眉で御座いますのに」 物「こんなの入れられる訳ないでしょうが」 真面目か。物理先生、『アルチンボルド展』の図録には「アルチンボルドだ~、これ面白いっすよね~」とか飛びついてたくらいの数寄者でらっしゃるのに。とまぁ、同じことをA組担任英語先生に命じられた時にこの2冊を入れられたかっつったら勿論入れられはしませんでしたけどね。

 帰宅後に入浴、母君の夕食をお出しした後、夜は大型の飲み会。「梅の花」本店にて、今年度から中学教頭に着任された体育先生の昇進祝いです。63回生で共に担任を務めた化学・数学・国語私との4人で乾杯。丁度、63回生が(浪人留年休学なしで且つ4年で卒業するならですが)就職したタイミングですから、生徒たちの行き先を中心に話に花を咲かせ、他3人が「たまには豆腐料理も良い!」と仰る純和風の料理でビール・日本酒・焼酎……の飲み放題でメーターが上がった。
 同じ夜に生徒指導部が新年度の決起集会をやってるというのは風の噂に聞いてたけれども、何がどうなってこうなったのか(と後で化学先生に聞いたら「お前に電話がかかって来てお前がすぐ合流しますって答えたんやないか」と言われました)、二次会合流の居酒屋大所帯、からの三次会は小料理屋「S」にこれは覚えてる私が予約して私が先導して私が全員にビールを回して、でもって私が1杯飲んで1曲歌ったところで完全に電池が切れて(眠さマックスで喉が死んで明日の母君の朝食を作らなければならないことを思い出した)、ママさんにお金払って先抜けして這這の体でタクシーに乗り込んだんでした。日常性の維持。