卯月 お花見 さくらもち

 左足首の怪我は普通に痛いです。ブロック塀で吸った時に付着していた黴菌が入ったのだろうと言われましたが、怪我も痛けりゃその下がぽっこりと腫れていて靴下が履きにくいのも辛い。今は軟膏を塗ってガーゼを当てて、少ししてから「湿潤療法」というのに移行するそう。殆ど経験がないので保健室の先生に言われるまま。歩行には(要するに仕事には)全く影響ありません。

 本日の授業は1コマだけなのですが、外進A組の初授業でちょっと緊張。やることは昨日の内進組と同じ(15分で年間を通じた授業の形式の紹介、15分で古文漢文を学習する理由の牽強付会な説明、15分で「夏は来ぬ」歌詞聴き取りテスト)なのですが、同じ反応をして下さるかどうか。「この細長いのは一体何がやりたいんだ?」というきょとん顔なら勝ちで、「映す価値なし今後無視」という興味喪失顔なら負け、という判断。

 さて、「夏は来ぬ」の歌詞聴き取りテストを採点(内進2クラス80人、外進A組40人)しました。このテストは、小鳩くるみの歌う「夏は来ぬ」の2番までを3回流して、その歌詞を1行ずつひらがなで答案に書き込むというもの。①うのはなのにおうかきねに、②ほととぎすはやもきなきて、③しのびねもらすなつはきぬ、④さみだれのそそぐやまだに、⑤さおとめがもすそぬらして、⑥たまなえううるなつはきぬ、が正解です。3回流すやり方は、先ず1回普通に流して(メモは禁止で)聴くことに集中させます。次に、①~⑥の1行毎にストップを入れながら(1行ずつ書き写す時間を取るために)1回流します。最後に、同じく1行毎にストップを入れながら(1行ずつ聴き直して書き改める時間を取るために)1回流して終わりです。
 事前に「夏は来ぬ」というタイトル(「きぬ」の読みは教えていません)を板書し、完全な七五調になっていること、歌詞は古語であること、の2つをヒントとして教えています。
 で、結果としてこれがなかなか難しい。完璧に書ける生徒は数人居て、これは『にほんごであそぼ』の影響なのかは知りませんが歌をちゃんと知っている人です(2%ほどいたら御の字)。焦点はそれ以外で、知らない状態で聴いて果たしてこれを聞き取れるほどに耳と言語処理能力とが高いのかどうかというのを知りたいんですね。でもって、①~⑥の6行ある内の4行以上を完璧に書けたら定期テストの平常点に+1のサービス、という条件で採点をしたら果たして3割程度の生徒がサービス点をもぎ取っていきました。お見事。
 ①におうかきねに→においがきれい、②はやもき→はやおき、④やまだに→やまらに、⑤ぬらして→くらして・ぐらして、⑥たまなえううる→なまなえ・うる、の誤答が多いかな。以前は、書いた答案を自分が理解できる日本語になるよう彫琢させてから回収していましたが、そうしたら③「強火で燃やす茄子は切る」とか、⑥「生苗ウール夏は絹」とかいう珍答案が続出したので(3番まで書かせたら「怠り諫むる(おこたりいさむる)」を「オッサンいたぶる」と書いた生徒すら!)、以降「古文なのだから自分では意味が通らない言葉でも当たっている可能性がある」と無茶なことを言って聞き取れたそのままを提出させています。
 因みに、外進A組の生徒の方が、内進B~E組の生徒に比べてかなり正答率が低いんですね。4行以上正しく聴き取った生徒の数は内進クラスの半分以下です。これにはその他色々な理由があるとは思いますが、最も大きな理由は彼らがまだ「F高の時間の流れの速さ」について行けてない(慣れていない)からだと考えています。授業でも生活においても、かなりのスピードで次々に情報が流れてくる生活を中学3年間続けた内進組が、それら情報をTwitterのTLみたいに聞き流すことなく「若しかしたら自分に関係あることかも知れない」という恐れ(この恐れのことを「誠実」と呼び変えても良いです)を以て何とかキャッチアップしようとし続けてきたならば、聴き取りのテストでも上質の答案を書いてくる耳と情報処理能力とを身に帯びることになります。私が担任を務めた2つの学年に関して言えば、63回生はこれがあまり得意ではなく、67回生はもの凄くきちんとしていた(現役合格率の差はここにあると思っています)。70回生の内進組はどうやら67回生に近そうで、A組はこれから慣れていけるかが勝負ですね。
 あ、そうそう、67回生の高1A外進組は、これに関して内進組よりやや劣るところがありました。スマホへの関心の高さ(学校空間からの情報への感度を下げます)とか教室移動の遅さとかにそれが端的に出てました。そうですね、あれで東大が2人、医学部が2人くらい減ったかな。勿論、それは担任が悪いんですけれども……わしやんけ。

 6限はHR活動で、そこでクラスの合唱曲がいきものががり「YELL」に決定しました。コーラスP長(「P」というのは「Project」のことで、「男く祭」における様々な役職を表します)の高3女子から楽譜を貰い、放課後に私がそれを製本しました。小冊子にして、表紙(一番外側の紙)を厚紙にすると「何となく特別なもの」感が出るというのは過去の担任経験から。
 市内中の店を色々回って様々な種類ののど飴を買いあさり、練習の時に「飴ちゃんBOX」として差し入れるというのを今年も。副担任の後方支援だと思って下さい……と言ったら67回生高1Aの甘えっ子たちは我勝ちにと群がってきたものですが、70回生高1Aは真面目(担任英語先生の人徳です)で、「えっ、学校で飴なんて……」「こんなことして良いの?」「……罠?」という表情です。慣れていって下さい。