他に求むる勿かれ。

 本日は1~3限が授業で、午後から「男く祭」初日F校会場(校舎内のバザー・展示、外スペースの中央ステージや屋台、を学校内外のお客様に公開)を翌日に控えた準備を。全校生徒で「備品移動」(教室内の机・椅子の移動)を行った後、各展示・バザーの準備やP(プロジェクトのこと、要するに「係」ですね。「校内企画P」とか「中央ステージP」とか「環境P」とか「配電P」とか)の仕事にそれぞれの生徒が散ります。校内は上を下、所謂「大童」というやつです。

 私は午前中の授業が3コマとも埋まっており、今日は高3のセンター漢文を3クラスで。はっきり言って今日の授業はやりにくく、文化祭の仕事で頭がいっぱいの高3生は授業どころじゃない、というか連日の深夜迄仕事で体力が限界。それでも去年の67回生は精一杯頑張って授業を受けていましたが(合格実績から逆算した評価になりますけれども、本当に真面目な……F校70年の歴史でも多分随一の……お生徒さんたちでした)、今年の高3(68回生)はそれに比べたらもう少し融通無碍で(これ、嫌味ではありません)、担任団でもない通りすがりが漢文みたいな1単位モブ科目を解説してる時間なんざそらお前睡眠充電体力チャージの時間に決まってんだろがヴォケ、みたいな生徒が散見されて(あくまで散見で、多数派は頑張って聞こうとしてくれてます、念のため)、そうそうこれこれこれがF校のデフォルト、と納得の私。ただまぁ、こちとらもF校生ですからそうなることはお見通しで、更に申し訳ないけれどそういうのが予想される時の方がぶっちゃけやる気が出るんで、寝落ちてる人を起こすような野暮はしないけど起きてる人にはいつもの1.2倍くらいのやる気で喋るよ、とはなります。
 今日の教材は79年本試験、センターの前の共通一次試験、のしかも初回という古くさ~い問題です。出典は松村操『近世先哲叢談』から菅茶山の逸話で、まさかの日本漢文(明治時代)という攻めた出題。設問は細部こそ異なれど基本はセンター試験で、というか今後センター試験が大学入試共通テスト(でしたっけ?)とかいうのに名称やら意匠やらを変える(変えた体を装う)っつーんなら一周回って利用価値がある可能性すらあるんじゃね? ってなもんでして。で、その本文が、菅茶山の、奇を衒った博捜苦吟ではなく、自然に(周囲のネーチャーに、ナチュラルな態度で、の二重の意味で)興を寄せるという試作態度を述べた一節なんですね。ですので、解説ではちょっと漢文から離れて、漱石の「現代日本の開化」に寄り道しつつ、「内発」「外発」の概念(多分、生徒は知らないでしょう)を紹介してみようかな、など。これがいつもの1.2倍と先ほど述べたやつの「0.2」です。

 さて、3コマの消化じ、じゃない授業を恙なく(?)終えたら、F高は瞬時に「男く祭」一色にスイッチが切り替わり、「男く祭」は準備段階からその作業の一切を……本当に「一切」で、例えば企業回って広告費を集めるとか、講演を依頼する方への直アポをとるとかにも教員は一切ノータッチ……生徒が行うので、教員は「立ち会い」以外の仕事がなくなる訳で(勿論、生徒指導部の先生方の一部、要は文化祭担当の方々はそうもいかないという現実はあります)、高1副担任モブ教員なんてただただ「備品移動」のどっかの教室に立っとけば(点呼ぐらい取りますけど)良いんでしょ? どれどれ、今年はどの教室に行けば良いのかや? と事前に配布された「備品移動教員立ち会い教室一覧」のプリントを開いたら、高校担任団の全ての教員がどこかの教室の立ち会い担当になっているはずなのに、ただ一人、私の名前だけがどこにも書いていない! 何だったら一人で2クラスを掛け持ちなさる先生も居られるというのに、ハブられたのか忘れられたのか、私の名前だけが載っていない!
 得たりやおう! と教員の中における文化祭担当責任者、国語科後輩バンドマンのもとにダッシュで走って、「備品移動の担当教員の中に僕の名前がないんだけれどもこれは僕だけ仕事がないってことで良いのかしらちょっと学校を離れて野暮用を済ませたりしても大丈夫ってことかしら勿論教員の昼休みであるところの12時から13時の間に外出は済ませるから後で『だって後輩くんが良いって言ったんですぅ悪いのは後輩くんですぅ』とか言わないから」的なことをまくし立てて、「こっちは文化祭担当だぞくっそ忙しいっつーのが判んねぇのか仕事がねぇモブの行方なんぞ知るかよ」という本音(捏造かも知れません)をおくびにも出さない笑顔を背に自転車に飛び乗り、自宅に戻って母君のお味噌汁を作って、学校に戻る道の途中にある「さかえ屋」でなんばん往来を40個買いました。

 副担任を務めるところの高1A、今年の食品バザーは「はまちゃん pAncAke」という店名でパンケーキとジュースとを出す、夢屋笑顔に溢れた空間です。お生徒さんたち、看板、折り紙チェーン、黒板アート、テーブルクロス、等々、前日準備着々。出会って約3週間の40人が、勿論個々の性格志向趣味興味関心は多様なのでしょうが、「和而不同」とはこのことかという和気藹々で、ここが大事なのですが40人全員が耳を揃えて働いているのには本当に感心します。漢文における王道政治のモデルではないですが、中央に居られる担任英語先生の人徳がA組内に波及しているのでしょう(副担任だけがその影響を受けていない理由は別途考える必要があります)。

 担任英語先生は64回生(他)で高1A担任、私は67回生(1回のみ、今回の副担任は降格人事と呼んで笑いを取ってます)で高1A担任。で、この70回生で高1Aの担任・副担任を務めながら。
 私「67回生の時って、まぁ51人っていう人数もあれでしたけど、もう色んな生徒が我が勝手で揃わない仕事しない。何て言うか、この人たち(70回生高1A)、真面目過ぎません?」
 英「そう。凄いよねぇ。偉いよねぇ」
 私「先生の64回生の時だって、ほら、×くんとか×くんとか×くんとか、そもそもお前らホントに高1かよっていう進んだワルソが」
 英「居たよねぇ。目立ってたもんねぇ。でも、今年は、みんな良い子だよねぇ。時代かなぁ」
 私「いやいや先生の人徳」

 とは言え時代もあるのかな、教室側面黒板に描かれた大きな羽は、その間に立って写真を撮れば「インスタ映え」するスポットだそうで、それ用の木枠(フレーム)もしっかりと準備されています。新しい!
 私は後方支援のお菓子係なので、15時にさっき買った「さかえ屋」のケーキを差し入れしてお仕事はお仕舞いです。67回生の時にもやってましたけど、あの時は51人でしたから。中途半端な人数でお菓子の揃え方が難しいんですよ。今回は40人ですから、20個入りを2つで良いんです。こんなところまで良い子。

 夜は「もりき」で独酌。今年の日本酒の会は奥能登にある酒蔵から杜氏さんをお招きするそうなのですが、どうやら日にちの都合で私は参加出来そうにありません(多分、折坂悠太のライブと被る)。残念。