But I see your true colors shining through

 ど早朝健康起床、入浴サウナ。7時前にホテルを出て駒込~池袋、お気に入りのネカフェで書き物をつらつら。ネカフェ「D」は、新規オープンの池袋北口店にだけ置いてあったコーヒーサーバー(ビールサーバー仕立てになってて、クリーミースペシャルなおコーヒーが出てくるやつ)が本店(東口)にも入ったのでますます使い勝手がよくなり。今日は夜までホテルに戻る時間はなさそうで重い荷物は避けたく、聖地「ジュンク堂本店」巡礼は明日に回して、10時半過ぎにネカフェを出てから池袋→渋谷。
 ハチ公口は相変わらずの人出ですけれども、「令和」発表時に人間がバッテラみたいになってたのに比べたらスカッスカに見えてしまいます。待ち合わせは「令和」発表の日と同じ相手で、63回生我らが文系A組で「日常性の維持」担当をしていたEくん。外進A組で超ベテラン体育先生(現在は中学教頭)が担任、文系B組で私が2年間担任、ストレートで東大に進学して教育学部、1/1で某超超超大企業の内定を貰った後、現在は人生初のoff course、その某超超超大企業を蹴って大学を休学、の身分で基本毎日研究室に入り浸りつつ、学生団体(名前は「エンタク」って聞いたんですけど、まだHP等はないんですって)で岐阜だ富良野だと飛び回って様々な地域おこしイベントに勤しんでおられるそう(でもって、蹴った企業とは別の某超大企業や某超超大企業が決まりかかってるとか。凄ぇな)。

 ちょっと前にメールで「人気俳優の出てるミュージカルを観るか、地下アイドルのライブを観るか、どっちが良い?」と聞いたら「両方初めてなんで、良いならどっちも観たい!」という元担任首根っこ鷲掴み返信が届いて、オツカル様とでも一回の上京で2回会ったりはしないんですけれども今回のEくんとは2日連続でランチデートをすることに。私「黄金週間に2日連続遊べるなんて、流石ニートは時間の余裕が違いますな」 E「違います~、ニートじゃないです~、やることやってます~」 本日は渋谷でミュージカル『キンキー・ブーツ』、明日は下北沢で絵恋ちゃんの復活ライブ。
 前回の上京、4月の頭には青山学園前の「ラ・ブランシェ」でランチコースを食べたんですけれども(色々面白い体験でした)、その日は直ぐそばにある「LATURE」が閉まってたんですね。多分、Eくんは(というか私も)味だけなら「LATURE」の方が好きだろうから、次の機会は絶対ここでランチジビエと決めていたのです。超人気店は本日満席、11時半オープンのところを15分前に来て欲しいというのがお店からの事前連絡でした(少しでも客の入店のタイミングをずらしたいのでしょうね)。入口看板の貼り出しメニューの説明に「食べれる」のら抜きがあるのはご愛敬、20分に入店。
 事前連絡の時に色々あって福岡からの上京だということを明かしていたら、入店時に案内の女性(珍しく、Eくんがちょっと失礼なくらい頻りに「超美人!」って言ってました)から「よくいらっしゃるので都内の方だと思っていました」と言われ。まだ4、5回目なんですけれども。で、Eくんにちょっと申し訳なかったのは、「よくいらっしゃる」認定の為か、定番鉄板の「鹿の血マカロン」とか「ジビエパテパイ包み」とかが全て避けられていたことで、次来るときには入れてもらおう、と。それでも、アミューズの「猪のソーセージ」や、キノコ辞典風のお皿を開くと中から「猪のベーコンと静岡産マッシュルーム」が出てくる趣向や、にEくんのっけから大興奮。前菜は鰺、メインは子羊、デザートは苺と春菊(!)。最後のフィナンシェも猪の脂を使用する拘りのジビエには今日も満足。

 ランチに2時間弱をかけて、13時過ぎにお店を出る。青山学園から渋谷ヒカリエまでゆっくり歩いて15分ほど、というとこれはもう完璧な間拍子で、『キンキー・ブーツ』@東急シアターオーブ、満員御礼の会場に到着したのは開演の20分前。事前にお手洗いを済ませて、と連れションの手洗い場でEくんが上を向いて狙いを定めて……そう言えば、私、38年間生きてきて、これ、体験したことないな。
 上京のたびに必ず「人生初」を体験するというマイルール、今回はこれにしよう、とEくんにお願いして目薬を貸してもらいました。最初の右目は2回外して3度目に命中、左目は1度目で命中、確率50%です。
 小池徹平は街の靴工場を建て直したい若社長、社運をかけて作ろうとする「キンキー・ブーツ」のデザインからモデルまでをこなすドラァグクイーン三浦春馬。『キンキー・ブーツ』は、劇中常に客席の喝采と拍手とが止まない「一体型」の傑作でした。合唱歴25年の地理先生から「小池徹平は歌が巧いよ」と聞いていたのは本当だったし、三浦春馬のキレと艶とも凄い、Eくんはダブルダッチサークルでダンスも作曲もこなす人だから私よりも直に身体に響き、初ミュージカルに大興奮です。個人的には、誰も死なない・悪人がいない故の後味の良さも最高で、人生初のミュージカルにして2度観る感動だった『シスター・アクト』を超えて来ました。
 1部と2部との幕間、私もEくんも以心伝心のダッシュでグッズ売り場に走り、前回初演版のCDを購入。買わないなんてあり得ないという興奮状態です。Eくんからは「全部奢って貰ってるから、これくらい俺が出せばよかった」と言われましたが、これは自費で買って聴きたいところですよ。ただ、未だにCDユーザーでウォークマン必携の私に、Eくんが大興奮で「CDが直ぐ聴けるって超便利じゃない? えっ、鞄に単3電池が20本も!? 凄ぇ、充電要らんやん! マジ羨ま! 超便利! 俺とか家に帰って一回音源をスマホに落とさんと聴けんもん!」と絶賛してきたのには、そこにマウント的な意図が一切ないことがその曇りなき眼から窺えるだけに心折れる思いでした。
 さて、『キンキー・ブーツ』は無欠のコメディでしたが、その中の笑いには2種類のものがありまして。例えば恋するソニンが悶えたり、自分でブーツを履いてみた小池徹平が歩きにくさで蹌踉めいたり、みたいなコミカルが起こす笑いが一つ。そして、三浦春馬が男性トイレに籠もるというシーンや「ゲイゲイ」の台詞が起こす戸惑いの笑いとが一つ。あ~、試されてるのかなぁ、という感覚はありましたね。舞台の作曲を担当したのはシンディー・ローパーなのですが、訊けばEくんは当人を知らないと仰る(まぁ、そらそうか)。なら、彼女の「True Colors」を聴いてみるところまでが演劇体験なのかも知れませんね、とオススメ。

 書店を素見した後、2人でぶらぶらと歩いて恵比寿ガーデンパレスまで歩いてみました。私の夜の約束がTQC18期で場所が恵比寿だと言ったら、Eくんが「ガーデンプレイスが見てみたい」と仰ったのです。徒歩先導はEくんに任せましたが、流石文系で「あっちに高い建物が見えます」レベルで雑に当たりをつけて進むもんですから、歩いている間中ず~っと池ノ都に愚痴愚痴と文句を言われて可哀想。「LATURE」では料理の話(というか、感動の溜息)ばっかりでしたから、この徒歩移動の間にoff course(休学)中の生活のあれやこれやを色々と聞き出しました(学生団体の話とか、就活の話とか)。ほぅ、と思ったのは学生団体がHPを作っていないということ。60代以上はPCに触れられない人が多いし、若者はSNSの情報で十分でPCに触れる必要がない。要するに、今、HPのニーズがない。HPがない集団なんて考えられないというのは30代40代くらいのもんなのかなぁと、後で合流したオツカル様ともしみじみ。
 恵比寿ガーデンプレイスは、高そうな店とホテルとがあるだけで何か面白い場所ではないという事実にEくんはがっかり。但し、渋谷駅を恵比寿方面に歩く途中に「鳥居」という名前の雑煮バーがあったのを見つたのは収穫(今度行ってみたいなぁ、と)。あと、偶然ガーデンプレイスに居たオツカル様とEくんとを引き合わせられたのも。

 仕事上がりのスーツ姿で私たち2人のもとへずんずんと歩いてきたオツカル様が、開口一番「おつか令和~」と挨拶したのは流石に笑ってしまいました。「令和最初」とかほざいたらぶん殴るつもりだったのですがこれは完全に不意打ち。Eくんはこの挨拶で様の魅力に驚き、
 私「明日、このEくんと絵恋ちゃんのライブに行く」
 様「あ~、楽しんできてね~」
 私「でさ、その前のランチはこいつのリクエストで『パク森』に行くんだけど」
 様「あぁ、カレーね」
 私「知ってた? 『パク森』って、今『パクパクもりもり』って名前に変わってんだよ」
 様「えっ、そうなの? なんでそんな芦田愛菜みたいな」
 ……というやりとりの「芦田愛菜」で一瞬に恋に落ちたのでした。

 私「この後、僕のクイ研同期飲み。38歳4人、一人は吟剣詩舞振興会、一人は東大病院、一人はコーエーテクモ、一人はF校国語教師。混ざる?」
 E「いやいやいやいやいやいやいやいや、無理、重い!」
 全力で断ってきたEくんとは恵比寿駅で別れ、オツカル様と2人で恵比寿のそうめん屋「そそそ」へ。店にはコーエーテクモ(がっ様)と東大病院(でっくん)とが待ってくれています。

 明太クリームそうめん、Kara辛そうめん、豚とおあげと九条ネギのカレーそうめん……と書くと雰囲気が解りますかね。「つるとんたん」とか池袋「あんぷく」のそうめんバージョン。サイドメニューもお酒のバリエーションも抱負でそりゃ人気も出るはずだ、というお店でした。1階カウンター、2階テーブル席ともスペースが圧倒的に狭く、余程の剛の者でない限りだらだら長居をしようとは思えない作りにはなっています。
 ですんで、2時間もしないうちに店を出て、こっから先はノープランだとなったら恵比寿なんて馴染みのない街に飛び込みで入れる店のあてはなく、熱狂的えれにすと(絵恋ちゃんファン)が働いている高級焼き肉店がある、とオツカル様に先導して戴いたものの満席で入れず、なら渋谷に動こうぜと山手線に乗って一駅、二次会はお馴染みの「十徳」にて日本酒三昧境。
 『キンキー・ブーツ』で小池徹平観た! と言ったらオツカル様がちょっと前に小池徹平の弟氏と仕事をしたという話を披露してくれてさすが吟剣詩舞は業界人なのか、と。業界人っぽく、何故かお土産で持ってきてくれたのが「まい泉」の弁当差し入れの余りだったりするし(ホテルに戻ってから食いましたよ。完全なるデブ活ですよ)。
 でもって、何が悲しくてこんなことになるのか知らないけれども仲良しながら4人揃うなんて本当に珍しい面子で酒飲みながらいちばん長い間時間を使った話が映画『ドラえもん』シリーズの思い出とそれへのツッコミだというね。「おろろ~んは怖いよね」とか「なんで四つ辻の真ん中からばいば~いって4人別方向に別れるんだよ確実に一人付き合いが良すぎるやろ」とか「ビックライトででっかくすべきは矢ではなくて心臓星の方じゃないのか」とか、なんか訳の分からないことを言いながらゲラゲラ笑ってカパカパ飲んで。20歳の時と一切マインドが変わってない(でっくんだけはあきれ果てるべき所なんですけれども無類の『ドラえもん』好きだからどちらかと言えば前のめりになってるし)。

 笑い疲れてホテルに戻って、「まい泉」食って睡眠。完全なるデブ活です、と反省の意を込めて2度書いておきます。