それは各人の押し入れのなかにある。

 5時起床、大浴場入浴、荷物の整理。7時オープンのロビーで荷物の自宅宅配を手配、チェックアウト。池袋→品川。食事は新幹線の中で駅弁、これは朝昼兼用。のぞみ、西へ。
 突発的な上京で、且つコロナの影響下でもあり、観光は(銀座「ヴァニラ画廊」以外)無しの滞在でしたが、飲んだ食った買った読んだ書いた喋った歌った、抽象すれば笑った、4泊5日はいつもの通り大充実でした。遊んで下さった皆様に多謝。月末の上京は休校の影響など色々不透明ですが、ご縁があれば是非是非宜しくお願い致します、という気持ち。

 新神戸で「さくら」に乗り換えてK駅まで。読書は内田樹・漫画2冊。電話とメールとで仕事のやり取りも始まっています。CDはCreepy Nuts「よふかしのうた」が余りにも格好よくてリピートが泊まらず、程々で切り上げた後に聴いたやのとあがつま(矢野顕子上妻宏光)『Asteroid and Butterfly』も素晴らしかった。
 K駅からは直接タクシーで学校へ。進路指導室で事務嬢さんにお土産をお渡しし、そのまま2人で進路指導室の仕事を(学校に提出されている現役生の受験番号の照会を行いました。この登録にミスがあったら大変ですが、時々字が読みにくい生徒に手こずらされるんです)。
 職員室では、最近K市のスーパー・ドラッグストアからトイレットペーパーがごっそり無くなっているという話題。年下の某先生が「最悪、学校のトイレから持って帰れば」とあり得ないことを言ったので「そこは『渇しても』やろ」と応じたら「何ですか、それ」って。死語かよ。でも、死語と言えばオイルショックだって死語、まさか半世紀も経ってからその亡霊に出会すなんて思いもよりませんでした。

 一旦帰宅して入浴後、着替えて直ぐに自宅を出発。西鉄K駅で待ち合わせた相手は67回生我らB組Sくん(東大文二)。肉が食いたいというリクエストにお応えして、佐賀県は森山牛専門の焼肉屋「S」へタクシー移動。ここは、警察署の前にあって西鉄からもJRからも便が悪いのですが、味と安さとを考えると質はK市でトップかもしれません(最低でもトップクラスではあります)。久しぶりに訪問したらいつの間にかタッチパネル注文に方式が変わっていたので残念でしたが、それ以外の質は同じです。
 「なんか、東大生YouTuberになったとか聞いたけど」と初手から衝いたらめたくそオタオタしてましたけど、こういうピンポイントで嫌がりそうな情報って、とにかく真っ先に入ってくるんですよねぇ。留年とか(あ、Sくんが留年した訳じゃないです)。元担任の底意地が悪いもんですから、例えば「文二で勉強してます? 進振りとか考えてる?」とだけ聞きゃいいのにその前に「高3の頃は担任の僕にめっちゃ真剣な顔して将来は××(←武士の情け)になりたいって言ってたけど」と振ってハードルを爆上げする、みたいな。Sくんの胃もたれ撃沈は、店の名前を冠した「S盛り」の分量が半端じゃなかったのだけが理由じゃなさそう(あ、勿論、未成年ですからノンアルコールです)。

 Sくんをタクシーで駅まで送ってから、私は一人で文化街へ。事務嬢さんから「58回生Fくんと飲んでる、二次会に来るならライブバー『a』に」というメールが届いていたのです。「a」で適当に歌って、私「事務嬢さ~ん、帰ろ~」 嬢「帰り~」という恒例の茶番を経て、一人で帰宅後に健康睡眠。絶好調の時でも最後までつき合うのは無理という二人が相手ですからね、旅行疲れのオッサンは程々でドロンです(死語かよ)。

 旅行中の読了本、以下。本当は「もりき」にお土産を渡すまでが旅行なのですが。
 『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ ストーリーブック』読了、★★★★★。映画に涙腺をやられたので。
 西原理恵子『ダーリンは74歳』読了、★★★。西原氏の幸せの確認のために惰性で買ってる感覚。
 矢崎泰久『タバコ天国 素晴らしき不健康ライフ』読了、★★★★。芸能人・文化人に人脈をお持ちの筆者が語る数々のスターの(紫煙に絡んだ)思い出。あの人もあの人も喫煙者だったのねという単純な驚きもありますが、些事に本質の宿るあれこれのエピソードの方に満足。長谷川きよしを含む4人による麻雀の途中で停電が起こったら長谷川氏が「これで全員同じ条件になりましたね、続けましょう」と言った(大意)、みたいな話、面白いですよねぇ(念のために書くと、長谷川きよし全盲です)。あと、書中、吉田日出子を故人として扱ってましたけれども、存命ですよねぇ?
 渡辺一夫『寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか 渡辺一夫随筆集』読了、★★★★★。エッセイベスト盤。書中、「それは人間であることと何の関係があるか?」という自己客観への誘いは、倫理を定義する至言だと思いました。そうですね、例えば東大特講なら15年池上哲司、16年内田樹、そして今年の小坂井敏晶の資料になりそう。「読書メーター」の感想文に「筆者は日本が嫌いなのだろう(大意)」と書いた阿呆が居て、取り敢えず本書を手に取って開くだけのセンスがあってなおそれかと暗澹たる気持ちになったんですが、ウチの生徒に配ったとして(全員が読むわけではありません)、そんな阿呆なことをほざく輩は居ないと信じたいところです。
 池田昌子『僕らを育てた声 池田昌子編』読了、★★★。何回でも言う、早く小原乃梨子さんを! あと、向井真理子さんも!(←なんか、唐沢俊一はこちらの方に行きそうな気がします)