可能性の自分に向かうのが、虚への指向性としての自分の方向性でもある。

 授業は1・2限を使って文系Ⅱコース(東大以外の受験者)の二次対策、1限に全員に同じ問題(北大)を解かせ、2限に各大学の問題を解かせました。添削どっちゃり。これを返却するのは入試休み明けに高3が登校してくる28日です。因みに、昨日の東大文系・理系の答案60枚もまだ添削しておらず(昨夜の出張のため)、それも合わせて28日の朝に返すので、その日は100枚超の添削答案を一気に返すことになりますね。

 明日(23日)がF中、明後日(24日)がF高の入試。その採点や事務業務のために2日間(25・26日)をかけ、27日は職員代休。ということで、F校生徒は23日~27日の5日間は自宅学習(校舎内立ち入り禁止)。高3現代文担当の身になってみれば、怒濤の過去問添削の日々のエアポケットになって嬉しい。いやいや入試業務が大変やろ、と仰る方もいらっしゃいましょうが、私はこの入試(問題作成・検討・試験監督・採点)業務が大好きなのです。特に、職員室一致団結の採点集計業務は非日常のワクワクが止まりません。

 非日常の最終日、26日の昼からは1泊2日で(ほぼ毎年)恒例の「入試打ち上げ旅行」。私と、私の尊敬するベテラン体育先生という63回生A組B組コンビで、ここ5、6年ほど行われている二人旅の今年の行く先は、体育先生の一声で唐津に決定。
 運転は体育先生、ホテルと夜の店(居酒屋)とは私が予約。体育先生が5年以上前に入って感動したけれど店名を忘れたという海鮮料理の店を、雰囲気・メニュー・外観・唐津駅からの距離方角……等々の朧気な記憶をたよりに検索して、なんとかかんとか探し出すのに30分かかりました。無事に予約完了。

 さて、本日は明日に控えた中高入試の会場準備が午後に行われますので、お生徒さんたちは半ドンで強制下校。各会場となった教室の清掃・整備はそのクラスの担任の先生が行うのですが、今年の私は副担任なのでその業務がない(ビバ!)。職員室で心穏やかに授業準備。
 東京大学の15年度第一問、最も新しい問題にして、我らが63回生の受験生を苦しめた難問は、池上哲司『傍らにあること 老いと介護の倫理学』が出典。最も新しい問題ですのでまだ解答・解説のプリントを作っていません。明日からの入試業務に備えて殆どの先生が早めに退勤なさった嵐前の職員室で、心穏やかに解き直してみました。
 いや、この問題、やっぱり難しいですよ。そして、東大現代文特講で出て来た様々な概念をDJがミックスしたような、万華鏡の良問です。解説の時には、坂本多加雄(97年)、岡部隆志(01年)、三木清(05年)、宇都宮輝夫(06年)等々、様々な過去問の問題・概念を引用しながら話が出来ますね。63回生の受験生も、それときちんと意識できたかはともかく、どこかで読んだ(ような)ことが書いてあるなぁという既視感を覚えた人は、自己とは何かを問うこの文章を冷静に読めたのではないでしょうか。正に「過去問の小宇宙」!

 職員室作業を続けていたら、18時を目処に中高両教頭と教務・総務部長(入試業務統括)とが退勤準備を始められ、残る1人のペーペー(私)も流石に居座りづらくなってきたので仕事を切り上げ。
 徒歩徒歩と帰ろうと思っていたら、帰りの方向が同じの中学教頭先生が車で送ってくださいました。明日からの中高入試についてお話ししたのですが、何より心配なのは激しい雪の予報が出ていること。荒天で中止や時間帯の変更やがあったことが過去にあるのかどうかお聞きしたら、少なくとも教頭先生がご存じの平成以降にはなかったとのこと。どうなるでしょうかねぇ、と半ば独りごちの私に教頭先生の曰く、「心配ないでしょう。池ノ都先生みたいなベテランだったら何が起こっても」と。思わず耳を疑ってしまいました。ベテラン!?