本当のことは歌の中にある

 昨日のOくんからは、一日早い誕生日プレゼントとして相対性理論のニューアルバムを戴きました。多謝。池袋のタワレコでは、もう会えないかと諦めかけていたUAの新譜をやっと手に入れられたので、これで私の鞄にはUA・KIRINJI・相対性理論のアルバム。ハイセンス気取ってんなよ、ってなもんですが、あと1枚、キノコホテルも入ってるから辛うじてセーフじゃないでしょうか。

 さて、本日は今回の旅行の幹にして核にして芯。お昼オツカル様、夜でっくんというアメイジングな一日。それだけで誕生日。

 先ずは銀座集合でお店はまさかのK市逆輸入「梅の花」。熊本にも支店はあるそうですがオツカル様は初入店だそうで。
 ザ・懐石というお値段バカ高感溢れる個室に通され、10分ほど待たされて部屋つきの店員さんがご挨拶に。銀座でコースとはどんだけ取られる(ボられる)んだという雰囲気ですが、事前予約のランチは内容・価格帯ともにK市本店と全く同じで、東京でこの値段なら逆に安いくらいです。
 飲み物としておから茶を注文し、事前予約のコースに入っていなかった湯豆腐を単品でお願いする。湯豆腐は所謂「温泉湯豆腐」ですが、特別にお願いして温泉水に豆乳を入れて貰うようにし、その豆乳を飲むための蕎麦猪口も頼みました、ら。
 オ「凄い、スターバックスに慣れ切ってるOLみたい!」
 池「何で店員さんがまだ居るタイミングでそういう面白いことを言うのっ!」
 池ノ都の痛恨のミスで、ここは「そうだね、ソイミルクエクストラって点も共通だし」くらいの返しをするべきとは後からの気づき、下を向いて肩をふるわせていらっしゃる店員さんにど焦りまくり。

 小学生の時から通ってる(夏休みには、一日500円の昼食代2日分で小倉店に通い、一人で840円のランチを食べてました)店のいつもの(オツカル様にとっては初めての)味を楽しみつつ、120分ほどかけてゆっくりと歓談。オツカル様のお仕事・出張のお話、台湾旅行のお話、携帯機種変のお話、等々。
 詩吟の団体と関わるお仕事をなさっているオツカル様は、所謂「日本漢詩」に触れる機会がグンと増えて、それが意外と面白いということ。私が調子に乗って、蘇軾の流罪の話やら漱石漢詩の話やらを滔々と繰り出して……
 私「あれっ、僕、今、先生してた?」
 オ「あのねぇ、もの凄く教師然としてた」
 オツカル様が私(のツイートやブログやトーク)について「教師然」という表現をなさるときは無粋へのお叱りですので直ぐさま謝罪。

 そして、料理もトークもたっぷりのランチタイムの後は、腹ごなしカラオケ、本上京旅行の圧倒的メインイベントです!
 銀座とは思えない程生ゴミ臭いエレベーターで雑居ビルの5階、「カラ鉄」40曲、本日は終わってからオツカル様が「珍しく中だるみが全くなかった」と評されたハイテンションキープの「神会(回)」でした。がっ様見て見て、以下曲目紹介です。

 池①井上陽水「夕立」(1974年)
 オ①欅坂46サイレントマジョリティー」(2016年)
 私は1曲目からオツカル様の大好きな定番曲でやる気を見せ、オツカル様は返礼にさっき「梅の花」で話題になった最新曲を披露。

 先週金曜日にお食事をした63回生バンドマンMくんは、私にRHYMESTERの素晴らしさを教えて下さった恩人でもあり。で、彼にKIRINJIニューアルバムの中にあったRHYMESTERとの競演曲についてメールでお知らせしたら、一聴した感想を返信して下さったんですけれども、これがモロにプロのライターの書き方(文体・知識)で。
 「梅の花」にて。オツカル様にMくんメールをお見せして。
 池「こういう卒業生が居るのね」
 オ「……きみの育て方が良かったからじゃないの?」
 池「違う違う。初めて出会った中3の時はもうバンドマンだったもん」
 ですが、そのMくんメールの追伸にあった「欅坂46サイレントマジョリティー』、神曲です! 勝手に『シン・ゴジラ』と脳内で組み合わせて2016年の『世情』を感じています……」(←ね、こんな書き方です)を読んだオツカル様は、「やっぱきみが育てたんじゃないの?」
 Mくんに、オツカル様が歌う「サイレント~」テロップを添えたメールを送り、この35歳は(共にMくんの持ち歌でもある)向井さんの「軋轢まくってる」もレキシの「キラキラ武士」も歌うんだよ、とお教えしたら。
 M「パイセン! ディストピアを生きる『歌謡曲人間』、同士です! いつかご一緒できれば」だって。オツカル様と卒業生とのマリアージュは、実現したらあれだ、56回生Nくん以来になりますね。麻雀でオツカル様が5萬切って「牛肉!」と叫んだ時以来ですよ(「牛肉どまんなか、ってあるやん?」の言に他の3人は腹筋捩らせて笑いました)。

 池②はやぶさ「りふじんじん」(2016年)
 オ②はやぶさ「エボレボ!」(2016年)
 私がとれとれのシングルB面(←死語)曲を入れたらオツカル様が「はやぶさだっ!」と大興奮、偶然にもオツカル様が次に入れたのがそのA面(←死語)曲だったという段階で今回のカラオケの成功は恐らく約束されたも同然。

 池③石井明美「ランバダ」(1990年)
 オ③女王蜂「金星」(2016年)
 私の新曲は石井明美YouTubeでこの映像を観た時に「これはイケル!」と確信した通りの熱唱。これは30代以上なら誰でも笑ってくれるはず。オツカル様はとれとれの新曲を3曲連続で、アンテナが立ちまくってる毎日が羨ましい限り。

 池④EGO-WRAPPIN'「~Midnight Dejavu~ 色彩のブルース」(2000年)
 オ④橘いずみ「永遠のパズル」(1994年)
 裏声駆使して原キー歌唱、EGO-WRAPPIN'は最新ベストの中に入っていたカバー曲「謎の女B」を是非カラオケに入れて欲しいのですが。オツカル様は、先ほど「梅の花」で旦那(監督)の話題で盛り上がった橘いずみ榊いずみ)の大ヒット曲。

 池⑤前川清「涙」(1988年)
 オ⑤SEX MACHINEGUNS「メタル経理マン」(2015年)
 初前川清は、歌えないはずもない中島みゆき提供曲。「煙草」という言葉が歌詞に入ってる曲って正直あんまり歌いたくないんですけど(←おっ、主義ウザい系?)、ここまで良い曲だと欲求を抑えられず。オツカル様はまたまた最新曲、この辺りのハードな歌唱を聴きつつ、私も叫びたい欲求が段々高まってきます。

 池⑥松任谷由実「無限の中の一度」(1992年)
 オ⑥清竜人「LOVE&WIFE&PEACE」(2016年)
 叫びたい欲求を抑えて裏声再び。喉が疲れたら裏声が出なくなるんで、女性の歌は先に出し尽くそう作戦。清竜人・たま・つんく♂の信者であるオツカル様、またまた最新曲です。

 池⑦サカナクション「僕と花」(2012年)
 オ⑦岡崎体育「MUSIC VIDEO」(2016年)
 小休憩サカナクション。もう4年も前になるんですか。確かドラマ主題歌で、歌詞に珍しくあんまり衒いが無いので気に入ってる曲。オツカル様は最新曲が続いて、バイト先に野次馬が来て困っているというニュースを最近どっかで観た記憶のある方を。名前から想像していましたが、やっぱりコミックソングなんですね。「あるある系」でしたが、正直あんまり面白い曲ではなかった。

 池⑧ザ・ピーナッツ「恋のロンド」(1968年)
 オ⑧山川豊「アメリカ橋」(1998年)
 私はピーナッツの「恋三部作」の一つ。オツカル様に教わった通りキーを3つ下げる。オツカル様は「いっしだたみぃ・いっしだたみぃ」。

 池⑨桑田佳祐大河の一滴」(2016年)
 オ⑨DREAMS COME TRUE「決戦は金曜日」(1992年)
 私に歌える最新曲なんてこのメジャー級どまりですよ。つっても、「ヨシコさん」は全く感心するものではなくてこの中島みゆき的歌謡曲。オツカル様に、今度ピーナッツのトリビュートでFUNK THE PEANUTSが再結成された話をしたら大笑いなさってました。

 池⑩Bee Gees「Holiday」(1967年)
 オ⑩The Beach Boys「Fun, Fun, Fun」(1964年)
 最近のマイブームにオツカル様が反応して下さった形。中学時代に夢中になったオールディーズ(レンタルビデオショップなどに詰め合わせの安いCDが大量に売られていました)、その中でもこの曲ほど美しいものはそうそうなかったと今でも思っています。

 池⑪藤本好一「太陽の彼方に」(1964年)
 オ⑪加山雄三「走れドンキー」(1966年)
 一度も聞いたことが無いけれども絶対に歌えると確信して入力して、果たして我ながら完璧に歌えた「乗ってけ乗ってけ」。オツカル様は10曲目同様にそれに合わせて下さって。「走れドンキー」って、作詞(訳詞?)が安井かずみだったんですね。

 池⑫フジファブリック「虹」(2005年)
 オ⑫CHAGE&ASKA「なぜに君は帰らない」(1993年)
 オツカル様の前で歌っていない(2人のカラオケは常に初披露縛り)フジファブリックがどんどん減ってきました。これまで「東京炎上」「Monster」「銀河」「Surfer King」「モノノケハカランダ」「雨のマーチ」「花屋の娘」「浮雲」「蒼い鳥」「All Right」「眠れぬ夜」「NAGISAにて」「ダンス2000」「線香花火」「追ってけ 追ってけ」「消えるな太陽」「TAIFU」「マリアとアマゾネス」「Strawberry Shortcakes」「パッション・フルーツ」の20曲を歌ったことがあって、好きじゃ無いのに歌ってやっぱり後悔したのが「若者のすべて」。
 好きな曲しか歌わないとしたら、後は「茜色の夕日」「蜃気楼」「黒服の人」くらいしか残ってないな。
 だから、「いいなぁ、曲がたくさんあるグループは!」と私が羨ましがるのも当然。チャゲアスの新曲が出る確率は高くないでしょう。でも、私にとってフジファブリックの新曲が出る確率はもうゼロなのです。

 池⑬中島みゆき「やまねこ」(1986年)
 オ⑬ZAZEN BOYS「半透明少女関係」(2004年)
 小学生の私に「女衒」なんて言葉を教えた罪な曲と、オツカル様がMくんから「パイセン!」と呼ばれたメールを見てから入れた歌。オツカル様の歌唱に引っ張られて私の叫びたい欲求がピークに達し。

 池⑭ハルメンズ「フリートーキング」(1980年)
 オ⑭たま「そんなぼくがすき」(1992年)
 ハルメンズ戸川純ちゃんばりにどパンク絶叫。オツカル様が「佐伯健三はそんな歌い方をしないよね?」と呆れながら入れた曲のタイトルの破壊力に私は大笑い。

 池⑮戸川純「さよならをおしえて」(1985年)
 オ⑮THE BOOM「手紙」(1995年)
 ハルメンズと来たら戸川純。二丁目のほがらかさんたちばりに台詞も頑張ってみました。そしたら返してオツカル様は、ほぼ全編台詞に彩られた渋い選曲で来た。

 池⑯ズー・ニー・ヴーひとりの悲しみ」(1970年)
 オ⑯清竜人「All My Life」(2013年)
 私は町田義人の在籍していたグループの名曲。全く知名度はないですが、尾崎紀世彦「また逢う日まで」と異詞同曲なので初めての人でも必ず歌えますし、オ「違和感半端ない」 桑田佳祐サザンオールスターズは別アーティスト扱い、みたいな⑥と⑯ですね。

 池⑰由紀さおり「手紙」(1970年)
 オ⑰米米CLUB「手紙」(1994年)
 オツカル様がTHE BOOMならこっちは由紀さおりだ、と入力したら今度はオツカル様が米米CLUBで返して来た。歌えるのが凄いよね。それなら私は……(「ワギャンランド」風に)。

 池⑱Joe Cocker「The letter」(1970年)
 オ⑱北島三郎「がまん坂」(1988年)
 Joe Cockerなのよね。図らずも3曲連続1970年、絶対歌えると思ったのに最初の方は全く曲に歌詞を乗せられなかった理由は、私「矢野顕子カバーしか聴いたことがなかったからだ」 オ「あぁ、それは絶対に駄目なパターンだ」 オツカル様の選曲は『暴れん坊将軍』の主題歌。

 池⑲Southern All StarsBOHBO No.5」(2005年)
 オ⑲KAI FIVE「風の中の火のように」(1993年)
 発売当初以来11年振りに歌いましたけれども大丈夫だったのは偏に歌の力。シングルとしてはマイナーなんでしょうけれど、私はこの曲をかなり気に入っています。オツカル様が「風の中の火のように」を歌われるのは2度目。

 池⑳椎名林檎「意識~戦後最大級ノ暴風雨圏内歌唱~」(2003年)
 オ⑳EE JUMP「イキナリズム!」(2001年)
 椎名林檎の曲を歌うのは人生で初めて。ジャズ演奏が疲れた喉から絞り出す裏声の未熟を救ってくれるライブバージョンで、キーを2つ下げてみました。予想していた以上に歌えて驚き。後で気づいたけれども、直前が「風の中の」だったから私は無意識の「暴風雨圏内」だったのかな。オツカル様の方は、桑田佳祐に対する感謝の念が歌詞に入っているところから30代なら「どのシングルの次の曲」なのかが分かるという作品。つんく♂ファンの〆として最高の選曲です。
 以上40曲。私の平均が1988年、オツカル様の平均が1999年。オツカル様、若いなぁ。

 大満足で「カラ鉄」を後にし、銀座に来たならと向かったのはポーラビル。3階ミュージアムで西畠清順の展覧会。現在ブレイク中のプラントハンターが、1年前に大盛況だった「ウルトラ植物博覧会」を再び、というイベント。撮影・拡散全てOKの珍植物たちを、観て驚き写メって喜び。同行の人が人ですので、どうも笑える方向にカメラが向けられるのは致し方なく、どう考えても下ネタ縛りの撮り方じゃないのかという写メの中には、西畠氏自身が「乳房」と形容しているサボテンなんてものも。

 オツカル様への就職祝いは西陣織のペンケース(TACCIA)で、これは渋谷の伊東屋で選んだのですが、オツカル様に「他に銀座で行きたいところはある?」と聞かれた時には「伊東屋!」と即答。文房具ビルの本館と新館とを上から下まで歩いてこれまた楽しい一時間。国語科恩師先生の御退任以来、或いは初担任(63回生中3)以来なのかも知れませんが、兎に角そのあたりから誰かに手紙を書く機会がとても多くなったので、便箋や葉書やの面白そうなものを色々と購入しました。色鉛筆のフロアで100色入りだとか200色入りだとかを見せられたら、あっという間に童心に返りますよね。

 さて、お名残惜しいですがオツカル様とのお時間は19時までで、19時からはでっくんとのお約束。私を含め3人とも東大クイ研18期なんだから初めから3人一緒でいいじゃないか、という話なのですがでっくんとの店の予約が先に確定していた(オツカル様のお昼遊びは直前に飛び込みで決まった)ためにそうも行かず。取りあえず、でっくん待ち合わせの新橋駅前までオツカル様とご一緒し、オツカル様とでっくんとで名刺交換。でっくんは、オツカル様の名刺「公益財団法人 日本銀剣詩舞振興会 事業部」というのを見た途端に大笑いしましたけど、あの笑いは何がツボにはまったんだろうか。
 2人で予約の焼き鳥屋「鶏繁厨房」まで3人で歩き、飛び込みで3人目は行けるかと訊ねたら残念ながらNOだったので、結果的にオツカル様を門前払いすることになってしまい申し訳ない。でっくんと2人で入店。

 今日は私の誕生日祝いだから全部でっくんが払ってくれるんですって。でもって、そういう時にメニューに値段が一切書かれていない店に連れてってくれるのが「虎ノ門病院」のお医者様の生活の質なんでしょうか。どきどきしてきました。
 あ、先に言っときますとですね、K市の人間に焼き鳥で美味しいと言わせようなどと生意気な、という事前の殺る気は最初の串一口で霧消してしまう味でした。あのね、K市の焼き鳥(B級)と違う食べ物でした。こっちのは高級料理。だから比較対象じゃ無いってことね。
 絶品料理と、これはどこの料亭で飲もうが全国一律同じ味の瓶ビールと。を楽しみながら、二人であれこれぺちゃくちゃとお話。先ず、先に遅刻条件としてメールで挙げられていた「迅速診担当の手術が長引いた場合」ってのの意味が全く分からなかったのでその意味を問い、そこからナチュラルにでっくんの今のお仕事に関するインタビューが始まったのでした。中に、医療業界絡みのとっっっっっっっても恐ろしい話があって滅茶苦茶興奮したんですけれども、それは流石にここには書けないので割愛。

 2軒目のお店はとっても迷ったんですけれども、私の思いつきで「PRONT」に行くことに。一回、ここでお酒を飲んでみたかったんです。でっくんはハイボール、私はビールやカクテルやを飲みながらお話の続き。私の家の漏水改修の話や、母君の通院の話や、医師の資質についての話など。
 さてさて、小学校(塾友)以来の四半世紀の友情は、我ながらどうして途切れることなく続いてるのか不思議でたまりません。「自分より遥かに才能のある人から過大評価される」という属性が自分にあると気づいたきっかけは、確かでっくんだったんだよねぇ。なぜ彼は私を切らないのか? 今日も話の成り行きで「だってさぁ、僕、天才だよ?」って冗談飛ばしたら、真顔で「そんなの分かってるけど」って返されたから、「そこ、笑い流せないもんなの?」って。

 人間、甘やかすとクズっぷりを発揮して返しますという、本日最後のエピソード。2軒目もしっかりご馳走になってお店を出てから。
 私「でっくんさぁ、さっき支払いの時、小銭入れの方も開けたでしょ? あれは駄目」
 で「え、何で? 伝票の金額を見られちゃったから別にもういいかな、って思って」
 私「小銭が足りなかったら僕が手を貸すかも知れないよ?」
 で「あ」
 私「奢る時の支払いは万札使って大雑把に。もっと勉強してね、今度またテストするから」
 相手が支払ってくれるならお前が先に店を出ろ、ってだけの話なんですけどね。いや~、次が本当に楽しみです。