Bueno Adios

 先日、63回生主任化学先生が弾丸上京をなさったそうです。仕事上がりに夕方の飛行機で佐賀から東京へ飛び、翌日所用を済ませてその日の内に佐賀に帰ってくるという旅程。所用というのは、先生が顧問を務めておいでの軟式野球部出身の卒業生Hくん・Sくんたちの、東大野球部最後の試合を応援するというもの。F校卒業後も彼らの成長を見届けられたいというその情熱には心から頭が下がります。豪雨だったそうです。東大で昼食を取って帰られたそうです。

 63回生担任団の感想。
 国語「雨男躍如じゃない? 高い昼食でしたねぇ」
 数学「東京まで雨を降らせに行っただけじゃないですか」
 体育「さすが、合格発表の3月10日に雪を降らせた男だけはある」

 3時前に起床、昨日の東大文系現代文特講の答案を添削(3時間半)、入浴後に学校へ。今日は授業がなくデスクワークの一日なんですが、昼に所用があり主任地理先生(こっちは現高3、67回生の主任)と福岡天神へ。昨日と同じく、主任先生の車にのっけてもらいました。所用を済ませたあと、少し時間があったので昼食をサクッと食べようと、私が一度も食べたことがない長浜ラーメンを体験してみようということになりまして。
 「元祖」が乱立する中、とある一軒を選び店内へ。工場みたいな店内には4つの大きなテーブル。空いてる席に座って食って帰る、客は次々に入れ替わって回転率が凄い。で、一杯完食して替え玉貰って薬缶から出汁を追加してまた食って……のお味の感想。
 私「すっごいですね、もう嬉しくなるくらい、全然美味しくなかった! 良い経験でした。あんなの、熱い塩水にかったい麺が沈んでるだけじゃないですか。肉もジャーキーみたいだったし。生まれる場所が場所だったらあれがソウルフードになってたかも知れないわけでしょ? いや~、K市で良かったわ。K市のラーメン、めっちゃ旨いと思う。長浜の人には臭いって言われるんだろうけど」
 地「替え玉までしとったやん」
 私「礼儀でしょ、礼儀。土地への礼儀。二度と食べないんだし」

 さて、今日は授業はないのですが、放課後に特講はあります。昨日は文系東大現代文、今日は理系東大現代文です。現代文第一問は文理共通なので、毎週扱う教材は一緒。63回生の時も64回生の時も初回は四半世紀前の問題(中村真一郎)を使いました。導入としてふさわしい教材である理由は、芸術を題材に「近代」と「前近代」とを相対化した文章であるという内容的側面、及び「どういうことか(~こと。)」「なぜか(~から。)」「どういう気持ちか(~気持ち。)」という設問の3パターンが全て登場するという形式的側面、両方を兼ね備えているからなのです。
 そして、3年ぶりの東大現代文特講、やっぱり楽しいですよねぇ。昨日も楽しかったし、同じ教材を2日連続で説明する今日も楽しい。来週(第2回)の教材は粟津則雄で中村真一郎の前年のものなのですが、同じく芸術を題材に「近代」と「前近代」とを相対化した文章。これまでは、同じような文章を2年連続で出すんだなぁ、などと漠然と考えていたのですが、今年初めて、中村真一郎が「強情」と難じた近代芸術家の個の独善を粟津則雄は個の内面の葛藤と変革という側面から捉えており、2つの文章が完全な裏表になっていることに気がつきました。生徒にとってはどうでもいい話でしょうけれども、何回やっても新しい発見があるのがたまんないんです。

 1時間ほど添削をした後、「もりき」でくじらステーキを肴に吞んでから帰宅。