その声のする方へすっと深くまで

 明日、29日のランチ@池袋を約束していた自衛隊Aくんが急遽の予定でドタキャン、誰か居ないかなぁ、とTwitterに投げたらまさかのまっぴぃがお付き合い下さることに。現在ご在住の仙台からそれこそ丁度明日の昼に東京着の予定だったということで、11時半に品川駅で待ち合わせ。年末最後の神様からのプレゼントです。

 早朝起床、入浴、田町のネカフェで書き物を少し。本日はオツカル様と池袋でランチ~カラオケのお約束でこれが今回の旅行のハイライト(毎回そうですけれども)。それまで少し時間があったので、神保町での書店巡りを経由することにしました。
 先ず、古書店を数店回って、卒業生配布用の文庫本・新書本を買い集めます。森銑三・別宮貞徳・上田三四二・霜山徳爾・渡辺一夫の5人の本は目についたら問答無用で購入。何冊被ろうが関係ありません。上田三四二『無為について』は、もう20人くらいの卒業生に配っている、最も再発売して欲しい本(特に、今の時代だからこそ)。
 続いて新刊の書店……に入ったら、何と新刊お勧め本のコーナーに渡辺一夫の新刊(評論ベスト盤)が平積みになっています。2019年11月の発売で、書名は『寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか』。この世相なら誰かが出したいと思っているに違いないと確信していたとは言え、この出版不況下で実際に発売するとなったらそれは勇気ある決断、三田産業(初耳。神戸の出版社だそうです)、GJでした。「偽善のすすめ」は待望の収録。エピグラフ・附記・原綴の省略はやや残念ですが、先ずは古書ではない単著で種々の文章を得られたことを喜びます。

 池袋に移動して西口でオツカル様と合流、デートランチにオツカル様が選んだお店は池袋「四季海岸」、西口に密集している現地系の中華料理屋の一つで、ランチの火鍋食べ放題が人気だそう。予約していたので窓際の席に座れましたが、我々が12時前に入店後ほどなくして満席、流石です(客の半分以上は中国の方でした)。赤白陰陽の火鍋は「赤」の方が本当に辛くてドリンク(アルコールは無しです)が進みました。美味。鍋や食材を「Foodie」で撮ろうとして巧く撮れずオタオタしていたら、オツカル様が「今は真上から撮るのが一つの流儀だよ。『Foodie』って真上から構えたら、シャッターの部分が黄色く変色するでしょ?」とアドバイス。この人、本当に何でも知ってます。

 火鍋で汗かいた後は、上京旅行最大のイベント。「カラオケの鉄人池袋西口店」、オツカル様とのカラオケ一本勝負、2.5h、全34曲。二人だけのカラオケにおける「かつて一度歌った歌は歌わない、同じ日に同一アーティスト2曲を歌わない」という縛り、今回も守り抜きました。オツカル様の前で歌えない歌が、最早450曲近くになっています(正確にはアーティスト231組、楽曲449曲です)が、次回はどうなることやら。以下、本日の曲目一覧です。

 池①井上陽水「Make-up Shadow」(1993年)
 オ①にゃんぞぬデシ「勘違い心拍数」(2019年)
 オツカル様が陽水に「寄せて」歌うイメージが強烈すぎて、自分でも一度歌っていると勘違いしていた曲、歌ってなかったと知れば選曲マストです。時代を感じるMV映像を観ながら。オツカル様の歌は曰く「こないだの田中圭のドラマの主題歌」だそうで、それなら『Iターン』なんですかね(私は観ていませんが、英語パイセンが毎週逐一中身を教えて下さいました。っつかオツカル様はパイセンとすら話が合うのか、凄ぇな)。「地下アイドル?」と訊けば「シンガーソングライター」の返事。境目が融解してるように思えます。

 池②トッシュ「ヤットデタマンの歌」(1981年)
 オ②FES★TIVE「ハレとケ! あっぱれ! ジャパニーズ!」(2019年)
 アニソン好きなら山本正之の格好良さは皆知ってます。カラオケで歌おうと思って初めて歌手名が「山形ユキオ」ではないことに気づきました。この当時は、バンド形式で活動していたんですね(Wikipediaによると、アニメ放送時にはバンドは解散していたそうですが)。オツカル様の方は、地下なのか地上なのか、もうそういうことを考えるのがナンセンスなのか、とにかくアイドルグループのとれとれの新曲。ホントに、好きですよねぇ。

 池③米津玄師「Lemon」(2018年)
 オ③Czecho No Republic「Firework」(2015年)
 オツカル様とのカラオケでよくあるのが、私が全然知らないアイドル曲を(何だったらコールまで全部含めて)軽くこなすオツカル様に目を奪われている間に次の曲を入れ忘れるという事態で、そういう時にはこういう選曲になる、という典型的なパターン。『紅白』で1回観た、職場の同僚が(誰なのかは武士の情けで内緒)歌っているのを1回聴いた、後はライブバーやスナックでアホほど聴いた、のを思い出しながらあやふや歌唱。8割方は覚えてましたけどクオリティは全然、いつかFKC(F校カラオケ倶楽部)でリベンジしたい。それにしても、オツカル様はこういう格好いい曲をどっから仕入れてくるんでしょうか。

 池④松任谷由実「Cowgirl Blues」(1996年)
 オ④如月マロン「イチゴのショートケーキ」(2018年)
 最近FKCの新ネタとして披露して事務嬢さんに誉められたのが四半世紀前のこの曲、理由は解らないんですけど、この曲を歌うときには他の曲だと出ないようなキーが楽々出てくるんです(ユーミン自身も、45周年ツアーで原キーで歌えてました)。ユーミンの「格好いい」筆頭です。オツカル様の曲は、アイドル風の女装をしたおっさんがトリトントンとか歌って、左下のヲタがツッコミを入れるというMV。普通なら「お笑い芸人による地下アイドルコント」という設定が即座に理解できるはずなのですが、現実の地下アイドルにシュールな芸風の人が多いことと、オツカル様が時々男声キーに落として地下アイドル曲を歌うことがあることと、二つの理由で本物のアイドルが巫山戯たMVを作っているのではないかと暫く疑っていました。

 池⑤サザンオールスターズ「匂艶THE NIGHT CLUB」(1982年)
 オ⑤プッチモニ「ぴったりしたい X'mas!」(2001年)
 お互い、阿吽の呼吸で「小休憩」を挟んだ選曲。

 池⑥海原千里・万里「大阪ラプソディー」(1976年)
 オ⑥虹のコンキスタドール「トライアングル・ドリーマー」(2015年)
 オツカル様が、虹コンの代表曲をコールまで含めて完璧に歌いこなし。但し、様は虹コンが歌っているのは一度もご覧になったことがないそうです。様曰く、色んなアイドルがカバーしている「アンセム」だそうで、台湾のアイドルイベントでも歌われたこともあるとか(そういえば、えれにすとにも台湾の方がおられましたね)。この話をTwitterで投げたら、卒業生の64回生Tくんから「この間メイド喫茶メイドさんに踊って貰いました笑」というリプが来たんですけど、彼、来年度、F校に教育実習に来ますからね。私はアイドルには疎いものの、とある理由で虹コンが歌っているところを生で観たことがあります。

 池⑦折坂悠太「朝顔」(2019年)
 オ⑦黒田有紀「風 吹いてる」(1995年)
 私が出せる令和はこれだけ(次の令和は年明けの中島みゆき新譜に頼ります)。ドラマは飛び飛びにしか観ていませんが、主題歌のこの曲は聴いて沁みるし歌って気持ちいいし、最高です。最後の最後に少しだけ「折坂悠太」の地が出る(ファンなら意味が解ります)ところで思っくそ叫びました。オツカル様の曲は後で調べてアニソンだったと知り。Produced by ASKA、オツカル様、ファン道を貫いてます。

 池⑧ピカソ「ファンタジー」(1986年)
 オ⑧影山ヒロノブ&BROADWAY「聖闘士神話~ソルジャー・ドリーム~」(1988年)
 今年は、ピカソのライブを生で観たことも印象深い体験でした。『めぞん一刻』関係に捨て曲は無いですが、「シ・ネ・マ」とこの曲とが双璧です。オツカル様は連続でアニソン、私は『聖闘士神話』を漫画でもアニメでも一度も読んだ・観たことがなく、唯一の知識はこの曲だけ。影山ヒロノブは好きで『サジタリウス』は(OP・EDとも)既に披露済みですが、この曲を歌いたいと思うことは一生ないんじゃないかな。

 池⑨研ナオコ「ボサノバ」(1981年)
 オ⑨YAJICO GIRL「黒い海」(2017年)
 どっちの歌も格好いいんですが、ここは再び阿吽の呼吸で「小休憩」。

 池⑩King Gnu「飾りじゃないのよ 涙は」(2019年)
 オ⑩Creepy Nuts「よふかしのうた」(2018年)
 図らずも「ラヂオの時間」になってしまいました。私が無理矢理捻くりだしたもう一曲の2019年は陽水のカバーソング、私は原曲の方が好きで、1番の後の「HOHOHO HUHUHU」がごっそり削除されてるKing Gnuバージョンはシンプル過ぎると思うんです(オツカル様曰く「ロンダリング」だそう)。そして、R指定さんの本だけは読んだけれども楽曲を一度も聴いたことがなかった私、ここで出会えました。「日常性の維持」原理主義者がこんなことを言うと天に唾するようにも思えますが、「よふかしのうた」、滅茶苦茶格好良いですね。

 池⑪吉幾三「俺ら東京さ行くだ」(1984年)
 オ⑪BiS「nerve」(2011年)
 『夜ヒット』の吉幾三歌唱、ここ暫くで100回は観てます。バックの歌手たちは最初ポカンとしていましたが、段々盛り上がって3番では全員起立の手拍子。「俺らのムラには電気が無エ」では芳村真理始め皆が爆笑で、正に新しいものが出てきた! という瞬間です。因みに、吉幾三1984年に「俺ら東京さ行くだ」、1985年に「ゲゲゲの鬼太郎」、1986年に「雪國」を発売しており、この間1年3ヶ月で毛色の違った3つの窓口を開け放つという離れ業。セルフプロデュースの見本だ、とオツカル様も笑っておられました。

 池⑫中島みゆき「みにくいあひるの子」(2004年)
 オ⑫レミオロメン「粉雪」(2005年)
 ロキノン系大好きなオツカル様が満を持して「こなああああああああああああ!」を叫ぶ。2005年末から2006年初頭にかけて、我々は『CDTV』で次々と流れるヒット曲のサビを前にいつ「こなああああああああああ!」が来るのかを待ち望みながら画面に齧り付いていました。ネットの掲示板では、誰かが「レミオロメン」と書き込んだらそれに反応して誰が一番早く「こなああああああああああああ!」とレスを打てるかというコンマレベルの熱い勝負が繰り広げられていました(ホントよ)。2度目のサビからはオツカル様に被せて「こなああああああああああああ!」と叫びながら、通して聴いたことが一度もない私にとってすらもこれは特別な曲なのだという楽曲の力を思い知らされ。 

 池⑬Yae「カゼノネ」(2003年)
 オ⑬玉置浩二「田園」(1996年)
 Yaeは加藤登紀子の娘、確かFF系だったと思うんですけれどもゲームのCMソングであるこの曲がデビュー作だったような。オツカル様は「サバカレー」のドラマの主題歌。『コーチ』というタイトルを思い出せずずっと『TEAM』と言ってしまうのもアラフォーあるある。お互い400曲以上歌っててレパートリーが全く被らないのが凄いですが、この「田園」は私も歌ったことがあります。他に被ったのって……ユーミンの「埠頭を渡る風」くらい?

 池⑭SMAP「青いイナズマ」(1996年)
 オ⑭浜田省吾「MONEY」(1984年)
 オツカル様がちょっと「寄せて」来たのは面白かったけれど、まぁここも阿吽の「小休憩」です。

 池⑮米米CLUB「Shake Hip!」(1986年)
 オ⑮Dreams Come True「あなたにサラダ」(1991年)
 大学時代のカラオケで歌いまくった曲を久々に記憶の中から引っ張り出しました。あやふやなところもありましたが昔取った杵柄でなんとか。ドリカム大好きオツカル様も、多分同じような感じなんだと推察。

 池⑯ビリー・バンバンまた君に恋してる」(2007年)
 オ⑯一青窈江戸ポルカ」(2003年)
 本当は坂本冬美バージョンで入れたかったのですが、喉が辛くなっていたので男声キーで。MVバージョンで予約したのですが、雄大な自然美のみが最後まで映し出されてとうとう歌い手2人が一度も登場しなかったのにオツカル様が大笑いなさってました。オツカル様最後の選曲はこちらもMVバージョン、一青窈があの嫌らしい地金を現すか現さないかという絶妙な時期のシングル曲は、男声キーで歌って映える佳曲でした。

 以上32曲、本日も歌って笑って大満足。この後、アンコール(オマケ)でお互いの行きたい場所を1箇所ずつ。オツカル様は池袋「PARCO」内のタワレコ、某地下アイドル(絵恋ちゃんさんに非ず)がインストアライブをやっているのに間に合うかも知れないということで2人で行ってみました。ら、年若いソロアイドルが今から最後の曲を歌うということ。前奏が始まり、30人程のヲタが今にも踊り出そうとしたその時、オツカル様が私に「ちょっと待っててね」と言い残してファンの中にすっと歩いて行き、実に自然にヲタ芸を始めたのに笑うのを通り越していっそ感動する。シームレスにも程があるやろ。
 握手会その他は別に良いということで、本当に1曲観ただけでタワレコを退出(フットワーク、軽いなぁ)。私の方はデパ地下で上京のお土産を選びたいということで、甘味についてもお詳しいオツカル様のアドバイスを聞きながら20分程売り場巡りにつき合って貰いました。

 オツカル様とお別れの後、池袋待ち合わせまで暫く時間が合ったのでネカフェ書き物で時間潰し、その後西口で待ち合わせたのは65回生東大文系組の皆さんです。「むら塾」の田植え体験や東大入試下見(67回生受験)でお世話になったHくん、田植え体験をご一緒したOくん、お久しぶりのSくん、バイトで途中合流のSさん、と私、の5人組。彼らとは彼らがまだ1年生の時に神泉でランチをご一緒したことがあり、その時「文Ⅰ→法学部」の人気の無さ(法学部進学が「セイフティーネット」として存在しているのが文Ⅰの唯一の利点という認識)を訊いて唖然暗然とした記憶があります。
 今日のお店は「あんぷく」で、逸品や〆のうどんまで程よく飲み食いできるコース3時間。前回のランチでは「駒場あるある」でしたが、今日は法・文学部3年生による最新の「学部あるある」をお聞きして興味深かった。前回は私だけがランチビールだったのが今は全員で飲める、というのも時間の経過ですね。インスタグラマーOくんには「Foodie」の撮り方を教わったりも(彼はTwitter界隈で人気らしく、友人からRTが回ってきたことがあります)。
 その後、駅にお送りする序でにSさんと進路(就職)のお話を、人生初の「鳥貴族」にて結局終電まで。終電が本当にギリギリになってご家族にご迷惑をおかけしたのも幹事致命、何だか今回は反省すべき事がちょいちょいあります。

 私も終電にぎりぎりで飛び乗りました。2軒目の「鳥貴族」ではビール1杯しか飲んでいないので、健康睡眠ではあります。