のろわれた手術

 獄卒よりも苛烈な時間割係が悪虐の限りを尽くした結果、本日の私は高3東大漢文の過去問添削を2種類計70枚、中3漢文定期テスト採点を160枚、一気に抱えることになります。定期テストは最終日の金曜までに採点をすれば良いのですが(念のため、明日のうちに終わらせておきます)、高3漢文は明日の朝のSHRで返却するのが基本なので、未明の勝負です。
 夕食を作る(洗い物もする)という手間を少しでも省くために、夜のメインはデリバリーのお寿司にすることにして、朝の職員室で自分のパソコンから予約注文を(19時に届く手筈です)。

 朝の職員室では本日2種類の授業の板書計画。3限が中3定期テストの出題で、各クラスで質問を受け付けるための巡回を2回。終了後に解答用紙を受け取ったら、そのまま高3文系漢文の授業へ(高3だけは、定期テストが他学年より一週間遅く、来週の月~木で行われます)。97年の東大(趙翼の漢詩)を扱いました。考証学者に「歴史書には多くの偽りがある」と言わせた問題ですね。

 放課後の特講(東大理系)が始まる前に先程の授業の答案添削をやっておこう……と思ったところへ、詳しくは書けない事態が出来。一つだけなら傷は浅かったかも知れない小さな事件が、一気に3つ襲ってきたのです。襲われたのは、今年度の時間割。ほら、時間割係が獄卒よりも苛烈だから神様がバチを当てて下さった!
 …………いや、ほんと、神様、何するの。8月の夏休みが明けたら、おおもとの時間割がまたまたまたまた(何度目だよ)変わることになりました。どの程度の手術が必要な病気かな、と手を着けたら「これ、もう、始めから作り直すのと変わんないじゃん!」
 隣の教務部長地理先生に宥められながら、半泣きで大手術に挑むブラックジャック俺。私「こんなん無理に決まっとるやんか! 無茶言うでしかし!」 地理「どうどう、落ち着いて、活路はあるはず」 私「じゃあ、先生の火曜の特講、月曜に変えて良いですかっ!?」 地理「そそそそそそれは勘弁っ!」 私「それ以外に方法がないんじゃあっ!」 地理「えっと、あ、こことこことを入れ替えたら良いんじゃ?」 私「そしたら、そこがそーなってあっちがあーなってここがこーなる影響で数学科の会議が潰れる!」 地理「えっと、じゃあ、そことそことを/」 私「教務部長が教務課会議に出られなくなるっ!」 地理「特講の移動は嫌じゃ~!」
 …………手術、4時間かかりました。全学年、全曜日の時間割が変わります。会議2つ(数学科会議・社会科会議)の曜日時限も移動しています。非常勤の先生お二人に出勤時間の(同一曜日内の)変更をお願いするという非常識なことまでしてしまいました(快く引き受けて下さって本当に恐縮です)。高3の特講の曜日が動かなかった代わりに、とある先生には1~6限まで連続で授業という恐ろしいお願いをすることになります(こんなん、教務部長と主任の私とで焼き土下座やで)。

 結局、高3授業の添削は殆ど手を着けられないまま今度は東大理系の特講へ。「本貸す馬鹿に返す馬鹿」という慣用表現について筆者が意見を述べる問題。これまた優しくない問題です。と言うわけで、特講が終了したら手元には答案が75枚。
 ダッシュで帰宅して、入浴。書斎でガシガシ採点しているうちにお寿司が届いたら、後は明日未明の私に全部を丸投げしてお酒に逃げます。

 6/30の「自粛御膳」。
 にぎり寿司・味噌汁・松前漬け納豆和え・小鉢2種。
 特講の夜は料理をするのかきついので、お寿司は「銀のさら」のデリバリー。折角ならと(お得なセットではなく)1貫ずつ欲しいネタを選んだら、結局支払いが1時間分の特講手当とトントンになってしまいました。使い捨て容器で注文したら洗い物も随分減ります。私の今日の調理らしい行動は、小鉢用のトマトスライスを切ることと、納豆と和える松前漬けを刻むことくらい。いずれ、「自粛御膳」とか言いながらカップ麺出すようになりそうね。それでもお酒は好きな銘柄に拘って、山口「大嶺」は澱が絡んだその名も「3粒 夏純かすみ生酒」。

 飲みながら消化のテレビ録画は、随分前の正月番組でNHKの『平成ネット史(前編)』。ネット史の年表コーナーではその年に流行ったヒット曲がかかるんですけれども、「えっ、この(新しい新しいとばかり思っていた)曲、こんな昔(めたくそ古いネット環境の時代)のだったの!?」という驚きが特打ち特打ちで連発。ネットの進化速度の凄まじさの証左なのか、私の音楽的受信感度の低下のせいなのか。