ペンギニズム

 もう何ヶ月ぶりなのか忘れてしまう程に久しぶりのカラオケですが、流石に誰かと一緒に行くのは憚られまして、本日、独りで待ち合わせまでの時間を潰さなくてはならなくなったのをきっかけに、所謂「ヒトカラ」というのを初体験(カラオケのある小料理屋で客が私独りだったというのはありますが、BOXで完全独りというのは初めてです)。何度か行ったことのあるチェーンだったのですが、コロナの影響で(福岡県からの要請で)システムが様変わりしていて驚きました(後述)。マスクで歌っているからという理由だけでは説明出来ない喉の開かなさにブランクを感じつつ1時間13曲、満足はしました……が、途中から何故ここにオツカル様がいないのかというのに段々腹が立ってきて、夜にクソ下らない用件で様に電話をかけてしまいました。

①米津玄師「パプリカ」(2020年)
伊藤咲子「木枯らしの二人」(1974年)
小田和正ラブ・ストーリーは突然に」(1991年)
King Gnu「Prayer X」(2018年)
⑤折坂悠太「朝顔」(2019年)
おおたか静流「水の恋唄」(1995年)
北島三郎「与作」(1978年)
松任谷由実「Cowgirl Blues」(1997年)
⑨米津玄師「Flamingo」(2018年)
Southern All Stars「汚れた台所」(1997年)
⑪うらいみさこ「あいうえおほしさま」(1981年)
フジファブリック「東京炎上」(2007年)
フジファブリック「カンヌの休日 feat.山田孝之」(2017年)

 さて、以下、本日の日記。
 ホテルでの健康起床は4時、スマホを弄ったり本を読んだりしてベッドの上でだらだら。入浴、荷物の整理、ホテルチェックアウトは8時15分。ホテルの前でタクシーを捕まえて行き先を告げます。山を越えて長崎の東へ、所要時間25分、料金は3000円といったところ。

 大正義。可愛いが正義ならこれは正義を超えて倫理。
 長崎県は色々な場所に「文脈」が追いかけて来るところですが、それらから殆ど解放されて純粋無心に楽しめる素晴らしい空間。長崎県最大の観光資源は何かと問われたらその答えは「長崎ペンギン水族館」。異論の一切は棄却します。
 8時55分、開館5分前の駐車場でタクシーを居り、ビオトープに囲まれた小径を5分歩けば入口に到着。先客は小さな女の子とお父さんの2人連れだけ。2人が年間パスポートの更新手続きを行っている間に、不惑お一人様が本日の一番乗りで入館です。ペンギンが見たい、この世で最も可愛い生き物を間近で見たい、その一心でやって来ました。コロナの影響を考慮してお盆の間は館内での全てのイベントを中止しているそうですが無問題。私は可愛いペンギンが見られればそれでいいのです。キングペンギン・ジェンツーペンギン・ヒゲペンギン・マカロニペンギン・イワトビペンギンフンボルトペンギン・ケープペンギン・マゼランペンギン・コガタペンギン、の全9種類180匹。
 ガラス越しではない半屋外展示なので、柵のギリギリまで近づけば距離10cmの場所でペンギンを接写出来ます。「その表情いいね~」「可愛いね~」「目線こっち!」と声がけしながら(←実話)、Foodieでバッチャバチャ写真を撮っていきます。Foodie、食べ物だけでなく食べちゃいたいくらい可愛い生き物も確り写してくれて最高。正義超えて倫理。
 啼き声がおっぴしゃげてても、マスク越しですら糞尿獣臭がうっすら伝わってきても、愛らしく首をぷるぷるさせているのが実際は体内の余分な塩分を鼻水と一緒に撒き散らかしてるだけだというのを知っていたとしても、その全てが可愛いの前では相殺霧散、どころか最早スイカの塩と思えるほど可愛い。近くの男女カップルの女子の方が「ペンギン超かわい~(とはしゃぐ私こそかわい~)」とアピールしている様(ざま)を普段ならケッと思うのにこの場所でだけはうんうんと頷くほど可愛い。実際、幼児と犬猫との前では挙動不審に拍車がかかるタイプの私が、2歳だか3歳だかの男の子に急にジーンズ引っ張られて「ペンギンかぁいぃね~」と言われたのに「ね~、可愛いね~」と心からの笑顔で応じることが出来たというのもペンギンの可愛さの成せる業で、直後に慌てて「失礼しましたぁ」と男の子を私から引き剥がした年若い母親の頭蓋には恐らくペンギンの可愛さを解する脳が具備されていない(具備されているというなら例えそれが不惑四十路お一人様のマスク姿だったとしてもペンギンを可愛いという人間に対してあんな不審者を見るような視線は向けない)。
 ペンギンを見ているだけで90分の時間が蒸発、慌ててお土産を購入します。同窓数学・若手体育コンビのお嬢様にタオルハンカチ、珍しく自分用にペンギン柄のネクタイ。長崎に戻る時に乗ろうと思っていたバスは完全に乗り過ごしていたので、水族館を出た目の前に信号停車したタクシーに飛び乗りました。往復6000円、安い。

 取り敢えず長崎駅までお願いしたタクシーが駅に到着したのが10時42分で、その7分後に鳥栖へ向かう「かもめ」が出るというのを知って即決で帰還することに。もっと後の電車の指定席を買っていたのですが、「ペンギン水族館」以上の収穫が無いことは判りきっていたので、間拍子に任せることにしたのです。お陰で駅弁を買う暇もなく、12時30分に鳥栖駅に着くまでは車内自販機のお茶で我慢して帰ってから昼食、あ、また鳥栖駅のホームでうどんでも良いかな……とまで考えて気づいた。今日で4連休の最後、昼飲みしても良いんじゃね?
 車内で事務嬢さんに「13時にK市着、昼飲みしません?」とメールを送ったら諾との即レス、私の電車がJRのK駅に到着するのが12時46分なので、13時丁度に試験場前のピザ屋「W」で待ち合わせすることにしました。鳥栖駅での乗り換え4分の移動中に店に電話して事務嬢さんの名前で予約、K市到着直後にタクシーに乗れば、12時59分に店の前に到着して完璧、入店したら既に事務嬢さんはお席に座ってお出ででした。

 乾杯ハイネケン、からの白ワイン。ポテトサラダ・蛸とセロリのマリネ・マルゲリータ馬鈴薯の釜焼き・ペンネグラタン。良く食べて良く飲みました。長崎観光のお土産話と(実際のお土産は明日の夜にクール便で自宅に到着します)。
 15時過ぎまで飲んだ後、2軒目に行こうとなったのですが、その前に事務嬢さんが一度ご自宅に戻って家事とお犬様のお散歩とをなさるということで、17時に西鉄K駅で再集合することをお約束して、その待ち時間で今回の日記冒頭に書いた「ヒトカラ」1時間を楽しんだんですね。以前は店員さんが受け付けに立っていたのですが今は対面ではなく無人のタッチパネル、ドリンクも店員さんが部屋まで持ってくるのではなく客がフロントまで取りに行く(3階から1階の往復!)形式で、アルコールを飲む場合は2時間の時間制限が付く等、コロナの影響(下における福岡県からの要請)でシステムが激変していました。13曲。

 8/12は「自粛御膳」を中止、夜は再合流の事務嬢さんと居酒屋「U」でさし飲み。パートナー氏も職場で飲みごとがあるから今日は時間無制限でいける……と言われて事務嬢さんに付き合ったら死ぬので、いつものごとく「事務嬢さ~ん、かえろ~」「かえり~」のやりとりを経て20時前には店を出て、近くのスーパーで数日分の食料を買い込んでからタクシーで帰宅しました。
 日本酒は岐阜「恵那山」の特別純米