まだまだあるメニュー 鍋の熱い

 授業の無い9/18・19(金・土)を年休にして、18日から2泊3日で京都に行きます。18日の夜は卒業生と飲む約束をしているんですけれども、19日は独りでちょっと「大人」な店に行こうと決めておりまして(不惑四十路ですし)。
 最初は、67回生Mさん(京都農)がバイトをしている肉料理「M」にしようかなぁ、と思いました。食べログGOLD(4.6)で、お店のHPを覗いたらコース料金が1人48000円、わお。で、12日にバイトに入ったMさんに19日の空きを訊いたら常連さんの貸切が入っているというお返事。残念なような安心したような。
 となれば次の手は京料理だわ。京料理、私、一回も食べたことが無いも「同然」なんだわ。

 「同然」とは、一度食べたことはあるものの記憶が残っていないという意味です。だって、母君に連れて行っていただいたのは中学生の時分、経験だと思われたのでしょうが、お酒も飲めない(当時は刺身も食べられませんでした)ティーンエイジャーにはちょっと早過ぎたのではないかと(当時30代後半の母君の好奇心だったのでしょう)。
 店は、「頭が真っ白になった」等の母子伝言ゲームで知られる高級料亭「K」の系列店のどこかだったのは分かりますが後は朧気で、但し酒を飲まない母・飲めない子という2人が10万超の金額を払ったことだけははっきり覚えています。
 で、はっきり覚えているのはそこだけで、肝心の料理の内容に関してはな~んも覚えてない。料理に関する唯一の記憶は、「××が緑色だなんて!」(「××」は不明)という驚きでしたので、恐らく抹茶塩か蓼酢か何かを人生で初めて見たのではないか、と。

 というわけで、断念した肉料理「M」の直ぐ近くにあるのを偶然見つけた京料理「I」を予約。コロナ禍の影響なのでしょうか、どうやらそこはミシュランの星つきらしいのですが、週末土曜の予約がその週に取れました。
 ただ、直前に肉料理「M」の48000円というのを見たのが響きました。HPでコース料金を見て「安っ、『M』の半額以下じゃん」と即決クリック、した直後に「いやいやいやいやいやいやいやいや」と。それは相対的な話であって明らかに自費で入る店としては人生過去最高の価格です。
 ま、社会勉強ということで。

 以下、本題。

 本日、2日延期を経て漸く開催されます、高校体育祭。コロナ禍の本格化した3月以降、高校「男く祭」や中1歓迎行事他様々な行事は中止、式典は放送のみで行われたF校において、初めての全校行事ということになります。無観客(保護者その他立ち入り禁止)で行われるというのを始め、考えられる限りの感染対策を施して行われる行事ですが、行事を主導する高2生徒会・体育委員の生徒の緊張は如何ばかりか、と(無論、感染者が出た場合の責任が生徒に帰す訳ではないのは、当たり前ですが一応付言)。

 開会式を前にグラウンドに入った所から既にいつもと違います。
 例年は、横長長方形の6時の位置に本部テント、その対辺に赤・青・黒の3ブロックの櫓が横並びに設置されているという配置です。今年は、密を避けるために櫓は本部のある辺以外の三辺に一つずつ設置されており、また櫓に生徒が集中して密になるのを避けるために櫓と櫓との間に生徒用のテントを幾つも設置しています。そのテントの中には密を避けるための距離を置いたパイプ椅子を配置し、ミストが噴射される扇風機型の機械があちこちに。開会式の隊列も、始めから社会的距離を置いた並びになっています(所謂「体操の隊形に開け」という時のあれです)。
 感染予防の観点から給水所は全て廃止され、各自水筒やペットボトル(構内に自販機があり、全てお茶・スポーツドリンク・水だけの特別仕様になっています)を用意して水分補給をすることになっています。これは偶然ですが、本日は昨日(日曜)の日照炎熱とはやや趣の異なる秋の陽気で、結果的に2日延期が生徒の健康にとっても良かったのではないか、と。コロナも怖いですが熱中症も怖いです。

 競技が始まって驚いたのは、例年になく進行がスムーズなこと。特に障害走等ネタに走る種目に顕著な予定時間オーバーがほぼ一種目もありませんでした。運営の力もそうですが、そもそも参加している生徒の協力(集合その他)が大きかったですね。特に高3が協力的かつ積極的だったのには非常に好感が持てました。元より真面目だったりノリが良かったりという特性を持っているのでしょうが、やはり春のイベントが準備途中で中止になった時のエネルギーの発散場所をどこかに求めていたということなのではないかとも考えられ、何とも複雑な気分です。

 さて、感染対策を施した新しい競技として、2種類のリレーが考案されています。一つは「縮まないキョリ」、もう一つは「近づかんといて」。何だか藤井風の新曲のタイトルみたいです。
 前者「縮まないキョリ」というのは、1.5mの距離を保って縦に並んだ3人が、両脇に3m超の棒(棒引き用の棒)を2本抱えて進み、その棒がバトンになるというリレー。選手は出走前に全員が両手に消毒をするという徹底っぷり(これは全競技に共通しています)……なんですが、バトンパスの時の6人がめちゃめちゃ「密」になる、走者がデカくて互いが邪魔になるのでバトンパスの時以外(要するに走っている間)は追い抜けない、など課題がたくさんあります(いや、来年やる必要がなくなってるのがいちばん良いんですけど)。
 後者「近づかんといて」、これは1mの長さのバトンを持って100mずつのリレー、バトンパスは互いに3mの社会的距離を保って、という競技。こっちは見た目的に地味かなぁ、と思っていましたが高3の実況が上手に盛り上げてくれました。「密です! 密です!」「ソーシャルディスタンス!」

 さて、昨年度の体育祭、私は母君の入所施設に向かうために途中少し中抜けをして学校不在の時間がありまして。丁度その間に「液面制御リレー」という謎の競技が行われていたんですね。これは、それまで「先生といっしょ」という教員・生徒の二人三脚が行われていたのが廃止されて生まれた新競技で、というところまでは分かっているのですけれどもその先を見ていないので知らない。
 で、今年は中抜けの必要がないので事前に生徒から「液面制御リレー」に出て欲しいと言われて「拝承」のお返事をしたのですが。色んな先生にどんな競技なのかを聞いてもなかなか要領を得ない、というかあんまり話したがらない。ただ、聞けば水の入った洗面器みたいなのがバトンになったリレーだそうでその「液面」を「制御」するんだから水をこぼさないバランス感覚が勝負みたいな感じなのかな、とだけ想像しておりました……

 ……ら、招集場所で顔を合わせた高2(私と一緒に洗面器を持つ予定の生徒)が怪訝そうな顔で「先生、何で靴履いてるんですか?」と。「えっ?」と隣に並んでいる高2学年主任体育先生の方を見たら目が合った瞬間にニヤッと悪い笑みを浮かべられ(←これは「尊敬」ではなく「受け身」のられるです)、「こいつ、謀りやがった!」と合点がいきました。そら言葉を濁すわけだそう簡単にやられてたまるか、と職員室に全力疾走。汗や雨で濡れた時のために職員室に置いていた簡易ジャージに着替え(今日はジーパンで出勤でした)、上のシャツの替えもあることを確認して招集場所に走りました。勿論、その後は裸足です。
 果たして、何が洗面器だ水槽じゃねーかという「バトン」の液面を制御するつもりなんて誰一人ありゃしねぇ、それが証拠にバトンパスじゃなくて各走者ペアにつき一つ水槽が用意されてます。100m走る間に水は全部こぼれ、じゃない生徒がこぼして教員は全身でそれを浴びるという趣向。私がペアを組んだ生徒氏も、走り始めた瞬間もの凄く申し訳なさそうな顔で「済みません! 済みません!」と言いながらばちゃばちゃ水をかけてくれました。こんなん、面白いに決まってんじゃないか。
 聞けば昨年度知らずに参加して激怒りした先生もいらっしゃったそうで、今年は教員集めに苦労したらしく、若手の先生はお一人で何回か走ったりもなさってました。ノリの良い先生は開始早々頭上で水槽をひっくり返すパフォーマンスを見せたり、超ベテランの先生と組んだ生徒は自らが水を浴びる役目を果たしたり(実況は「身を挺して先生をお守りした!」と言ってましたが、何を言うとんじゃそもそもの趣向がおかしんやないかという話ですな)。

 一回徒歩通勤路の雨でびしょ濡れになったことがあって用意していた着替え、の中に下着(パンツ)も含めておいた過去の自分を褒めたい。ここまでぐっちょりでしたからね。職員室で全身着替えたら、後は大会を見学するだけ。
 コロナ禍休校(4・5月)の影響で夏休みが2週間弱しかなく、練習でも感染防止にひときわ気を遣わないといけない中、装飾も応援団も見事な作品・演舞を披露していました。結論は一つ、要するに生徒たち、頭が良いんですね。予定よりも20分も早く終了した大会全体を通じて感じたのは、彼らの知性でした。天晴れ。

 さて、大会が始まった直後、某先生からこっそり耳打ちされたのが「先生、今夜どこかの店を押さえられる?」というもの。学校全体の打ち上げなんて当然行われるべくもありませんが、体育祭全体の指揮をとられた先生への慰労を、中心メンバーだけ数人集めて(管理職も呼ばずに)こっそりやりたい、と。月曜平日の夜の予約を当日にやるというのはなかなかな依頼ですが、24時間体制でネット予約が出来て当日でもコースが注文できる「U」にアプローチをかけたらOKの返事だったので、頼まれた30分後には参加なさる先生全員に地図付きの招待状(手づくり)をお渡しすることが出来ました。

 というわけで、9/14は「自粛御膳」を中止して、幹事責任で数人の先生を居酒屋「U」にてご接待。中には、コロナ禍以来外で飲むのは初という先生もおられ、また体育祭のクオリティが良かった満足感も共有されていたので、大変和やかで楽しい宴席になりました。
 一軒でお開き、私は帰ってからリビングで「日本酒チャレンジ」を、今夜は栃木「若駒」の夏酒で。