細い糸を紡ぐ様よ 切れないで

 濱田研吾『俳優と戦争と活字と』読了、★★★★★。2018年の『脇役本 増補文庫版』に続く、ちくま文庫での素晴らしい仕事。分厚い上にページ内の情報量が膨大で、読むのに何日も何日もかかってしまいました(暫く読了本が無かったのはそのためです)。
 戦前から活躍する(主に新劇出身の)一流の男優(一部女優)の、特攻隊・劇団慰問・被爆・引き上げ・抑留・(戦後の)語り等の体験を、筆者が手ずから集めた貴重な書籍・雑誌・パンフレット・映画・TV番組等々を徹底的に渉猟しながら描き出した本。雑な書き方ですが、我々にとっての「経時的(通時的)他者」を客体化するという歴史学的な営みには(広く言えば何かへの「弔い」には)、その「他者」を我々が自己相対化のための「鑑」にしたいという、或る種功利的な思いがつきまとうんじゃないかと思います。ましてや、取り巻くテーマが戦争だというのなら尚更。ですが、この筆者の筆致には冷静さと客観性を保とうとする誠実さがあったと感じました(一人一人の俳優には相当な思い入れがあったでしょうが)。

 本日は、25日の日曜が「男く祭」で出校になるためその代休で高校はお休み。ですが、高校生は祭りの準備のために殆ど全員が出校して何らかの作業をしていますし、生徒指導部の教員もその監督で普通に出勤しています。私は生徒指導部には縁もゆかりも無いのですが、幾つかのイベントコーナーに出ろと命令されており、そのリハーサルに立ち会わないといけないということで9時過ぎに出勤しました。中央ステージでのイベントが1つ、中庭ステージでのイベントが1つ。詳しい内容は秘します。
 それとは別に、校舎内イベントでまたまたまたまたまたまたまたまた「体験授業」を担当するのでそのプリント作成・印刷も。今回は東大漢文を使って40分程お喋り。暫く前に高3某くんからの命令で引き受けてその後で知ったのですが、今回はコロナ対策で学校関係者以外立ち入り禁止だ(外部のお客様をお招きしない)そう。要するに、在校生とその保護者としか校内に居ない。だったら、私が「体験授業」をする意味ってあんまりないんじゃないかなぁ、と思うんですが……。校長先生(著名な言語学者)は判る、生徒3人が授業をするのも判る、でも一般教員の私がやってもねぇ(やりますけど)。

 時間割の仕事や授業の準備などのデスクワークを行って、結局16時まで働いてから帰宅。この、代休の日に出勤した分の代休を別の日に申請してもよいという通達を後で事務室から受け取りました。ホワイティ!
 昨年度の4月頭に急に「男く祭」中止(というより、5月いっぱいまで休校)が決まった時の生徒(特に69回生高3)の消沈は想像するだにというものではありましたが、4月頭まで70回生(当時は高2)が準備・練習に幾らかでも携わる(69回生の指導を受ける)ことが出来たのは本当に良かったと思います。あれがなかったら、70回生(今年度の主宰高3学年)は、準備練習におけるイロハ・基本のき、から何もかも全く解らないということになったでしょうから。伝統って、やらなきゃ1年で「切れる」んですね(「男く祭」は教員が徹底的に手を出さないという不文律があるのも大きいですが)。実際、去年の経験が全く無い4月の仕事は判らないことだらけで傍から見てても大変だったみたいです(生徒も、「男く祭」初担当の高3物理・地理先生も)。

 4/23の「自粛御膳」。
 湯葉炊き込み御飯・鯛あら煮・筍煮・野菜ビネガー漬け・小鉢4種・水菓子(リンゴ)。
 大規模なクラスターもないのにK市からコロナ感染が50人超というニュース、職員室にも本気で怖がっている方々が少なからず。とまれ、先ずは2年ぶりの「男く祭」の無事開催を祈って(4/25・27、両日とも一般参加不可。卒業生も、今年は御免下さい)。
 とは言え、個人的本心を言えば家飲みなんざ辛気臭ぇこたしたかねぇ、せめてもの彩りでビールは長浜土産の「鳥獣戯画タンブラー」に入れました。回転させて眺め、可愛さを堪能しながらぷしゅ~。