最后になりましたが あなたの幸福を

 結婚式・披露宴に招かれるというのは、朝の美容院から三次会四次会経て終電で泥酔帰宅する(若しくは現地のホテルに泥酔宿泊する)まで、兎に角丸一日を捧げるものだという思い込みがあったのですが、コロナ禍以降の「ニュー・ノーマル」という世界線においては、17時過ぎには素面で風呂上がりのリビングに居て、18~20時指定で郵便再配達すら受け取れるんですね。わお。

 オーダーメイドの礼服。コロナ肥りが心配でしたが着ることは出来ました。革靴。私は靴紐のないウォーキングシューズしか履かないので、靴紐付きの靴を履くのは冠婚葬祭の時だけです。本日、58回生Iくん(F校→京府医→外科医)の結婚式・披露宴。
 58回生の担任団ではなかった(高2~3年で現代文を担当しましたが)私がいつIくんと親しくなったのかは正直記憶が定かではないのですが、よく一緒に飲みに行く卒業生を10人リストアップしたらその中には入るかな、という感じ。誘われたら断らないのマイルールに従い、招待状に「出席させていただきます」と。本来は2月14日に予定されていた式が延期になったのですが、延期した先も緊急事態宣言下で再延期不可能、招待客に「ドタキャン全く問題ありません!」と言わなければならないIくんは少しお可哀想でした。

 行きつけの美容院「G」に開店9時入店、馴染みのワンオペ店長Kさん(同じ年)に「30歳ばかりのテーブルに座らされるんです、そこそこ対抗できそうな仕上がりにして下さい」と泣きつく。但し、見る目を持っていないので、仕上がりがそのようになっているのかどうかは私には分かりません。
 JRのK駅から新幹線で博多、式場は駅徒歩1分の「ホテル日航」なので、炎天下の礼服厚着もそこまで不快ではありません(流石にネクタイはホテル入りしてからつけましたが)。
 結婚式は教会式で、間隔を空けて着席すること、讃美歌の歌唱は行わないこと(録音を流す形)、等々のコロナ仕様。

 披露宴受付で、日田の「雛御殿」で購入した飾り水引をお渡し。2月に式が延期になった時に、Iくんにはご祝儀とお祝いのお品とを送っていたので迷いましたが、結局通常通りの金額を包みました。
 8~10人は座れそうな丸テーブルに多くても4~5人が座る形、テーブルごとの間隔も広くとって「疎」に努めています。但し、テーブルにはボードによる仕切りが施されていませんから、同じテーブル内に感染者がいたらこれはもう仕方がない、という状態。「新郎の高校時代の恩師」という肩書の私が座ったのは勿論「F校席」で、同席の3人は医師Mくん(九大)、行員Mくん(一橋大)、リーマンYくん(京大)。Iくんを交えて何度か飲んだことがあるので気心は知れています。
 本当は、もっとたくさんの人を招待していたんでしょう。出席が叶わなかった方々も少なからずという様子で、来賓挨拶は一人が司会者代読、新婦のお兄様ご一家もご事情あってご欠席でした。

 12時からの披露宴は、人生初のアルコール無し(私はノンアルコールビールとウーロン茶と)、でしたが料理は非常に質が高かったです。特に、最後の肉料理はこれまで参加した披露宴の料理の中でいちばんだったかも……って、素面で料理を味わえたのが初めてだっていう理由もあるやもしれませんが。
 58回生は、私が高2から初めて授業に入ることが決まった時に、先に授業を担当なさっていた(当時は寮監長でいらした)超ベテラン数学先生が「悪魔の高2へようこそ!」と仰ったくらい、お生徒さんたちの「アク」が強かった学年で(私はとても楽しめて、それはそれでどうよと後から思ったものです)、今日の3人の会話も割ときつめのジョークが多く。このテーブルの3人と、真面目一徹で来賓2人から「ストイックが服着てる」みたいな言われ方をしたIくんとが親友だってのが面白いんですよねぇ。
 それにしても、新郎Iくんは医大から外科医ですから、職場の上司同輩後輩、大学の先輩後輩友人、その全てが医者なわけでして。
 私「この披露宴会場でさ、医者じゃないの、新郎側だと僕と行員MくんとリーマンYくんだけだよ」
 M・Y「「このテーブル、平均年収低っ!」」

 緊張はしましたし、日頃知ってたものよりは随分静かな宴でしたが、美味しい料理と温かい雰囲気とをゆったりと味わう良い時間を過ごせました。行って良かったです。
 特に、高3時代のIくんの合格発表時に進路指導室担当だったのですが、合否連絡に関して(割と致命的な)ミスをやらかしてお父様にご迷惑をおかけした時のお詫びを、12年越しで直接お伝えすることが出来たのが個人的に嬉しく。一つ、荷が下せました。

 披露宴終了後は、二次会も無く(そらそうだ、酒を出す店なんてどこにもない……いや、実際は結構あるんですけれども、要請無視の店には流石に入れません)、博多駅の大型書店で本を買い込んで帰宅。このご時世に礼服で人込みに行くのは或いは勇気が要ったのかも、と後になって気づきました。
 さて、最初に書いた通り「ニューノーマル」な帰宅で17時のリビング、素面。ですが勿論、独りの自宅でちゃんと飲み直すんですよ。Iくんのご一家3人(Iくんと、奥様と、結婚式でお父さんお母さんに指輪を届けた1歳の坊やと)に乾杯!
 
 8/29の「自粛お摘みセット」。
 博多駅いっぴん通りの「たけ本」「エヴァダイニング」で買った惣菜に、冷蔵庫の余り物(賞味期限ガン無視)。ノンアルコールの結婚披露宴の夜、飲み直しは「秋味」と開栓済みの日本酒と。
 いっぴん通りの「たけ本」は8月いっぱいで閉店、時々買っていたお店なので残念です(これもコロナの影響なのかなぁ)。あと、これは単純な怒りなんですが、いっぴん通りの「シロヤ」は博多名物ヅラをするのを即刻止めろ(駅構内のビジョンCMで堂々と「博多土産」を名乗りやがって)、てめぇは小倉だろが。

 今、「ご一家3人に乾杯」と打った時の最初の変換が「完敗」だったネカフェのPCはなかなかに賢いかも知れない。確かに、公(年収)でも私(戸籍)でも、ね。