ほとほとにぬるき温泉を浴むるまも

 平日のレベルの早朝起床、昨日の東大理系特講の添削。89年(20世紀)の問題は120字の設問がまだなく(これが始まるのは私の入学した翌年2000年より)、添削はやや楽。明日を年休にして私は今日から1泊2日の佐賀旅行ですが、特講の答案は明日中に返却して貰いますので、一旦学校に出て答案を各クラス担任の先生の机上に置くというプロセスが必要です。佐賀旅行の荷物と答案とを携えて学校に行き、職員室滞在は1分弱(自宅~学校~JRのK駅、とタクシーを走らせました)。

 前回はバスで1時間の旅でしたが、今回は鳥栖駅乗り換えの電車旅。11時に佐賀駅に到着して、先ずは駅構内のうどん屋で朝昼兼用の食事を。目当てにしていたうどん屋(初訪問)でカレーうどんを注文。佐賀県なら知らぬ人無しの「文雅」でも修行した人のカレーという謳いだったので結構期待していたのですが、それはちょっとすかされた感じでした。店内のラジオでは木村拓哉堂本剛の眉毛についてずっと喋っていました。

 佐賀県立美術館の特別展「白馬、翔びたつ 黒田清輝と岡田三郎助」を鑑賞。白馬会の名の由来は「どふろく」ですから日本酒好きとしては外せない……という理由ではなく、先日K市で観た「大地の力Ⅱ」(の一部展示)と対になった企画のように思えたのでこの機会に、と。実際、K市の展覧会で殆ど驚倒した御厨純一「髪を梳く」はこちら佐賀の所蔵らしく、売り場で見つけたポストカードを2葉購入しました。
 特別展は、岡田三郎助「あやめの衣」(撮影不可)の艶なる様(正に一目千両)を観るだけでも足を伸ばす甲斐があるかと。一部展示は撮影OK、また美術館横には岡田三郎助のアトリエを(2018年に)殆どそのまま移転した建物(相当珍しい試みなんじゃないでしょうか)もありました。
 Facebookというのは有難いもので、数日前と今回との佐賀訪問についてUPしたら、出身の卒業生(59回生Sくん)が詳しい情報を教えてくれました。建物は数年前に吉岡徳仁佐賀県出身、聖火トーチのデザイン担当)のリデザインを経て空間に磨きがかかったとのこと、確かに居心地の良い空間でした。

 佐賀駅からバスで50分、古湯温泉は川上川のほとりに温泉街、大正期に療養で立ち寄った斎藤茂吉が有名にしたということで、2つの歌碑が建てられています。
 うつせみの病やしなふさみしさは川上川のみなもとどころ
 ほとほとにぬるき温泉を浴むるまも君が情を忘れておもへや
 日曜1泊月曜年休の背徳、仕事を忘れて(茂吉が詠んだ通り38度と低温の)「ぬるま湯につか」るのが今回の旅の目的。

 先ずは、バス停(温泉街のど真ん中)から徒歩5分のところにある「つかさ旅館」へ。お一人様OKでちゃんとした夕食が出るところいうのは貴重です。ウェルカムスイーツの羊羹が自家製という台所自慢に期待が高まり。
 「百合」という名の和室に通された後、早速お風呂場へ(一番風呂でした)。浴槽は小さめのものが2つ、岩風呂です。壁面には浴槽よりも大きな浮世絵(男女の艶っぽいシーン)、ぼんやりと眺めながら38度の温湯・トロ湯にず~っと浸かっていられる気持ちよさ。

 風呂上がりに近所を散策して、川沿いの風景を写真に撮ったり、茂吉歌碑を訪ねたり。宿から15分ほど歩いたところに「笹沢(佐保)記念館」があるのですが、訪問時にはボランティアガイドさんの佐賀帰宅のバス時刻が迫っており、明日朝一で来るよう言われました(予約ですね)。そんなこんなで1時間程歩いて汗だく、舗装こそされていますが蛇も道路を横切る山道です。
 宿に戻る前に、バスターミナル近くのスーパー(雑貨店)で佐賀のお酒(未踏破の蔵)を1本(300ml)買って帰り、部屋の冷蔵庫に入れておきました。宿に戻ってもう一度入浴、今度も長めに浸かって、2度の入浴でたっぷり1時間以上お湯に浸っていた計算です。

 9/26は「自粛御膳」をお休み。以下、古湯温泉「つかさ旅館」の夜の「御献立」(紙に書かれたものが最初に渡されました。部屋食です)。
 ・先付(子持ち鮎の甘露煮/鰻ざく/ぜんまいの白和え)
 ・造里(帆立/鮪/間八/赤海老
 ・焼物(米ナスの味噌田楽)
 ・揚物(海老と旬野菜の天麩羅)
 ・鍋もの(佐賀牛のしゃぶしゃぶ)
 ・蒸し物(茶碗蒸し)
 ・スペシャリテ佐賀牛のステーキ)
 ・ご飯(富士町産特別栽培米コシヒカリ
 ・香の物(高菜油炒め/胡瓜のからし漬け)
 ・止椀(なめこの味噌汁)
 ・水物(フルーツ盛り合わせ)
 最初に先付け・造里・焼物と鍋ものとの準備が届きました(この時点で瓶ビールを1本。お酒はちょっと高めの値段設定)。鍋の火は「良きように」とタイミングを任せて頂けるので有難く。マッチを渡されましたが、旅館の名前の入ったマッチを作っているんですね。
 以降、適宜懐石風にお皿が届き、ビールは2本目、その後に宿の冷酒を1合、最後は先程買って持ち込んだ小瓶を。
 441蔵目・佐賀「窓乃梅」(本醸造 冷酒用)。「日本酒チャレンジ」は出来る限り純米を選んでいます(例外あり)が、今回は旅先、「アル添」もやむなしです。

 いつの間にか、入眠。