溢るる涙の蕾から ひとつ ひとつ

 12時、進路指導室。東京大学合格発表。文科一類から順番に、「Aくん、○」「Bくん、○」「Cくん、×」と(PCを確認している進路指導主任の声が上がるたびに)教員が雄叫びを上げたりため息をついたりといういつもの風景。今年は、文系が(35人受験して)20人合格するという勢いを見せましたし、理科三類を受験した3人が全員合格するという快挙も(浪人生も1人合格しました)。
 東大現役合格、34人。私が就職して以降では2番目の記録ですかね。都合で年休を取られている英語パイセンから「東大何人?」というメッセージが届いたのに「34人」と返したら、「凄い人数! 素晴らしい! 私たちが担任をやった67回生(注・東大現役36人で1番)に若干届いていないところも良い!」という「らしい」お言葉が。

 一年前の春休み、学年200人弱全員の学力を検討する(志望校の合格可能性を議論する)会議において、70回生の担任団の先生方は(甘やかしてはいけないという責任感故、例年そうではあるのですが)生徒たちにやや厳しめの判定をつけていきました。東大、20人に届いたら「御の字」なんじゃない、くらいの雰囲気。理系担任をお務めのベテラン数学先生は(別の学校での長い経験があるものの)F高での高3担任は初めてでいらしたので「こんなもんなのかな」と思われた様子。だから会議の後で、担任ではなかったので殆ど発言をしなかった私が「あのですね、東大、30人は行きますよ」と耳打ちしたら怪訝な顔をされました。数「根拠はあるんですか?」 私「ん~、直観です。あと、僕、初めて担任をやった63回生以降、高3の現代文を担当して東大で数が出なかったことがないんです」 数「言いますね」 私「私、失敗しませんので」
 ……なんてやりとりをしてたんで、34人の結果に胸をなで下ろすまでは正直心臓がバクバクしてました。数学先生から「予言、当たるもんなんですね~」と言われた時はまだ冷や汗が乾いてなかったような。

 後期添削の数人と面談をしたり、進学が決まった生徒に贈り物(メッセージを添えた本)を10冊ほど配ったり(5冊買っていた『人間の限界』はやっぱり全てなくなりました)。今日後期の添削をする生徒が居ることから判るように全員が合格した訳ではなく、且つ後期受験や私大を考えず前期一発勝負だったために浪人が確定した生徒も居ますので、やはり100%万々歳だとは行きませんが、先述の東大以外の京都大学一橋大学他にも見事合格を果たした生徒がたくさん。担任5人を始めとした先生方(長い先生なら中1から6年間の成長を見守られています)に「おめでとう」と「お疲れ様」とを言いたい……

 ……なんて書き方をしたら「お前はあれか、管理職か何かか」とツッコまれそうですが、そうではなくて「幹事職」なんです。「管理職」とは響きが似ていますけれども泥と雲との差があります。はい、コロナ禍は百も承知ですが、今日この日だけは(勿論、参加できない・しない先生はおられますが)担任団有志の慰労会をやっても罰は当たらないんじゃないか、と。
 店の名前は「櫻舞」、予約の時点ではこれが「櫻が咲き誇っている」の意なのか「櫻が散り果てている」の意なのかある種の賭けでしたが、どうやら前者の共通認識で乾杯をすることが出来たので冥利。さ、飲も。

 3/10は「自粛御膳」をお休み、居酒屋「櫻舞」で高3担任団慰労会(幹事担当)。例年ならホテル大広間で大勢の教員が集まってというものですが、コロナ以降は極めて少人数の会食しか許されなくなりました。