祭りのあとの歌ものがたり

 コロナ禍下の修了式は放送を聞くだけの形式的なものですし、中学卒業式は一貫校においてはそこまで劇的なイベントでもないですし、高3担当の私はこれら2つしか行事が無かったなら一日を年休にしてもさして問題は無かったかも知れません。
 が、本日はそれよりも何よりも特別な日。年度最終日は「退任式」が行われる日でもあります。進路指導部長数学先生、超ベテラン日本史先生、お二人はF校で同窓だった間柄で共に母校の教員を勤め上げられました。日本史先生には私も中1の時から担任団・授業でお世話になりましたし、数学先生は在学中は無縁だったのですが就職後に大変お世話になりました。花束を手渡されたお二人に拍手をして、生徒への最後のメッセージを放送で承るというのが今日の私の大事な業務。
 数学先生は定年後の常勤講師として来年度からも出勤なさいますが、日本史先生は今年度をもって完全にご退職。3月末日までは、校内に大量に保管されている先生の資料(分量的には国語科恩師先生に次ぐレベル)のお片付けに通われるそうです。

 退任式・修了式の終了後、10時半から年休を取って学校を出発、タクシーで市街地へ。

 オープン2年にして初訪問、六ツ門のラーメン「T」で味玉濃厚つけ麺を食べました。具材はチャーシュー2種類、海苔、メンマ、ナルト。つけダレ(鶏・豚のスープ、機械で泡立てられてフワフワ)は固形燃料でずっと温かく、最後のスープ割りには小さなご飯がつく心配り。一番乗りの私が食べ終わる頃には、8人カウンターが全て埋まり店の外にも行列、という繁盛店です。

 西鉄春日原駅に移動して「春日クローバープラザ」へ。福岡県人権啓発センターで常設展示(撮影不可)、及び特別展「ジェンダー 性にまつわる思い込みを疑う」(撮影可)を観てきました。勤務校の生徒向け掲示ポスターを見たのが印象に残り、会期最終日に滑り込みです。
 特別展は、キーワード解説・社会学的データ・実践者寄稿の3つのテーマのパネル展示、及び九州大学大学院(芸術工学)が協力した「ことばとジェンダー」にまつわる展示が。職業柄、入試や教育における差別に関するデータや、漢字(象形)の成り立ちの中にジェンダーを見るという観点の展示に目が行きました。こぢんまりとした手作りの企画展でしたが訪れたら誰しもが考える契機になる、だからオンラインでの宣伝を少しはやれば良かったのに、というのがいちばんの感想(「クローバープラザ」のホームページにすら情報が無かったです)。

 再び西鉄電車、天神に移動したら駅構内で波佐見焼のフェアをやっていたのが私にとっては誘蛾灯、フラフラと近づいたらお気に入りの「一心窯」が出品しているのが目に入ってそのまま小皿・中皿をレジへ。これから雨天の街歩きなのに割れ物を買ってどうすんだとの反省は商品を受け取った後で既に遅し。
 一旦落ち着け、と「西鉄グランドホテル」のバーをカフェ利用します。滝の流れる庭を眺めながら小説(寺地はるなは素敵な書き手です)、注文は珈琲おかわり自由のケーキセット。気軽に入るには敷居が(っつかぶっちゃけ値段が)高い店なのですが、今日は余所行きの(コンサート!)格好をしているので少し勇気を出して。過去に4度ありましたが、教え子卒業生からちょっと深刻な相談を頼まれた時にお話をするのはここと決めています。

 ジュンク堂を一通り観た後でタクシーに。本日のメインは、福岡県立美術館福岡市民会館と、隣接の2施設の梯子です。前者では「二科展」(全国巡回)及びコレクション展、後者では布施明のツアー「祭りのあとの歌ものがたり」を観賞。
 美術館の展示は「ふ~ん」という感じだったのですが、展示室外のポスター掲示(よその美術館の企画展案内)で「宮崎アートセンター」の浮世絵展が5月まで行われていると知り興味が。在宮崎の67回生Fくんに夜の予定を聞いてみたら4月頭ならという返事。何度かやりとりの後、春休暇の旅行は(もう何度目かになる)宮崎に決定しました。

 布施明「祭りのあとの歌ものがたり」@福岡市民会館
 生で布施明を観るのは初めてでしたが、マイク無しでもホールの壁を震わせる声量は圧巻。ツアータイトルの「祭り」が昨年までの55周年ツアーを指すのではなく東京五輪を指しているというのは意外でした。
 「愛の園」「愛は不死鳥」「シクラメンのかほり」「恋」「君は薔薇より美しい」「霧の摩周湖」「落葉が雪に」等々の(あり過ぎる)ヒット曲に、「マイ・ウェイ」「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」等のど鉄板カバー、この辺りがコンサートの核。加えて55周年記念の自作曲も披露するなど、歌声だけでなくレパートリーの更新具合でも現役感バリバリです。有名なレパートリーの中で聴けなかったのは「そっとおやすみ」「傾いた道しるべ」「積木の部屋」くらい……「それが青春だ」とか「少年よ」とかは流石に期待したら駄目ですよねぇ(っつか、やっぱヒット曲多いな)。
 因みに客層は、ニセ明(こと星野源)とタメ年の私がほんの若造にしか見えない人生の大ベテランばかりでした。

 3/19は「自粛御膳」をお休み、二日市「月空」でコンサート帰りの読書独酌。
 生姜奴~串8本~もやし鉄板。
 福岡天神から西鉄電車で帰還となれば、夜をどうすべきかは考えるまでもありません。遅い時間からのカウンター予約は気が引けましたが、快く引き受けて下さったマスター(63回生Mくんパパ)に感謝。