あなたはあたしの趣味 いいえ ライフ ワーク

 (昨日のエントリに続いて)教員生活の原体験と言えば、小学5年生の時の塾。
 習っていた算数の先生は、酷薄な雰囲気と躊躇無しの打擲で教室を支配するタイプで、私は殴られたことはなかったものの授業は端的に嫌いでした(怖いんだもの)。で、その人のことが、塾内報みたいな小冊子のインタビューコーナーに掲載されたのを読んだ時の話。内容は忘れましたけれども、問題なのは写真で、よりにもよって赤ん坊を抱いた写真を選んで載せていたのを目にした時の生理的嫌悪感は、今でもはっきり覚えています。まさか、「たかが」良きパパ「程度」で塾生打擲が1mmでも相殺できると思ってるの? ちょっとだけだとしても本気で? って。
 「ワークライフバランス」という言葉がうっすら嫌いなのは、全然意味が違うのにこの時の嫌悪感を思い出すから。公と私とで絶対に人格は変えない、小5の自分との約束です。

 さて、第3回定期テスト3日目。本日も保健室受験はおらず監督業務無し……って、コロナ禍以来熱発その他の体調不良は「不敢登校」が原則になっているんで、保健室受験が居ないのがデフォルトになっています。それ以前は、どんな体調不良だろうが「敢不登校」こそ真面目という生徒(保護者?)が多かったんですけれども、さてこの「ニューノーマル」は、コロナ禍が過ぎたらどうなるでしょうねぇ。
 採点ガシガシ、会議が1件。

 午後は早めに退勤、一旦自宅に戻って入浴、着替えて出発。今夜は卒業生(63回生我らA組Iくん)とさし飲みのお約束。場所が福岡市なので西鉄電車で移動なのですが、その前に駅近くの美容院「G」で久しぶりに髪の毛をバッサリ。予約オンリーのワンオペ営業、ドチャイケ店長のKさんは今は育ち盛りのご兄弟のパパ、私は彼の独身時代からもう15年ほどお世話になっています。初期は趣味嗜好の話ばっかりだったのが、いつの間にかパパは子育て、先生(←恥)は学校教育のお話が中心になっていますね。「もりき」他の飲み屋の常連さんたちとは仕事の話なんて全然しませんから、考えたら職場関係以外でこんなに仕事の話をするのはここだけかも知れませんね(勿論、守秘義務は弁えていますよ)。
 私「そう言えば、最初の頃は縮毛矯正までお願いしてましたねぇ」
 K「懐かしい、池ノ都さん、相当髪の毛伸ばしてましたもんね」
 私「癖っ毛だからほっとくとヒラタケみたいな感じで横に広がってね」
 K「言ってましたねぇ」
 私「でもね、最近、癖が直ったのか、矯正無しの状態で髪が伸びてもあんまり広がらなくなってません?」
 K「……池ノ都さん、言い難いんですけど、それ、髪が細って弱って、広がる体力が無くなって来てるってことで」
 私「わぁ」
 K「付け加えれば量も減ってます」
 私「わぁ」

 西鉄電車で天神、地下鉄に乗り換えて赤坂。駅前の待ち合わせには10分前に到着、ピッタリ着のIくんと店まで徒歩10分弱の間に近況交換。某外資コンサルに勤務のIくんは本当は在東京なのですが、現在は福岡支社新規開設担当派遣で生まれ故郷に戻ってきているのです(……と、Facebookに書いたら彼の同窓の企業人某くんが「それって××社?」とピンポイントで当ててきたのに「社会人凄ぇ!」となりました)。メールで何となく「いつメシ」的なことを言ってたので、今回私が一度行ってみたいと思っていたお店にお誘い。2軒目以降があるなら泊まりかなぁ、と思っていたら、道すがらのIくんから「済みません、実は21時から緊急のオンライン会議が入ってしまって」と超イケメンな謝罪があり、私も健康に帰宅できることになり有難く(Iくんは飲めるクチなのですが、今夜は舐める程度になってしまってそれだけは残念でした)。

 というわけで、10/13は「自粛御膳」をお休み、福岡は赤坂の寿司「いでの上料理店」にて、63回生Iくんとさし飲み。
 地下アイドル経由(ということはオツカル様経由)で知った某ミュージシャンが絶賛していたのが気になっており、今回満を持して。カウンターオンリーの鮨懐石なのですが、店名から敢えて「鮨」の字を外して食材にもジャンル(和洋)にも拘らない創造性を追求するというスタイルなのだそう。入店早々、案内されたカウンター席から真正面の位置に見える日本酒の冷蔵ケースに、私「すいません、目が悪くて、あの瓶って『産土』ですか?」  店「はい、そうです」と最近のドストライクが入っていたので良いお店だというのが確定しました。
 ●河豚コンフィ・馬糞海胆・湯葉
 ●茶碗蒸し(茸・帆立)
 ●刺身(穴子タタキ)
 ●土瓶蒸し(松茸・銀鮭・蓮根真丈・ルッコラマコモダケ)
 ●西海豚【以上、お摘み】
 ●ガリ
 ●マダイ【以下、稲荷まで握り】
 ●ヤリイカ
 ●子持ち昆布
 ●シマアジ
 ●本マグロ
 ●車海老
 ●海老塩辛
 ●カマス
 ●雲丹
 ●鰻
 ●稲荷(細巻)
 ●卵サンド
 ●島原素麺
 カウンター横並びで飲みながら、Iくんとお話。高校時代には演劇舞台『女子高生』で日本一、現在もお忙しい仕事の傍ら大学時代以来の演劇活動現役継続中という行動力、公私反復横跳びの若者によるお話はオッサンには眩しい。高校時代に私の授業で解いた問題で忘れられないものがあるというIくん、「確か、自分の子どもが死んだ報せを聞いた時に自分の顔を鏡台の鏡で見て確かめた、っていう女優の」 さすが演劇部、それは北林谷榮のエッセイ「仕事について」で、11年前に校内模試の文系用に作った問題です。本は絶版かも知れませんが問題のデータがあるので、プリントアウトして直ぐに送ることに……と、翌日(貰った名刺を見て会社宛に)郵送手続きをした後、データをメールで送ればよかったことに気づきました。

 電車帰還、健康睡眠。

 追記。今日の日記のタイトルは広瀬香美の楽曲から。「超」がつくホラーソングです。