老いとは億劫との闘いです

 午前中は書斎で机仕事・書き物をしながら宅急便が届くのを待つ……んですけれども、日時指定だから仕方ないとは言え、今日のこの天気でクロネコさんを働かせるのは罪悪感、という程度の雪。積もるか積もらないか、K市では数年に一度のことです。しかも届けてもらうのが日本酒だというね。今回は、「日本酒チャレンジ」史上ベスト10に入るかどうかというお気に入りになった新潟「醸す森」を1本、後は未踏破の蔵のお酒が3~4本。

 11時過ぎに自宅に呼んだタクシーで、先ずは試験場前駅(ローカル!)へ。駅前の有名なラーメン店「M」までと運転手さんにお願いして、降りた後で入店するのはその向かいにあるピザ屋「W」、K市ではいちばんです。マルゲリータランチ、1400円にまで値上がりしてしまいました(200円のアップ)。サラダがちょっとサイズアップしてるのかな。ピザは相変わらず美味しい。
 ハリー・ポッター感のあるロングコートで、「W」から西鉄K駅まで徒歩10分強、コートは雪まみれになりますが、手で払えば溶けずにホロホロと落ちていくので濡れることはないみたいです(髪はちょっと濡れました)。西鉄K駅から天神までは特急で30分。バッグの中には文庫本が1冊、CDウォークマンにベストアルバム、そして勿論ライブのチケット。本日、福岡PayPayドームにて、私、エイターデビューします。

 開演16時のライブの開場が2時間前の14時だというんですから、さすがドームはスケールが違います。野球無縁の私にドームは縁遠く、初めて中に入ったのは今の馬鹿みたいな名前ではなかった15年ほど前のこと、演者はサザンオールスターズ。その時以来2回目で、前回の記憶もほぼありませんので、内部での動きがどのようなものか全く分からず、念の為開場と同時に入場をと早めに福岡に到着した次第。天神から地下鉄で西新、ドームの最寄りは違う駅らしいのですが西新駅で降りてそこから歩きます。理由は、ライブ後に63回生Mくん(彼はライブ不参加)と落ち合って飲もうと約束した店が西新にあるから。西新から歩いてドームに向かい、これは歩けない距離ではないということは確認できましたが、私の年齢とライブ後の暗さと天気の読めなさとを考慮してやはりタクシーで移動することを決定。となれば、退場で万単位の人間が大混乱するライブ後まで席に居続けるのは危なそう。アンコールはキャンセルだな、などと考えながら。

 14時15分前に着。開場前ながらドーム周りはお祭りの人出で、ドームや看板やを背景に自撮りに勤しんでいるエイター(本物)さんたちが大勢。自撮りさんは全員が女性、そのうちの半分は団扇を持ってます。前々から一度はジャニーズのライブにと思っていた私、勿論ステージ自体も楽しみなんですけれども、ファンがどのようなテンションでライブを観るのかというその観察もちょっと楽しみなのです。今回のライブ、コロナ禍以降では初めての声出しOKだとのこと。

 面白かったのは、ドーム前に至る階段を上りきった場所からドームまでの動線と垂直に交わる形で、グッズ売り場への行列が並んでいること。一定時間ごとにスタッフ4人が2本のロープで遮断機を作り、数十人のグッズ客を踏切の電車の如く通過させるんです(その間、階段の上でドームまで直進の客は一旦停止)。秩序だってるなぁ、ってかやっぱりみんなグッズ買うんだねぇと、のんき私。だって、ほぼ10000円のチケットですよ、学生お小遣い組のファンにはなかなか手が出ない値段ですよ、その上まだグッズを購入ってのは、愛ですよねぇ……
 ……と他人事だった私。しかし実際は愛どころかほぼ義務、観客はERライト(制御型ペンライト)を振りながらライブを観るのがお約束だったというのを知るのは1曲目が始まってからのことでした。ライトを持たずに2時間仁王立ちだったロングコートのおっさん一人はさぞ不審だったことでしょう、両隣のエイターさん、ごめんなさい(でも、ロングコートのおっさん一人がライトを振りたくってるのもそれはそれで不審だったはずです)。その制御型ペンライト、入場後に色々と設定をしないといけないらしくて、開演を待ってる間の2時間はステージの大スクリーンでその操作方法がずっと流されてて、開場見回りのスタッフさん(大勢!)が操作に困ってそうな人に次々と声かけをしてて、というのは気づいてたんですけれども、まさか全員が持ってるとは想像だに。
 因みに、開演を待ってる2時間はアホほど暇でした。何だか本を読む気分にはならず、売店で購入したホットコーヒーを飲んだ後は、場内をずっときょろきょろしながら2時間の徒然。場内寒いし(ロングコート着用)。途中、一度だけお手洗いに行くために立ったのですが、ドームのトイレって本当に広いですね。びっくりです。そして、広大なトイレに私しか居なかったのにもびっくり。観客の男女比、多分1対999くらいだったと思います。その「1」の中に一人で乗り込んできた酔狂は何人いるんでしょうねぇ(あ、「酔狂」と言えば、ジャニーズだからなのか、コロナだからなのか、売店のアルコール販売は全て中止でした)。

 さて、PayPayドーム。会場内は意外に狭くて、後方スタンド席(1塁側スタンド6通路39列293番、って何だかもう席番号がシュールです)からでもステージがよく見えました。しかも、電車やら車やら色々な乗り物を使って会場内を5人がぐるぐる回って(こっちまで来て)くれます、というか、メインのステージが可動式になっていて開場中央まで動いてくるんです(これは、終盤の5人によるバンド演奏の時)。大スクリーンには5人の全身や顔アップやがリアルタイムでずっと映っているという至れり尽くせり。
 で、ライブが始まったら、大スクリーンに映る5人の姿がもうキラッキラしてるんです。顔・スタイル・ダンス・歌・演奏の全部がですね、メンバーは私と同世代(大倉くん除く)のはずなんですけれども、何というかもう「霊長類ヒト科」くらいまでしか共通点がないという輝きでした。

 1曲目のタイトルは辛うじて覚えています。「歓喜の舞台」、久しぶりのライブにこれ以上相応しいオープニングはない、という題名。曲名・年度・歌詞は場内に幾つか配置された小スクリーンに出てくる仕組み。実際、俄で購入したベスト盤の中の曲を除けばちゃんと聴いたことがあったのは「ズッコケ男道」くらい、中盤で差し込まれた事務所お家芸のジャニーズメドレーコーナーの曲の方が知ってる打率が高いという(「シンデレラ・クリスマス」「まいったネ 今夜」「寿司食いねェ!」「たよりにしてまっせ」「台風ジェネレーション)。そうそう、「寿司食いねェ!」は「肉食いねぇェ!」という替え歌になっていました。ステージに即席の焼肉屋台が登場して、幟にはどこかで観たような絵柄と字体とで「肉貴族」と。途中のMCで、横山くんが大倉くんは最近割と「貴族」を押し出してるとツッコんでました。
 そのメドレーの後、オリジナルのウィンター・ソングのイントロが流れ出した瞬間、隣の女の子が「無理……」と言いながら号泣し始めました。良かったねぇ。彼女、号泣しながらペンライトを振ります。私、地下アイドルの絵恋ちゃんのライブでしか「ヲタ芸」を見たことがなかったので、地上のファンはこんなにも上品なのかと殆ど呆気にとられてしまいました。

 途中で2箇所、寸劇(?)みたいなキャラクターコーナーあり。「エイトレンジャー」の方は知ってました。5人のうちの誰がリーダーなのかを言い争うみたいなコントがあって、ジュニア(キャラクター演じたりバックダンサーやったりソロコーナーがあったり忙しい!)が演じる悪役と戦うみたいな(あんまり覚えてません)。もう一つは、関ジャニの妹分という設定の「キャンジャニ」、横子・村子・倉子(←最近パパ活始めたそう)・安子・丸子の5人で新曲「ないわぁ~フォーリンラブ」をお披露目、作詞は秋元康(けっ)。声出しOKの今回のライブ、MC中にファンが最も大きな声で叫んだのは、この5人が地上波のTVに出演するというサプライズ発表(司会の南キャン山ちゃんが相当絡みにくそうだったらしい)で、次に大きかったのはそれが福岡では放送されないという報告の時でした。
 というかですね、ご贔屓さんばかりの客席だとはいえ、万単位の客入りのドームで、コント・MCで爆笑掻っ攫うって、そんなお笑い芸人さんって居るんですかね? もしかしたら本当に日本の芸能人の中でもこの5人だけなんじゃない? と心底感心してしまいまして。

 終盤のバンド編成数曲の後、最後に5人の挨拶。横山くんが、ファンの声が聞けて嬉しい、次は(マスク無しの)笑顔が見たい(大意)、と言っていたのが印象に残りました。デビュー18周年だから『18祭』、コロナ禍を乗り越えて8がつく周年記念のライブが開催できて良かったなぁ、と最後の曲「ひとつのうた」を聴きながら。
 しみじみはしたんですけれども、最初の決定通りアンコールは見ずに(トイレ行かせて~、みたいな体で)席を離れて開場を後に。開場を出た通路はまだ真っ暗、私のような不届き者はほぼゼロみたいで出口を目指している人間は私を除いて1人2人、まだ閉まっていた出口をスタッフの方に開けてもらい(帰りの電車がありますの~、みたいな体で)タクシー乗り場へ。雪はほぼやんでいました(でも、寒いこと寒いこと!)。

 西新の炉端「K」に19時、アンコールを観ずにタクシーに乗ったらMくんと約束した時間の約10分前に到着、遅れなくて良かった。幹事は近くに住んでいるMくんにお任せしておりこの店に私は初入店。人気店だと聞いていました(実際、どのメニューも美味しかったです)が、私たち2人が乾杯をした時は席は疎ら……で、後から女性お2人様が何組もご来店なさってドーム後の予約満席だということが知れました。
 PayPayドーム前の大病院で研修医のMくんに、今日の5人が凄かったんだよ~、という話を(割と小さな声で)していたら、隣の女性2人から「お二人でドームへ?」と話しかけられまして。私だけ42歳になってお一人様エイターデビューだということを(恐る恐る)お話ししたら「「それは素晴らしい!」」と滅茶苦茶なウェルカム感、少しお話が弾んでしまいました(とは言え、私は知識ゼロなんでとにかく「抽象的に」感想を述べるしかなかったんですが)。
 Mくんの胃カメラ初体験の話(Mくんは関ジャニ、じゃない患者に胃カメラをツッコむのが仕事で、だったら一度は自分もやっとけ嘔吐いとけ、と私がず~っとせっついてたんです)だとか、向こうの用意してくれた2人だけの話題もあったんですけれども、今夜は何だかずっとドーム寄りの話題に終始しちゃって申し訳無かった。次の新年会(?)ではちゃんとトークを転がします。
 西鉄天神までのタクシーはMくんがアプリで手配してくれて令和。

 特急は30分立ったまま、座ったら寝るのは分かりきっています。西鉄K駅から自宅までの道もタクシー、帰宅後は即就寝。