上野から池袋、山手線で15分強。東口を出て5分歩けば9時になる時間を計算してホテルを出ました。開店と同時に入店するのが上京中の「日常性の維持」、今朝も一日を「マーメイドコーヒー」で始めます。アイスコーヒーを淹れていただく短い間に4組並んだお客さんの会話は英語・中国語。読書とSNS更新で50分の滞在。
東口のもう一つの「聖地」は「ジュンク堂」本店で、店の前には開店10時の2分前に到着。オープンの時間が正確なのが良いですね。今朝は、移動の都合があって滞在僅か40分の一本勝負。探索は4階(人文書)・3階(日本文学・新書・文庫)・地下1階(コミック)に限りました。地下1階からエレベーターで4階、エスカレーターで3階。各フロア10分ずつの滞在ですから殆ど何も出来ないに等しく、籠に入れた購入本はたったの9冊です。1階レジに到着した時に有人レジが封鎖されているのには思わず「あっ!」と声が漏れました。セルフレジでの会計は初めてで若干手間取る。配送手続き後は直ぐに店を出て、小走りでバス停まで。傘を差して(そう言えば書いてませんでしたが、今回の東京はぐずついた天気で、折りたたみ傘を差して歩く・走ることが多かったです)走るのは難しいですね。あと、積ん読は恥だと思いませんが、積ん読中の本が文庫落ちしているのを見るのはちょっと辛いですよね(「積ん読あるある」なんじゃないかと)。
池袋から浅草へ、都バスで長い移動をしようというのが今回の計画。昨日の日記で東京は歩いて楽しいと書きましたが、古市(憲寿)ちゃん曰くの「ちょっと上から目線」で街並みを楽しむのもまた良き、なのです。
ローカルのお店、K市にもあるチェーン店や大企業店、それらがモザイクになった車窓を1時間程楽しんで浅草に到着。浅草では、お酒を覚えて以来四半世紀で僅かに2度目の体験を予約しています。
大人気店だという「甘味みつや」の2階席、畳敷きテーブルで店前の通りを見下ろしつつ、予め予約注文しておいた御膳を待ちます(予約はサイト「TableCheck」のみでクレカ支払い済、というのが全然甘味屋っぽくないですが)。
程なくして最初に届いたのは小さなお盆。乗っているのは、抹茶・焙じ茶・塩昆布・唐辛子瓶・黒蜜・おしぼり。そして次に届いた大きなお盆に、甘味小皿が3×3=9皿載せられています。商品名は「みつや小皿御膳9種・抹茶付き」、税込2800円。
小皿9種は、温白玉3種(粒餡黄な粉御手洗)・錦玉羹・ミルクアイス杏乗せ・焼き芋・苺・寒天・おかき。直前にバス車内で読んだ『生類の思想』の中に石牟礼道子「から藷を抱く」の引用があったために「焼き芋の口」になっていたところ、見事に間拍子が合いました。御手洗餡は小皿を舐めたい程の美味(と書いたら、舐めてはないんだなと思っていただけますでしょうか)。
因みに、飲み始めて以降2度目の甘味満腹体験、1度目は2022年「ユーミン展」の後のアフタヌーンティーで、今回はそれ以来4年振りのことです。
焼き芋で満足なので追加に里芋は勘弁、浅草の芋洗いを離れてかっぱ橋の道具街を見物。浅草ほどではなかったですが、こちらもヨーロッパからの韓国客が大勢。食器・食品サンプル・和食(例えば蕎麦)専門の道具……様々な店舗が客の気を引いていましたが、外国からの観光客の人気を殆ど一手に集めていたのはやはり刃物屋(和包丁)でした。私は、箸の専門店で、沖縄産の24cmのものを購入して自分用のお土産に。
上野に戻って公園口、上野「東京藝術大学大学美術館」にて、特別展『日曜美術館50年展』へ。私は『日曜美術館』の良い視聴者ではないのですが(情報は、Twitterを通じてまっぴぃからしょっちゅう入ってきます)、それでも強く行きたい企画でしたし実際に素晴らしかったです。
過去に番組に登場した作品・作家を並べて、解説の代わりに番組の出演者コメントや番組映像を添える。展示は古今東西の芸術の(あくまで「日本から見た」ものではありますが)ベスト盤の趣で、それでいて総花的に感じさせなかったのは番組(映像)の統一性故、即ち継続(蓄積)は力。因みに、展示出口には2500回を超える放送の全リストが掲載されていて圧巻でした。
私が好きな作家だけでも、ルドン・ルオー・松本竣介・長沢蘆雪・月岡芳年・志村ふくみ……等々。映像では、岡本太郎がピカソを語ったり、水木しげる翁がルドンを語ったり、舟越保武が松本竣介を語ったり(←これは胸に迫りました)、その息子の舟越桂が父を語ったり……等々、本当にきりがありません。午後の殆どの時間をここで費やしました。
因みに、志村ふくみが話す映像を初めて観たのですが、語りが完璧で殆ど驚倒しました。声の響きは美しく、言葉は(口から出てくるものなのに)一語一字の無駄のない詩のようで、要するに「歌」だったのです。いや、凄いもん観た。
ホテルに戻って入浴。着替えて出発、今回の上京ハイライトは大塚エリアの日本酒バー「H」初訪問。日本酒仲間の61回生Hくんを誘ったら「年度切り換え当日の社会人が付き合えるかヴォケッ!(大意)」と言われたので、ヤクザな自営業のKくん(東大クイ研2期下)を誘いました。3月の訪問ならオンライン予約が1月1日からというシステムなので、元旦は5時頃から文字通り「食べログ」に張り付きながら朝飲みをしたのです。
見つけたのは雑誌にて偶然。拘り抜かれた日本酒フリーフローのシステムに加えて「八寸」が出るというのに飛びつきました(ワンオペの料理が10品20種も!)。結果、再訪必至の大満足。
L字カウンター8人、19時一斉スタート3時間。マスターワンオペの創作和食のコース料理、日本酒ペアリング。開始1時間で供される八寸と同時に、日替わり日本酒12種類のフリーフローがスタート(他、店内常温保存の日本酒も飲み放題)。13000円。本日の料理は、以下。
①蓮根(素揚げのチップス)
②苺・ブルーチーズ(紫芋のモンブラン)
③白子・オレンジ・ミント(河豚白子の出汁漬けマリネ)
④蛍烏賊・トマト(蛍烏賊ペースト餡かけの茶碗蒸し)
⑤八寸(浸し豆/ローストポーク/水茄子/公魚/鰹/筍/小松菜/浅蜊)
⑥揚げ豆腐(えんどう豆)
⑦金目鯛・雲丹(燻製焼きリゾット添え)
⑧黒毛和牛(グリル味噌ソース)
⑨鰯煮干し(素ラーメン)
⑩甘味(桜アイス/白玉黄粉/胡桃ローストチョコ/黒豆茶)
飲み放題12銘柄は、「花邑」「玄宰」「山の井」「壬生」「鳳凰美田」「山三」「菱湖」「羽根屋」「田光」「天穏」「誉池月」「龍勢」。
料理はどれも絶品で、食材オンリーのメニュー表からの想像を斜め上からすかすタイプ。それとは反対に、ペアリングの日本酒は素直で、苺にピンクの「尾瀬の雪どけ」を合わせたり、トマトの酸味に「舞美人」の酸味を沿わせたりと、相反をぶつけたりはしない様子。或いは、揚げ豆腐と出汁割り「廣戸川」で揚げ出し豆腐風とか、桜アイスに古代米の「旭興」でアフォガード風とかの足し算。
ペアリング・フリーフローに未踏破蔵はありませんでしたが、店内常温保存の瓶に2蔵も未踏破があってもう完全にお見それしました、とシャッポ。結局20蔵以上の酒を飲んで5合なんかじゃきかなくて、しかも「鳳凰美田」「悦 凱陣」を燗つけにしてもらうなど(「もりき」で言ったらどつかれそう)無法放縦の飲んだくれ方をしているのに最後まで頭は冴えてて、翌朝の目覚めもスッキリで、それでいて払う金額は例えばK市一の懐石「G」より安くて、と殆ど完璧です。その日に使った30本近くの一升瓶がカウンター前に並べる最後のカーテンコールなんて外連味も「ありかな」って思いましたもんね。
880蔵目・長野「本金」(純米 無濾過生原酒)。
881蔵目・岐阜「美濃錦」(山廃純米)。
東京・佐賀を反復横跳びしながら会社営業のKくん、積もる話も無いわけではないのに、結局3時間ずっと酒が料理が美味しいという感想を言い合って終わってしまいました。それ以外の話題といえば、私「その手の包帯、どうしたの?」 K「転んで折っちゃって」 私「酔って?」 K「いや、素面です。気をつけないといけない歳なんですよ~」というのだけ。「転んで」が「コロンで」に聞こえるくらいシュッとしたイケてるくんなんですけど、「歳」とか言うようになったんだねぇ。
で、満足しすぎて2軒目不要なんで、積もる話は佐賀でしましょか、ということに。5/16(土)に森山良子のライブで佐賀に行くので、その夜のサシ飲みをお約束して別れました。
ホテルに戻って健康睡眠……の前に、コンビニで買ったビール(500ml)を1缶だけ。飲みながら、61回生Hくんに連絡。夏上京では絶対に一緒に行く、飛ぶぞ。