ぽつん

 学校図書館の入り口横に、超ベテラン美術先生(ご退職後、現在は非常勤でご勤務)の絵画作品が飾られています。これは、66回生卒業生からの贈呈。先日の卒業謝恩会で渡されたお土産の中に、八女「喜多屋」酒造の純米大吟醸「燦燦」33%磨き、が入っていたのですが、ラベルはこの絵画作品を使った特注品でした。「喜多屋」がF校生の後援会でいらっしゃるご縁とのことです。

 本日は授業が5コマなので忙しい一日。伊東俊太郎「科学と人間」は81年の文章なので今から読めば少し古いのですが(特に、題材が自然科学と技術とであれば、この30年間の違いは大きいですよね)、通じないものではないどころか倫理的には今も生きている文章だと思うので、教科書外から引っ張ってきて我儘な授業をするのです。本日は、漢字の試験と冒頭1/3の解説とを。解説型(講義型)の授業はこの教材で終わり、高3からはセンター・二次の過去問を解いてその解説をするという形式の授業に変ります。

 夜は、母君がお休みになった後で家を出て、自宅徒歩5分の居酒屋「A」にて読書独酌……をしていたら、携帯に着信があり何故か発信は先日までお世話になっていたリハビリステーションからでした。何が、と電話に出たら、以下の通りの説明が。
 ・母君が携帯と自室の鍵とを持たない状態で外に出てしまい(エントランスは自室の鍵が必要なので)マンションに戻れなくなった。
 ・仕方がないのでマンション横のケーキ屋に助けを求めた。
 ・携帯がなく連絡が取れない&誰の電話番号も分からないので、リハビリステーションに電話をしてもらい、その仲立ちで私に連絡が来た。

 一人鍋(すき焼き)の〆にうどんを作ってもらっていたその火を止めてもらい、タクシーを呼んでケーキ屋まで。店員さんにお礼を述べて母君(イートインのコーナーでコーヒーをごちそうになっていました)を引き取り、取り合えず家に入れました。聞けば、宅配がマンションの入り口まで来たのにインターフォンの受け方が分からず、仕方なく入り口まで出たら宅配員は既に帰っており、気づけば携帯・鍵を持たないまま締め出されていた、という流れ。
 呆れる他はない、と責められるのは母君ではなく私で、インターフォンの受け方をお教えしていなかったのですね。取り合えずそれをお教えして、宅配は電話をして職場転送にしてもらいました。母君は見知らぬ他人をひどく嫌う(警戒する)傾向をお持ちなので、取り方の分からないインターフォンが鳴り続けるのは恐ろしかったことでしょう。

 母君をお布団に戻した後は、待たせていたタクシーで「A」に戻って〆のうどんを改めて作っていただきました。えぇ、食べ物をうっちゃって店を出るような真似だけは絶対にしません(タクシー代、めっちゃかかったけど)。

決して紙ヒコーキはだめ

 友井羊『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 想いを伝えるシチュー』読了、★★★★。

 3時前に目が覚めたので、書斎でデスクワークをしたり、3月末(春休み)・4月末(黄金週間)の上京旅行のオンラインでの申し込みを色々。「のぞみ早得」がなくなったこと、楽天のツアーにお気に入りのホテル「S」(池袋北口)が組み込まれていること、の2点を受け、どちらの旅行も飛行機往復の楽天ツアーを利用することにしています。ちょっと前だと考えられないことですが、まぁ新幹線の切符を安くかつ(ここが重要ですが)簡単に予約出来る方法があればそっちに乗り換えます。

 1限は数学テストの監督、2限は学年会議。その後、自宅にUSBを忘れたのでそれを取りに徒歩で往復(タイムロス)して職員室デスクワーク。5~7限が高2の授業(試験返却)で、放課後はセンター形式で行った実力テストのマークシートを機械にかけて採点・集計を行いました。18時に学校を出て「もりき」経由で帰宅。20時過ぎの自宅内は真っ暗で、母君はお休みの様子です。

 そう言えば、11日(日)に迫るTQCの35パの案内メールが(年頭の参加申し込み以来)まだ届きません。念のために2月末に送ったメールの返信も来ません。ん~、もう飛行機・ホテルは押さえたから上京はしますけれども、果たしてパーティーは開催されるのでしょうか。会場の学士会館に電話で尋ねたら、一応11日は70人規模で予約が入っているというのですが……。

Vive L'amour

 友井羊『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』読了、★★★。料理屋を舞台に「日常の謎」というのは一つのジャンルで、筆者の作品を読むのはデビュー作『僕はお父さんを訴えます』以来なので6年ぶりでした。

 授業は1コマで定期テストの返却。担当の先生のご病気で急に1コマの穴があいたので、その間にHR活動を行い、来年度のB組の「男く祭」コーラス大会の委員・伴奏・指揮・曲目の決定へ向けて話し合いを(勿論、担任は見ているだけで全ては生徒主導です)。amazonに注文した伊東俊太郎『科学と現実』が届いたので、その中から授業プリントを作成。これで、仕事は完全に軌道に乗りました。1~2月のやや長めの不調は払拭できてるかなぁ、という体感。

 夜は、最近のお気に入り「T」で読書独酌。すっかり顔なじみになった店員さんに薦められてポイントカードを作成してしまいました(市内にたくさんある系列店の全てで使えるとか)。

奥のカウンター まるで人生

 「もりき」入店は11時45分だったのですが、遅い時間帯ほど盛り上がる店なのでカウンターの空きは1席のみでした。常連Kさん、マスターとは30年来の付き合いという自衛隊OBさんとその奥様、OBさんの元部下に当たる(偶然の同席だそうです)現役自衛隊コンビ……って、Kさんも自衛隊OBですんで、私以外は全部そっち関係のお客さんなんですね。
 ご夫婦のお客様はともに酒豪らしく、スーツと着物というきちっとした格好をしているのは夕方に文楽を観に行ったからだそうですが、私が入店した時点ではかなり酔っ払ってお出でで格好と呂律とのギャップが。それでも、あと15分で旦那様の方が誕生日だということでそこまでは粘る、と奥様(仲良しですね)。奥様とは初対面で、マスターが私のことを東大卒のF校国語教師だと(やや余計な飾りをつけて)紹介したら、まじまじと私の顔を見てから「……頭輪って脳を見たい!」と仰るような方でした。「あのですね、今カウンターに座ってる人、全員そういうことを出来そうな方達なんで、そういう物騒なことを仰っては」
 その後、奥様が母君と同じ介護の現場で長く働いておられるなどの偶然もあり話が弾み、且つ日付跨ぎのハッピーバースデーでマスターが取り出した白ワインがカウンター全員の酒欲求を再点火したなどの展開の果て、マスター(随分酔ってますよ)が「解散しようか」と言い出したのは2時を大きく回った頃でした。3時間弱も店に滞在するのは私には珍しいことで、その間の肴が突き出しとクジラ刺しだけだったのも珍しいことです。

 帰宅後は泥のように眠り、目が覚めたのは7時半。前日夕方に寝だめしていた分、夜の睡眠は短くて済んだのですが、飲み終わって4時間ですからまだ酔っ払っているようなもので、「お茶でも飲みますか?」と寝室をのぞきに来られた母君から「お酒臭い!」と叱られてしまいました。

 入浴後は自宅書斎でデスクワーク。本日は、母君と昼食をご一緒するお約束です(引っ越して一週間ですが、ゆっくりとお食事のような時間が殆ど取れませんので)。お店は、市内の日本料理「G」です。
 このお店、63回生Nくんママが「今、K市でいちばん美味しい」と仰る。本当は、私の初訪問は是非ご一緒にというお話しだったのですが、口約束を破って母君とカウンターに並ぶことになりました(狭い個室がありましたが、カウンター5席が貸し切り状態だったのでそちらを選びます)。Nくんママには、今度謝っておきましょう(或いは、夜は初訪問という言い方でお茶を濁すか)。

 完全予約制のお店で、ランチは3500円(税込み)。大きさは全然違いますが、店内は「梅の花」をもう少しモダンにしたような非日常空間。料理人とその奥様との2人で営業しておられるそうです。夜は6000円・8000円・10000円のコースだそうで、店奥の個室が8人定員(これが12人定員だったら、3月末の67回生年度慰労会に使えたなぁ、などと)。
 ①「旬」…蓬豆腐・菜の花
 ②「向付」…鯛・針烏賊・飯蛸(他七種)
 ③「替り鉢」…公魚・玉葱・針葱・若布
 ④「天麩羅」…筍・タラの芽・こごみ・宮古ぜんまい・野蒜・行者蒜
 ⑤「粒」…強飯・玉子・しらす・絹莢・人参・蛤
 ⑥「汁」…赤出汁
 ⑦「水」…苺・抹茶ゼリー・ミント・酒饅頭
 記憶頼みでお料理は以上。料理から器から全てが繊細の至り、全ての皿を写メって(下品)、即座に事務嬢さんにお送りしました(是非、何かの機会に旦那様とご一緒に、と)。1時間超の滞在でゆったりお話しができましたし、何しろ「超」のつく偏食小食の母君が⑦のデザートを除き全てを召し上がったというのに驚かされました(赤出汁が少し辛く感じた以外はとても美味しかったとの言、安堵)。

 ランチの後、母君をタクシーで家までお送りして私はそのまま学校へ。デスクワークを夜までやって、夕食は軽めに済ませたかったので市内の小料理屋「A」へ。Nくんママの大親友でいらっしゃるAさんも勿論「G」の常連で、初訪問の感想を聞いて頂きました。で、飲めば小腹も減るもので、夕食は軽めにどころか帰りしなにラーメンなど啜ってしまい(店は、最近のF校生のソウルフードと化している「M」)。あ、そうそう。木曜日に63回生関係の飲み会(教員3人・卒業生4人)が入ってその幹事を命じられているのですが、店は今日行った「A」の隣にある魚料理の「U」を選択。直接店に行って予約をしときました。

蘇る大食伝説

 テスト明けの本日から再び「日常性の維持」ですが滑り出しの初日は土曜半ドン授業で肩慣らし。ただ、高2生徒(高3が卒業したので、昨日から事実上の最高学年ですね)は新年度4月の「男く祭」に向けて色々と動き出している様子です。「様子です」というのは他人事扱いに見えるかも知れませんが正に「他人事」で、F高「男く祭」は資金まで含めて全て生徒運営に任せる行事ですので、生徒指導部の先生(世界史・体育)はともかく私などはほぼ部外者の立場ですから口出し手出しをすることは一切ありません。
 私の方は授業が1コマで、これは定期テストを返却してセンターの過去問を演習させるだけなので楽(昨日ノンストップ12時間で採点・集計を終わらせた仕事の見返りと思い、テスト明け初回の「授業もどき」を恥じる気持ちを抑え込む、みたいなのが恒例になってます)。半ドン終了後は、林達夫『歴史の暮方』(中公文庫)をバッグに入れてタクシーで学校を出発し、63回生我らA組Eくんと繁華街で待ち合わせしました。頼まれていた本を私がてら、Eくんの爆食芸を堪能するという趣向。

 ランチで何を食べたいかと聞くと「魚」という返事。確かに東京から帰ってきたら(Eくんは東大教育学部です)こっちの魚が食べたくなる気持ちはわかるけれども、ランチでってのは意外に店の候補が少ないんですよねぇ、という中で選んだお店は魚料理「U」。ここは、桶盛になった「本日のおススメ」から1匹を選んで塩焼き・煮つけ・唐揚げのいずれかにしてもらう「本日の鮮魚ランチ」というのが名物なのです。
 後で車を運転するというEくんはお茶、私は当然瓶ビールを注文して、ランチのメインは私がカレイの塩焼き、Eくんがアラカブの煮つけ。Eくん用に、2人前の刺し盛を別途注文しました。ランチには小さな刺身が(4切れほど)ついていますが、そんなもので満足する「爆食芸人」ではありません。私がビールを飲むペースでEくんが米をお代わりしまくり(私はご飯は遠慮しました)、味噌汁はお代わり不可ということで私の分を彼に回し、メインが魚の煮つけだけでは足りるはずもないEくんのためにエビフライを2本追加注文して(私は尻尾だけもらいました)、その後別の種類の魚を塩焼きにしたものも追加注文、更にその後で一人前のパスタまで食ってますからね。以前、飲み会で同席した(同じく63回生A組の)Bくんが彼の食べっぷりをみて胃の調子が悪くなったというエピソードがあるのですが、まさにうべなるかなです。
 話は教育学部でのエピソード、今後の進路(卒論とか就活とか)のことが中心で、毎回そうですけれども好奇心おばけのEくんとのトークは1軒では終わるものではないので、二次会は西鉄K駅構内の喫茶店へ。私がビールセット(ビール2杯と小さな料理2品と)を注文したらEくんが「まだ飲むの!?」と驚いていましたが、こっちから言わせたらデザートとか言いながらパフェ注文したお前の方がよっぽどオカシイだろってなもんです。

 帰宅後は懇々。母君には昼酒を叱られてしまうやも知れませんので、そぅっと玄関をくぐりそのまま入って左の寝室へ、という流れ。なんだか「二人暮らし」で、ベッドに入ってから少し笑ってしまいました。
 目が覚めたのは21時で勿論母君はぐっすりの時間。取りあえず風呂に入ろうとお湯をため、待っている間にとある本を開いたら十数ページ読んだ箇所がそのままF校入試に使えそうなものでびっくりしました。即座に寝室から書斎に移ってPCを開き、F校入試国語と同じ体裁で本文を打ち込んだ後、読みながらぼうっと線が浮かんでくるように思えた箇所に傍線を引き、ついでに設問を作ってみたらこれが完璧かどうかは措きますが兎に角一つの形で完結している(難易度を無視すれば久しぶりに「当たり」の作問です)。
 興奮しながら風呂に入って(作問をしている間に一度湧いたお湯が冷めかかってしまったので「追い炊き」をしました)、風呂上りに祝勝会気分で「もりき」に出かけたのが23時40分でした。というわけで、「もりき」以降の話は明日の日記の記述になります。

買ひし冊子もまだ白紙のまゝなるは

 健康起床5時30分。入浴の後、ほうじ茶を入れてから母君を起こして、二人でお茶請けの煮豆とおきゅうととを摘まみました。朝食とも言えないレベルですけれども、朝昼を食べる習慣のない私のような人間からしたら生活の革命です。私の終業時刻が母君の就寝時刻であり、夜は絶対に時間が合わないので、朝のひと時が貴重なんですね。
 7時過ぎに学校着で、半ドンのテスト最終日は高2現代文の出題、及び他科目テストの監督。放課後は、職員室でノンストップの採点作業です。現代文の試験は、記述式で答える設問を青で採点して集計、記述式以外の(知識や穴埋めや記号の)設問を赤で採点して集計、とタイプに応じて採点の色を変えています(今回は、記述式37点、非記述式38点の計75点がテスト点でした。残りは平常点です)。大した工夫ではありませんが、得意苦手の傾向が見えることもあるかなぁ、とこれは最近始めてみた「遊び」です。あと、今回は出題範囲が「舞姫」だけで、特殊教材故に予想していたことではありますが、ほぼ空欄の(授業に全くついて行けない、もしくは行かない状態だったと思われる)生徒がおり、赤点(39点以下)が2人出てしまいました。ただし、年度5回の定期テストの平均点が赤点の(現代文の単位を落とした)生徒は居ませんので、春休みの追試・レポート・補講等の処置は不要です。

Oooh きっと来る きっと来る

 昨日は定期テスト3日目でしたが、本日は定期テスト4日目ではなく、高校卒業式です。定期テスト4日目は明日。高1以下の4学年は自宅学習(定期テスト勉強三昧、のはず)で、高3は卒業生として、高2は在校生として式に出席します。式自体は1時間ほどで終わり、高2は即座に帰宅して試験勉強。高3は食堂で祝宴があった後で下校。明日以降も、後期の勉強他様々な理由で生徒は学校に来ますし、何よりまだ前期試験の発表が始まっていないですので「卒業感」はそこまで強くは湧いてこないでしょう。「一応の」区切りってとこですね。卒業生総代の送辞も笑いが絶えないユニークなものだったし、新校長先生のお言葉にも生徒は盛り上がったしと、「粛々」とか「感涙」とかからはやや遠い式……の最中に高3担任団の一人(後輩)が大号泣しているのを見て絶句、後大笑い。「スプリンクラーかよっ!」 聞けば、生徒大うけの送辞の途中から涙が止まらなかったとのこと。まぁ、思い入れってやつか。しかし今からこれじゃあ、合格発表の時は大変なことになりますね。

 高2生徒が帰った後、昼から高2担任団は学年会議を。3月(年度末)の予定を確認しました。
 一旦帰宅して風呂に入り、着替えてタクシーで市内のホテル「S」へ。卒業式後の恒例行事、卒業謝恩会に出席です。謝恩会は保護者理事を中心に高3の保護者が企画し、管理職及び担任団を迎えて行うのですが、担任団ではない授業担当者にも案内状が配られるのですね。もしかしたら単に授業だけの教員は出席をお断りするのが礼儀なのかも知れませんが、私は誘われた飲み会には必ず行くというルールで生きていますので、毎年毎年ひょこひょこと出かけていくのです(56回生以降、ある学年を除く全ての学年で高3の授業を担当していますので、それら全ての謝恩会に出席している計算です)。
 ホテルの大広間での謝恩会、私は担任団ではなく「通りがかり」「部外者」の立場ですので、あまり多くの保護者に話しかけられることもなく、ゆっくりとコース料理を味わうことができました(担任団、特に担任の先生方の前にはビール瓶を持ったお母さま方が長蛇になっています)。出席した全ての教員が「3分間スピーチ」をするのですが、何しろ私は「通りがかり」「部外者」の立場なので積もる話もあるわけでなく、壇上から卒業式号泣の後輩先生に「別れと思って泣いていてもヤツら(卒業生)は還ってくる、彼らはきみのことを偶然手足のついている財布くらいにしか思っていないんだから、今のうちに小金を貯めて、彼らにご飯やお酒をおごってやる準備をしておきましょう」と声かけ(今日の謝恩会に参加した主目的はこれです)。

 謝恩会終了後、担任団を中心に二次会を開くということに決まったので、市内のフレンチ居酒屋「L」を予約。二次会コースでワインを飲みながら歓談。謝恩会が16時~19時なので、二次会が終わった時刻も22時前と早かったのですが、高3担任団と違って私は明日が普通の出勤(定期テスト4日目にして高2現代文の出題・採点)なので、三次(惨事)会には行かずにタクシーで帰宅しました。

30を過ぎた頃から…イライラするッ!

 木原浩勝『九十九階段 第十夜』読了、★★★。

 何というか、私の舌が回るのと子ども(生徒)を甘やかすのとは遺伝なのだなぁ、としみじみ。同居以来、お礼だとかお詫びだとか何らか理由をつけて、母君は私に「お小遣い」を渡したいご様子なのです。
 私「あのですね、37歳ですよ? 今更お小遣いとかいう年じゃないのは解るでしょう?」
 母「何言ってるの。37年も生きて私との歳の差一つも縮められないのに」

 4月の業務スケジュールが大体判明しました(高3担当で「男く祭」を控えているので、激忙しいだろう上に細かい動きが読み難かったのですね)。で、7・8日(土日)は7日の夜だけ仕事がなく、シティプラザに『ラ・カージュ・オ・フォール』を観に行くことができます。電話でHさんにお尋ねしたら即答で行きたいというお返事だったので、チケットを2枚確保することに。年末発売の人気公演ですので良席は諦めていたのですが、シティプラザの窓口まで出張ったらまだ1回のSS席が少しだけ空いていました。

 58回生Eさんがご結婚なさるとの報(御目出度う御座います)。で、彼女の友人Yさんから、余興の映像に用いる教員一同のビデオメッセージを収録したいという依頼が(こういうお仕事もあるんですよ)。最近はスマホで録画、はい送信、と何でも簡単にできてしまうので断るのが難しいんです。百閒先生の「イヤダカラ、イヤダ」(芸術院会員推薦辞退)とか、井上陽水の「恥ずかしい」(紅白辞退)とか、問答無用で断るというのも出来なくはないんですけれども、そこまではねぇ。
 「37歳独身、最近、最早一周回って心の底から純粋に言えるようになりました! Eさん、ご結婚御目出度う御座います!」
 横で見てたクラスの生徒にクスクスと笑われてしまいました。

 定期テスト3日目。午後は定期後の授業準備。春休み前に3回分の授業が残っていますが、教材として何を扱おうか少し考えて伊東俊太郎『科学と現実』などどうだろうと思いつき(少し古いですが)、手持ちの本は散逸しており学校図書館にも収蔵されていないためにamazonで検索したらヒットしたので、そのまま学校まで配送手続き。
 そうそう、林達夫『歴史の暮方 共産主義的人間』(中公クラシックス)って、いつの間にか絶版になってたんですね、知りませんでした。しょっちゅう飲んでる63回生Eくん(東大教育学部)から譲ってくれとメールで頼まれて、文庫を数冊持ってる中の1冊を「やるのはいいんだけど、中公クラシックスで新品が買えるんじゃないの?」と返信した後、amazonを検索して知りました。Eくんは3日の昼にK市に来るそうなので、その時に会って本を渡すことにします。

 明日は卒業式で、高2は在校生として臨席。明後日が定期テスト最終日です。

子供だけの為に年とった 母の細い手

 谷口功一・スナック研究会『日本の夜の公共圏 スナック研究序説』読了、★★★。論文集としては(恐らく……私はスナックの経験が皆無なので、あくまで恐らく)石の方が多い玉石混淆で、しかしこれはスナックを研究対象として取り上げた学問の嚆矢である以上仕方がないのかも(本が出たことが意義深いということ)。

 定期テスト2日目は監督が1コマ、後は生徒の自習答案を添削したり、卒業式の送辞本文を添削(検閲?)したり。後者送辞は、内容は極々無難なものだったのですがとにかく字が美しくて吃驚しました(こんなの見たことないというくらい)。あとは、ふと浮かんだ「ネタ」が中学入試の言葉の問題に使えそうなので成文化したり(言葉の問題は古びないので、何年何十年先でも出題が可能です)。

 生徒半ドン、私も14時から年休を取って帰宅。母君が炊飯器をお求めになりたいということで、一緒に買い出しに行くためです。自宅から徒歩3分……私の足なら3分ですが、母君の歩行に合わせれば10分弱……のディスカウントストアにて、10000円程度の製品を購入。15年前に独り暮らしを始めた時には、まさか自宅で米を炊く日が来るとは思ってもいなかったのですが。
 そういえば、1月(のビジネスプラン・コンテストの時)に夕食をご一緒した65回生Hくんから、「東大むら塾」で作った米(天日干しのものと機械干しのものとの食べ比べセット)を頂いていました。それで、炊飯器と一緒に米を買う必要がなかったんです。Hくんに多謝。もしかしたら、あれが今日炊飯器を購入することのフラグだったのかも知れません。

 帰宅後、母君は頂いた地域米を研ぎ始められ、私は風呂を沸かして入浴。その後、炊き上がった米を試食(?)させて頂きました(美味しかったです)が、まだ茶碗を購入していないので、よそったのは雑煮用のお椀の蓋です。ディスカウントストアで茶碗を買うという案は母君により却下。茶碗は、デパートの売り場で質の良いものをお求めになるそうです。

 でもって、財布と食事は別々ということで、私は18時過ぎに自宅を出て、夜は一年ぶりくらいに訪れる居酒屋「M」にて読書独酌。店員さん3人から「お久しぶりです!」と言われてしまいました。ここ、F校教員の大人数飲み会(二次会)の御用達ですからね。

なんだかいいこと おかずにして

 近藤譲『聴く人(homo audiens) 音楽の解釈をめぐって』読了、★★★★。作曲家と建築家は文章の匠が多いという印象。細部も全体も見える眼を持っているから、というのは想像ができるのですが、「眼」だけではなく「手」も優れている(達者な文体を持っている)人が多いのはどうしてなのかなぁ。
 山口恵以子『熱血人情高利貸 イングリ』読了、★★★。これまた読みやすい作品。まるで映画のような……映画かドラマかになるのを期待しているような……。

 私「くっそ~、朝から親に一杯食わされた~」
 数「何、引っ越し早々いきなり何かあったと?」
 私「ゴボウの味噌汁」
 数「紛らわしい言い方すんなよ」
 でもね、朝食なしが基本の人間がまさか自宅で手作りの汁物なんて、ちょっとした事件ですよ。昨日だって、ほんの少しだったとは言え晩にお寿司を食べた後で「もりき」です。少々の覚悟はしているけれども、あんまり肥ったりしたら嫌だなぁ。

 朝起きたら、私より早起きの母君が台所で出汁をとってお出ででした。鍋は、正月の雑煮用に買った雪平があるのでそれを引っ張りだして。コンロの火の付け方に手間取ってお出ででしたし、台所の蛇口で水を出す方法もなかなか分からないのがじれったそうでいらっしゃいましたが、初めての慣れない家に引っ越してくるというのはそういうことなんでしょうね。炊飯器がないので米は炊けず、取りあえず昨日Hさんに頂いた巻き寿司を召し上がることをオススメしました(私自身は米は食べません)が、いずれ炊飯器をお求めになりたいと仰ることでしょう。

 出勤時には、Hさんのご自宅前に「獺祭」を置いてから徒歩20分。
 さて、本日は第5回定期テストの初日。私は出題がなく監督業務だけで半ドン。学校から徒歩10分弱のところにあるスーパーでチョコレートとのど飴とを購入して、教室の中に設置しました。「脳に糖分、喉に水分」と書いて、次週の生徒は取り放題です(63回生と違って、根こそぎ奪っていくようなお下品な生徒はおりません)。
 午後の職員室のデスクワークは、昨日の東大漢文(王安石)の解答解説プリントの作成。二人暮らしの滑り出しが定期テストにぶつかるというのは都合の良い話で、15時で仕事を切り上げ、2時間分の年休届を提出して帰宅しました……

 ……ら、即座に熱いお茶が出て洗濯物が畳まれていて風呂の排水溝が完全に掃除されてて(排水速度が倍加で)、たった24時間にしてクオリティ・オブ・ライフが爆上がりしていました。案の定、母君は早くも炊飯器が欲しいと仰っております。