とにかく笑えれば

 3~4月のライブ予定がどんどん増えていきます。3月は福岡でユーミン、月末の上京旅行では三谷幸喜作品『不審』(戸田恵子さん目当て)と戸川純のバースデーライブと。4月は福岡で新居昭乃矢野顕子×上原ひろみ
 あと、amazonでBL.WALTZの『四分の三拍子の二つのハート』を中古で購入(目当ては勿論「ワルツ」です)。2015年に再結成していたんですね。いつかライブを観られる日が来るのでしょうか。

 今日は昼過ぎまで授業準備その他の仕事をして、後はのんびりの一日。
 さて、これを打っている現在は2月16日。実際の日付からは3週間弱の遅れが出ている日記更新です。これは、高1の文理選択希望調査の〆切、及びF中・高入試という1月末の2つのイベントを前に、無意識の記述で色々とダダ漏れすることを恐れての処置でした。2月に入って徐々に更新のペースを上げて、1ヶ月遅れを少しずつ縮めている最中なのですが、1ヶ月遅れを常態にしていた5年前とは比較にならない「思い出せなさ」に記憶力の低下を痛感しています。
 その「思い出せなさ」は勿論老化のためなのでしょうが、それとは別に、担当している(担任を務めている)生徒の真面目さも確実に影響しています。学級・生徒自体への思い入れはそんなに変わりませんが、63回生と67回生(現高1A組)とでは生徒発信の愉快な逸話・事件の数が雲泥。ハプニングが定期的に起こっていた63回生文系A組の時代なんて、1ヶ月前の日付でも、一つの笑いを発端に芋蔓数珠繋ぎで記憶がありありと蘇ってきましたからね。「日常性の維持」の人間が毎日毎日だらだらと駄文を連ねられる所以でした(そもそも「日常性の維持」が出来ていないという可能性もありますが……)。

あなたを許します

 パブロ上口耕平さん、3月5日(日)の昼に博品館劇場で主演舞台、ごくり……。4日(土)に年休を取って、3日(金)の終業後(テーブルマナー講座が市内ホテルで15時まで)に飛行機で飛べば、2泊3日で上京が出来るな……って、それをやったら何かが終わる気がしますね。オツカル様からも「ミュヲタの闇は深い」と警告されました(結局、仕事の都合で駄目だということが分かったんですけど)。

 高1の授業が3コマで仕事は昼まで。自宅近く(つっても徒歩で30分弱)のTSUTAYAに行って、投げ売りのDVD『天使にラブ・ソングを…』を購入し、ネカフェで鑑賞。
 20年前に何度も観返したのはテレビ放映の録画版で確か主演声優は中村晃子だった記憶(DVDでは別の人でした)。文字ではなく、誰かが「御不浄」という言葉を口にするのを聞いたのは後にも先にもこの作品だけです。昔同様に面白く感じられはしたのですが、ミュージカル版の印象がまだ強く残りすぎているので映画版はとても「地味」に思えました。エディー警部とのロマンスであったり、悪役手下を3人に増やしてキャラ付けしたことであったり、ミュージカル版は脚色も素敵でしたね。

 西原理恵子『ダーリンは71歳』読了、★★★★。ギャンブル依存も笑いに昇華した、子育ても笑いに昇華した、アル中夫との闘いも笑いに昇華した、次は来るべき母と「ダーリン」との介護をどう笑いにするか……鴨志田氏との戦いについて最中は読者にそうと気づかせなかったように、実は「来るべき」ではなくもう始まっているのかも知れませんけれども。

ひとり ひとり ひとり 私の胸の奥に生まれた台風が

 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』読了、★★★★。同時期発売の傑作『ペンと箸』も然りでしたが、田中圭一氏はインタビューが巧く、模写の技術も合わせて観察眼と対象への愛があるんだろうなぁ、と。余談ながら、清水ミチコさんもインタビューの巧みで、これは絵柄の模写も声帯の模写も同じという証左なのかも知れませんね。

 さて、昨日の英語課題ノートの続き。昨日、提出を忘れた生徒が多かったのは日記に書いた通りです、ので、本日の朝、SHRの前に私が(珍しく気を利かせて)遅れて提出された分を回収して保管しておいたんですね。
 したら、朝のSHRから戻った英語パイセン女子が集めたノートを見て「池ノ都くんが集めとった訳ね。危なかった~」
 私「危なかった、とは?」
 英「いや、朝のうちに誰も出しに来んかったから、私キレてSHRの後にA組に怒鳴り込むところやった」
 私「で、怒鳴り込まなかったの? なんで?」
 英「いや、C組からA組に向かってく廊下の途中で、偶然B組から唯一未提出の生徒が出て来たのと目が合って、それが逆鱗に触れて怒鳴りよる間に、Aのこと忘れとった」
 ジャイアン台風やないか。

 本日は4~6限が授業だったのですが、その後、1時間の年休を取って帰宅。Hさんと二人で、先日に続いて『天使にラブソングを』の博多座デートです。初見の前回が余りに素晴らしかったので、63回生文系Aくんの縁故を頼って、森・石川ペアの千穐楽を観劇してきました。開幕前には、Aくんのお父様がわざわざご挨拶に来てくださり、お土産まで戴いてしまって恐縮です。
 さて、2回目の今回も、Hさんと2人で大興奮。「今回も」というよりも、2回目だからこそ新しく楽しめる要素がふんだんで「今回の方が」と言った方が正しいのかも知れません。2度目の余裕ですね、先ず歌詞と台詞とが全部聞き取れたのが大きい。そして、例えば神父今井清隆さんのラインダンス後方全力ダンスとか、シスター春風ひとみさんの酸素吸入とか、細々した小ネタにもたくさん気づくことが出来ました。終演後はパブロ上口耕平さんの指導による客席全員ダンスがあるのですが、これまた2度目なので楽しく踊れましたし。ふと横を見ればHさん、千穐楽カーテンコールの森公美子さんの涙にもらい泣きです。

 天神からK市に戻るときの恒例は、63回生Mくんパパのお店「月空」で食事の二日市寄り道。私とHさんとで、興奮の観劇感想飲み会です。特に、パブロ上口さんのダンスに魅せられた2人、是非是非この方の舞台を観たいねぇ、と頻りでした。

 日付が変わる直前に自宅に戻って就寝。

地獄のはてまで ついて行く

 職員室横のPC室で作業中、隣の席に数学関西先生が座られ「最近はネガティブな独白が流行ってるのかなぁ」と前置き、の後で「こっそりしか言えんのやけど、池ノ都くん、これ知ってる?」とamazon検索……結果が表示される前に「発売直後に読みましたよ」とお答え。話題の本です、読書家の数学先生なら当然お読みでしょうね。こだま『夫のちんぽが入らない』、私の評価は★★★★でしたが、数学先生(書店で立ち読みされたそう)の評価はもう少し低いそうで、「タイトルは本当なんやろうけど、教員になってからのエピソードって、どれも作り物っぽかった」とのこと。

 さて、本日から学校は通常営業で、私は5時入りで授業準備、始業後の授業は高3の文系漢文と理系東大漢文が1コマずつ、その添削も終業までに終了。国語科の会議もありましたね(これは瞬殺)。
 で、入試やす……じゃない、F校入試に伴う生徒自宅学習期間(面倒いな)にも英数始め大量の宿題が出ている訳でして、その提出率は、B~E組が高い、A組は……「ちょっと池ノ都、Aの出さなさっぷりが毎回毎回酷いんやけど!」と英語パイセン女子に担任が頭を下げるいつものやつ。

 その英語の課題ノート、帰りのSHRで返却したのですが、一人無記名だった生徒がいたので「念のため放課後に直接先生に再提出を」と指示しました(未提出扱いになってたら勿体ないので)。で、当該の生徒某くん、放課後にパイセンが担任を務めるところの学級に出向いたら、そこは課題を忘れた(数少ない、例外的な)生徒が怒鳴り上げられる地獄絵図……だったのに、そこへノート片手に近づいていこうとする某君。
 周囲「今はやめろ、殺される!」
 某君「でも、出さなくても殺される」
 ……後で、そのやり取りが聞こえてたらしいパイセンから私が叱られました。「あんな刺客を突然送り込まんでよ! 生徒怒りながら笑いそうになったやんか!」
 出さずとも出したとしても叱られる。

Mで待ってるやつ もう Good night

 8時過ぎまで寝てました。他の先生方とは11時頃にチェックアウトしてロビーで落ち合うという約束なので、大浴場でゆっくり風呂に入ってから先にチェックアウト、ホテルを出たのが10時前。広島駅前の百貨店の上階にジュンク堂があったので、そこで数冊の本を購入し、併設のカフェで読書。
 先生方と落ち合った後は、駅横のビルの中にある「駅前ひろば」というお好み焼き専門店街で昼食。「電光石火」という人気店で、広島風ってこういうもんなんですよね、お好み焼きというよりかは焼きそばに近いそれを堪能。他の先生方はK市から車の運転がありますし、私は帰福後に卒業生と会う約束があったので、飲みたい飲みたい飲みたかったけれどもビールは我慢。

 駅のお土産コーナーでは、既にHさんの分は「牡蠣屋」で購入していたので、「もりき」ご一家用のお菓子を。「縁起菓子 杓子せんべい」という安い小袋のお土産は3つ購入して、夕方面談をする卒業生へ渡します。
 新幹線で博多へ、2人の先生とお別れして地下鉄で天神。先ずは天神のスタバで慶應小論文を添削。その後、時間があったのでタワレコに寄ってCDを1枚購入し、予てお約束していた卒業生との面談を3軒連続で。15時半に63回生、17時と18時は64回生、二次試験や慶應小論文の過去問添削を元に対策を話し合い。

 19時に天神発の電車でK市へ戻り、タクシーで飛び込んだ「もりき」マスターにお土産をお渡ししたら旅行は終了。以下、今回の旅行中の読了本を。
 栗原類発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』読了、★★★★。ブレイク時にしばしばテレビに映る姿は演技だと勝手な勘違いをしていた浅はかを反省しました。発達障害ゆえに自分に(出来ることと)出来ないことをはっきり言葉にする姿がバラエティーの語彙では「ネガティブ」となるというレッテルに本人は苦しんで(怒って)いたのです。
 新久千映『タカコさん(2)』読了、★★★★。江戸(前近代)と明治(近代)以降とのいちばんの違いは「夜が暗いか明るいか」で、24時間目が見える生活を続ける現代人は視覚情報にのみ依存し、視覚がきかない時間の存在を身体で知る故に五感はおろか第六感まで自然に働かせる江戸以前の人々の生活感覚に共鳴出来ないことが多く、古文が読めない・人気がない理由はここにあるんですね……って、何が言いたいのかというと、タカコさん、古文が好きだったりし(てくれ)ないかなぁ、って。
 田中圭一『ペンと箸』読了、★★★★★。嵐山光三郎文人悪食』の漫画家版ですが、それとは違う2点が光りました。先ずは、取材相手に漫画家の娘息子を選んだこと、これによって自分宛のインタビューは拒む人物でも(子供による自分評は見たくなる親心で)承諾の可能性が上がります。そしてもう一点は、対象の漫画家のタッチを模写して描くこと。手塚るみ子ピノコになっているという事実一点で親の愛が直ぐさま分かります。親子愛の原理は普遍で、且つ個々の漫画家の個性故に現象(親子の食にまつわるエピソード)は独特で面白く、各回短いページ数に味わい深い内容を巧みに詰め込んでお見事、これは素晴らしい仕事です。
 西原理恵子佐藤優『とりあたまGO モンスター襲来!編』読了、★★★★。思想信条的には佐藤・西原両氏と必ずしも立場を同じくしないし趣味嗜好も異なっているのですが、文章に教えられ漫画に笑わせられることは多く。

 さて、最後に本日のタワレコで購入したCDですが、以下140字。
 【曲は未聴ながら文字情報だけで良い匂いがする、でも年寄りには新しいバンドに時間を費やす人生の余裕がない、という葛藤を経て、結局Suchmos『THE KIDS』を購入(コラ、そこな若造、おっさんの冒険を嗤うな)。一方、副委員長の卒業でF校的な義理がなくなった虹コンの2ndは保留に。】

風に任したんよ 人がおるんヨネー

 1泊2日の旅行なので、着替えその他荷物は殆ど必要なく、職務を言い訳に暫くサボっていた読書用の本を多めに鞄に入れてから出勤。あ、あと、卒業生(浪人生)の添削答案も入れました。本日、終業後に1泊2日で広島行きは、私国語・国語科先輩、そしてリーダーのベテラン体育先生の3人。
 でもって、その「終業後」というのが、実は9時15分。朝イチの某業務を瞬殺したら、本日と明日はフリー! というスケジュールなんですね(我々3人同様に仕事が終了した先生も、まだ入試その他の業務が残っておられる先生もいます)。

 ですんで、終業直後に体育先生の車に乗っけてもらって学校を出たら、9時54分K市発の新幹線に余裕で乗車出来ます。博多乗り換えで、11時30分には広島着ですね。思ったよりも混んでいましたが、自由席で十分座る余裕はあります。車内では読書が捗りました。
 今回の入試慰安旅行は宮島・広島。正直、私はあんまり牡蠣に興味がないのですが、とれとれを現地で頬張るランチはお酒が進みそうで楽しみ。えぇ、旅行ですから昼酒だろうが朝酒だろうがばっち来いです。

 私の唯一の広島体験はもう30年近く前で子どもの旅行、体育先生もお久しぶり、ですが国語科先輩が広島大出身ということで地理にお詳しく、3人は先輩の先導で新幹線から普通列車に、宮島行きの港に着いたらフェリーに乗り換えて。おぅおぅこれは写メってTwitterにアップしないと、と現代病の私は寒い中甲板で頑張ってフェリーから鳥居をパシャリ、宮島に降り立ったら先ずは道端の鹿をパシャリ。
 12時前後のお昼時とは言え真冬の平日で、観光地お土産通りは人が多すぎず少なすぎずで良い賑わい方。割合としては、ヨーロッパ系の外国人観光客が多かった印象。

 さて、先ずはメインの牡蠣を食すべく、有名店(だそうです)「牡蠣屋」へ。屋号を覚えない私でも流石にこれは忘れようがない。店内に入口脇では、店員さんが大きな網の上にいくつもの殻付き牡蠣を豪快に並べて焼いています。2階のテーブルに上がったら窓の外のワインセラーには瓶がずらりで要するにここはオイスターバーなわけね。生牡蠣、焼き牡蠣、牡蠣フライ、牡蠣グラタン、牡蠣のオイル漬け……と、凡そ店に或る単品を全部食い尽くすぜハイ・ヌーン、という勢いで大男3人。ビールで乾杯の後、私はビール攻め、残るお二人は広島の日本酒に手を出されていました。でもって、牡蠣、うんまいの。10年振りくらいに食べた生牡蠣は、やっぱり慣れなくて1つでギブアップした(他のお二人はバクバク)んですが、火を通してるやつはいくらでもいけます。ビール旨し、特にオイル漬けがあったら白米何杯ってあの勢いでビールが進みますね。ただ、生のグラスを4杯くらい飲んだあたりでお酒は体育先生からストップがかかって「待て、次の穴子屋で飲むからその辺で押さえろ」
 お土産コーナーで、牡蠣のオイル漬けやら牡蠣エキス入りの醤油やらを購入。これは、K市の母・Hさんへ。その買い物途中、向かいの店でTV番組の食レポロケをやっていた人を見た体育先生が「タツカワ! タツカワ!」と仰有った人が誰なのか分からないまま写メでパシャリ。で、撮ったは良いけど、私「この人、何の人だか全然知らないんですけど」 体育「馬鹿、お前、広島でそんなこと言ったらうちくらされっぞ!」

 Twitterを通じてオツカル様に聞いたら、「今年から福岡でもうちくらされる可能性があるんだよなあ」って。野球の人だそうです。今年からホークスに関わると、これは体育先生から伺いました。それで、あぁ松村邦洋がモノマネしてたなぁ、という記憶が微かに。
 私「らしいっすね。『ホークスのお膝元の風上にも』とも叱られやした。あのね、あのね、あのねのね~、の人だよね?」
 オ「高田文夫をバウバウと言うが如し」

 厳島神社を散歩観光。廻廊から遠くに大鳥居が見えるんですけれども、潮が満ちればこの廻廊まで水が上がってくる訳ですよね。1000年前に、海の上に浮かぶ神社を潮の満ち引きを計算しつつ建てるという工程……全く全然これっぽっちも想像できませんね。酔ってるからかも知れませんけど。現代文の授業で「自然と人間との調和」ということは良く言うんですが、まさに百聞は、ってことです。

 続いては穴子! こちらのお店は「穴子屋」という名前ではなかったので屋号は失念。専門店ではない普通の観光居酒屋で、私は穴子の天麩羅、残りお二人は穴子飯を注文。3人でシェアしながら、飲み物はビール、から熱燗。飲みっぱなしですね。穴子飯は、九州筑後のせいろ蒸しよりもご飯があっさりしてて食べやすかったです。げふ。

 高速フェリーなら宮島~平和公園。行きとは違う経路で帰ろうという体育先生の提案で、40分で一気に広島入り。年末にオツカル様と鑑賞した『この世界の片隅に』、或いは「熱線の人形の影くつきりと」という歌会始入選歌を思い出す原爆ドーム。後者F中2年生(入選当時)の入選歌は、今ドームを見上げてお出での国語科先輩のご指導で生まれたんですね。

 さて、タクシーでホテルに移動したら、ちょいと仮眠を取った後で、ホテル内の大浴場でのんびり湯浴みなぞを。狭いながら露天風呂なんかもあって快適でした。で、このホテル、部屋の居心地も悪くなく、テレビもベッドも大きくアメニティも充実、幾ら素泊まりでもこれで6000円は破格だろうと満足なんですけれども……

 ……話は遡って一週間ほど前。
 体「楽天トラベルなら1泊6000円で駅近くの新しいホテルが取れるっちゃん。大浴場もあって凄くいいとこ。俺が人数分予約しとくから」
 私「あ、お手数ですいませ~ん」
 ってやり取りをしたその翌日には、もうホテルのHPにアクセスできなくなってました。大炎上待ったなし。部屋には「例の本」、ちゃんと置いてありましたよ。まぁ、知らずに予約したんだから仕方ないと思っておきましょうね。わざわざ予約し直すほどの潔癖ではありません。このチェーンは初めてで、多分今回が泊まるのは最後になるでしょう(わざわざ燃えてる場所に近づくこたないわな)。サービスは良かった。

 夜は、ホテル徒歩3分、店長の本名から店名がついた「仕事人」にて3人で乾杯……の筈だったんですが、生牡蠣を食べ過ぎたのか、体調がすぐれないという国語科先輩が早々にリタイアでホテル帰還。
 私「生牡蠣、食べ過ぎたんですかねぇ」
 体「現地で食べてあたるこたないやろ。俺もガツガツ食ったけど、元気やもん」
 私「国語先輩が特別にデリケートとか」
 体「っつか、俺らがおかしい」
 私「ですよね、生牡蠣がうんたらとか言う以前に、そもそも飲み過ぎで食い過ぎだということを忘れてはいけない」
 私、昼にグラスビール4杯、瓶ビール1本、熱燗2合飲んでますからねぇ。で、夜の「仕事人」でビールから冷酒、体育先生は余裕の芋焼酎
 「仕事人」の面白いのは、刺し盛りがボール皿にびっしり詰まった大根(ツマ)の上に敷かれていること。刺身を全部食べたら、ここにオリジナルのドレッシングをかけてサラダになるんですね。これだけで酒がどれだけでも入ります。今日の観光の話や入試業務の面白話を肴に深夜まで。

 ホテル1階のコンビニで酒・つまみを買い込んで、二次会は体育先生の部屋で深夜まで。体育先生はトマトが駄目、なんですけれどもレッドアイだけは大好物で、トマトジュースとビールとがあればどれだけでも。
 あぁ、今夜も楽しかったねぇ、と徒歩10秒の自室に辿り着いた瞬間に失神グナイ。

精一杯に急いだと 肩で息を継ぎながら

 だから、体育科を引っ張り回してのラーメン屋は罰当たりな行動だったんだと神様が教えて下さる起床8時15分。中高入試の2日間が如何に緊張状態だったとしてもこの弛緩っぷりには我ながら声も出ない、嘘、起きて時計見て「わあああああっっっっ!」って絶叫しました。絶叫しながらシャワー浴びて、絶叫しながら着替えて、着替えながらタクシー呼んで、これがなかなか来やがらなくて気ばかり焦って、学校到着が9時で、教員全員集合の某室に駆け込んだのが9時3分でした。その時には既に教頭先生による職員点呼が終わっておりまして、入口のドアを開けた瞬間に皆さんに大笑いされ。
 「いけのっちゃん、何で遅れたの?(←昨日一緒に飲んでた人)」「高速が雪でストップしたとか?(←通行止めの高速道路を避けて下道で余裕で間に合った人)」等々、色々言われたのに弱々しく返して私曰く「た、タクシーが法定速度で走ったから……」

 別に宿酔いだとかそういうことはなかったので、業務自体は普通にこなしたんですけれども、入試関連のお仕事なので業務内容自体は、秘す。
 さて、入試期間の職員室恒例、本日はお昼に鰻せいろ蒸しが届く日。K市内の某有名店から、職員全員の分が届きます。以前は大学からの支給だったのですが、昨年度から財政考慮で中止が決定。ですが、「あれがないと気分が出ない!」という教員の声が多数で、自費ででも食べようということになったのです。結局、鰻が食べられない先生以外の全員が参加することに。良い職場ですね。
 鰻の前日(高校入試の日)に打ち上げに行くメンバーとは毎年、「明日の鰻が美味しく食べられる飲み方をしよう」というのが合言葉のようになっています。今年も美味しゅう御座いました。もぎゅもぎゅ。

 さて、採点三昧の一昨日昨日に比べたら、本日・明日はややゆったりめに時間が流れる一日。合間に、中学入試国語に関して2つの有名な塾が配布した解答速報を読み比べたり。
 例えば今年は、評論の本文空欄を15字以内で考えて埋めるという出題があったのですが、一方の塾は講師自作の表現を、もう一方の塾は原典と同一の表現を解答欄に上げていました。問題は試験開始数十分後に外部に向けて公開されるのですが、後者の塾は即座に出典本を購入して確認した模様。講師自作を示すのも、筆者に寄り添うのも、どちらも一つの見識でしょうね。

 明日からは1泊2日の広島旅行、昼も夜も和食なので、今夜は中華にしようと、前々から気になりながら一度も足を運んだことのなかった台湾料理「K」に初訪問。したら、「お酒セット」という身も蓋もない名前のセットが引くほど独酌向きでした。酒1杯(青島麦酒を注文)、選択料理2品(冷や奴とエビチリとを注文)、焼き餃子、台湾ラーメン(ハーフサイズ)、の5品で1380円です。追加で瓶ビール1本を頼み、後は焼酎をボトルでキープ。デザートに杏仁豆腐を注文して4000円なら通うでしょうよ。
 久々の読了本は、こだま『夫のちんぽが入らない』、筆者夫婦と同じ教員の立場で読みました、★★★★。続いての読書は栗原類

今宵の虎徹は血に餓えている

 昨日と同じ時間に徒歩出勤して、試験監督して夜まで採点して、という一連の流れは全く同じなんですが、高校入試は中学入試に比べて全体的に静か。
 流石に中3にもなってるから受験生の引率者や付き添いの数がそう多くなかったり、そもそも募集人数が少ないから受験生の数が少なかったり、全員制服受験だから受験票と生徒とを引き比べる(昨日の日記に書いた)暇つぶしができなかったり、国語だったら中学入試150点満点(大問4つ)が高校は100点満点(大問3つ)だったり、と理由となる要素は色々。

 昨日の中学入試も今日の高校入試もそうなのですが、受験生が帰る時刻には大手塾2つ(E塾・Z塾)の関係者が「解答速報」を配布しています。中学入試の場合は国語(1限)と算数(2限)とは出来てる、高校入試では数学(2限)が出来てて国語は作成されない模様です。で、毎年恒例なのですが、その頃の時間を見計らって、数学科最若手先生と私との2人でその配布エリアに行って、塾の方に解答速報を貰うというのが恒例になっておりまして。
 私「は~い、こちら、中学国語の解答速報、こっちがE塾でこっちがZ塾で~す」
 と複数枚コピーしたものを採点場に持っていくと、怒涛の作業の一休み気分転換にそれを皆で回し読みしたりしましてね。同窓同僚数学に聞くと、流石に算数数学の解答速報は精度が高いに決まってるとの話。
 私「あら、そう? 国語は、満点からは遠い場合が多いよ……って、流石に教科の特性上仕方ないけどね」
 こんなことを言ったら、もう戴けなくなってしまうかも。あ、校内の混乱を考慮して解答速報配布を中止してもらえばという意見がどこかから出たと仄聞致しましたけれども、それは止めてほしいなぁ、というのが「解答速報ファン」である一個人としての意見です。

 さて、今年のF校入試、高校国語の出典は、『堤中納言物語』、中村桂子『絵巻とマンダラで解く生命誌』、加藤尚武倫理学で歴史を読む』、あさのあつこ『かんかん橋の向こう側』でした。
 国語科総出で採点集計作業……は、やっぱり他の科よりも時間がかかるのよ。掌は赤ペンが当たってインクで真っ赤、これは受験生の返り血です。数学が終わり、理科が終わり、社会が終わり、英語が終わり、採点場から殆どの先生が消えても、国語の採点は粛々粛々と続くのです。「先に飲んどくから後で合流ね~」とかほざ……じゃない、仰いながら、体育科の面々が帰っていく~。

 ……のに、まぁ遅れに遅れましたが終業後の合流。会場の居酒屋(私が予約)に入って、先ずは皆が飲んでるテーブルに行く前にカウンターで生ビールを受け取って追加の瓶ビールも持ってきてもらうようお願いし、テーブル着即生で乾杯、一気に呷った後は頃合いを見計らったかのようなタイミングで到着した瓶ビールをコップに注いで2杯目だオラっ!
 ……とかいうノリでやらかしてもうてあんた、「絶対2軒目までは行こうぜ!」って体育科先輩(サッカー)・体育科後輩(剣道)を連れまわした挙句、あんだけ飲み食いした〆にラーメン餃子でビールビールビールって。年末上京旅行から正月実家帰省を経ても太らなかった私ですが、この入試期間って必ず激太りするんですよねぇ(普段は食べない昼食も、支給されるお弁当でしっかり)。

若さにはアクセルだけでブレーキがついていないと

 いつもより3時間は長く、9時間超の睡眠をとって充電フル。本日はF中学の入学試験。以降5日間は高1は勿論高3受験生すら構内に立ち入りは一切禁止、教職員(と、受験生とその引率)以外誰もいない環境で存分に(私の最も愛する)仕事ができる夢のような日々。塾関係者保護者大集結の朝から職員室全員野球を経て夜まで、一瞬も気が抜けない緊張感が毎年毎年たまりません。気合十分、クリーニングから卸したての服に着替えて徒歩出勤。昨年と違い今年は2日間(中高入試日)とも晴れ、完璧です。

 入試当日の職員の動きはさすがにこんなところで明かす訳にはいかないので省略。
 私が1時間目の国語の試験の監督に入ったことくらいは言っても大丈夫かな(受験生にガンガン見られてるし。入学した生徒に聞くと、彼ら意外にに監督者を覚えてるし)。40人の受験生を机間巡視しつつ監督。中学入試(小学6年生)の場合、チェックして色々面白いことがあるんで、以下に挙げた特徴にあてはまる人数を数えたりしながら暇(っつっちゃいけませんが)を潰してました。
 ①女子
 ②マスク着用
 ③鉛筆使用
 ④左利き
 ⑤国語の問題を200字作文から解き始める
 ⑥受験票の写真と受験当日の服装が同じ
 ……⑥なんて、私の教室40人の中に6人いたのにおっ、と思いました。気が利いてる。高1主任地理先生は、ご自分のお子様の受験ではそれを心掛けたそうです。教員ならではですね。
 あと、⑤ですね。今年のF校の中学入試でも(昨年行われなかった)聞き取りテストが行われず、図を見て説明する200字作文が2年連続で出題されました。さて、来年度はどうなるのでしょうか(他人事)。因みに、今年のF中入試、国語の出典は評論が野矢茂樹『哲学な日々 考えさせない時代に抗して』、小説が木山捷平「尋三の春」でした。

 さて、時間は一気に夜。
 外は真っ暗、教員一同は某所に缶詰で答案の採点や得点集計に追われています。が。
 他の科の先生方が帰られてからも、採点・集計に時間がかかる国語科の教員「だけ」は黙々と作業継続です。結局、他の科よりも4時間ほど遅い終業になりました。途中からやや殺伐とした雰囲気になりますが(あははは)、職員室で待っておいでの管理職の方々も大変なのは同じですね。っつーか、不機嫌になったり疲れたりしてる場合じゃない、明日も楽しい楽しい高校入試ですもの。気力十分。

 終業後は、国語科の先輩の車で「もりき」まで送っていただきました。いつもは18時台の客なので、深夜の入店は珍しい。機嫌は良いけれども身体は疲れている、ので気が付いたのは、つい目についたアナゴを刺身で出して貰ったのを肴に瓶ビールをコップに注いだ後でした。
 私「あ、バカだ。アナゴってなんだよ。僕、3日後に広島宮島に行くんだった」
 マスター「いけのっちゃん、この後に牡蠣鉄板注文してるの、覚えてる?」

子供は空に憧れ 彼女は混乱してる 女ごころ

 「ユリイカ」の臨時増刊号は矢野顕子さんの総特集でした。読了、★★★★。松任ユーミンの発言「自分はもう評論家に論評できる領域には居ない(大意)」は勿論アッコちゃんにも当てはまり、この本の論評も苦しいものが幾つかではっきり言って玉石混淆、その中でも素直に愛を告白した文章ほど玉に近づくのはやはり「愛がなくちゃね」ということなんでしょうか。何れにせよ力作ではあり、かつ貴重でもある特集です。但し、松任谷由「美」の誤字が全編に渡り続く論文が無校正だったり、歴代アルバムレビューの紹介欄に収録曲名が一切無いなど、本の作り自体は音楽界への「愛がたりない」のではないでしょうか。
 井出孫六『抵抗の新聞人 桐生悠々』読了、★★★★★。恰好いいっ! 月並みですが、「蟋蟀は嵐の縁に鳴き止まず」の魂は、2017年の今思い出されるべき。

 そういえば、昨日、出張(浪人生激励会)のついでに15分ほどジュンク堂に寄る時間があったのですが、店内で殆ど立ち止まることなくマラソンランナーの給水所通過みたいなやり方で手に取った3冊が、田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(漫画)、栗原類発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』(エッセイ)、こだま『夫のちんぽが入らない』(私小説)というセットになっていて、これらはどれも学校関係者(教員・生徒)のメンタルがどのようにかなってしまう本(←まとめ方乱暴)、職業病というのか因果というのかしみじみとさせられますね。

 さて、私が職務の中で最も好きな仕事は何か、と言われればそれは、高3現代文の授業特講添削ではなく(これは2番目)、校内模試の作成でもなく(これは3番目)、時間割パズルでもなく(これは4番目)、クラス担任業務でもなく(これはもっとず~っと下)、もうダントツで入試業務(作成・会議・監督・採点)なんですね。作って楽しい、問題検討会議して楽しい、入試期間に全教員一丸で採点その他業務に打ち込むのも楽しい、そんでもって打ち上げも楽しい。その上で(客観的に考えたら安いと思いますが)入試業務手当まで貰えるってんですからもう最高じゃないです?
 明日(21日)がF校の中学入試、明後日(22日)が高校入試、その後2日間(23・24日)が入試業務、更にその翌日(25日)は日曜出勤の分の代休。入試業務に遮二無二打ち込んだら、24日からの打ち上げは1泊2日で広島旅行。あぁ、今年も非の打ちどころがない。

 思えば1年前、まさかまさか自分が翌年度の高1A担任になるなんて思いもしていなかった(から気楽なもんだった)あの日、よりにもよって高校入試の当日が県内市内道路鉄道大混乱の豪雪で西鉄に頼み込んで臨時バスを出してもらうわ受験開始時刻を遅らせるわという開闢以来の椿事出来で職員一同上を下だったあの日、繰り返しますがまさかまさか自分が翌年度の高1A担任になるなんて思いもしていなかった私はその大混乱の中ほぼ全ての受験生が根性でF校に辿り着き平常心で(なのかは知りませんが少なくとも外から見る限りは何事もなかったかのように)試験に臨んでいたのに「ほうほう偉いもんだねぇ」と感心してたんですよ……但し、完全に「他人事」として!

 我らがA組帰りのSHRにて。
 「……というわけで、私は去年の皆さんの受験態度を見てその冷静さとど根性とに感心していた訳ですよ。ところが蓋を開けてみたらどっこい、入ってきた人間が内進生より勉強しないってどういうことよ話が違うやないかと」
 この程度の泣き言は、お生徒さんたち51名、聞き慣れてるからすましたもんです。
 「あのですねいいですか、明日から皆さんは5日間の入試や……じゃない、F校入試期間に伴う自宅学習に入ります。勉強してくださいよ、ほんとに。勉強してね、勉強が勉強で勉強を勉強するのっ! じゃあ解散! 号令!」
 休み憩い遊びだらける気が満々で既にしていつもより顔が3歳程度幼くなってる51人にそんな訳の分からん命令が届くはずもなく、大体担任が「入試休み」って言いかけてるじゃないかと。本当にね、63回生文系A組もこの67回生高1A組も、他の誰でも良いから担任が私でさえなければもう少しは勉強する人間になったと思うわけですよ。タラレバは言っても詮無い話ですけれども、これ、一生を左右するレベルで大きな違いなんですよ。

 思えば4年前。まさかまさか自分が3年後に高1A担任として学年団に加わるなんてこれっぽっちも思っていなかった私と、これから6年間学年主任としてこの学年(中学45回生→高校67回生)を牽引することになる地理先生との会話。
 私「しゅ・に・ん・せ・ん・せっ!」
 地「うっせぇ、こっちはど緊張してるんだぞ。他人事だと思って!」
 私「何をおっしゃいます、F校初の中学共学学年の主任、もう大抜擢大出世先生じゃないと出来ないっ!」
 地「あ~、これからどうなるっちゃろぅ」
 私「あのね、先生に一つ予言というか呪いというか」
 地「呪うなよ」
 私「中学女子が入るでしょ、3年後に高校女子が入るでしょ、でもって高2で彼女たちがクラス替えで混ざるでしょ? その時にねぇ、絶対キャットファイトが起こる」
 地「え~? あ~、あるかも」
 私「内進組が『そんなのF校じゃありえないんだけど~』って攻撃したら、外進組が『ぷっ、視野狭~い』とか言い返すの。で、それを調整するのが主任」
 地「お前悪魔か」
 私「い~っひっひっひっひっひっ」
 ……と、悪魔が投げたブーメランが3年後に自分の眉間にスコーン! って。或いはフリーザ気円斬みたいにザンッ! って。

 とまぁ、ブーメランと気円斬の傷は浅くないですけれども、幸いなことに内進女子は穏やかで優しそうな人が多いし、A組女子はそれより五月蠅いけど人間的にヤな人はいないし、混ざっても大丈夫じゃないかなぁ、という思いも。ただ、A組女子はもちょっと勉強してほしいけど、勉強勉強勉強。
 ……入試の話があれよあれよとあらぬ方向に。これは、ベッドに入るのが早くて色々考え事をしたせいですね。本日は授業が3限で終了、生徒下校後に入試用の教室整備をした後は、16時前に帰宅して19時には就寝、9時間超の寝だめをするのですから。