それはせんせい 声を限りに 叫んでも

 56回生警察庁Mくんからの「食べログ」依頼は旨い肉。条件は①渋谷エリア、②「三百屋」「いのうえ」「松木家」以外、③Mくん兄弟とサークルの先輩(35歳)2人で合計4人、③五月蠅過ぎない、④予算7000円、というもの。取りあえず「三百屋 お弐階」「ゆうじ」「永秀」の神泉3軒を軸に数軒を紹介したら「永秀」が琴線で予約もとれたそう。事後でこんなこと言うとアレですけど、多分予算超えるけど許してね。官僚だからいいよね。
 あと、「サークル」って例の政策立案団体ですよね。同じくメンバーだった56回生Kくんが「政治的意識の高いヤリサー」って喝破したあそこのことですよね。だったら、「永秀」は大学に近いしお洒落系だしとある理由(ググってね)で若者人気の高い芸能人のサインが幾つかあって話題のとっかかりがある店だし、メンバー間のデートスポットとしていいんではないでしょうか(って、流石にこの段落の内容は伝えてませんけど)。

 さて、朝のSHR定期テスト現代文の答案返却。授業は高1現代文でセンター演習として評論を1つ、でしたがこれ(宇波彰「『のようなもの』の世界」)は彼らには簡単すぎて授業時間が余った。
 昼過ぎまで仕事した後は市街に出てミスドで読書。夜の読書独酌は家から程近いお気に入り肉料理「I」にて。

 山本崇一朗からかい上手の高木さん(2)』読了、★★★。感想は1巻(2/22)に同じ。
 前屋毅『ブラック化する学校』読了、★★★。私は私立の中高一貫校の教員です。始業5時・終業18時を月~金、始業7時・終業13時を土・日で、週の学校滞在は80時間弱。他に持ち出しの仕事が週に10~20時間。その殆ど(実に6割以上)を授業準備・準備・採点という「教科教育の仕事」に使える(残り4割が担任・校務・会議他)という点において教員としては「限りなく恵まれた」待遇だと認識しています。残業代は勿論ゼロですが、国語関連の仕事をやってる間はストレスが溜まることはありません。これを病識の無い社畜ブラック患者だと思われるなら、本書に詳述されている公立校教員の「地獄」は想像の埓外ということになりましょうか。

ホテルで逢ってホテルで別れる

 永江朗『東大vs京大 入試文芸頂上決戦』読了、★★★。
 東西を代表する国立大学の入試現代文過去問から当時の出題者の時代・社会意識を読み解きつつ、両者の入試問題のどちらに軍配を上げるかを考えようという試み、は面白いに決まってます(特に、私のような「フェチ」にとっては)。過去問70年分を集めて検討するという作業量にも敬意。なんですけれども、この仕事なら例えば斎藤美奈子氏にお願いしたかった。
 営みが想像力の勝負故に時に牽強付会が過ぎることは仕方のない許容の範囲内だとしでも、その想像の一助としてせめて解答を実作することはして戴きたく(難易の主観的判断について軽く言及するだけでは足りないと、斎藤氏なら感じてくれたのではないかと思います)。第三者の立場(外……これは、現在から過去を眺めるという意味の「外」という意味に加えて別に、受験というシステムの「外」という意味です)から眺めるだけでなく、実際に解答する立場(内)からも考えるという態度があれば、内容・分析に深みが増したんじゃないかなぁ。例えば、両学の入試問題の差異の分析は、解答欄の大きさの違いを明らかにするという形式的側面からも行わなければならないと気づくか、とか。とは言え、(問題・解答解説のみを収録した)赤本頼みの資料(過去問)採集だったという所に限界があったかとは思いますけれども……。
 後、タイトルに「文芸」という語が使われていることからも分かる通り、「現代文」という科目が求めている力に対する認識が(良い悪いは別にして)やや「古い」ですね。
 とは言え、今現在の視点から読み物としての入試の面白さを考えるという筆者の立場に立てば、あとがきで下された軍配になるのは「そらそだわなぁ」って感じかな。

 さて、定期テスト最終日。私は初日出題の現代文採点・集計が終わっているので、監督業務だけで楽ちん。他に、高3文系某くんから京大後期の小論文添削依頼が来ていて、これは本腰を入れてゆっくりと取り組まなければなりません(月曜日に面談予定)。

 テスト3限の後は、高1全員がすぐに市内某ホテルに移動して、ランチコースを食べながら(家庭科の授業の一環としての)テーブルマナー講座です。誰かの受け売りか半端に小金持ちなのか、生徒の中には「ホテルのクソ不味い料理やろ? 興味ないわ~」とか言ってるのもいますけど、「そりゃママのお弁当程ではねぇ」ってなもんで、何だかんだ言って始まったら皆さん美味しくお召し上がりになるんですね。
 さて、私が高1担任団に加わるのは56回生、63回生に続いて67回生が3回目なので、テーブルマナーの出席も3回目のはずなのですが、なぜかこれが2回目なんですね。理由は簡単で、56回生の時は直前のどっかのクラスの授業が余りに騒がしかったのにキレて途中で帰っちゃったんで、授業サボってイベントだけ出るのもあれだし、と参加をドタキャンしたんです。だから2回目。
 つっても、私は面倒臭い人間ですからね。一日一食と決めているその「一食」を酒も飲まないイベントで消費できるかい! ってなもんで、教員テーブルのフルコースは隣席に座る若手柔道先生に「柔道くん、僕の分も食べて! 宜しく!」「は、はいっ」ってやりとりで全投げして(ああ、先輩の強権!)、行事の間はひたすら自分のクラスのテーブルをぐるぐる回って「生徒観察」してました。修学旅行とかでもそうなんですけれど、生徒が物を食べてるところ見てるの、これが結構面白いんです(A組生徒は内進の先生が呆れるほどお菓子が好きな子が多く、休み時間にいっつも何かを飲み食いしてるんで、よく「観察」してます)。
 例えば、スープと一緒に出されるパンを魚・肉料理の皿が出される時点まで残しているテーブルもあればスープの時点で貪り食い尽くしているテーブルもあるとか、コーヒーを飲める子飲めない子砂糖ミルクを入れる子入れない子入れるなら砂糖をどのくらい入れるのかとか(スティックシュガーをそのまま口の中に注いでる阿呆も居ましたね)、挙げる例は2つで十分で他にも色々。あと、A組の生徒ではありませんでしたが、学ランを礼服風に折り曲げて、下のYシャツに手作りの蝶ネクタイを着けてる男子が居ましたね(A組の女子何人かに「可愛い!」と遠くから誉められてました)。

 13時~15時のイベント後は、喫茶店と居酒屋とをハシゴして読書。永江朗を読み終わった後は、またまた教員っぽい新書に手を出して、酔いが回って来たら漫画に移るという。

何を見ているの? またシュートが外れた

 シタラマサコ『おそ松さん(3)』読了、★★★。碌碌たる六の陸でなしの録。クリスマスの話やカルタ取りの話等に顕著ですが、ちょいちょいオチがクソベタなのが鼻につきます。

 新聞記事の「1億総スポーツ社会」とかいう頭の悪いネーミングに(見なきゃ良いのに)ついつい目が行ってしまい、その中で「スポーツが『嫌い』『やや嫌い』の中学生を半減させ8%にする」という目標についての表現があって頭がクラクラする。
 というか、1億2000万人の国で16%がスポーツ嫌いだっつーなら丁度良い感じで「1億総スポーツ社会」になってんじゃんよ。
 中学高校時代、その他の授業と違って体育だけは「参加」義務があったことにずっと不自由を感じていました。出来れば「見学」を自由化して欲しいなぁ、と。座学の授業なら、机に固定されているだけで手も頭も使ってない人(「参加」せずに「見学」してる人)、いっぱい居ますでしょ?

 高1現代文の採点・集計が終了。A組がクラス別平均点で首位、一応担任の顔を立ててくれたようで良かった。平均点76.0でこれは想定通り。東大本文の初見でも対応できない人たちではないんです(勿論、設問は変えましたが)。最上位層の生徒なんて、数回(高3特講のような形で)書き方を練習したら、直ぐにでも東大現代文が解ける(←点を出す、とは違います)ようになるんじゃないかな。

いまに帰ってくるのやら 徐かに私は酒のんで

 さて、本日は高1以下の生徒は自宅学習で、一日中定期テスト(残り2日)の勉強に追われているはず。で、高2と高3とは送る側送られる側、の高校卒業式。私は高1担任団として式の受け付けであるとか式後に食堂で行われる歓送会の片付けだとかの雑務が色々。でもって、昨日は飲み過ぎた(というか軒数を重ねすぎた)という反省があるのに今日は今日で16時とかいう明るい時間から飲み始めてしかも杯を次々に重ねないといけないというお仕事が。

 高校卒業式の後は毎年、高3保護者主催の謝恩会が市内ホテルで開かれます。勿論主賓は担任団・管理職なのですが、高3で授業だけ担当した教員も招かれ、大体は縁が薄いという理由で断るケースが多いのですが私は誘われたら全部行くというマイルールを貫徹してヘラヘラと出席するという。
 3時間の会席中、担任・副担任の前には各クラスの保護者の方々がずらり列をなし、全員が瓶のビールを注いではご挨拶という、端から見てたら微笑ましく注がれる当人にとっては地獄みたいな光景が繰り広げられているのですが、担任団でもなく授業も文系漢文理系東大漢文特講だけなので対象生徒100人以下という私の場合はやって来られる保護者の方もぽつ、ぽつという感じでマイペースに飲める(だから「杯を次々に重ねないと」って程でもないですね。重ねましたけど)。

 さて、アウェイ勢漢文先生にとって唯一の「お仕事」は、各教員3分ずつという制限時間で壇上に立つ「3分間スピーチ」のみ。普通はアウェイ(授業担当者)→ホーム(担任団)の順番で喋るんじゃないかと思うんですが何故か今回は逆で、担任団が思い入れたっぷりのコメントで臨席保護者を感動させ尽くした所に司会者のお父様から「はい、アウェイ勢、どうぞ!」と壇上に促されまして。取りあえず、同じテーブルの副担任同窓数学に「今回こそは笑わせずに行くわ~」と宣言して、全く信用してないという視線を背中に感じつつ、マイクの前。「3分間スピーチ」、以下。

 【国語科の池ノ都です。今年度は漢文の授業でお世話になりまして、対象が文系の生徒と理系の東大志望者の特講だけということで、ここにいらっしゃるお父様お母様のお子様全員と関わったという訳でもない、要するに「通りすがり」みたいな存在なのですがそんな人間にまでお招きの声を掛けて下さったことを、先ずは感謝申し上げます。
 さて、文系漢文の二次対策授業、及び東大の特講ということで、これは単に授業だけではなくその後に授業中に解いた二次試験過去問の添削という作業が御座いますので、これが意外に大変な作業になるんですけれども、今年の65回生高3は、何故か文系の生徒の数が少ない。例年なら50人程度居る筈の文系が、今年は30人弱しか居ないんですね。これで私の仕事は大変楽になりました。こんなに楽な高3は過去なかった。こんなに楽をさせて頂きましたこと、皆様方には心から感謝しております。
 何故今年の高3はこんなに文系が少ないのか、と職員室内で訝しがる声は多々ありますが、そんなの考えるまでもありません。お父様お母様ならお分かりだと思いますが、これは偏に担任団に居る国語科2人、学年主任先輩先生と文系担任後輩先生という国語教師2人のせいに間違いはありません。
 卒業式の日だとついつい「終わりよければ」と考えてしまいがちですがこれはちょっと違って、やっぱり「始めよければ」が実際の所なんですね。高校65回生の一日の「始め」はどこからだったかと言いますと、毎朝6時30分に出勤なさって高3フロアの廊下教室の掃き掃除をお一人でなさる主任先輩先生のお清めから始まるわけです。登校した65回生生徒諸君は「あら何となく我々のフロアは居心地がよいぞ」と思いながら毎日を迎えられる訳でしてこれが「始めよければ」。
 というのに象徴される主任先輩先生の生真面目、無礼講で言葉を選ばなければ堅物、というのが右にありまして、はい左を見たら今度は文系後輩先生。こちらときたら上から下までビッチビチにお洒落センスの塊、これで生徒の文系観は固まったんですね。右見たら生真面目、左見たらハイセンス、どっちかに飛び抜けてなきゃ文系になれないと思うならこれはもう前門の虎後門の狼、生徒は全員「理系に逃げちゃえ~」となるのは必然です。文系が少ない所以。繰り返しますが、このお二人のお陰で今年の私は本当に楽をさせて頂きました、本当に有難う御座います。
 さて、先ほど文系後輩先生はスピーチでお別れが寂しいというようなことを仰有っておりましたが、それは、甘い。私、初めて高3担任団の中に年下が居るというシチュエーションが嬉しくてついつい喋り過ぎてしまっておりますが、この国語科2人の壁を越えてわざわざ文系を選んだような猛者が文系後輩先生、あなたのクラスには揃った訳ですよ。あのね、あいつらは、来るよ。きっと来る。明日も明後日も来る、5日後も10日後も1年後も5年後も、来る。でもって、来たら食事の一つでも奢ってあげたくなるじゃないですか。ねぇ。
 だからね、文系後輩先生。お金を貯めなさい。今からコツコツお金を貯めるんです。私も、担当クラスの卒業生に誘ってもらって数日前やそれこそ昨日も飲みに行ったんですけれども、1軒だけのつもりがあ~ら2軒目ほら3軒目、となった結果、65回生の特講費、あ、特講って勤務時間外ということでちょっとばかりお金が貰えるんですけれども、一年分の特講費が蒸発してしまいましたもので。
 ね、文系後輩先生、お金、お金を貯めなさい。私が申し上げたいのはここに尽きます。本当に。
 それでは失礼致します。本日はどうも有難う御座いました】

 降壇。同窓数学に呆れられる。
 同「どこが笑い無しだ」
 私「おかしいなぁ、主任先生の掃除の話あたりで保護者号泣の予定だったんだけどなぁ」
 同「アホか」

 謝恩会では、スピーチ以外に担任団が「出し物」をしなければならない(様な風潮はどっから出たんでしょう)んですけれども、ここでは後門の狼お洒落番長後輩先生がギター弾き語りで魅せました。また「時代」(中島みゆき)、「青春時代」(森田公一とトップギャラン)っていう選曲がさぁ。
 聴きながら、隣席の副担任化学先生も大興奮。「楽器出来るってメチャメチャ格好いいよね。池ノ都、俺たちもギター始めるぞ! コミックバンド組むぞ!」 何でコミック限定やねん。

 生徒の3年間を振り返るスライドショーや最後の保護者謝辞では皆さん涙、涙。毎年(のように)来ていますが、今年も良い時間を過ごせました。
 で、私の次なる「仕事」はここからで、19時終了教員一同退場、の後で担任団打ち上げ(二次会)のセッティングをする幹事です。全員が十分飲み食いをしているので店はホテルから徒歩10分の野菜料理「B」で二次会コース、とあたりをつけて電話したらバッチリ人数分の席が確保できたので、参加者に会場をお教えした後酔っ払い疾駆5分で先に店に到着。店のマスターと料理の出し方を相談しながら後続の到着を待ちまして、主賓高3担任団の方がお店に入ってこられる頃にはコースの最初の料理(野菜)が出来上がっているという次第。
 「乾杯」以降は、な~んにも考えずに飲むだけです。

あああ 恋の片道切符

 定期2日目。監督とその合間に高1現代文の採点と。午後は4時間ほど年休を取って、行きつけで散髪。仲良しの美容師さんとは毎回、同じく常連客であるところの同窓同僚数学の話題などして楽しんでるんですが、今回は私の背中合わせのもうお一人のお客さんが偶然高3生徒のお母様だったということもあり(同窓同僚数学は高3副担任)、それにまつわる話を自粛せざるを得ず。一旦自宅に戻って着替えて、17時前に学校に戻る。17時~18時の(定期テスト期間延長開館の)図書館の監督。
 その後、ついこないだ飲んだ63回生Bくんと、「こないだは魚だったから今日は肉にしようぜ~」という軽いノリで「もりき」に行って、明日はBくんが京都帰還で私が卒業式だからサクッと鴨コースを賞味の後に帰宅……の予定があらお懐かしやヤギアンテナ(←63回生の一部にしか通じない固有名詞)の話から文化街のライブバーだとか小料理屋だとか、何でこんなことになるかねぇと、夜中の2時(だからこれはもう弥生朔日)に一旦目覚めてしみじみと反省後悔の夜。Bくんにメールで謝罪。

ぶってぶって姫

 定期初日。今日から(3月1日の高校卒業式を挟んで)5日間がテスト期間です。5時入り職員室で学級通信作成その他デスクワーク。
 で、初日の今朝8時のPC室にて、ベテラン体育先生に。
 私「定期期間ですし、どっか行きません?」
 体「……今日か明日か明後日か、の順で都合が良い!」
 私「格好いい! じゃあ今夜飲みに行きましょう!」
 ということで、今夜は体育先生と、店は勿論「月空」@二日市、63回生担任団2人ですから、保護者(お父様)のお店に行くというのが験が良いんです。浪人組の入試のこととか、土曜にA組Kくんが職員室に来てくれたこととか、話題も豊富にありますから(あと、勿論、職員室の噂話も)。

 始業後の仕事はテスト監督、今日は4限に高1現代文の出題もあります。50分の解答時間の、開始15分後と35分後との二度、質問を受けつけるための教室巡回をしました(質問は出ませんでした)が、その時に机間巡視をして確認したら、東大本文をガッツリ入れた割には記述停滞の生徒の数も多くなく、むしろ全ての文章のテーマが自然科学・技術なので理系に偏りがちの生徒たちにとってはバッチコイなのかも、などと思ったり。

 13時30分で生徒は解放。その後は、職員室で16時まで採点をガシガシ。その後、一旦帰宅して着替えてから西鉄電車で二日市へ。体育先生と歓談さし飲み……の2軒目は先生の「ラーメン食うぞ!」の一声で駅前の名も知らぬラーメン屋。あんだけ肉だ酒だを身体に詰め込んどいて、ここでどうしてラーメン餃子に炒飯でビールを鯨飲出来るのか、我(々)ながら本当に不思議。

 瀧波ユカリ・犬山紙子『マウンティング女子の世界 女は笑顔で殴りあう』読了、★★★★。男同士のマウンティングと言えば「収入肩書き趣味特技、喧嘩持ち家寝てない自慢」? 宴会での武勇伝俺様語り系相手の時には「腹見せ」なんかじゃ生ぬるい、私は毎度ロックマン並のスライディングで自ら相手にマウントポジションを取らせに行く(「わ~、すご~い、そんなのはじめて~」)くらいはします。じゃないと、後から別の飲み会で彼を嗤うための「再現コント」が出来ませんからね。馬乗り体質の方は腹上死するまで調子に乗せれば良いのです。但し、「よくマウンティングされるんですよねぇ、こんな僕(の美徳)って……」と、自らマウンティングを始める愚には陥らないようにしなければ。ヘドロみたいな自慢話は、例えば自分しか読まないブログで垂れ流す程度で慎むべきですよ、ねぇ。

うなずいてくれますか 大事な答えを並べたい

 TwitterのTLに最近よく出てくる広告、大抵は消したりすることもなくスルーするだけなんですが、今朝表示された教師向けの授業準備・実践例紹介サイト「F」って企業は瞬間湯沸かし器になってブロックしました。何が「時短で授業準備」だ馬鹿が。そこが教員の仕事の核でその仕事が出来ない程に業務雑務が多いというのが社会問題なんでしょうが。分かってる癖に本末を転倒させようとする、火に油を注ごうとするってのは最早犯罪行為なんじゃないかとさえ。

 4時半起床、6時学校入り。本日のメイン業務は明日出題の高1現代文定期テストを作成・印刷すること。試験範囲は、以下の2つの文章。
 ①福岡伸一動的平衡
 ②村上陽一郎「トランス・サイエンスの時代」
 ①・②それぞれの細かい読解問題、及び①と②との関係性を問う問題は既に頭の中で出来上がっています。後者に関しては、昨日昼過ぎに質問に来たA組の女子生徒2人と話している内に輪郭が出来上がって行きました(だから、その2人は問題を見てそうと気づくかも知れません)。
 で、朝から少し迷っていることが一点。昨日、出典調査で「読んでしまった」東大入試現代文の文理共通第一問、伊藤徹『芸術家たちの精神史』本文が、何という偶然なのか①・②の内容とモロ被りしているんですね(完全なる「これってあれじゃん」状態)。具体的に言えば、不妊治療その他の具体例は①で批判的に検証されているバイオ技術の問題そのままですし、それら近代科学・技術の生む社会的問題を考察する伊藤徹の問題意識は正に②で言うトランス・サイエンスに向いているからです。迷っているというのは、要するに、
 ③伊藤徹『芸術家達の精神史』
 を実力問題で本文に使うか否か。
 とまぁ、やるかやらないか迷った時はやる、というのを基本的なルールに据えているので、結局出題してしまうんですけれども。②本文内の傍線部と同意の一文を③本文内から抜き出す問題を2題、③本文内の傍線部を①本文の論理に即して説明する問題を1題、②・③両本文内における「可能性」の語の用い方の違いを比較説明する問題を1題、計5題を実力問題として。勿論、そこそこ(以上に)対応するだろうという予想の元に出題しています。

 13時には仕事を終え、今日の散歩は学校裏山、かつては軍の敷地だった山の中には野外講堂があったり、トーチカみたいな宮城遙拝台があったり。F校生なら周辺散策で一度は連れて行かれたんじゃないでしょうか、記憶が正しければ私が中1だった頃は、今は封鎖されている野外講堂に入れた(上がれた)んじゃないかと思います(宮城遙拝台はまだ登れます)。

 本日の食事は、英語パイセン女子お薦めの居酒屋「W」でこれは初訪問。ウニいくら丼穴子天麩羅・刺身小鉢・サラダバー、のセットで1900円。丼のご飯は釜炊きで桜の塩漬けの風味。これはご婦人連で満席なのも道理。ビールと熱燗とで堪能。3月末に行われる高1担任団慰労会会場として即決で予約を取りました。

 夜は、自宅で「ブラタモリ」を観てから就寝。

今はひらり 飛び越えられる 一緒に行こうよ

 流石に8時過ぎの出勤。本日は授業なしだったので午前中はのんびりとデスクワーク。その最初の仕事は、夜に池袋「あんぷく」で行われる63回生(学年主任・卒業生5人による)飲み会の2次会候補を幹事役Hくんにメールで送る作業でした。一次会がうどん屋なので和食以外、と先ずは「中国茶館」「韓二郎」「知音食堂」の3軒。全滅した場合は毛色の変わった和食で我慢、と「八丈島」。4軒ありゃどっかにゃ入れるでしょ。こないだ「一次会後に電話するかも」と言われてたんで先回りしました。

 午後は、同じデスクワークでもちょっとテンションを変えて。今年の東大入試(国語)の問題がHPに上がるのを待ちます。その前の手遊び(てすさび)にTwitterで「東大」を検索していたのですが、古文が『源氏』だったことと、現代文第一問の設問数が減ったこと(2行解答の記述が1題減)とが11時10分理系国語終了直後に誰かのツイートで明らかになりました。昼休みにスマートフォンを弄くってる受験生って恐らく合格が(或いは合格した後が)厳しいんでしょうけれども、とりあえず「もっと呟け!」「もっと呟け!」と念じながら検索・検索。
 序でという訳ではないですが私大の国語・小論文の出典もさらっと確認。そしたらあれですね、去年の東大現代文が内田樹反知性主義者たちの肖像」だったのより、同じく阪大現代文が白井聡反知性主義、その世界的文脈と日本的特徴』・内田樹『街場の戦争論』のコンボだったのより、今年の慶應法学部小論文が長谷部恭男憲法と平和を問い直す』だったのの方が露骨でしたね。
 さて、結局東大入試国語の問題を私が最初に見ることが出来たのはY予備校のHPでした。現代文の出典は文理共通が伊藤徹『芸術家たちの精神史』、文系専用が幸田文「藤」。伊藤徹は2004年の文理共通に『柳宗悦 手としての人間』が採用された書き手ですが、まさかこんな短期間に同じ筆者が二度出題されるとは、と驚き。「藤」の方は昔の教科書教材ですね。国語は噂通りに『源氏』で、漢文は……と書きながら躊躇う。以下、1ツイート140字。【えっと、今年の東大の漢文なんですけど。自ら付けた飼い猫の名を客の求めに応じて「虎猫」→「龍猫」→「雲」→「風」→「塀猫」→「鼠猫」……えっと、知ってたらほぼ全ての設問が無意味になる出題だったんですけど、あの、若しかして、20歳前後のフォロアーの皆様って、「鼠の嫁入り」、知らない?】

 さて、夕方まで月曜日に出題の高1現代文の問題を作成しよう、と思っていた所に来客が来て、その来客に驚かされた。まさか訊ねてくるとは思わなかったし顔立ちが変わってたしで、最初は担任の癖に全然気づきませんでした。63回生我らA組「遅刻八部衆」の一、卒業後の行方が分からなかったKくんが、ふらり職員室訪問。一時期体調を崩されていたそうですが、読書と散歩の日々で充電、これから動き出す、とのこと。「会えて良かったです」と言ってもらったのですが、その言葉は私から言いたかった。

 結局、定期の問題は明日の朝作ることにして、夜は「もりき」でサクッと独酌、平日と同じく早寝。

思い出せない 揺れてる まわってる

 高橋徹也の初期ベスト『夕暮れ 坂道 島国 惑星地球 高橋徹也 Ki/oon Records Years Best』が素晴らしすぎて(★★★★★)他を聴く気が起こらない。高校時代に深夜のテレビCMで衝撃を受けた「シーラカンス」も、菊地成孔の演奏が最高に気持ち悪い「チャイナ・カフェ」も、転調フェチにはラストの多幸感が麻薬そのものという「新しい世界」も、好きな曲がかかる度についもう一回もう一回とリピートしてしまうんで、最初は70分強のアルバムを通して聴くのに本当に4時間とかかかってしまいまして、ねぇ。

 さて、本日63回生我らがA組Bくんと飲む約束をしたんですけれども、先に何が食べたいかを伺ったら「美味しい刺身、京都で食べられないから」という返事。K市にだって店はありますがそう言われて真っ先に思いついたのが博多「太郎源」だったんだから仕方がない、18時に駅待ち合わせで今日はとことん散財しよう(給料日だし)、と決定。

 1~5限の現代文授業は村上陽一郎「トランス・サイエンスの時代」、本日が定期テスト前授業最終回で、私の試験出題は定期初日(27日)の4時限目ですね。5コマを疾駆したら、「今夜はプレミアムなフライデ~♪」なんぞと新語(not流行語)を使い損ねつつ帰りのSHRを副担任先生にお任せして自宅へ。私服に着替えてから博多へ向かいます。道すがらバッタリのお久しぶりHさんからは、「いけのっちゃん、痩せすぎ!」と叱られてしまいました。今日はガッツリ食べなければ。新幹線内の音楽は、勿論高橋徹也のベスト。

 お兄様の結婚式のための帰省だと仰有るBくんは、高校時代は「遅刻八部衆」の一、高校生より大学生の方が向いてる典型的な人間で、京大文学部は彼に役不足なんじゃないかなぁと勝手に心配してしまう程の才人。熊野寮で委員を務めながら学費も自弁で頑張る親孝行に感心しながら、進学先の話や高校時代の話やを楽しみつつ、刺身・マグロカマ焼き・佐賀牛サラダ等々……を写真に取り忘れた。Twitterに「行きつけ紹介コーナー」を作ってる最中で、入店の前にも「リア充アピールOLみたいな感じで写メるけど引かないでね」とBくんに言ってたんですが、旨いのと話に夢中になってたので携帯の存在を完全に失念(打てば響く人と話をすると、これ、よくあるんです)。
 ビールから日本酒って感じで割かし飲んで、どのくらい酔っ払ってたかというと博多からK駅へ向かう新幹線で間違って1回新鳥栖で降りちゃう程度の酔っ払い方で(Bくんは博多からの新幹線が初めてでてっきり1駅だと勘違いしていたそう。私は高橋徹也に夢中でな~んにも考えてませんでした)、それでもK駅に着いたら2次会に行きたくなっちゃうわけでタクシーで突入はお気に入りの小料理屋「A」。カウンターで駄弁りつつ、Bくんが京都に帰る前にもっかい(数日後に)3次会やっちゃおうか今度は肉だ! とかオッサンのアホテンションは止まらず。

 橋本治『たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ』読了、★★★★★。「心のない論理」と「心の論理」という一義性を共に退け、「心のある論理」という両義性の必要性を(実際に「心のある論理」を駆使して聞かせることで)説く筆者(話者)の手腕。岡潔を引用して、森田真生や橋本治が下品にならず藤原正彦はそうなってしまう理由など考えながら読みました。

その先の日本を生きる君たちへ

 口紅をつけているという理由で叱られたA組女子軍団、不満。
 A「お洒落じゃないんです、身嗜み!」
 B「私、唇カサカサになるし」
 C「私は血色が悪いから。ほら、こんな色」
 私「見せるな見せるな、ってか血色隠すならマスクでいいし、乾燥対策なら無色のクリームでいいじゃん」
 B「無色とか今時……」
 私「『今時』とか言ってる時点でお洒落寄りじゃん」
 B「ほら、そういうとこ国語教師!」
 A「もうやだ~!」

 JTCY氏の3月太宰府出張に向けて、twitterでK市行きつけ店紹介シリーズを続けていたのですが、その出張自体がお流れになってしまったそう。福岡出張は度々だということでいつかはのお約束、をしたので暫くはこのシリーズを続けようかと思います(私生活充実独身OLごっこみたいで楽しいし)。JTCY氏が気を遣って全部に「いいね」をして下さるのだけは申し訳なく思っていますが……。

 65回生(現高3)担任団の東大受験生の応援上京、全員24日(試験前日)の午前の飛行機で出発するということを聞いて驚愕(午後の下見案内業務の直前に空港着)。私、自腹で前乗りして夜は(友達や卒業生やと)飲むのが「理の当然」だと思ってましたし、実際63回生・64回生の応援上京の時はそうしてたし、そっかぁ、学年団の気質によって変わるんですねぇ。

 実際、65回生副担任として応援上京の化学先生、我ら63回生の主任でらっしゃるんですけれども、上京中に学年団の飲み会がないから速攻で63回生の卒業生飲みを入れたって話。
 でもって、今夜、その飲み会に参加する63回生理系Hくんから電話で「25日の池袋で18時から6人で飲めるお店はありませんか~?」って聞かれたんで、K市から電話して「あんぷく」の飲み放題付きコースを押さえました。ごゆっくり~。

 その予約の電話は行きつけ肉料理屋「I」のカウンターにて。電話を切ったらマスターが。
 マ「予約っすか?」
 私「そう、卒業生が池袋で飲むっていうから、行きつけに電話して」
 マ「池袋? に、先生が今度行かれるんですか?」
 私「いや、行きませんけど」
 マ「??」

 「I」はマスターが料理の全てを担当して、後はお運びのアルバイトくんが1人(2人が曜日交代制で)。今日のバイトくんは市内K工大の4年生なのですが、先日カウンターでこんな話をしまして。
 バ「今度、卒論発表のプレゼンをやるんですよ。友達と2人で」
 聞けば、黄身と白身とが逆になっているゆで卵(逆転卵)を作るための装置を作った、と。生活の知恵としては、ストッキングに詰めて思いっきり回転させて作るあれを、機械でやってみよう、という試み。
 私「へぇ、面白い。それ、何人くらいが聞くの?」
 バ「100人くらい、かな」
 私「凄い! 僕の授業の2倍だ! 緊張しますね」
 バ「そうなんすよ、どうやって話したらいいですかね? 恥はかきたくないし……」
 私「あ、それ、無理」
 バ「えっ」
 私「大勢の前に立って話すって、そのシチュエーションが既に恥ずかしいんだから。僕、13年やってるけど、まだ毎授業恥ずかしい」
 バ「え~、ほんとですか」
 私「です。国語教師なんて、自分が一から考えたわけでもない誰かの文章をドヤ顔して話せって言われて。どの面下げて感しかない。その点、××さんとお友達とは、共同で自分たちで考えたり装置作ったりしたんでしょう?」
 バ「まぁ」
 私「じゃあ、その点だけでエラいと思う。出来なかった分からなかったことがあっても、嘘をつかなかったら大丈夫」
 ……と、やり取りの時点で割と酔っ払ってたから、大した話をした訳じゃないんですけれども。本日、プレゼンを経たバイトくんが、無事に終了したことと卒業を控えて今日がバイトの最終日だということを教えて下さいまして。
 私「そうですか、どうもお疲れ様でした」
 バ「色々有難う御座いました。今日で終わりですけど……」
 私「じゃあ、今度はカウンターでお会いしましょうね」
 バ「あっ……はい」