新しい服を着る 季節のように

 太田省一『「笑っていいとも!」とその時代』読了、★★★★。

 早朝から書斎で書き物、ちょっとだけ仕事。新大阪へ向かう新幹線は12時にK駅を出るのですが、11時半にHさんのご同僚E氏が車を出して下さることに。E氏とはHさん家(ご自宅兼オフィス)で数度顔を合わせた程度で申し訳ないかと思ったのですが、お二人が飲んでる珈琲は私が品川「サザコーヒー」で定期的に購入しているものですし、一度くらいは甘えても良いかと(一応、お礼のお菓子は準備しました)。
 E氏の車でK駅近くの「チャイナ梅の花」、2人分のお弁当を受け取ってからJRへ。JRのK駅にはコンビニはありますが駅弁屋が無いので、ちょっと贅沢なお弁当を(前日に電話で)注文しておいたのです。新幹線の席は前後2列の窓側、席に着いたら早速お弁当(3段重)を開けて、小倉に到着するまでの時間でゆっくりと味わいました。点心・豆腐料理、美味。
 博多駅辺りから指定席はほぼ満席、客の半分強は外国の方々です。私とHさんとの隣(通路側)の席にイギリス人の老夫婦が(前後2列で)座られたので、4人で話をして(私とHさん、ご夫婦のそれぞれが隣同士になるよう)席を交換しました。車内では私もHさんも眠ることはなく、私は新書本(太田省一)、Hさんは文庫の小説を。

 3時に新大阪、駅構内のお土産屋でHさんは同僚E氏、私は事務嬢さんへのお土産を購入。地下鉄で中津駅に移動した後、駅近くの東横INNにチェックイン。1時間後にロビーで落ち合うようお約束をしてから部屋に入り、入浴後にホテルの周辺を散歩(というか、夜の予約をしているおでん屋の場所を確認。ホテル徒歩3分でした)。
 ロビーで落ち合ったHさんとタクシーに乗ってフェスティバルホールへ。今回の大阪の1泊のほぼ唯一の目的は中島みゆきさんのコンサート。フェスティバルホールは、1階入り口の大階段を上ったところに入り口、チケットを切ってもらって中に入ったら大ホールへと続く長い長いエスカレーターという順路。この、大階段とエスカレーターとがコンサート気分を盛り上げてくれるのです。グッズ売り場で、私はトートバッグ、Hさんはバッグとシャツとを購入。

 2024/03/29(金)、中島みゆき『歌会vol.1』@フェスティバルホール(大阪)。
【第1部】
 ①はじめまして ②歌うことが許されなければ ③倶に ④病院童 ⑤銀の龍の背に乗って ⑥店の名はライフ ⑦LADY JANE ⑧愛だけを残せ
【第2部】
 ⑨ミラージュ・ホテル~⑩百九番目の除夜の鐘~⑪紅い河~⑫命のリレー~⑬リトル・トーキョー ⑭慕情 ⑮体温 ⑯ひまわり"SUNWARD" ⑰心音
【アンコール】
 ⑱野ウサギのように ⑲地上の星
 4年前にコロナ禍で中断したラストツアー『結果オーライ』の最終曲(①)で幕開け。昨年のシングル2枚(③・⑰)及び新録音がニュースになったばかりの⑲が披露されるというのは予想の範囲内でしたが、他についてははっきり言って攻め過ぎじゃないかと心配になるセットリスト(歴が長く、音源・ライブ映像を全て揃えているファン以外はどこかで必ず振り落とされる仕組みになってます)。具体的には、ここ10年のアルバム4曲(②・④・⑦・⑮)や、『夜会』オリジナル曲メドレーの⑨~⑬(⑬に至ってはアルバム録音すらされていません)や、まさかまさかの70年代アルバム曲⑥など、コアなファン以外はきょとんとしたんじゃないか、と。東阪のみの開催で全席指定16500円の公演だということを考えたら、慄きは猶更。
 とまぁ、私はコアファンなので嬉しかった!というのが単純な感想。 20年に亡くなったバンマス小林信吾氏の演奏録音をフューチャーした⑦、4回の早着替えで『夜会』名場面を「いいとこ取り(御本人談)」した⑨~⑬、主題歌となったアニメ映画の映像をバックに歌い上げた⑰、瀬尾一三氏(小林氏に代わってバンマスを担当)と出会ったアルバム『グッバイ・ガール』の冒頭⑱(ワン・ハーフで『夜会』を再現)から⑲のイントロへの流れが素晴らしかったアンコール、等々名場面は色々です。
 森山良子は「2時間はもう無理」と諦めたピンヒールを中島みゆき(御年72)は履く、どころか野ウサギのように飛び跳ねて躍る! 座りっぱなしの瀬尾さん・腰の曲がった構成作家さん、等々周囲が確実に老いる中で中島さん独りお若いという怪奇現象を目の当たりにしました。
 とは言え、囁くように歌う(例えば⑤のAメロ)時の高音が不安定気味になったり、DJを務める時(客席お便り紹介コーナー)の構成作家との即興やりとりがかなりグダったり、「あれっ?」な瞬間が何回かあったのも確か。今回は4年のブランクを経たリハビリなのかも知れませんし、どかんと新旧の(特に「旧」の)ヒット曲・代表曲を生で聴きたい思いもありますし、ライブタイトルに「vol.1」とついているのを信じて次を待ちます。

 会場を出たら即タクシー。ライブ後は、21時半という遅い時刻の予約で中津駅のおでん屋「八重福」を初訪問しました。中津でおでんと言えば「常夜燈」が有名(私は一度だけ訪問しました)、中島みゆきさんのアルバムを想起する店名でもありますし本来ならこちらなのでしょうが、早い時刻に閉まってしまうということで今回は断念したのです。そしたら、もう一つの有名店であるところの「八重福」も良い店だったので、結果オーライ。
 カンパチ刺・ホルモン煮込み、おでん色々を注文。おでんは、大鍋一つで煮込んだタネ(出汁は流石の美味)を、小皿に分ける際にそれぞれ調味して提供するスタイル(だから、後述の葉物3種類がそれぞれ別の味付けです)。春菊・小松菜・生ワカメ・じゃが芋・里芋・菜の花・牛筋・うどん(2人でシェア)。Hさんと、うどん以外は最高という意見で一致(煮込み系第一のK市とは、うどんの扱いが違っていました)。
 L字型カウンターにテーブル3つの実店舗ながら入口はビニールシートという半屋台気分、勿論喫煙OK(聞くだけ言うだけ野暮天という雰囲気)。常連ぎゅう詰め相席上等の地元感だったので、カウンターの端っこだったのはアウェイには丁度いい塩梅でした。店主は江口のりこが年取って膨らんだみたいなオバチャーンで、ギャル系のバイトさん3人ともども動きは機敏そのもの。飲み物は口頭で、料理は紙にペンで、という注文スタイルなので間違えた忘れた前後したとかは全て御愛敬、会計はかなり丼だと見ました(ぼられたとかはなくて、最後は納得の会計です)。
 江口のりこは常連ぶって話しかける客を「誰? 知らん!」「私は嫌われてもええのん」とぶった切るなど無双。ライブとおでんとの感想に夢中で2時間弱の滞在中店員の誰とも話をしなかった我々2人には、最後に「ぎょうさん食べて飲んでくれて」と一言でした(2人で生2杯・瓶2本、日本酒4合だったかな。遅い時間だったからあんまり飲んでないつもりなんですけど……)。

 ホテルに戻って健康睡眠。