おかあさん なあに

 「男く祭」の校内企画(初日のF校会場の、校舎内各教室で行われる企画)を担当する生徒(B組女子)から、名物企画の1つ「体験授業」の講師を頼まれました……という度に毎回書いているのですが、この企画(F校教員が外部の方々に向けて1回完結の授業を行うもの)は出来るだけ多様な教科から多様な教員が参加した方が良いんですね。職員室内の「老若男女」が手伝うべきなんです。が、私ったら就職以来15年でもう10回近くやってんじゃないでしょうか。新しい校長先生が著名な言語学者でいらっしゃるので、国語被りで去年は外されたんですけれども、今年は校長先生と私とが教員代表で授業をするというんだから偏りはますます甚だしいです(4人の講師のうち残り2人は高3の生徒がやるそうで、これはとても良いことですね。F校生の多才が活かせます)。
 だから、毎回「他の教科の先生や国語科の別の先生にあたって、それでダメなら私の所に来て下さい」と一度は保留するんですけれども、秘密主義なのかはにかみ屋なのかお断りになる先生が多いようで(中学担当の先生は「男く祭」の裏で行事をやっていて引き受けられないので、最初から候補が職員室の半分に絞られるという条件はあるものの)、結局私の所に回って来ることが多くて、はや10回近く。
 ですんで、今年も例年なら一度保留にするところなんですけれども、今年の私は間髪入れず「はい、やります!」と。それは担当する67回生の頼みだからだというのもあるのですが、もう一つ極々私的な理由がありまして、それが母君をお呼びして授業を聴いていただきたいというもの。次に「体験授業」の依頼を受けるのは何年後になるか解りません。そして、その時に母君が聴講可能なお身体でいらっしゃる保証はどこにもありません。今回が最後のチャンスかも知れない。
 幸いなことに、母君にお話ししたら聴きに行っても良いというお返事。教員の授業参観など非常識極まりないですが、非日常「男く祭」の「体験授業」なら許されるだろう、と勝手に決めてしまっています。国語の話題は多様なのでネタには困りませんが、第一候補として温めていた「東大入試の死生観」は流石に今後に回すことにして、今年は「入試国語力のつけ方、教えます。」と題して「国語(の試験)」とは何かというラディカルなお話をします。一期一会の聴講生にいちばんふさわしいはず。

 休日出勤の学校でデスクワーク。3月末から遊び倒している私が言うのもなんですが、TwitterのTLではサークルの同期が地下アイドルとのお花見イベントでズブロッカを痛飲してたり、後輩が『ラ・カージュ・オ・フォール』@シティプラザを観劇してたり、別の後輩が群馬旅行をしていたり、全く正しい休日の使い方はこれなんですよ、これ。なんですが私は、年間の特講(東大文系・理系現代文)の予定を立て、初回に配るレジュメ(特講のシステム・流れを説明したり、全19回で扱う教材を紹介したりするプリント)を作成しました。ざっと4時間の作業。5mm四方のマスに1文字1文字ぎっちりと説明を書き込んでいくので手と目とが痛い!

 夜は、小料理屋「A」のカウンター。5席並びの右端に私、左端にダンディーなお医者様……とお話ししていたら、ふとした契機でF高の先輩でいらっしゃることが判明し、というか56回生Uくんのお父様でいらっしゃるそうで、その学年知ってますという私にお父様返して曰く「じゃあ、イケノト先生はご存じです?」
 正面から訊かれたら名乗らないわけにはいかず、そこから盛り上がって(電話で繋いだUくんとも話したりして)、奢って頂いたのはいいけれども飲まされすぎて自宅に戻って完全に撃沈しました。2人で飲んだ日本酒、2升どころじゃきかないぞ、あれ。