天帝我をして百獣に長たらしむ

 先週の火曜に中3(50回生)漢文の授業を代講した時、授業開始時に配って終了時に回収した書き込み式プリント160枚がその日の帰りまでに耳を揃えて提出されたこと、真面目な学年だなぁ、としみじみしてしまいました。私がいちばんよく知ってる中3と言えば、9年前に人生初担任を務めた41回生(後の高校63回生)なんですけれども。あれたぁ雲泥の差です(勿論、41回生の方が「泥」です)。
 それまで全く付き合いの無かった41回生中3学年に突然「担任」として放り込まれた(神様、何するの)30歳国語教師、生徒の目には強力なスカウターが埋め込まれておりますから始業式の朝に教壇に立った教員の力など瞬時に見抜く訳でして、「戦闘力…たったの5か…ゴミめ…」という台詞、お生徒さんたちの目が語ってます(汚らしい『二十四の瞳』です)。そこからはいじ(め)られるばかりの日々、担任なのにあだ名は「副担」で、SHRなんて生徒が騒いで全然話が通じないからマイクとスピーカーとを持ち込んでたくらいです(あんまり五月蠅かったらハウリング起こして黙らせるみたいな感じ)。そんな私が曲がりなりにもくじけずに担任を1年間続けられたのは、(どMだからだというのもあるかも知れませんが)副担任だった超ベテラン柔道先生の戦闘力が53万だったからでして。私が一人の時は生徒どんちゃんで成り立ちゃしないSHRも、何かの理由で副担任柔道先生がご一緒の時だけは徹頭徹尾水を打つ。嘘みたいな話ですけど、私、柔道先生から褒められたことありますもんね。「先生のSHRはいつ見に行っても生徒がしっかりして。流石やねぇ」って言われた時には「あんたや!」という叫びが喉まで出かかりました(それも学年初期の頃で、すぐに地金がバレましたけど)。53万の「気」は凄いですからね、教室に近づくだけで生徒の挙措は変わります。
 ……という導入で真面目な50回生中3諸氏から一笑い二笑い頂いてから、本日の授業内容は「53万の威を借る5、じゃない、『狐借虎威』です」と流してもう一笑い。今週の漢文代講も楽しかったです(し、生徒も真面目でプリントはまたもや全員提出)。私の代講は2回でおしまいで、あとは来週の定期テストの出題と採点とです。

 放課後の職員室で、中3担任数学先生(後輩)から。
 数学「有難う御座いました~。もう、先生毎週やって下さいよ~」
 国語「やだよ」
 数学「え~、何でですかぁ」
 国語「あのね、時間割担当の教員がクソ馬鹿だからさ、私、今週、22コマあるのよ」
 数学「すみません」
 国語「疲れるのよ。マスクして喋ると脳がクラクラするのよ。もう40になろうとしてんのよこっちは」
 数学「すみません」
 因みに、私の戦闘力は5で、後輩数学先生は200です(嘘だと嗤うんなら一対一で喋ってみ~、こてんぱんにされるから)。

 中3授業4コマ、国語科会議(校内模試の結果検討、次回模試の問題検討)1コマ、放課後は17時~18時で高3理系漢文特講1コマ。
 漢文特講は80年理系『南史』を。「狂泉」の水を飲用に使い国中の人間が狂った国で、ただ一人正常を保っていた国君の運命は? という割と知られた寓話が引用されている箇所です。最後の設問の解答は予備校・教科書会社によって解答が割れ、ある会社は「これからも高潔を保とうと決意している」、別の会社は「世俗に染まってみようと考えている」、と真逆。
 殆どの生徒が「世俗に染まってみようと考えている」派の答案を書いてくることを知っている私が壇上で語る。「あのですね、常識で考えて、これから東大で勉強する学生を選抜する試験で、『世俗に染まろう』とか受験生に書かせようなんて出題者が考えると思います?(受講生笑) 皆さんだって、東大に入った暁にはそれまでの学習生活の全てを忘れて遊び狂ってやんぜ、とか考えてはいないでしょ……あ、考えてるのか(受講生笑)。入学したら東大ブランド振りかざしてモテまくってやんぜ、とか? 言っときますけどねぇ、モテませんから!(受講生笑 講師泣)」

 特講終了後、職員室で添削を3~4割方終わらせた後、答案を持ってタクシー帰宅、荷物を置いて着替えたらHさん家へ向かいます。特講の日は自炊がきついので、Hさんに甘える!(但し、食材はお酒は差し出します)

 6/23の「自粛御膳」@Hさん家お呼ばれ編。
 豚しゃぶ(兵庫「嶋本食品」取り寄せ)・ホッケ焼き・小鉢2種。
 2日連続のホッケが嬉しい偶然。Hさんのお仕事上のパートナー氏の実家から届いたというゴーヤ・コーンの和え物(小鉢)がとっても美味しかった。豚は(元々は高いやつなんで)言うまでもなくのクオリティ、本来なら市場には出回らずに飲食店に出すものがこういう機会に安く家で食べられるのは嬉しく(しかも誰かが作ってくれて!)。豚肉は半分の200gで充分お腹いっぱいになったので(鍋には野菜・茸類がぎっしり!)、残り200gは明後日(木曜)もお呼ばれ編ということにして冷しゃぶにしよう、ということに決定。
 日本酒は青森「豊盃」の夏酒を持っていったんですけれども、Hさん曰く日曜日の「もりき」常連飲み会で全く同じものが出されたそう。こっちは嬉しくない偶然、折角ならHさんにも色々なお酒を飲んでいただきたいのに。お酒自体は美味しく。
 というか、「光栄菊」だったり「福田」だったり「愛宕の松」だったり、既に開栓して減っていたやつを「片づける」という名目でHさんとぐいぐい飲んじゃって、最近ではあまりないくらい酔っ払っちゃいました。
 帰宅21時半、即就寝ですけれども、未明の添削は大丈夫かなぁ。