かっこいい男とかっこいい女が 夜の真夜中に

 5時過ぎの携帯に「おはようございます! 今から空港に向かいます!」と元気なメールは56回生Mくん(警察庁)。本日は、56回生Mくん、59回生Hさん(東大大学院心理学)のお二人を講師にお招きして、中3生徒向けの進路講座を行う日。私は中3学年団の人間ではないのですが、両講師と懇意にさせていただいております(飲みに行ったり、Mくんの場合は結婚式に呼んでいただいたりしました)ので連絡役と夜の慰労会幹事役とでコミットしています。
 慰労会の場所は博多(多忙のMくんは最終の便で日帰り帰京です)、講師お二人と中3主任先生と私の4人なのですが、官僚Mくんは高級店三昧だろうから店選びに難渋します。
 私「どうせ、毎日たっかいもんばっかり食いつくしてんでしょ?」
 M「何言ってるんですか。ここ2日間、夜は最寄り駅のすき家ですよ」
 私「それってあれでしょ? グルメ三昧が一周したパターンでしょ? 学生時代思い出すプレイでしょ?」
 M「違いますって」
 就職初年度に串カツ奢ってやったら1本100円という世界観の店に80万の腕時計着けてやって来た人間の否定をどう信じれば良いというんだ、と思う程度には捻くれてますよ先生は。
 因みに、選んだお店は庶民派と高級店との間、魚が美味しい「太郎源」。予約時に、マグロのカマは取り置きしてもらうようお願いしています。刺身・マグロカマ焼き・佐賀牛サラダの黄金トリオで(幾ら高い店に行き尽くしている方でも←しつこい)必ずやご満足いただけるはず。

 さて。
 かなりの割合のF校生にとって理系は生ビール、医者は枝豆。「取りあえず」ここでしょと何も考えてない、というのが言い過ぎなら5秒ほど迷った振りをするのがせいぜいの誠実、と言ってまだ違うと言うなら自己の「走金性」に正直(「走金性」なら文系高学歴一択だろうのに信じない頑固さ)、と指摘されて悪口はやめろと言い返したいなら大人の言うことを虚心坦懐に受け入れる良い子。何でそこまで医学部志望がディスられなかんねん、なんぞの言は添削者を納得させる志望理由書を書いてから言え書いてから。医者は「取りあえず」で選んでいい生業ちゃうぞ人間と言葉とが苦手な医者なんて要らんぞ。
 というおいたわしやな風潮に抗して、F校出身の文系を代表する若き才人お2人を招いて1時間ずつのお話を。お2人とも驚かれていましたが、共学化した(初年度の)中3生徒はこれが普通なら中だるみだと言われるはずの中3の態度なのかと目を疑う真面目さで熱心にお話に聞き入る。後で担任団の某先生が、「Mくんの話の間なんか下を向いて小さい何かを凝視してる男子が何人かいたからまさか携帯でも見てるんじゃないかと思ったら、休み時間にMくんからもらった名刺を凄い熱心に見てて吹き出しそうになった」
 Hさんはパワーポイントをしっかり準備され、心理学について、そして体験者として就活について。Mくんは国試から官庁回りの就活体験、そして人事担当業務の側からの就活の実態、とかなりディープなお話(いちばん参考になったのはHさんだったりして)。これからの日本は経済的に浮上しない(さすがに端的に「貧しい」とまでは言わなかったけれども)、多くの採用側はESをまともに読まない(何をチェックするのかは言わずもがな)、等々正直を旨とする数々の発言がキモチいい。

 Mくん(在学中は東大新聞が「Campus Guy」で取り上げた程の才人にして美丈夫)には事前に「首から上(口と顔と)で勝負してね」と言ってたので、その点についてはこちらの期待に応えていただけたのではないか、と。中3女子から大人気だったそうです(にっこり)。
 M「時間ぴったりで話したいことを相応しい手順で話す、って本当に難しいですね。自分、絶対に教師は無理です」
 私「話すだけならテクニック。10年もやってりゃ僕ですらできるんだから。問題は話す内容なわけで。君ら(56回生)の高2高3の現代文で話してた内容、今から考えたら何であんな程度の話しか、ってなるもん」
 M「えっ……それ、リアルに結構ショックですけど」
 私「間違ったことばっかりだ、って訳じゃないけど、もうちょっと深い部分までとか、もうちょっとたくさん、とかそんなのばっかり。あのね、だって、今Mくん26歳でしょ? 君らの高3現代文やってた時、僕、26歳」
 M「うわぁ……」
 私「だったら、できなくても足りなくてもしょうがない、って同世代目線で納得もできるし許してもくれるでしょ?」

 64回生(高3)に官僚志望の文系がいたので、放課後にMくんと引き合わせてトーク。モチベーション上げるため、と思ってたら流石文系同士話が長い、10分20分かと思ってたのが90分ですからね。

 私は15時に学校を出て天神。夜の博多飲み会の前に、63回生我らがA組の浪人某氏と面談。慶應大学小論文の指導です。15時で待ち合わせをして場所は西鉄グランドホテルの喫茶。
 寸暇を惜しんで勉強、の受験生なので小論文指導だけで終わらせるべきなのでしょうが、ホテルまで歩きながら聞けば一週間ぶりの外出(引きこもって勉強三昧)だとのお話なので、結局小論文指導以外の雑談(人間活動?)も色々として90分超の滞在、前記のMくん&64回生に突っ込んでる場合じゃないですね。

 18時博多「太郎源」。主賓のお一人Mくんは15分ほど遅刻でしたが、一品目と乾杯ビールとが届いた瞬間の到着で無問題。聞けば、高校56回生在学当時の学年主任先生がわざわざ福岡まで出てきて下さり、先日お子様が生まれたお祝いの品を下さったとのこと。主任先生、凄い。
 飛行機の時間があるMくんは20時30分まで、その後彼を除いた3人は2軒目で22時まで。教員2人がK市に帰り着いたのは23時。卒業生(今日は講師の先生)2人とのお話は、まぁF校の話とお仕事の話とに終始する訳ですが、卒業生お二人はともに高校からの入学(外部進学)組なのでF校に対する見方やF校での生活が(私を含む多くの)内進組とは異なっており、それを聞かせていただくのが楽しかったです。

 さて、明日も添削三昧。二日連続で天神に出て、63回生慶應小論文面談が3人控えています(14・15・16時)。さて、どんな場所でやりましょうか。