目を覚ました文字たちが 踊り始める

 オツカル様からの@ツイート。「アイドル現場では『好き好き大好き』に『オレモ-!』コールが入って『好き好き大好き\オレモー!/好き好き大好き\オレモー!/愛してるって言わなきゃ殺す』となることをご報告しておきます」
 朝っぱらから訳の分からんことをあの元ベテランたまねぎ剣士(←無職の婉曲表現)は、と携帯でちょこちょこ検索。したら、「十四代目トイレの花子さん」という名前のアイドルが戸川純ちゃんの「好き好き大好き」を絶叫カバーしているということ。最近(つってもちょっと前に)「BiS」がカバーしていたのは知っていましたが、花子さんという方は存在からして知りませんでした。BiSのバージョンは純ちゃんも褒めてたけど、花子さんの方はそんなに褒めてはもらえなさそう。花子さんのライブでは、曲の間奏中、歌い手が客席に降りてトイレ用品や食品を客に投げつけたり、口に含んだジュースを吹きかけたりするパフォーマンスを行うそうです(「出禁系アイドル」とか)。ナプキンを投げるだけなら新しくは(っつってもかなり前ですが)椎名林檎、古くは戸川純のパフォーマンスがありましたね。
 あの元ベテランたまねぎ剣士は、休日に地下アイドルの追っかけをやってるのか。こら、次のカラオケが楽しみやで。

 西原理恵子毎日かあさん13 かしまし婆母娘編』読了、★★★★。子供が留学しようが進学しようが就職しようが、「かあさん」は生きてる限り「かあさん」な訳で。
 中村光聖☆おにいさん(13)』読了、★★★★。綿密に調べて練ったギャグを、時にインパクトは利用しつつもほのぼの系の世界観を壊さないバランスでさらりと差し出す手腕、に毎度感服です。最近いつも言っていますが、これと『鬼灯の冷徹』(江口夏実)とは、開始時はここまで続くとは思いませんでした。

 授業が高1の5コマ。現代文は小林隆「日本語史の『当たり前』」。何ということもない文章ですが、古典(奈良・平安)の文献が貴族階級の独占物で、そこには当時の人口の90%以上を占めた庶民階級の「言葉」が殆ど登場しないという事実の認識が重要。古典を勉強しながら、我々は無意識裡に、庶民の言葉は存在しなかった=庶民は存在しなかった、ことにしているのです。日本語学者は彼らの言葉を闇の中から少しでも掘り起こし、彼らが生きていたことを証だてしたい。人間が二度死ぬ(生物学的死/忘却による社会的死)ことは有名ですが、日本語学者は大勢の庶民の二度目の死を言葉の側面から回復させたいと願っているのですね。人文科学が「ヒト」に興味を持つと言う所以。

 松任谷由実『宇宙図書館』、★★★★。事前のインタビューとか、特設サイトで発表されていた歌詞とかから、今回のアルバムに一貫したテーマは明らかに「無常観」だというのは分かっていましたので、地味な曲がずらり並ぶのかなぁ、と予想していました。で、確かに割と静かでスローな曲が続く(=私の好みとは違う)構成だったんですけれども、全体的にかなりカラフルだし攻めてる。「残火」はかなり好きだけどやや無理筋、他に好みの曲を選ぶなら「AVALON」「星になったふたり」「月までひとっ飛び」かな。
 ん~、それにしても7年前の『そしてもう一度夢見るだろう』の頃に感じたキャリア終末感が嘘のよう(perfumeに「声を加工される気分は?」と殴打系の質問をしたこともあるユーミン様が歌う「星になったふたり」など格別な味わい)。さて、前作で遺言を書き、今作で無常を歌い切ったユーミン様に次の手はあるのでしょうか。『Road Show』も『POP CLASSICO』も『宇宙図書館』も私は「奇蹟」だと思っているので、あと1、2回それが起こっても逆に驚きません。こういうのを「信仰」っていうんですかね。