時間を 時間を 止めて

 教育実習の62回生某くんに、高2現代文の教材、西谷修「いのちのかたち」の朗読テープを吹き込んで貰いました。公民担当である彼の大学での専攻にも通じる内容だったので、ほぼノーミスで録音もスムーズ。授業3回×5クラス=15回、で使用です。生徒にお願いする時には報酬(お給料)は図書カード1000円ですが、大人にそれは失礼なので実習中の飲み会で一回奢る約束をしました(これは失礼じゃないのか?)。

 朝、リハビリステーションの母君に「N苑」を訪問する旨お電話でお話ししたら、私が一人で行って、また後から母君と私(介添え)とで行くというのは二度手間になるから、今日一緒に行くと仰有って、仰有ったら引かない方なので新幹線往復は心配ですが、諾。最悪Iくんとの博多飲みはキャンセルかなぁ、と小倉からK市へ帰る時の新幹線移動に際して博多で一人降りるかも知れないとお伝えしたら「一人で帰れるからそれでいい」とまで仰有る。

 というわけで、1~3限の授業を行った後、帰りのSHRは副担任の先生にお願いして(またもや学年に迷惑を!)帰宅。入浴・着替え。因みに、入浴前に作ったブルーベリーシェイクが天使の味で最早ミキサーがなかった生活をしていたことが不思議に思えてくるレベルでした。ハーゲンダッツバニラ(110ml)、低糖ヨーグルト(100ml)、牛乳(50ml)、冷凍ブルーベリー(100g)をミキサーで混ぜるだけです……って、これ、結構金かかってるな。

 先ずはタクシーで大学病院に行き傷病手当の書類を受け取り、母君のリハビリステーション経由で(母君を拾って)JRのK駅へ。駅構内で「N苑」へのお土産を買って、新幹線隣同士の席で小倉までは乗り換えなし34分。便利ですねぇ。
 小倉駅からはタクシーで直接「N苑」へ。移動で体力を消耗していないかチラチラと隣を伺う私を横に、「やっぱり小倉の景色の方がK市よりも落ち着く!」と母君は上機嫌です。

 頭こそスカーフと麦わら帽子とで隠しているものの、それ以外はだいぶ回復傾向にある母君が、矍鑠とまでは行かないものの自力で歩けるということに、「N苑」の理事長さんは驚いておられました(母君も伺うと電話でお知らせしたときには、はっきりと信じられないという反応でいらっしゃったのですが、母君の容態に関しては相当悲観的な想像をしておられた様子です)。
 ただ、理事長さんと母君との相談(私は立会)との結果、金銭的・身体的事情等を鑑みるに5月末を以て「N苑」を退職するという選択をとるのが最も(「N苑」と)母君にとって有利な選択だろうという結論に。母君は、その場で退職願を書かれました。60歳定年を3ヶ月の前倒しです。職場には私物が少なく処分一瞬(流石の「断捨離」力でした)。母君も涙でしたが、見送る同僚諸氏の涙涙が印象的でした(私と、管理職である理事長さんだけが泣きませんでした)。

 さて、その瞬間こそ涙の母君でしたが、帰りのタクシーに乗ってからは気丈、職場との柵がなくなった以上考えるべき事は心身回復のみ、と前向きな発言(私を証人に、ご自分に言い聞かせておいでなのでしょう)。小倉から博多、K市行きの新幹線に乗り換えるその入口まで母君をお見送りした後、親不孝の息子は改札を出て卒業生と待ち合わせです。

 仕事上がりのIくんとの約束は20時とやや遅めだったので、駅ビル内の専門店でWIREDの新しい腕時計を購入しました。今使っているSEIKOの腕時計は、日付が狂っており且つベルトが破損してしまったのです。使用期間は5年半、それまで腕時計を拒んでいた私がそれを使わなければならないと思うようになった理由は「構内で携帯電話による時間確認をすると女子生徒から××(←検閲)と誤解される可能性がありそうで怖い」というもので以下略。
 後は、喫茶店で読書しながら時間つぶし。

 博多口徒歩5分の雑居ビル地下にある居酒屋「太郎源」。刺身と佐賀牛とマグロカマ、これでどんだけでも飲めます。Iくんとここに来るのは2回目かな。西鉄ユーザーで博多駅の利用頻度は少ないですが、ここ10年、機会があれば数ヶ月に一度の割合で訪問しています(マスターには顔を覚えていただいています)。それこそIくんの担任で且つ56回生学年主任だった英語先生とか、63回生中3の時にご一緒した超ベテラン柔道先生(すでにご退職)だとか、お連れした先生で感動しなかった方は居ないんじゃないかな、というレベル。
 さて、JR勤務のIくんは、社内留学制度を使って海外研修をしたいという希望があり、現在それに向けて猛勉強中なのだそう。就職したら終わり、じゃなくて更に勉強を続けるという姿勢が良いですよね(学生時代から真面目な方でした)。そういう人の近況を聞くのは大変楽しい。
 でもって、Iくんの良いところは所謂文系出身に多い「静かなる激飲み」が出来るところ。そんなに顔色もテンションも変わらずに、ず~っと飲み続けられる酒力です。JR勤務ですから博多駅からK市への新幹線最終の時刻を調べ、私「それに乗れるギリギリまで二次会をやるなら?」 I「300歩横町です!」 というやり取りを経て駅構内飲み屋街の饂飩居酒屋でビール・ビールの2次会……が闌の所で時計一瞥、I「先生そろそろ、走ったら間に合います!」 私「走るの前提かよっ!」
 と、確かに走ったら発車2分前に電車に乗り込めました。ど酔っ払いを走らすなよ、というかJR職員が駆け込み乗車促してどうすんだよ……と息切れ脳内でツッコミながら、あ、そっか、Iくんも少し酔ってたのね、と。

 K駅までは20分もかかりません。タクシーで自宅に戻ったら即失神。