ドミノ ドミノ 帰れ我が胸に

 柳沢幸雄『18歳の君へ贈る言葉』読了、★★★。開成校長で東大名誉教授ですから、「君」と呼ばれる想定読者(reader)が勝ち組(leader)予備軍に偏向しているこの内容も致し方ないですね。
 でもって、高野りょーすけ『現役東大生が1日を50円で売ってみたら』読了、★★★。開成校長で東大名誉教授の柳沢幸雄『18歳の君へ~』と並行して読んでこちらの方が面白かった。「一流」の学生を対象にした本からは「お呼びでない」と呼ばれた「一留」の学生が、50円何でも屋企画での体験を綴ったblogを書籍化。読み物のクオリティとしてはネットでも話題になった冒頭(発達障害の子供との数学話)頼みの感は否めないですが、他者多様を鏡にした筆者の自省の記録として好意的に読めば。

 春休みに入っていきなり曜日感覚が鈍るきっかけを作ってくれる祭日。昨日同様、誰に命じられることもない休日出勤で粛々とデスクワーク。流石に5時入りはしていませんが。
 生徒には、入試本番の日にこなすべきスケジュール、即ち何時に起きて何時から何時まで心身が最もよく働く状態でいるべきかということを考えろ、とよく言います。簡単に言えば、7時までに目覚めて9時17時にいちばん頭が良い身体ですね。人間は習慣の動物ですから、身体というものも一朝一夕では作れない、ということは入試の前日にその身体になっておかないといけない、ということは入試の前々日にその身体に……というドミノが今日のこの日まで倒れてくるという想像、これに入試の何日前何ヶ月前何年前に気づくかで生徒の合否は決まります。有名な「今でしょ」というフレーズも、要するにこういうことを仰っているのではないか、と推察。

 一日一食、本日は贅沢にも「梅の花」単品注文。こないだ久しぶりに行ったらやっぱり美味しくて感動したので、今日はそのお代わりです。

煮込んでしまえば 形もなくなる もうすぐ出来上がり

 よしたに『理系の人々(6)』読了、★★★。発売当時の『オタリーマン』を最初に読んだ感想は「この人はオタクなんじゃなくて理系なだけじゃないか」というもので、実際10年経った今ではこの『理系の』の方が筆者の名刺になってますね。

 ANATAKIKOU『3.2.1.○』、★★★★★。私が好きな松浦さん成分が漏れなく出尽くされている印象。例えば「雨がやんだら」とか「悲しくはないさ」とかに通じる「直球の切なさで胸を抉るぞ!」みたいなキラーチューンはないんですけれども、10曲36分という時間(この短さがまた良い)の中に1秒も弛みがない正にスルメアルバム。中盤「恋はマゼンタ」~「救世主とカンツォーネ」という4曲のザッツANATAKIKOUな流れなんて、あぁこれなら5年待てるわ、というね。それにしても、フルアルバムが発売されるなんて、そのこと自体が本当に嬉しい(前にも書きましたが大事なことなんで2度言いました)。

 7時起床、入浴、家事。クリーニング屋経由で出勤してデスクワーク。今日以降は校内に生徒不在(「男く祭」の準備でぼちぼち来るんでしょうが)、独りで好き放題仕事が出来る至福の日々(勿論、平日は会議がぎゅうぎゅう詰まっていますが)。
 今日の仕事の核は、刷る・折る・詰める紙の仕事、打つ・読むPCの仕事、という3時間。これには一切頭を使う必要がありませんので、手と眼だけをそちらの作業に集中させて、その間の脳はA組51人の通知表所見にどんなことを書こうかという方面に使用。この所見を書く作業、面倒臭いと仰る担任の先生は少なくないんですけれども、私はもう楽しくて仕方ないんですよね。喩えは悪いしそもそも私は炊事をしないので正しいのかも解らないんですが、多分、主婦がありものを工夫して料理するのに近いことをやってるんだと思います。
 隠し味のスパイスに何を入れるか、51回楽しめますね。例えば、部活充実成績優秀の文武両道で普通なら褒めて終わり、みたいな生徒なんだけれども一点だけ欠点があってSHRで基本横向いてるから教員からの情報感受能力に多少難あり、みたいな生徒がいるとしますでしょ?(某くん、例えに使ってごめ~んね)その生徒が、全てにおいて成功している定期テストで唯一「英丙」というリスニングオンリーの試験「だけ」失敗してる、みたいなデータを見つけた時のニンマリ感、と言えば解って頂けますでしょうか。

忘れない忘れない あの目をあの手をあの日を

 本日、修了式。明日からの春休みを経て、いよいよ67回生も文理別のクラス(内進・外進が混じったクラス)に分かれることになります(高2以降はクラス替えはありません)。要するに、本日が高1A最後の日で、今日を以てクラスは解散と相成るわけです。

 が、とは言うものの、今日は単なる「修了式」なのであって別に「卒業式」などではないのです。それなのに。

 「池ノ都先生 Thanks for teaching!」

 と中央に大書された黒板。紙テープで作った鎖が黒板上部に装飾され、中央の謝辞の周りにはA組メンバーたちの寄せ書き(担任やクラスへの思い)がどっから持ってきたんだというカラフルなチョークでびっしりと。教室側面の2枚目の黒板には、「いけのとたつや」を使った「あいうえお作文」が幾つか。担任による「餌付けーしょん」の果て、内進生より内進っぽいA組は、こんなお祭り学級になってしまいました。

 私「えっとですね。先ず、今日は修了式であって卒業式ではないということを先に断っておきまして。その上で、この大変有り難い沢山のメッセージなんですけれども、なんだか獣偏の字、言ってしまえば『独』の字が頻出しているように見受けられましてですね、まだ詳しく見ていない状態でこんなことを言うのはあれなんですけれども、これ、半分がた悪口では?」

 朝のSHRは修了式への移動があるため2、3分しか話せませんでした。が、「私は個人的な信条故に没収はしないけれども教室内のスマホ使用を許している訳ではない」という普段の言葉は棚上げにして、私も含めたみんなで黒板をパシャパシャと写しまくりました。今日だけは特別ですね。

 修了式・退任式粛々。体育館の壁には午後に行われる中学卒業式に寄せられた祝電がいっぱい貼られていましたが、その中に今日日のご時世を完全に無視した7段ピラミッドの写真であったり、「5段タワー」「100人ピラミッド」なるフレーズであったり、未だ虐待めいた教育が行われている学校もあるんだなぁ、としみじみさせられました。
 退任式は、3期9年をお勤めになった校長先生のご退任。そして、私も在学中に授業でお世話になった英語科のベテラン先生がお一人(但し、来年以降も常勤講師としてF校に携わられます)。

 「今日は別に卒業式なのではなく単なる修了式で、クラスは別になるかも知れないけれども4月にはまた会える訳で」と担任は教壇上で言いましたが、但し、一人だけは一緒にF高の2年生になることのない方もおられまして、と続けなければならないのは辛かった。ご家族の転勤で4月から東京のS高校に転学することになっているAさん(女子)の、最後のご挨拶。
 今は離れてもSNSで繋がることが出来るし、きっとA組の友達の中にも2年後に東京で会える人がいっぱいいるし、と、プレゼントのアルバムや寄せ書きを胸に抱えて話すSさんは、壇上では涙を見せませんでした。
 担任からは、プリザーブドフラワーでデコレートされたフォトフレームを。「S高校に進学・卒業するまでF高校の生徒だという自覚を忘れないようにします」と言われたので、「『卒業するまで』ではなくて、『卒業しても』です」とお返ししました。仮に卒業生ではなくても、67回生の、高1A組の同窓生であった事実はずっと続きます。

 10時30分、A組解散。放課後は、皆で写メを撮りまくって名残を惜しみ。

 さて、放課後にちょっとした仕事。A組の「手の者」を呼び出す。
 私「今日、A組でランチ会するんでしょ?」
 手「あ、はい。Aさんを囲んで」
 私「それ、どこでやるの? どんなメニューなの?」
 手「えっと、焼き肉『W』で、この春の食べ放題というものを」
 私「人数は?」
 手「39人の予定です。先生もいらっしゃいます?」
 私「訳がない。一応知っとこうと思ってね」
 職員室に戻ってからタクシーで「W」まで往復。彼らが注文している食べ放題にはドリンクがついていなかったので、お店の責任者の方にに代金を先払いして人数分のジュースを注文しておきました。最後の「餌付けーしょん」という意味もありますけれども、お店の方へのご挨拶も兼ねています(一応、大人も関知していますよという意味付けです)。「高校生ですので宜しくお願いいたします。五月蠅かったら叱ってやって下さい」と頭を下げ。

 店への往復のタクシーはちょっと面白かった。サプライズという程ではないにしても出来れば事前に知られないようにしときたかったので、顔馴染みの運転手さんに「F校の制服着てる生徒を追い越す時には身を潜めて(後部座席に横になって)隠れますね」と言ってたら、運転手さんの方がノリノリで「先生、30m先にF校生が、隠れて!」なんてスパイごっこをしてみたり。

 午後は、書店巡りをしたりミスドで本を読んだりしてまったり。

 夜は「もりき」貸切で純米の会。一番仲良しのHさんがご都合で来られず、常連10人といってもよくお話をするのはH医師(F高32回生の先輩)くらいというメンバー。私は18時~20時に訪問する「早い客」なので、20時以降が本格始動の多くの常連さんとはすれ違いになることが多いんです。だから、訪問回数だけなら他の誰よりもぶっちぎりだという割には顔見知りは多くないんですね。で、今日も初対面や二度目ましてやという方々が多いこともあって、19時開始のこの会も2時間くらいでお暇かなぁ、と思ってたら結局4時間以上居座ってしまいました(他の参加者はまだまだという雰囲気でしたが)。
 私が持ち込んだのは「喜楽里」(和歌山)の純米原酒。4合瓶持込の約束だったのですが売り切れだったために1升瓶を持って行ったのですがこれが良かった。1杯目にこれを選んだら、今日持ち寄られた中で最も甘くて多少酸が残ってる状態だったので、滑り出しにぴったりで。10年前は「もりき」定番だったんですけれども杜氏さんが亡くなって味が変わったということでフェイドアウトしたお酒、という話から(というか、今日のメンバーでは私が最古参かぁ)、店の昔話やら日本酒の杜氏さんが変わるとはどういうことか、とか話題が次々に転がっていきました。
 料理はマタギさん寄贈のイノシシ(焼肉)とシカ(ツミレにしてすき焼き)とでジビエ。他の方々の持ち寄りは、「繁桝」「田中六五」等の福岡の酒が中心。マスターは流石で「雪の茅舎」(秋田)の隠し酒を。
 思わぬ長居をしてしまったのは、会が楽しかったこともありますが、飛び込みで今は練馬勤務のAくんが来店したからというのが大きかった。一昨年のK市自衛隊幹部候補生、Aくん初来店で隣同士になった時に「コミケ」の話で滅茶苦茶盛り上がって以来のお友達。彼が東武練馬に転勤した後、私の上京旅行中に一緒に飲みに行ったり、今日みたいに彼がK市に来る時には必ず「もりき」で飲んだり(今日は友人の結婚式の序でだそう)。会のメンバーも自衛隊さん中心だったので初対面でもツーカーでした。

 0時就寝。

好きなことをやりなさい

 山口県に実家のある寮生から、NHKローカルの番組をDVDに焼いた物を貰いました。ご両親が録画して下さったそうです。鳥取で製作されている25分間のドキュメンタリー番組「フェイス」、の水木しげる翁特集回。先ごろ、水木翁がノートに書きためておられた直筆の日記が大量に発見されたということで、その記述内容から翁の幸福観を探ろうという試み。ゲストは佐野史郎と足立倫行。
 「あんまり面白くなかったそうですけど」と、仲介の寮生氏がわざわざ言った通り、番組は資料は貴重で(結論への)方向性・コメントは凡庸という出来栄え。しかし、ファンにとってはこの「資料は貴重」というのだけで既に十分なのです。因みに、名越康文が一瞬だけ登場しており、彼の動く姿・声に初めて触れました。

 本日は授業4コマ(高1B~E組)、A組だけ7限授業でその7限は本来私の現代文だったのですが、どうしても1時間足りないと関西数学先生が仰った(っつっても、ご自分が授業をお忘れで35分間くらいロスをしたのが原因なんですけどね)ので泣く泣く(?)差し上げることに。
 7限の開始時に先ずSHRを終わらせて(今日は外部模試の成績表返却がありました)、それから7限を数学先生にお任せ。授業が終わったら、掃除・下校の支持をそのまま先生にお願いしています。

 で、私は16時から1時間の年休で帰宅。本日はオツカル様とディナーデート。
 福岡出張の要件は昼過ぎには終わって、その後プロ野球の2軍の試合(開幕戦)を観戦してからK市入り、今夜は熊本のご実家に戻られてお母様に顔見せをなさるとのこと。
 私「出張って何の仕事だったの?」
 オ「柳川のやまと学校ってところ、競艇選手の養成学校なんだけど、そこの卒業式に来賓として」
 私「何つながりで?」
 オ「そりゃ、笹川財団つながりに決まってる」
 そうでしたそうでした、オツカル様の職場(公益財団法人・日本吟剣詩舞振興会)は、日本船舶振興会からの援助で成り立ってるところでした。
 オ「職場の後輩は日帰りで東京に帰ったけど、ウチ(←一人称)は実家に帰ろうか、と」
 私「……今、後輩っつった?」
 オ「あのねぇ、後輩が出来たのよ」
 私「きみが、14年ぶり2度目の就職をしたのが去年の5月とかで」
 オ「そうそう、既に後輩が1人」
 私「10人とかの規模の職場だったよね?」
 吟剣詩舞、盛り上がってるんでしょうか。

 17時の開店と同時に私のお気に入りの肉料理屋「I」に入店。やまと学校卒業式の面白話を聞いたり、3月の上京で(がっ様も合わせて3人)一緒に水森亜土ちゃんのライブを観に行く手筈を整えたりしながら、カウンター懐石コースは一切野菜なしの逆精進料理。掛け蕎麦でもネギを抜くオツカル様のために、マスターにお知恵を絞っていただきました。椀物の肉吸いにすらネギも何にも入っていないと言えば、その徹底ぶりが分かるでしょうか(固形の形で出てきた植物は山葵だけだったんじゃないかな)。私は流石に途中で耐えられなくなって、単品でピクルスを追加しましたが。

 2次会は文化街(K市を代表する飲み屋街)までタクシーを飛ばして、行きつけの小料理屋「S」。常連の平均年齢は60代超というお店で、初対面の先輩方に喜んでいただけるような昭和歌謡を色々と歌いました(オツカル様もその手の選曲はお手の物です)。
 常連らしき小母様が都はるみ「古都逍遥」をお歌いになりまして。
 常「この『逍遥』っていうのは何なのかしら」
 私「あ、お散歩って意味ですよ」
 常「まぁ、知らなかった! じゃあ、坪内逍遥っていうのは、随分と謙虚な名づけなのかしら」
 あ、面白いな、と思いました。

 2軒合わせて4時間弱、オツカル様の熊本帰省と私の明日の仕事とを考慮して、解散は割とあっさり。まぁ、10日後には会える訳ですし。

レッツゴー! かっこいい世界

 帰りのSHRの時、教室の外に高2の女子が二人で立ってて、何事かと出て行って尋ねたら「Aくんを待ってるんです」というお答え。「出待ちする程に?」と聞き返したら苦笑いでしたが、後から気付いた、ひょっとして「男く祭」のカッコメン(F高美丈夫品評会)の勧誘だったのか。え~、でも、高3に混じって高2の一人枠を、外進のA組から選ぶか~?
 私「ねぇねぇ、昨日の出待ち女子、もしかしてカッコメンの勧誘?」
 A「あ、えぇ、はい」
 私「やっぱり」
 A「普通、内進から選びますよね?」
 私「返事は?」
 A「断ってるとこです。メチャ恥ずいことさせられるんでしょ?」
 私「高3での2連続出場も前提で」
 A「嫌だ~」
 サッカー部が当日試合で公欠なんですね、それで候補が減ってしまう。

 64回生Nさん(この春、一浪で国立医学部合格)が職員室にお出でになり。
 N「私、先生に言いたいことがあるんです」
 私「はぁ」
 N「先生、私たちが高3の時の現代文の授業で、『かわいいはきゃわたん つらいはつらたん』って仰有いましたよね」
 私「確かに」
 N「64回生の女子って、それ聞いて『面白い!』ってなって、結構仲間内で『きゃわたん』『つらたん』って使ってたんですよ」
 私「ほうほう」
 N「そうしたら、予備校で他校出身の人に『F校生って、そんな俗語使うんだ……』って引かれちゃって」
 私「大変申し訳御座いません」
 オツカル様から得た情報「辛いはつらたん、可愛いはきゃわたん(抑揚は「パピヨン」と同じ)」をまんま授業で話したら、無垢な女子に受けてしまったという故の悲劇。

 一日授業無しでのんびりとデスクワークの日。夜は、土曜の「純米の会」用に注文しておいた「喜楽里」が届いたのを「もりき」に届けがてら独酌。

一刹那のうちにおいて懈怠の心あることを知らむや

 小林信彦『おかしな男 渥美清』読了、★★★★★。渥美清に関しては、かつてお昼のワイドショー番組に彼の死去の第一報が入った時、コメンテーターの市川森一が仰天して叫んだという記憶があります。さて本書の話、渥美清の出演作品を通して観たのは『八つ墓村』だけ、本書に興味を持ったきっかけも『トットてれび』だったくらい真っ更な状態で読みました。すると、先ずは筆者の造詣と筆力(文体の魅力と対象との距離感との絶妙!)とに圧倒され、その記述を全幅信頼すると仮定した場合に立ち現れてくる渥美氏の心の暗渠に戦くという流れ。全然知らない俳優なんですけれども、現役の誰に比することが出来るかを強引に考えるならば、やはりタモリなのかなぁ、などと。

 本日は授業が1コマで一日の流れは緩やか。放課後に、ちょっと重要な案件についての保護者面談があったのが唯一のトピックかな。
 仕事の後は、帰路にあるお気に入り「I」(肉料理)で読書独酌。マスターと、明後日の予約について細かい打ち合わせをして料金も先払い。

 2年半の母君の大病以降、ちょこちょこと年休を取る癖がつき始めました。以前は浪人生への添削郵送とか家庭訪問とか殆ど仕事の為以外に年休を取らなかったのですが、最近は引っ越し以来増えた家事(!)だとか、明後日みたいな飲み会だとか、酷い場合は上京旅行だとか。仕事舐めてんのか! って感じでしょうか。
 で、「明後日みたいな飲み会」ですよ。肉料理「I」にてマスターお任せの懐石2人前、お相手は愛しのオツカル様でして、福岡出張に絡めた熊本実家帰省の一環でわざわざK市にお出でになるというね。で、マスターと打ち合わせたコース料理内容は、オツカル様の食性に合わせた「完全野菜抜き」。薬味すら使わないという『ミスター味っ子』もかくやの注文を、マスターは割と面白がって引き受けてくれました。「精進料理」の逆ですから「懈怠料理」、年休取りまくり仕事舐めてんのか先生には相応しいネーミングなんじゃないでしょうか。

よくぞ日本人に生まれけり

 松任谷由実ユーミンとフランスの秘密の関係』読了、★★★。ファンとして、ユーミンのルーツを覗きたく。掲載誌の性質故か(フランス愛からの逆照射だとしても)やや日本を誉めすぎるのが鼻についた感あり。とは言え、ユーミンの居る時代の日本を生きられたのは幸せなことです。

 5時に学校入り、デスクワーク。8時過ぎからは、職場の様々な人にホワイトデーのプレゼントを配って回りました。8時30分に学校を出るため、朝のSHRは副担任先生に依頼。
 学校からタクシーで20分、F校親玉大学の大学病院へ。呼吸器内科の待合室で、既に血液検査とレントゲンとを終えられた母君と落ち合います。9時いちばんでY先生の第4診察室に呼ばれて、「今回も異常なしでしたよ」とのお言葉を頂いて胸をなで下ろす。もう2年以上に渡ってこれを続けています。

 通い始めた当初は、大学病院からJRのK駅まで、1メーターの距離をタクシーで移動し、K駅構内のパン屋でイートインというのが恒例でした。そのパン屋も1年前に潰れてしまい、また母君が通院に慣れたこともあり、今では駅までは徒歩、その途中に或るパン工場のイートインでお話をするというのが恒例になっています。本日も、仕事のことや病気のことなど色々。何しろ働けるということが一番だと、これは毎回同じ結論。

 11時過ぎにタクシーで職員室に戻り、4限の学年集会で少しだけお話、本日は午後に長い職員会議(生徒の卒業・進級認定について)があるので生徒は半ドンです。職員会議後は、2時間ほどデスクワークをしてから帰宅。夕食は「もりき」で、肴は湯豆腐。

窓の近くのあなたの机

 3時前起床、入浴・出勤準備、5時職員室入り。
 始業前は担任業務・授業の板書準備・生徒面談、始業後はSHR、1~5限が高1現代文の授業、昼休みは会議資料の印刷、6限は会議、SHR・掃除の後は生徒の追試監督、18時に職員室日直で校内巡回。仕事が詰まり過ぎていると逆に何も考える必要がなくて楽。校内巡回が終わる18時15分には事務室前に予約のタクシーが待機しており、学校訪問の63回生A組Oくんと二人で欧風居酒屋「B」へ直行です。

 「和洋中印韓メキ(←メキシコ)」、のK市飲食店選択肢でOくんが「洋!」とお答えになったので店は「B」。カルパッチョ風サラダ、馬鈴薯のアンチョビバター、エビグラタン、マルゲリータ、チキンのカレー煮、等々を肴に、私はビールとワイン、Oくんは(流石ロシ語選択の)ウォッカ。
 明日は母君の検診介添があるので、2軒3軒のハシゴは出来ませんでしたが、Oくんの東大での(4月から法学徒)生活について色々。そういう大学生ってあんまり多くないんですけれども、真面目に生活してるからなんでしょうね、面白かった授業や興味のある本や将来の進路志望等々の学究活動についての話ばっかりだったんですけれどもそういう話題で話が途切れることも飽きさせることもなかったのが立派。楽しかったので、別れ際には次(3月上京中の昼食)の約束もしてしまいました。

 そう言えば、明日はホワイトデーなので、本日生徒下校後、タクシーで学校を出る前にOくんに手伝ってもらって、A組51人の机の上にプレゼントを置いときました。男女別なく51人に洋菓子を1つずつ。女子19人の机の上には、バレンタインのお返しとして一昨日購入した栞も。

杏仁豆腐とジャージャー麺が 食いてぇ

 小学校6年生の私、夏休みの思い出。鍵っ子の夏休みは、自宅と塾との往復の日々。毎日500円の昼食代をもらって、Z塾のF中講座に通っていました。
 鍵っ子の昼食は「梅の花 小倉店」。500円×2=1000円、ということで隔日のランチが900円。当時は本店がK市にあるなんて知りませんでしたが、F校教員としてK市に在住している今でも本店の常連、12歳の時から、豆腐しゅうまいも嶺岡豆腐も湯葉揚げも生麩田楽も湯豆腐も変わらずのご愛顧です。
 ただまぁ、12歳の時と違って、36歳の今だと同じ独りランチでも、読んでる本は人文学書だし、飲んでるのはお茶じゃ無くて冷酒なんだよねぇ、と16時。

 本日は4時起床、6時~12時で職員室デスクワーク、13時に西鉄に出てデパート巡り(ホワイトデーの為の買い物。お菓子や本やコーヒーや、等々)、14時~16時で「梅の花」読書独酌、18時までウォーキング、入浴後、20時就寝。

 近藤史恵『マカロンはマカロン』読了、★★★★。善意や悪意、齟齬や秘密、人間心理の様々を三舟シェフが巧みに料る、人気(少なくとも「読書メーター」界隈では人気)シリーズの久々第3集。料理の説明が丁寧且つ魅力的なことと、短編にしても短い分量で「日常の謎」への答えがサラッと語られることとで、料理と心とを絡めて説教臭くならなかったのが手柄ですね。

なんどめだナウシカ

 午前中4時間の(12時半までの)年休。家事をこなしたり、珍しく「ココイチ」で昼食なぞ摂ったり。ここ数日の飲み会ラッシュを利用して、増量大作戦。来週火曜日に母君の検診でお会いするに際して、私が痩せてるせいであちらがご心配なさったらいけませんので。いや~、それにしても昨夜は飲んだ。

 12時過ぎに出勤して、半ドン4限後のSHRと掃除。帰りのSHRでは1分間の黙祷がありました(もう6年がたったんですね)。放課後は、A組生徒のお母様とお電話でお話ししたり、第5回定期テストのデータ処理を行ったり。16時過ぎまで仕事。

 高2の「男く祭」校内企画Pからまたまた体験授業の依頼を受け、仮承諾のお返事を(確約できないのは、来年度の所属が中学担任団だった場合、文化祭当日に中学の方に拘束される可能性があるためです)。高2の生徒には担任団としても授業でもこれまで一切関わっていないので、今回は離れられるかなぁと思っていたのですが。
 生徒「先生は人気なので」
 私「違う違う。僕ばっかりやってるせいで、他の先生の魅力が知られてないだけ」

 16時半に学校を出て、西鉄電車で天神へ移動。
 ジュンク堂に立ち寄って数冊の本を購入した後、地下の丸善で栞を19人分。A組女子生徒にホワイトデーのプレゼントです。何にしようか考えたときに、この後のコンサートが「図書館」をテーマにしていることが影響したんでしょうね、これ以外思いつかず、国語教師としては余りにもベタなんですが。

 松任谷由実コンサートツアー『宇宙図書館』@福岡サンパレス。セットリストは以下の通り。
 ①宇宙図書館 ②あなたに会う旅 ③影になって ④AVALON ⑤BABYLON ⑥夢の中で~We are not alone,forever ⑦ひこうき雲 ⑧Midnight Scarecrow ⑨リフレインが叫んでる ⑩月までひとっ飛び ⑪ルージュの伝言 ⑫何もきかないで ⑬Smile for me ⑭残火 ⑮満月のフォーチュン ⑯破れた恋の繕し方教えます ⑰真夏の夜の夢 ⑱ダンスのように抱き寄せたい ⑲気づかず過ぎた初恋 ⑳GREY EC①星になったふたり EC②メドレー(DANG DANG ~ 14番目の月 ~ 守ってあげたい ~ 埠頭を渡る風 ~ 真珠のピアス ~ オールマイティー ~ 春よ、来い ~ カンナ8号線 ~ DESTINY) EC③卒業写真

 『宇宙図書館』ツアー、良かったです。『Road Show』の時の奇蹟には及ばずでしたが、最早1回1回のツアーが敢行されたこと自体が奇蹟だと言えましょう。「AVALON」~「BABYLON」の流れは容易に予想できましたし、「満月」~「破れた」~「真夏の」の流れなどは往年のファンならお馴染みですし、ラストに至っては8曲のメドレーですから。要は、敢えて「ベタ」も厭わずに観客を楽しませることに集中する構成だったわけで、これには素直に好感。題材が「図書館」ということで、読書に関するMCや演出がふんだんに使われていました。

 K市に戻って「もりき」で遅い夕食。隣に座っておられた自衛隊OB市は、吉田拓郎の前座で歌う荒井ユーミンを生でご覧になったこともあるそうで、その当時の音楽の話題で盛り上がりました。
 来週18日の純米の会についての相談も少し。私は、10年来飲みたいと思って叶わない「喜楽里」をこの機に久しぶりに飲んでみよう、とインターネットで注文しています。

 久米田康治『かくしごと(3)』読了、★★★★。同業他者へのツッコミ攻撃の激しさは密かにサイバラを超えた感も。最初は単なる設定認識だった『きんたましまし』を最近はちょっと読みたくなってきている自分にふと気づきました。