帰って参りました

 本日も授業がなく、添削その他デスクワークの午前中。自宅まで往復して母君に昼食を出した後、学年集会に臨席してからSHR。何人かの生徒とは進路相談の面談をしましたが、基本的には今日のF校生は半ドンで強制下校(学校敷地内から外に出る)です。明日の中学入試、明後日の高校入試に向けた会場準備があり、入試業務モードに入った学校内には(情報秘匿の観点から)教員・事務員・受験生・受験生引率、以外の人物は一切入れないようになります。

 16時に帰宅後、着替えや洗面道具その他、入院(ショートステイ)に必要な荷物を旅行鞄にまとめます。その間に母君にはお風呂に入っていただき、着替えを終えられたタイミングでタクシーを呼びました。
 自宅からタクシーで10分の場所にある「N病院」の緩和ケア病棟に、本日から3泊4日の入院です。昨日の日記にも書いた通り、入試期間は学校に缶詰なので、家に帰れないという意味では出張と同じなんですね(実際、母君には出張とお伝えしています)。前回までは介護施設ショートステイを使っていましたが、母君の希望とケアプランナーKさんのお勧めとが一致したので、今回からは短期入院を選択することにしました(2月末の東大入試激励出張、4月・5月の上京もそのようにします)。
 書類手続き、身体測定に診察、諸物品の購入(テレビ用のイヤホンその他)、等々で結局90分ほどを費やし、私独りで病院を出たのは18時を過ぎています。「N病院」は繁華街徒歩圏内、ということで2日連続で街中独酌の選択。明日は入試だから深酒は出来ませんよねぇ、とふらり入った野菜料理「B」で読書独酌。瓶ビール1本と焼酎お湯割り2杯だけ飲んで店を出て……

 マ「飲み足りんかったわけね」
 私「恥ずかしながら……」
 2日連続のライブバー「A」で独酌の続き。

 斉藤美奈子『日本の同時代小説』読了、★★★★。60年代から10年代までの章立てで、時代ごとの小説の流行を概観。知らなかったも懐かしいもふんだんなのですが、何より思い知らされるのは自分が以下に10年代の小説を読んでいないかということ。本書で紹介される膨大な量の作品中、読んだのは、三浦しをん舟を編む』(2011)、北川恵海『ちょっと今から仕事やめてくる』(2015)、羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』(2015)、村田沙耶香コンビニ人間』(2016)、若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(2017)、の5冊しかなかったのに愕然。
 米澤穂信『本と鍵の季節』読了、★★★。正直あんまり乗れなかった。これは、「殺す」よりも「盗む」方が恐らく自分に「近い」もので常時何となく後ろめたい気分がついて回ったからなのかな、とか。

 後ろめたいと言えば。2軒で飲んで、まだ缶ビール買って帰るってのは我ながらどうよ、とも思うんですが今日は絶対これをやると決めていたんです。今夜は約一年ぶりにリビングが無人、缶ビール片手にTV(『関ジャム』の録画)を観ていい、本を読んでもいい、DVDで絵恋ちゃんと楽器のライブを流してもいい。後ろめたささえスパイスになる解放感です。
 明日からガシガシ働こう!

電車は今日もスシヅメ のびる線路が拍車をかける

 5月の井上陽水のライブ、先行抽選が当選の結果。当てもなく2枚購入しましたが、そう言えば明後日からの母君の入院(F校入試期間に学校缶詰になるために、ショートステイ代わり)に関する保証人をHさんにお願いしていたんでした、その御礼にしましょう。

 えらいてんちょう『しょぼい企業で生きていく』読了、★★★★。帯は内田樹先生。万人に毛細血管レベルでSNSが普及したら、小商い互助・向こう三軒両隣で小さく生きていくコミュニティが自然発生的に増えていった、って面白いですね。筆者が企業就職出世街道を「off course」したのは満員電車に耐えられないだろうという直観で、これは私が就活を諦めた理由と全く同じなので、冒頭から共感しながら読み通しました。と言っても、私の場合は高い確率でF校に就職できるという読みがあったから就活を(具体的には、人生初の就職セミナー会場に向かう満員の丸ノ内線を)降りることが出来たわけで、それがなかったら満員電車を我慢する人生を歩んでいただろうと思います。うん、やっぱり筆者凄い。前進も転進も、やっぱりはじめの一歩ですね。

 本日は授業なし。午前中は福岡市へ出張(お昼に間に合わないので、母君の昼食はコンビニ弁当をお渡し)、午後は学校で添削や授業準備のデスクワーク。午前中の出張は薬院にあるK塾に学年主任地理先生・副担任数学先生とご一緒し、全国規模のセンター自己採点のデータ分析を聞きました。今年のセンターはやはり「やや易」だったようで、例えば九大医学部や東大文一や、ボーダーが810(9割)を超えています。大手予備校による個人データが学校に送られ、明日の学年集会でそれが配布されたら、生徒個々人は自分が志願する大学・学部を(F校入試休み期間の1/26~1/29を中心に)熟考することになります。分析報告会の後、午後から授業の主任先生・数学先生は直接学校へ、私は天神に出て「ジュンク堂」を覗いてから学校に戻りました。

 夕方に帰宅して母君の入浴、お食事。自分の入浴を終えたら珍しく19時を回っており、明日も授業がなく添削の進度にも余裕がある、ということで繁華街に出ることにして、タクシーで小料理屋「A」に新年初訪問。ママさんからご無沙汰で心配していたと遠回りなことを言われましたが、センター試験までは動けなかったと返せば、F校の事情にもお詳しいかたなので即座に納得、労いの言葉を頂戴しました。
 1時間ほど滞在の後、ライブバー「A」に。単独訪問は珍しく、マスターからは「いらっしゃい」の前に「あれ、事務嬢さんは?」と聞かれ。
 私「来週末がアカペラサークルの発表会。お忙しいのです」
 マ「だから独りなわけね」
 私「ちょっと気が楽」
 マ「それ、失言じゃない? あ、人妻と二人でバーに来るのが緊張する、とか?」
 私「それは、ない」
 きっぱり否定したら、横からビール持ってきたバイトのHくんに「女子会ですもんね」って言われました。小指立ててグラス持ったったわ。

 事務嬢さんと「A」に行くのは問答無用で楽しい。ただ、一点だけ気を抜いてはいけないことがあって、事務嬢さんがたまに放つ「あれ歌って」攻撃の「あれ」を判読するのが相当難しいというのがありまして。お酒が入ると、指令が雑になるんです。例えば「どうして~、ってやつ歌って」がサカナクションアイデンティティ」だとか、「こ~えを、ってやつ」ってのがANATAKIKOU「シンデレラ」だとかいうのは簡単です。でも、「ザッ・ザッ・ザッ、ってやつ」からモノブライト孤独の太陽」を導き出すとか、「ピアノの女性が『あっ!』って叫ぶやつ」が小谷美紗子「嘆きの雪」だと気づくとか、「イエ~、ってやつ」がウルフルズ「バンザイ」なのかはたまたフジファブリックの「カンヌの休日」か「All Right」かなのかを判断するとか、そういう咄嗟のやつがね、難しいんです。

そっとそっと揺れ始めてる 愛を止めないで

 起床は2時。その30分前に一度起きてお風呂のスイッチを入れて二度寝、2時にお風呂が沸くと同時に起き出して入浴。2時半から7時半までノンストップで添削。昨日の日記では「9時間」と書きましたがあれは余裕を持たせた時間で実際には昨日と今日との合計7時間半で集計まで終了。
 本当なら、8時までに出勤して答案を返却BOXに入れるのですが(だから、昨日の日記には「8時までにこれを終わらせればよく」と書きました)、今日は午前中を年休にして母君をF校親玉病院にお連れします。とすれば実際には後1時間くらい余裕はあったのですが、最初の日に甘えたら総崩れになってしまいかねませんので、8時出勤の「つもり添削」をしたという次第。

 母君をF校親玉病院の緩和ケアセンターにお連れしたのは10時前、主治医のF先生の診察(カウンセリング?)を受けた後、今日は母君が最近通い始めたデイケアセンター「J」に提出する主治医所見を書いて戴きました。これにかなり時間がかかったのが計算ミスで……

 ……料金を払い、母君の昼食用のパン・ケーキを購入し、タクシーで病院から自宅経由の学校、に着いた時には授業開始時刻を僅かに過ぎていました。本日は、3・4限を使って「文系難関大」、5・6限を使って「京大理系特講」を。添削BOX「添削堂」への自主提出の過去問も東大・京大・一橋大と抱負で、今日からは解かせて添削の自転車操業。解かされる生徒も辛いなら添削を強いられる教員も辛い。私はこれを生徒と教員との「S・Sの関係」と呼んでいるのですが、これの出典は確か羽田圭介『不思議の国のペニス』でした。例えば午後の「京大理系特講」で生徒が問題を解いている間に、午前中の「文系難関大」の答案を添削するというのが自転車操業の「S・S」。今夜は大事な飲み会が入っているから、仕事も細切れの時間でちゃっちゃかと片付けてしまわないといけません。

 今夜、私の自宅から徒歩4分、居酒屋「もりき」にて鴨コースさし飲み会を開く相手は、63回生「日常性の維持」担当、我らが文系A組のEくん。そのEくんとの昨日のメール。
 私「明日は、18時に西鉄K駅発の3番バス『青峰団地』行き、『国分』駅で降りたら連絡please!」
 E「こんな細かい飲み会連絡見たことない笑」

 この細かさは私の性分でもありますが、ギリギリまで書斎で仕事をしていたいというこの時期ならではの事情もあります。18時の「青峰団地」行きは遅れに遅れて18時25分頃に「国分」バス停に着くはずなので、母君の夕食の洗い物まで済ませた後、添削作業を18時15分まで続けてから自宅を出たら徒歩3分で「国分」バス停、目の前にあるドラッグストアで「ペパリーゼ」を購入して「メガシャキ」で流し込んだら、ほら、遠くに「3:青峰団地」というバス行き先表示のオレンジが見えます。待つこと1分、バス通路で降車の列に並びながらスマホを弄くってたEくんは、ふと車外に私の姿を認めた途端にスマホをしまいました。「到着しました」のメールは不必要ですね。

 年8は会ってるのに会うたびに話題が尽きないのは、大学生の(4年生の終わり)日常が怒濤だから……っつーよりも、今後の進路に関してEくんが迷っていたからで、あんな大企業から内定もらっといて何を悩むことがあんねんなという「常識人」の思惑とは違うディメンションでものを考えた結果、彼が選択したと今日私に教えてくれた道は、まぁここでは詳述しませんが。
 私「63回生の『日常性の維持』担当は死ぬまで『日常性の維持』担当だと思ってたけど」
 E「いや~、大学でも途中までは完璧にそうでしたよ~」
 私「若しかしてさ、『off course』って人生初なんじゃない?」
 E「え、何?」
 私「off course」
 E「そうなんよ、何かさ、凄くない?」
 語彙力。こいつ人生初の大胆な決断に自分で興奮してんな。とまぁ、目が「充実してます!」って言ってます(大学とも企業ともどちらとも縁が切れないっつーのは、考えたら贅沢な選択だ)し、変な間違い方は絶対しない人間です(何しろ「日常性の維持」担当です)から、たかが元担任が何をか言わんやというところですね。鴨についても「リベンジできた!」って言ってたし、満足満足。

 いやしかしそれにしてもさ、これはもう連れ回した私の責任でもありますけれどもね、「もりき」で鴨葱、鴨刺し、鴨焼き、鴨つみれ鍋、〆蕎麦、までがっつり食ってですね、タクシー移動の文化街「S」でなんやかんやつまみながら飲んでですね、挙げ句最後にうどん屋で揚げ物入ったうどん食ってるってのはもういっそシュールでね、つき合い蕎麦を啜りながらあたしゃ笑けてきましたよ。後日そのことを話したら「もりき」マスターは絶句してました。

 日付が変わる前には帰宅、就寝。

嵐前の静けさ~あ~あ~あ~

 昨日の日記で「センターの解説」と書きましたが、最初うっかり「センターの開設」と打ってしまっていたのを暫く書き進むまで気がつきませんでした。まぁ確かに普通は「開設」ですよねぇ(昨日の日記には、「デイケアセンター」と「センター試験」という語が登場しています)。

 で、本日は4時前に起床、書斎で板書準備をしました。
 今日から始まる二次対策授業は、全てコース別110分の授業が2コマ行われます(1・2限/3・4限)。2コマ終わった後はSHR、5・6限に相当する時間には選択式の特講が行われるので、特講がない生徒は下校することになります。
 具体的には、私が二次対策授業で行うのは「東大文系」「難関大文系」「東大理系」「京大理系特講」の4種類。2月4日の二次対策授業終了までに、「東大文系」は4回、「難関大文系」は4回、「東大理系」は2回、「京大理系特講」は2回行われることになります。全て二次試験(記述式)の対策授業ですので、毎回の講義の後には添削答案がやって来ることになります(未明の書斎で添削します)。
 で、本日初日に行われるのは「東大文系」「東大理系」の2コマ(4限)。どちらも19年センター(沼野充義)の解説で15分、、13年東大(湯浅博雄)の生徒解答が65分、その解説が30分という時間配分(解説は30分では足りないので時間はオーバーします)。
 ですので、未明の書斎で板書準備したのは19年センター(沼野充義)の解説、及び13年東大(湯浅博雄)の解説。昨日の日記に書いた通り、この2つの問題は同じ内容を扱っていますので、前者の解説がそのまま後者の導入になるのです。

 出勤後、B組ロッカーの上に置いてあるプリント提出・返却BOX「添削堂」を覗いたら、早速東大過去問が何枚か入っています。武者震い。
 SHRの後、午前中4限(二次対策授業2コマ分)はあっという間に終わり、13時の帰りのSHR後には手元に東大13年の答案が文理合わせて60枚超。1枚8分としたら、集計まで合わせて9時間。明日の朝8時までにこれを終わらせればよく、それまでの時間は19時間。これは流石に余裕……かと言えばそうではなく、今日は夜に出張がある!

 昨日のセンター自己採点、データは各予備校に送られているのですが、九州の雄「K予備校」は全国規模の母数ではないこともあって集計が早く、何と今夜にはその集計結果を発表できるんですね。市内の「K」ホテル会議室で、19時から個人データの受け取りと傾向の説明会とが開かれ、市内中の高校の先生が集まるのです。九州限定のデータなので東大や京大やを志望している生徒への影響は大きくないですが(それは木曜に発表される全国規模の予備校調査を待たざるを得ませんが)、たとえば九大や佐賀大等のローカル(?)な国立・私立大学のデータならかなり正確な物が得られます。その会議に出席する出張があるんで、18時以降は潰れるんですね。実際には、自宅で母君の入浴のお手伝いや食事・皿洗い等がありますので、17時以降が潰れることになります。

 だから、雑務を片付けた上でプリント携えて帰宅した14時から3時間は、みっちり添削をしないといけないんです。

 それなのに。

 14時30分、完成させたばかりの組み立て式の本棚に書斎積ん読の本を70冊ほど詰め込んでうんうんと悦に入ってる私。ノルマがあると部屋掃除の法則にどっぷりはまって現実逃避で、実際に添削を始めたのは15時でした。17時半まで採点の後、母君の入浴のお手伝い、夕食作成、皿洗い。
 18時半にタクシーで自宅を出発して、「K予備校」のデータ報告会。20時にタクシーで移動して「もりき」、1時間の読書独酌の後で帰宅、21時半に就寝。 

ズレたズレたレジ金ズレた!

 本日はセンター試験の自己採点、明日からは二次対策授業で添削地獄……というところに我らが63回生文系Eくんが「帰省するから23日に飲みに連れてって! 『もりき』がいい! 鴨リベンジ!」と。年8くらいで会ってるような気がしますけど、「サソワレタラコトワラナイ神」様のお導きに従って諾。因みに、何故「鴨リベンジ」なのかというと、彼が大学1年生の時(1月だったかな)に、同じく元A組のMくん・Bくんも連れて4人で鴨コースを食ったんですよ。したらですね、飲み会経験もほっとんどない社会人未満くんだったEくんがですね、言うに事欠いて「ん~、焼いたのと鍋とは巧いけど、この刺身は、まぁ、ね……」と、全額払ってる元担任を前にしてまさかの「あなたのことはそれほど」!
 E「いや、だから、あの時はお子ちゃまだったからね、味とか判んなかったからね、ほら、今は大人だから、3年ぶりのリベンジをね」
 何でお前のリベンジとやらのためにこっちが万札はたかなかんねん、というツッコミは「サソワレタラコトワラナイ神」様のご託宣により、ごっくん。

 高田文夫『ご笑納下さい 私だけが知っている金言・笑言・名言録』読了、★★★。何気ない呟きにまつわるエピソード集。人物は些事に出るのでこういう作りの本は大好物なんですが、どうも私には合わなかった。矢野誠一みたいなのを期待したんですけれども、書き手自身が芸能人じゃそうもいかないか。外連味とサービス精神とのバランスですね。

 母君の食事にはたいていの場合味噌汁をつけることにしています。今朝は豚肉とエノキと白菜と、味噌は白味噌を使いました。現在は3種類の味噌を使い分けているのですが、惣菜屋頼りの手抜きさんなのでせめて味噌汁くらいは多様化を図りたいところ。今日の母君は市内のデイケアセンターなので、昼食を作る必要と入浴の必要とはありません。

 生徒は通常出校で、本日は午前中いっぱいをかけてセンターの自己採点です。複数の予備校にデータを提出するため、複数枚の用紙に自分の成績を書いていくという、なかなか精神的に「来る」作業を生徒に課す日。採点自体は事前に終わらせてくる生徒が殆どですが、B組某女子から最近は自分の解答を打ち込んだらあっという間に採点をしてくれるアプリケーションがあるということを聞いて驚きました。
 4年前、私が担任をしていた67回生高3A組は、44人のクラスで朝のSHRを始める時にその1/4が空席なんてことも珍しくないくらい、遅刻欠席癖が板についたクラスでした(実際、あれがあったのに再び私が67回生担任に任命された理由は全く分かりません。任命責任者の偉い人、ご存じなかったのかな)。だから、もう何より絶対大切なこの自己採点の日にすら間に合いきらない生徒がわんさと居たんですね(もう大学4年の歳だからぶっちゃけて良いと思いますけれども、はっきり言って弱すぎでした。4年で多少は変わってくれてるかなぁ)。ですから、我ら67回生B組諸氏が8時40分のSHR開始時に全員耳を揃えてぴしーっっっっっっ! と揃ってるのを見て、これが当たり前だと思うのは流石に生徒依存が過ぎますが、感心したというか、まぁ嬉しかったということは言っておきますね。
 さて、こういう日の「遅刻」は、寝坊その他単なるいつもの遅刻と同じという場合もありますが、それよりも深刻なのはセンターで失敗した精神的ショックで来られないという場合で。今日のB組だって、大成功した人も居ればいつも通りだった人も居れば不本意そのものという結果だった人も居ます。表情一発で判りますし、実際に採点後の面接で感情が噴き出しそうになる生徒も少なくない。ですが、だからこそそれでも全員耳を揃えて出席したというその強さには喜びを覚えますし、心からの拍手を送りたい訳です。

 さて、しかし午前中の自己採点を以てセンター試験はお仕舞い、午後からは二次試験に向けての過去問演習に全力投球です。私も、二次試験過去問の添削を再開、明日から始まる二次対策授業(文系東大コース、文系難関大コース、理系東大コース、理系京大コース)では添削ボックス「添削堂」のシステムを説明します。
 因みに、明日の東大コース(文系・理系計60人強)の教材は、最初は別の年度のものをやる予定だったのを急遽変更して13年の湯浅博雄を使います。「ランボーの詩の翻訳について」という本文は、センター沼野充義の文章に通底するどころか完全に即応連続しており、授業の頭でセンターの解説をすればそれがそのまま東大本文の導入になります。

 夕方過ぎに自宅に戻って、入浴、母君の夕食作成。夜は居酒屋「A」で読書独酌。マスターとアルバイトのF校親玉大学学生さんと、お二人から「F校のセンター試験の結果はどうだったんですか?」と聞かれました。返事は勿論、「例年並みです」

こちらは2カケで 現計!

 雨の屋外は寒いです。母君には昨日同様6時に起きていただいて朝食をお出しし、6時30分にタクシーを呼びました。センター試験2日目は理数科目。文系は9時までに会場入りして理科基礎、理系は11時までに会場入りして数学から受験です。タクシーは途中で国道3号線沿いの「トライアル」に寄り道して(24時間営業万歳!)、私はお見送りする160人の生徒に配るお菓子を購入。昨日と同じくキットカットと森永ミルクキャラメルですが、今日の会場(K大学)は昨日のF高親玉大学会場よりF高受験生の人数が多い(ざっと4倍な)ので、購入するお菓子も膨大な量になります。レジ打ちのアジア系留学生女子が「袋、何枚ご必要ですか?」と聞いてきたのに一瞬詰まりました。「……えっと、袋、どのくらいの大きさですか?」
 K大学着は受験生控え室が開場する7時ジャスト。警備員・関係者以外無人の正門を潜り、取り敢えず点呼の場所から大分離れたところにある受験生控え室の様子を見に行きました。一般的な大学の講義室。電気はついていませんでしたが(節電!)、暖房はよくきいていました。

 一緒に点呼をする英語副担先生が7時半頃に到着、最初の生徒はその少し前に到着して控え室に向かいました。全員にお菓子を配りながら、「脳に糖分、勉強して下さい」と機械のように繰り返します。「家では勉強できないから」と、11時集合でいい理系生徒が7時台に到着したのには少し驚きました。あと、別の理系生徒が会場に向かう途中に自転車と自動車との接触事故を起こしたり、何だか色々ありますね。文系と理系との時間差入場を全て見送ったので、結局全員分の点呼が終わる11時まで4時間立ちっぱなしでした。一応、前半文系点呼組と後半理系点呼組という形で担任団を2グループに分けてはいましたが(私は前半)、まだ見送っていない(お菓子をあげていない)生徒が居る状態で「それじゃ、後は宜しく!」という訳にはいきません。帰りは、後半点呼組の英語科女性パイセンが車で自宅まで送って下さいました。
 母君の昼食を作成してから出勤。本日の業務は勿論、昨日行われたセンター試験国語(現代文)の解説プリント作成です。

 古文が腐殺しな内容だったとか、漢文が易しかったとか、他の部分にも目移りしてしまいそうになるんですけれども、とにかく先ずは現代文(評論・小説)を解いて解説プリントを作成するというのが先決。
 19年センター現代文、評論は沼野充義「翻訳をめぐる七つの非実践的な断章」、小説は上林暁「花の精」。一読した印象は、どちらも「良い文章」だなぁ、というもの。これは「良い問題」かどうかとは別次元で、厳密に言えば「良い本文」かどうかとも別次元なのですが、とにかく文章として良いなぁ、と。明日は自己採点、明後日から二次対策授業ですが、二次対策授業の最初では評論の解説をしようと思っています。この評論はとにかく「テクスト/コンテクスト」の違いが分かるのかという一点にかかっていましたが、生徒は気づいたでしょうか。
 本文・問題・選択肢を構造化して解説プリントを作成。そうですね、評論は40点強、小説は35点弱の平均というところでしょうか(予想は喜ばしい形で外れて、実際には小説が35点強の平均でした)。

 高3Bのクラスロッカーの上に「添削堂」を名乗るプリント提出・返却ボックスを設置してから帰宅。母君の夕食、入浴の後、「もりき」で独酌。最初は鍋にしようとしたんですが、小上がりは鴨のグループ、カウンターは「4特」(K氏名物)の若者たちが猛烈な食欲を見せているという修羅場で、一旦注文した後からそれを引っ込めて別のメニュー(直ぐ出るやつ)に変えました。去年あたり、「鴨が人気になったら常連が入れない日が来るかもねぇ」とか笑ってたんですけれども、これが強ち。

僕が出来ることはただ Go your way 祈るだけ

 鶴谷香央理『メタモルフォーゼの裏側(1・2)』読了、★★★★。センター応援の前に何を漫画なんぞ、とも思ったんですけれども、早く寝すぎたのが効いたのか3時前には目が覚めてしまいそのまま眠れなくなったので仕方なく。評判通り面白い作品だとは思いましたが、起き抜けだからなのかそれとも早起きにはセンター本番の緊張も作用していたというのか、とにかくあんまりクリアに内容が頭に入ってこなかったような気がするので、後日また再読します。

 5時半に入浴、母君にはいつもより1時間ほど早い6時に起きていただき、一汁三菜の朝食(とお薬と)をご提供後、自転車で自宅を出発しました。本日応援と点呼とに出掛ける会場は、F校高3が2会場に別れた内の、F高親玉大学の方で、自宅からは自転車で10分ちょっとの距離です。途中コンビニに寄り道をして(生徒に配るお菓子を購入して)丁度開門の7時に到着。外はまだ暗い時間です。試験開始までは2時間以上ありますが、受験生の控え室は7時から開くので、点呼役はその時刻から待機しておく必要があります。
 因みに、最初に点呼に来たのは時たま遅刻する我らB組の某さん。早いなぁ、と思ったら市内にホテルを取ってたみたいですね。生徒に配るお菓子は、キットカットと森永ミルクキャラメル。脳に糖分です。F高以外の高校も幾つかここを受験会場にしているらしく、応援団の先生が続々。F高以外の全ての高校が幟や旗を準備していて、我々は親玉大学の中にいるのに何だかアウェイな感じがしています(7時半から8時頃には、担任団の英語先生・化学先生・数学先生もいらっしゃいました)。こちらの会場で受験をするのは30人ちょっとなので点呼は簡単で、別会場の先生と電話で連絡を取り合いながら、全員が無事受験をしているということを確認してから解散しました。

 さて、朝方の点呼だけでは担任団の仕事は終わりでなく、一旦解散の後は昼に太宰府再集合、全員で合格祈願のお詣りです。自宅に戻ってから母君の昼食・夕食を作成して、早い時間ですがお風呂に入っていただきました。夕食を作り置くのは久しぶりのことです。今日は恐らく夜までコースになるはずなので、常温で耐えられるお皿を準備してラップをかけておきました。そう言えば、蠅帳ってもう見ないですね。以前、就職して3年目くらいの時に、ブログ(今とは違う場所で書いていました)の内容に関して外から批判を受けた時に「御高説蠅帳致しました」という駄洒落を作ったんですけれども、今はもう通用しないんでしょうね。

 太宰府には13時前に着。担任団で天満宮に集合して、全員で合格祈願のお詣りを(昨年購入したお守りもお返ししました)。その後、天満宮横の「梅の花」でランチコースの献杯。私はずっと瓶ビールを飲んでました。話題は勿論67回生のことで、飲んでる割には話題は真面目そのもの。
 電車でK市に戻ってから、担任団の中の有志4人(文系寄りのメンバー)で軽く飲み直して、19時に帰宅。母君はもうお休みになっておられます。

五年が過ぎたわ 知らないあいだに

 中2国語先生もインフルエンザとのこと、職員室大ピンチ(というか、一番大変なのは時間割地理先生だな)。高3は本日センター会場下見で登校の必要なし、明日は全員きっちり受験してくれるのでしょうか。センター下見は、まぁF校から徒歩5分の親玉大学は別にして、市内のK大学で受験の生徒が道順や時間を確認するために行うものですね(但し、センターは土日ですので、バスや電車の時刻表は下見の金曜と異なっていることに留意する必要があります)。

 私の方も出勤の必要がなく、年休をとって母君の通院の介添です。8時15分に「K病院」に着、受付の後、採血とレントゲン。9時前にY先生の診察が終わり、これまでの最短記録かというくらい早く病院を出られました(とは言っても、会計や薬を待つ時間等、なんやかやと時間はかかります)。月一の通院ですが来月はやや予定を変え、12日の午後にMRIと血液検査、15日の午前中にCTとY先生の診察とを行うことに。今後の治療に関して詳しい相談をしようというお話でしたが、今のところ効果が続いている薬(タルセバ)以外にも母君の治療に有効な薬があるかも知れないというような話が出てきて「おや?」となりました。私は、タルセバが効かなくなったらもう緩和ケアしかないのだと思っていたのです。「この手術で5年は生きられる」と執刀医の先生に仰っていただいた手術から、10月末で丸5年です。

 西鉄K駅のスーパーマーケットで買い物をしてからタクシーで帰宅。母君に昼食をお出ししてから、書斎で仕事や書き物(っつったらこのブログですが)を。
 明日はセンター本番。集団としての結果が「例年並み」なのは始めから解っていますが、先ずは全員が受験できるか否か(インフルエンザ等で追試に廻るとかいう生徒が出ないか否か)が大切な話です。明日の応援(っつか入場する生徒の点呼)がありますので、今日は肉料理「I」で軽く飲んでから早めの就寝。

 森博嗣『月夜のサラサーテ』読了、★★★★。森博嗣氏は私にとって完全に「エッセイの人」で、少なくともデビュー当時から『MORI LOG ACADEMY』の頃は「小説の人」という認識だったんですけれども、いつ頃から移ったのかな。序でに、日本語に訳して「随想の人」「随筆の人」と書いたら何だかニュアンスがずれる気がしますね(ロジカルな思考は「随」っぽくないというのは単なる印象論なんですけど)。

添削は? 判子は? 大丈夫?

 本日、最後のセンタープレは理系科目と自己採点と。自己採点の結果を見る限り、理系科目も昨日同様に「例年並み」の難易度だった様子。模擬試験は本試験よりも難易度設定が高めですので、本番ではこれまでの模試では見たことのない高い平均点が出るというのが毎年のパターンです(勿論、個々人には出来の良し悪しがあります)。
 明日はセンター試験の会場下見のために高3の登校はなく(自宅学習扱い)、明後日・明明後日がいよいよ本番です。会場はF校親玉大学の校舎(F校から徒歩5分)と、市内のK大学との2箇所に分かれていて、担任団が分散して応援(出席確認)に行きます。

 職員室にて、センター後にクラスロッカーの上に置く添削BOXを作成。A4のコピー用紙の箱の蓋には、普段国語の授業・演習で使っているB4プリントを二つ折りにした(要するにB5)サイズが余裕を持って入れられます。これを2つ繋げて、右側をプリント提出ボックス、左側をプリント返却ボックスにします。
 提出ボックスには、次の文言を看板として。「添削堂 現代文過去問の添削、承ります。今日出せば、翌(営業)日夕方までに左側の返却BOXに入れておきます 主人拝」
 返却ボックスには、次の文言を注意書きとして。「上から、組・番号順になっています。他の生徒の答案を(善意でも)勝手に持っていかない。組・番号順をぐちゃぐちゃにしない。以上2点のみ、宜しくお願い致します」
 センター試験が終わると、二次対策授業の使用問題、及び生徒が独自に解いた二次試験過去問、が雪崩を打って襲ってきます。無くしてしまわないように、或いは提出された順番が分からなくなってしまわないように、手渡し不可でこのBOXのみをやり取りの場にするんですね。これを作るのは64回生現代文の時以来だから3年ぶり。いよいよ「高3やってるなぁ!」という感覚が強まってきました。2月のテスト会の翌日なんて、早朝この返却ボックスに100枚以上の答案が一気に入ることになります(東大文理共通・東大文系専用・京大文理共通・京大文系専用・京大理系専用・一橋大・神戸大文系・九大文系)。二つ折りが100枚ですから、とんでもない厚さになります。あれをBOXに入れるときのカタルシスというか多幸感というかね、殆ど徹夜明けのテンションですし、あれがもう、すんごいの。

 夜は連続で「もりき」。明日は母君がK病院の呼吸器内科に定期検診に出かけるのでその介添。生徒が来校せず、すべき添削もないので、明日は学校に行かずに自宅で仕事をすることにしようかな。

班長命令だぞ!!

 池辺葵プリンセスメゾン(6)』読了、★★★★★。新幹線見送りで「推し団扇」(っていうのかどうかは知りませんが)を掲げたシーンは良かった。新幹線発車シーンといえば『ツルモク独身寮』に凄いのがありましたけれど、こっちもなかなか(『ツルモク』は激、『プリンセス』は静)。
 益田ミリ『沢村さん家のそろそろごはんですヨ』読了、★★★★。

 さて、インフルエンザウィルスが蔓延しているであろう校舎に、いざ出席を取ったら我らB組41人が耳を揃えて全出席、こういう日に限って若干の遅刻癖があるお歴々までぴしーっ! と居並んでるのが偉いというか凄いですね。私の方は、9割方回復のダメ押しで今日まで薬を2種類飲むことにしています。
 本日と明日とで最後のセンタープレ。解いている生徒の様子を見るに問題の難易度は「並」のようです(今日の文系科目に関しては。明日の理系科目は分かりません)。さて、全3回のセンタープレ、冊子中盤から始まる「数ⅠA」「数ⅡB」とを解くときに間違えて冊子冒頭の「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」を解き始めている生徒が居たら机間巡視しながらリアルにどつくことにしているんですけど、問題を作る方にもちょっと気をつけて欲しいことが、あるといえばある。前にも書いたんですけど、「数学Ⅰ」と「数ⅠA」との第一問って大体同じ問題なんですが、易しい「数学Ⅰ」の方が同じ問題なのに「数ⅠA」より埋めるべき空欄を増やして(ヒントになる補助的な問題をちょいちょい加えて)る例が今回の3回のプレの中でもあったんですね。要するに、同じ冊子内の「数学Ⅰ」の問題が「数ⅠA」の問題のヒントになってる。流石に50万人受験の本試験・追試験でそんなことは有り得ないと思うんですけど、本試験で有り得ないことは模擬試験でも有り得ないというのが普通なんじゃないかなぁ、と。

 17時帰宅、入浴後に母君の夕食を作って、「もりき」で独酌。毎年このシーズンになると、マスターから「今年の高3の調子はどう?」(センター後なら「出来はどう?」)と聞かれますが、返事はいつも「例年並み」です。
 基本的に担任団持ち上がりの学校ですから、学年によって学内・学外からの前評判に差があるのはやむを得ません。でも、蓋を開けてみたら大体毎年同じなんです。いや確かに違うと食い下がる人に関しては、大抵現役合格のデータだけ見てその後(浪人してからの合格者、及び合格者のその後)については興味がないというケースが多いんじゃないかな。