街場の教育論

 圧倒的非日常、初日。
 (生徒用の)授業もないし添削もしなくていいし、といつもより遅めの6時過ぎに学校入りしたら、既に中央ステージや模擬店の準備等で準備を始めている生徒が複数名。あらら、もっと早く来とけばよかった。ど私服で来たい所だったんですけれど、(お客様用の)体験授業があるので背広でのご出勤です。

 中央ステージで開会式、の後は、①高3がやってる全ての模擬店を回る(何か買う)、②自分のクラスの生徒が出てる全てのバンド演奏を観る、③体験授業をする、の3本柱。
 ①長谷川きよし、じゃない守おじさんがやってる珈琲店(豆から準備の本格派)が異常に流行ってて(保護者の休憩所として)結局珈琲が飲めなかった、というの以外は大体全ての店で金を使ったんじゃないかな(代金払って後で商品を取りに来る、ってのを完全に忘れてた店も1軒)。
 ②音楽室でバンド演奏、一番人気の講演P長バンドから、個人的お気に入りのフジファブリックカバーバンドまで、3Aの生徒が出てるパートは全て(最低1曲)は観ました。「銀河」はやっぱり格好いい曲だ、今度オツカル様とのカラオケで歌おう。
 ③「もりき」のマスターとお嬢様とをご招待して、知り合いの忌憚ないご意見を窺う(1ヶ所分からない所があった以外は大体全部分かった、と言われて安心)。センター試験の漢文「遜」と「敏」とについて説明するという内容で40分。さて、お客さんの入りですが、去年より100人は少なかった印象で、多分100人ちょっとってところ。う~ん、余った資料に溢れる自意識過剰感。でも、これは、校内のメイン企画がそれだけアトラクティブで客を放さなかったということだから、嬉しい敗北です。毎年必ず一番前の席で聞いて下さる小母様は、今年もいらっしゃってました(多分、私の授業を最も真剣に聞いて下さる方です)。

 相当密度が濃いから俄には信じられないんですけど、結局学校会場の実質的な開場時間って4~5時間なんですよね。備品移動は天晴れ昨日と同じく瞬殺、例年ならここで解散明日は歌うぞ泣くぞ! って流れになるんですけれども、今年はこの後キラッキラに素敵なお仕事が待っております。

 明日の市民会館会場での講演をご担当、内田樹先生が、前日夕方に高校生との質疑応答の場を設けて下さることになり、私が引率することになったのです。講演係・文化祭実行委員・図書委員の高2・高3を引き連れて会場ホテルへ。
 90分の質疑応答。「男く祭」は生徒自治、立場上私は同テーブルにつくことはしませんでしたが、タツラーなので離れた椅子に座ってトキメキながら観てました。
 話題は、武道、政治、出版、理想的人物、と途切れることなく次々と。内田先生、高校生相手でも一切妥協無く難しい語彙概念を次々に提示なさいます。生徒達は熱心に尋ね、頷き、書く。先生は生徒がどのような体験を話しても、即座にそれを腑分けしてその後ろにある概念や力学やを丁寧に言分けて下さるので、生徒は自分自身の「よく分からなかった体験」の意味を知る喜びに顔を輝かせるのですね。私は子どもが最も喜ぶのは自己の体験を意味の文脈の中に据えることが出来た時だと思っていますので、その意味でやはり内田先生は素晴らしい教育者なのだ、と感動しきり。勿論、生徒にお話しの全部が分かることなどなく(誰の話だってそうなんですけど)、難しくてよく分かんないところについては、よく分かんないけど何か凄い、とオーロラを見ているような感じだったんじゃないかな。
 と、上記の如く抽象的なことを書いて肝心の内容について書いてないのは、内田先生が「出さないでね」と念を押されるほど赤裸々な(出すと激怒なさる方が少なからず出てくる)箇所が多々あったためでして、そう言う意味でも高校生相手に容赦のないお言葉の数々なのでした。

 夜は、K市を代表する焼き鳥屋「H」に先生をお連れして……いいのかこんな街場(っつか場末)の安居酒屋でっ!? と思ったんですけれども後で先生のツイートを拝見したらお怒りではない様子だったので安心。
 先生のツイートの表現を引用させて頂くと「でぃ~ぷな教育論と国防論」とを聞かせて頂きました。

 あぁ、幸せ。