常識という眼鏡で 僕たちの世界は

 ホテルで健康起床、近鉄線で生徒某宅最寄り駅へ行き、家庭訪問的なことを2時間弱。奈良土産を買って京都に戻り、そこから新幹線を乗り継いでK市に戻る。夕方前の学校に入って、お土産の仕分けと少しだけデスクワークと。

 一泊二日ながら、今回の旅行は面白い本がたくさん。
 森博嗣『実験的経験』読了、★★★★。どうしてもメッセージ性だけを抽出してしまいそうになって、その誘惑に抗いながら読み進めるラスト5分の1くらいはややつらめの読書。
 中川淳一郎『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』読了、★★★★。夢は叶う的なポエムの大量流布と、「会いに行ける」アイドル等が加速させる「高嶺の花」の概念の失効と、種々要因はあるのでしょうが一億総夢追い人化が目論まれているかのような現代社会にノーを突きつけた好著。語られた文脈はやや異なりますが、ここは山本夏彦翁の一言「分際を知れ分際を」に登場願いたい所。
 宮川さとし『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』読了、★★★★★。技術論は抜き、沁みたんだからしょうがない。上野顕太郎の『さよならもいわずに』を読んで技術への拘りが思いの純粋さを濁したと思うタイプの人は、この作品を読んで説教教訓への拘りが思いの純粋さを濁したと思うはず。回想描写はかくも難しい、中勘助銀の匙』が奇蹟と言われる所以。でもこの作品、間違いなく今年の漫画5傑の1つになる。
 新久千映ワカコ酒(3)』読了、★★★★★。技術論は抜き、沁みたんだからしょうがない。私は一日一食の代わりに夕食で食べる量が多いので、かほど一品を堪能しつつ酒を飲める人に対しては深い敬意を。
 よしながふみきのう何食べた?(9)』読了、★★★★★。もう表紙で2人が並んでる絵を見ただけでほっこりするファンなんで、何をか言わんやですよ。最高。