ひとりぼっちじゃない ほら 忘れてはいけない

 行きたかったところに行き、観たかったライブを観て、食べたかったものを食べ、会いたかった人に会い、という意味で近年無いほど充実しまくった上京旅行も本日が最終日。
 健康起床、入浴。荷物をまとめて、チェックアウト。今日は、バッグ一つに全てが収まったので宅急便は使わずに手で持ち帰ります。品川駅でHさんちに「品川珈琲」、もりきに最中のお土産を購入。今夜はHさんちですき焼きパーティーの太り納めなので、せめてもの抵抗で朝昼食は抜き。駅構内のジューススタンドで野菜ジュース、ヨーグルトスタンドでフルーツヨーグルトのハシゴ。

 のぞみ、西へ。2月末の東京往復の時は違ったのですが、今回の旅行では(ということは、3月から?)新幹線内の「切符拝見」が無くなっていました。アナウンスによると、空席のはずの指定席に乗客が座っているときに限りチェックをするということ。これは有難いですね(自由席では全ての切符をチェックするそうですが)。
 新幹線の中では、Twitter更新したり、本を読んだり、CDを聴いたり、仮眠を取ったり、車窓を眺めたり……していたんですけれども、本当に今回は人生初体験の連打、こんなことがありました。

 新幹線が品川を出てからおよそ90分弱が過ぎた頃(11時39分)、車内中の乗客の携帯が一斉にアラーム音、地震発生を告げる。直後、新幹線はストップ、車内は一斉停電。放送が入り、地震発生で、静岡から岐阜羽島間の全新幹線が停車・停電、安全確認に入ると告げられる。停電のため、トイレ・喫煙室は使用不可、扉は手動とのこと(とは言え、立ち上がろうとする乗客は皆無)。定期的に安全確認の状況を伝える放送が入り、何度目かの放送で、NHKラジオニュースからの情報が入る。11時39分岐阜南部で地震発生。
 49分に停電解除、発車まで暫くとの放送。直後、50分に運転再開。運転再開直後から徐行原則は一切無しで、最初の放送で次駅通過時に各駅到着時刻を案内と告知。これは忠実に守られ、53分に名古屋駅着の時刻をアナウンス、13分の遅れがあり、以降の到着駅でもそれに準じた遅れが予想されるとのこと。

 携帯アラームと停電の瞬間こそ車内は一瞬の緊張が走りましたが、その後の混乱が一切無いというのは職員も乗客も凄いですね。新幹線(鉄道)に関わる人たちは「日常性の維持」の(多分日本一の)プロだと思っているのですが、運転再開後もずっと、大勢の人が「日常性の維持」の為に動いているのでしょう。
 京都駅着が9分遅れ、博多駅着が6分遅れと、着実に遅れが縮まっていき、博多から九州新幹線への接続も(九州新幹線の発車を5分程遅らせて)巧くいきました。凄いですね。

 16時に自宅着。風呂にお湯をため、入浴前に着衣無しの体重を量る。68.0kgで、平常時の65.5kgの+2.5kg。これを、始業式(中1・高1は入学式)までには完全に元に戻したいところで、最初の難関が今夜のHさんちのすき焼きパーティーですね。
 一時間の半身浴。

 18時前開店準備中の「もりき」に久しぶりのご挨拶をして東京のお土産をお渡しし、明日来店の意をお伝えしてからHさんの家へ。「品川珈琲」と、恒例1000円の積立金とをお渡ししてから、すき焼きパーチー。
 乾杯は卒業生Aくんから貰ったシャンパン、以降のお酒は別の卒業生Uくんから貰った日本酒。肉だけで900gという大量のお料理を、だって美味しいんだから仕方ない、ダイエットは明日から。ビールと白米とだけを固辞したのがせめてもの(且つ大切な)抵抗。
 旅行中のお話に花を咲かせる。母親の世代だから、矢野顕子水森亜土石川さゆり戸川純も通じるのですよ。

 さて、積立金1000円は来年の頭に、博多座天使にラブソングを……』ミュージカル、からの「太郎源」で使いましょう、という計画を立てている私とHさんなのですが……。
 H「主役級の女性・男性がそれぞれダブルキャストで」
 私「女性の方は森公美子を選ぶとして」
 H「男性の方は、大澄賢也か、石川禅……って誰?」
 私「えっとですね、もうそれは石川禅で決まりなんです」
 H「そうなの? 私は大澄賢也は知ってるけれども」
 私「僕も、石川さんという人は顔も声も知らないし演技をしている所を観たこともないのですが」
 H「ならどうしてよ?」
 私「どうしてもそうしなければならない呪いを、とある所でかけられておりまして」
 H「ん~、訳が分からんけど、いけのっちゃんがそれでいいならいいのよ」
 だって、「とある所」ってのがTwitterのTLって言われても、Hさん分かんないだろうからねぇ。でもって、本当にTLに定期的(という以上)に現れるとある方面にお詳しい方々のジャーゴンに無意識理に身体を縛られていることを、上記みたいなやりとりで気付くのですね。ネットの布教力って凄いわ。

 健康睡眠。

 旅行中に読了の本を列挙。
 坂木司『アンと青春』読了、★★★★。あまりに自分に自信の無い主人公の独白は、時に自虐芸か一周回った無意識過剰かと思わせイラッとすることがあるんですけれども、いやいやこれは読み手の心が歪んでいるからで彼女はきっと良い子、それが証拠にマンガだったらきっと違和感なく読めるはずだから、という考え方が既にして本末転倒。今度、コミカライズ版も読んでみようかな。
 木皿泉『昨夜のカレー、明日のパン』読了、★★★★。不条理な世界で欠損を抱えて生きている人間が、それを受容しつつ自己を保つ、要するに「シラけつつノル」とか「醒めつつ淫す」とかいうアレが奥義なのだ、という気づきが日常の中でふと起こる様子を描いて一級品。リアルなのに、文体には若干のファンタジーが入っているのが効いてます。
 柳沢幸雄『なぜ、中高一貫校で子どもは伸びるのか』読了、★★★。F校(中高一貫校)勤務の人間としては納得のいくことというよりも「ですよねぇ」という内容が多すぎてなんとも。現在共学化したF校の教員をやっているので大きな声では言いにくいですが、男子校時代のF校の卒業生としては、開成が男子校をずっと貫けるのは羨ましいと思います。
 金子由美子『保健室の恋バナ+α』読了、★★★。オツカル様と会った日に「ねぇ、若者言葉で『かまちょ』って知ってる?」「知ってる。『かまってちょうだい』の略でしょ。きみに会う30分前に岩波ジュニアで読んだわ」「凄い偶然」「いつか男女混クラの担任をやるかも知れないという完全なる付け焼き刃読書なんだけどね」
 町田康『人生パンク道場』読了、★★★★★。今回の一番。文体の面白さと、回答の真摯さとが完全に調和。自分自身を「畑」だと思って大切に育てよという核があって、それは正面から、或いは大上段から書くとどうしても説得力が下がる(或いは反発を生む)んですけれども、筆者の手(文体)にかかれば。
 大泉実成『ではまた、あの世で 回想の水木しげる』読了、★★★★★。これはどういう本なんだろう? 筆者が嘗て書いた水木しげるインタビュー記事の再構成ベスト盤? としたら完全な書き下ろしは前書きとお別れの会のレポートということになるのかな。お別れの会に名を連ねた人々の一覧を見て、筆者の言う「水木山脈」の大きさが分かりますね。「9割の手塚治虫と1割の水木しげる」(←いしかわじゅんの名言)のうちの1割を偏愛してきた人生でした(し、これからもそうです)。
 清水ミチコ『顔マネ辞典』読了、★★★。これはファンが買う本。
 松田奈緒子重版出来!(7)』読了、★★★★。白石加代子……じゃない、黒木華さんで連ドラ化とな。第1話だけ観るかなぁ。
 たまき『いぬミケ』読了、★★。う~ん、よく分かんない。