この日のタメに生まれて来たんだろう どこまでも走るよ

 旅行中の日記はだらだら冗長をモットーにしていますが、短く書こうと思えば書ける。例えば、140字1ツイート。
 【のぞみ、西へ。常套句ですが、お世話になったTQCOB・F校卒業生諸氏に感謝。今朝は5時起きで入浴、出発準備。チェックアウト後は池袋のネカフェで書き物をして品川へ。朝カレーの後、「もりき」・Hさん・事務嬢さんへのお土産を購入して新幹線乗車。「もりき」にお土産を届けるまでが旅行です。】

 という訳で最終(移動)日の日記は終了。以下は、旅行中の読了本列挙なのですが……。

 読了本、今回はこれまでの上京旅行の中で最も少ない冊数で、5泊6日で僅か4冊だけ!
 畠中恵『とるとだす』読了、★★★。小説としての面白さは安定、ですけれどもミュージカル化とか限定版にはミュージカル俳優の写真集つきとか、こういう風に展開が広がるともうついていけません(東京住みの大学時代ならもしかしたら追っかけてたかも)。
 瀬尾まいこ『君が夏を走らせる』読了、★★★★。まだ兼業作家だった10年前に出た中学校教員生活(におけるピュアそのものの子どもたちとの交流)を描いたエッセイがあまりにも眩し(正し)過ぎて、田舎のど腐れ教員がニフラムで光の彼方へ祓われたような感覚に陥ったまま10年離れていた(近づけなかった)書き手の本に恐る恐る手を出したら、ブランクをあっという間に埋めてくれるジョイナスな読み易さに安堵。自他が認める不良中学生だった(高校生になった今は違うけれども)という主人公は人間が出来過ぎてないかこれは既に一山超えた成熟じゃないのかと思ってたら、作中で言及されている中学時代の陸上の思い出というのが一冊の小説になってた訳ですね(つまり、本作は「続編」)。これは、遡って読まなくては。良い子過ぎる主人公くんの不良時代ってのは、さてどんなものだったのかなぁ。
 野矢茂樹『大人のための国語ゼミ』読了、★★★★★。今回、読了ほ本がたったの4冊しかなかったのはこの本の中の問題を丁寧に解きながら読んでいったからです。人生の五指に入る『論理トレーニング』の続編としての「国語ゼミ」。ここに書かれている論理と倫理(他者理解への渇望、端的に言えば愛)とを例えばF中生に正確に伝えることが出来たら、これは素晴らしい教育になると思います。概論なので「この話はもう少し突っ込んで聞きたい!」と思う箇所はたくさんあったのですが(例えば「要約」についての箇所など)、一般書としてはパーフェクトに近いんじゃないかしら。売れてるそうです、とても嬉しい。
 ヨシタケシンスケ『あるかしら書店』読了、★★★。学級文庫に入れている絵本はレオ・レオーニ『スイミー』だけであと1、2冊は欲しいと思っていたので、流行りもののこれを選んでみました。イマジネーションの妙、本を偏愛する人々へ。因みに、あと1冊は木下蓮三・小夜子『ピカドン』を考えています。
 今回の読了本の少なさは、上記の野矢茂樹先生に加えて、読み始めてまだ読み終えていない米原万里の書評集の分厚さも理由の一つですね。