難しいコト言わないで 知恵熱出ちゃう

 pha『人生にゆとりを生み出す 知の整理術』読了、★★★★。楽をするための工夫に労力を惜しまない人、というか端的に努力家。でもって読書家、文章家。この方、国語教師も出来そうですけど(……ってか、国語教師が誰でも出来る仕事なのかも)。
 水木プロダクション『水木先生とぼく』読了、★★★★。年末には藤子・F・不二雄についての同種の本を読みましたが、こっちの方が水木しげるの生理に生々しく言及していて迫力(これは、勿論F氏と水木氏との作風の差に由来するものであって、作品自体の善し悪しとは別次元)。

 リカちゃんの公式アカウント(フランス語のスペリングはliccaなんですね)、2016年のセンター前日に湯島天神での自撮り(?)とともに受験生応援ツイートをしたときには大喝采だったのに、翌日現代文評論でリカちゃんのネタが出題された途端、解けなかった受験生(と、そのなりすましと)による大炎上が起こったというのは記憶に新しいところ。
 毎年センター試験の国語はネット住民たちが大喜びするネタを提供する(覚えている限りの最古は06年小説『僕はかぐや姫』の僕っ娘)のですが、今年はどうやらそんなでもなかった様子です(話題は地理Bのムーミンに集中していますが、ムーミンの公式は大丈夫だったのでしょうか)。評論本文の語注にコスプレ・同人誌等の語がありましたが、10年前ならいざ知らず今では全く違和感がありません。

 早朝の職員室でデスクワーク。今日は、なぜだか突然無性に食べたくなった蕎麦を求めて、12時前に学校を飛び出しました。目指すは市役所近くの「S」、うどん文化九州の片隅で東京風の蕎麦を出す珍しいお店です。
 天麩羅蕎麦(1000円、大盛り300円)には蕎麦掻きに茶碗蒸しにお新香にと数々の小鉢が付いて来てこれは全部サービス、さながら懐石の様相でどれも美味。真っ昼間ですが誘惑には勝てずついつい焼酎を注文してしまいました。蕎麦湯で割ってもらうと料理にも合って(そらそうだ)至福です。東京(高尾)から転居のご主人は、そんな飲み方をする人はこっちでは珍しい、と仰有ってました。私が大学時代に最初に美味しいと思ったお酒は、下宿1分の蕎麦屋で教えてもらった蕎麦焼酎(雲海)の蕎麦湯割りです。
 「S」の老夫婦はお話好き、カウンター一人の私に声をかけて下さって歓談、なのですが奥様の方がこっそり(旦那様が外した隙に)耳打ち。奥「学校の先生……若しかして、F校?」 私「あ、はい。どうして?」 奥「何となくです。実は、私の前の主人がF校出の人で、言うとあの人が焼き餅を焼いちゃうから、そこは内緒で、ね?」 私「あ、はい(可愛い……)」

 気持ち良く飲み食いしたあとは、酔い覚ましを兼ねて自宅まで1時間の散歩。15時の帰宅後は、自宅の炬燵の中で読書独酌の三昧境です。
 眉村卓『妻に捧げた1778話』読了、★★★。今更書店で平積みされていたのでついつい手に取ったのですが、『アメトーーク!』の影響なんですね。筒井康隆残像に口紅を』も同じ理由で平積みです。帯にあった(カズレーザー氏の)ように泣くようなことはありませんでしたが、これは眉村氏の文体がSF作家特有の「乾いた」ものだったからなのかな。今自分が置かれている(肉親が闘病している)立場で自己没入しようと思ったら出来ないこともなかったんですが、そうする必要性を一切感じさせない文章でした。
 その他、谷川俊太郎横尾忠則のインタビュー本等々。