Magic Light かなり クラクラ

 9時から会議、その後入試業務の後始末が昼前まで続き、本日のお仕事は半ドン。明日は代休(一昨日の日曜出勤の分)なので、今日から1日半がフリー。F校入試期間の最後は必ずこの日程になるのですが、この1日半を使って1泊2日の打ち上げ旅行に行くというのが10年ほどの恒例になっています。
 超ベテラン体育先生(63回生担任をご一緒させていただき、今は中学教頭先生)とペーペー私の2人旅(時々ゲストが加わりますが、今年は2人です)。今年の目的地は長崎市だそうで。毎年大枠は決まっていて、往復は体育先生の懐メロCD-BOXを流して放歌しながら体育先生の運転でドライブ、旅行先での目的は温泉宿とご当地グルメと。
 私「毎年毎年思うんですけど」
 体「何?」
 私「この旅行、僕、愛人みたいじゃないです?」
 体「バ~カ」
 毎年これが楽しみでねぇ。

 昼過ぎに学校を車が出た頃合いを狙ったかのように、それまで曇天だった空の雲間から光、福岡長崎は夕方から晴れるようで、高速道路の空には分厚い虹が架かっています。体育先生のご説明によると長崎はランタンフェスティバルの最中だそうで、私は初体験です。車内のBGMが小川知子「初恋の人」から水原弘「君こそ我が命」に変わり、体「これがレコード大賞やったっけ?」 私「いえ、レコード大賞は『黒い花びら』です。これは、その何年か後のカムバック・ヒット」 体「お前、よ~知っとるなぁ。それもクイズ?」 私「クイズの人は知ってるでしょうね。僕は、単純に懐メロ好きです」 みたいな会話をず~っと。私が知らない歌があるとそれを(リアルタイムで)ご存じの体育先生が教えて下さる、というレクチャータイムも。大体、カラオケのレパートリーはこれで毎年2、3曲増えます。今回は、木の実ナナ「おまえさん」、梓みちよ「メランコリー」の2曲だな。これは、いける(←どういう意味なんだか)。

 交通・観光ルートは全て体育先生の気分次第なのですが、15時前には到着する(ホテルのチェックインには少し早い)ということで、先ずは稲佐山に登るそうです。稲佐山は、F高47回生の同級生だったIくんの結婚式で行ったことがありますが、てっぺん(展望台)に行ったことはありません。体育先生は、ご親戚が長崎一帯の××業を取り仕切っていた関係で、長崎は稲佐山の麓のマンションに長期滞在することが多かったそう。私「何処でも知り尽くしてますね」 体「っつっても、もう何十年も前だから記憶は朧で……あ、ここ、知ってるような気がする」 私「ほう」 体「ここを曲がって少し進んだら、葬儀屋が2軒向かい合ってたような……」 私「あ、ホントだ。本館と別館とが向かい合わせ。よく覚えてますねぇ」 体「なら、ゴールは近いぞ」
 稲佐山の展望台、我々の他に3組ほどの客。当たり前ですがど平日の曇り空です(時に小雨がパラつきます)から、そんなに人出は多くありません。展望台からぐるり見渡せる景色の何処に何があるのかを探してあ~でもないこ~でもないと指さして回るのはなかなか面白く(長崎、色んなものがありますね)。私「長崎大学の病院ってのは……?」 体「あれじゃね? あそこで今G(←卒業生)が勉強しとる」

 稲佐山を下り、体育先生が押さえられた新地中華街入口直ぐのホテルにチェックイン。その頃には雨が止み、空は青々と。部屋に荷物を置いた後、市内散歩に出掛けます。
 平日なので混雑こそそこまでではありませんが、街はランタンフェスティバル一色です。春節を起源とする祭りだとういことで、川縁も商店街アーケードも極彩色のランタンや中国風の大型オブジェで溢れ、色々なところに中国名物・長崎名物を売る屋台が出ています。先ずは、ホテルから商店街を通って興福寺会場までをぶらぶら。長崎旅行の経験も豊富な先生、商店街を歩きながらも、体「あそこの角を曲がった処に、確かむっちゃ旨い焼肉屋があったんよ。昔、●●先生と旅行に来てふら~っと入ったら滅茶滅茶旨くて、二人で相当酔っ払ったからあんま覚えてないけど、場所は多分あそこ」 私「先生、旅行先で不味い店に入ったこと、ないでしょ?」 体「ない!」
 ふらりと入った興福寺は、ランタンの飾りを棚に上げたとしても中国風のしつらえが(言葉は悪いですけれど)雑然混沌、これは私が樹木葬をお願いしたK市のS寺にそっくりだなぁ……と思っていたら、S寺と同じく黄檗宗でその日本初のお寺だそうで。道理。

 ホテルまで戻って、新地中華街を潜ります(ここはもの凄い人出! TVの取材クルーも2組ほど)。ランタンフェスティバルは、市内の何ヶ所かにイベント会場(ステージで雑技団などが演技をします)が点在していて、その新地会場では夜になったら大きなイベントが行われるそう。じゃあ、夕方の居酒屋で飲み終わったらここに来ましょうか、とかお話ししながらホテルへ。琵琶ソフトクリームを食べ歩きながら。

 昨日、職員PC室で仕事をしていたら、横でキーボードを叩いておられた体育先生が「池ノ都くん、ここを押さえよう!」と私に。命じられた通り押さえたのはホテルから徒歩10分弱の居酒屋で、今夜はそのお店「五人百姓」でさし飲みです。体育先生の直観が外れたことは一度もないので、入る前から良い店だというのは解っています(ちょっとお高いお店です)。
 コンビニで「メガシャキ」「ペパリーゼ」と購入して、ホテルに戻ってからサウナ付大浴場で大汗を掻いて、準備は完璧です。今夜が真の入試業務慰労、飲む!
 長崎は銅座という地名でしたっけ。居酒屋「五人百姓」にて、刺身・鯨料理(刺し盛り・竜田揚げ)・団扇海老、雲仙ハム、等々。最初にビールで乾杯した後は、私が長崎の日本酒、体育先生は長崎焼酎の烏龍ハイ。長崎の日本酒は「横山50」「福田」「六十餘洲」しか知りませんでしたが、それ以外に「杵の川」というのがあって美味しかったです。体育先生の烏龍ハイは、焼酎ロックと氷無しの烏龍茶とを注文して先生がお好きに割るといういつものやり方(はいはい、幹事役なんでよく知ってましてよ)。驚いたのは鯨の刺し盛りが本当に本当に美味しかったこと。私、赤身以外の鯨は不味い(好きじゃない)という価値観だったんですけれども、見事にひっくり返されました。畝もベーコンも、新鮮な部位をポン酢・紅葉おろしで食べたらもう最高です。
 話題は、今回の入試のこととか、これからのF校のこととか、何かもう、酒で全部忘れたってことにしといて、お願い。こんなとこに書けるわきゃねぇ。私、誰かが不謹慎なこととか畏れ多すぎて相槌も打てねぇみていなこととかを仰ったらよく「ちょっと風が強すぎて聞こえません!」って言うんですけど、そのていなら今回は店内に台風のフー子が居たと思います。

 「五人百姓」を出て酔い覚ましの散歩15分、さっき下見した新地会場に到着したら、中国雑技団が丁度演技を始めたところでした。何段にも立てた缶の上に乗せた板に乗って両足でバランスを取るおじさん、足で大きな壺をぐるぐると回すお姉さん、体をぐにゃぐにゃに曲げながら手足口のそれぞれで蝋燭の燭台を支えるお姉さん、舞台の天井より高く6つの椅子を重ねた上で片手で倒立をするお兄さん、等々。最後の技(名前は単純に「椅子」というそう)は余りにハラハラして正視できないくらい。私「わぁ、直視できない!」 体「じゃあ目を伏せとけ」 私「いや、動画撮ります!」 体「レンズ越しは直視やないんか!」

 あれだけビールに日本酒(体育先生は焼酎)にと飲んで、でも中華街に来て何も飲み食いせず帰るとかいうのはあり得ない、とばかりに飛び込んだお店で、ちゃんぽんと餃子とを注文してシェア。瓶ビール1本と……結局紹興酒を1本注文してシェア。飲み過ぎですけど、掻き捨てですし。
 新地から駅までの帰り道、急に体育先生が「早見優!」と叫んでどしたんと思ったらすれ違った、と仰る。オーラを消していたのか私を含め周囲は全く気づかずでしたが、先生曰く「遠い内から普通の人じゃないって判った」とのこと。後で彼女のオフィシャルblogを覗いたら「DWC in 長崎3」というタイトルの投稿に写った写真がその時見た後ろ姿と全く同じ服装でした。

 ホテルに戻る前に、コンビニで買い忘れの野菜ジュースを買う。体「何、それ?」 私「レッドアイですけど?」 体「何言ってんの?」 私「缶ビール、僕の部屋の冷蔵庫で冷やしてますけど?」 体「お前、バカじゃないの?」 私「さっき、紹興酒あっという間に飲み干したじゃないですか」
 体育先生の部屋でレッドアイの乾杯。少しだけお話しして(いや~、風が強い!)、自室に戻って健康睡眠。

 さて、旅行中に、63回生Eくんからメールが届く。友達と地下アイドルの運営をすることになったから参考文献を教えて欲しい、と。本の紹介は仕事上色々とやってますけれども、流石にこれは人生初の要請です。適材適所とオツカル様に投げたら即座に2冊(コア新書)を教えてくれたので事なきを得ました。同じえれにすと(絵恋ちゃんのファン)ということで顔見知りであった二人ですが、この参考文献紹介瞬殺を以て、オツカル様はEくんにとって「神」に昇格です。