とてもユニークだから、ずっと残っていく。

 富澤一誠ユーミン・陽水からみゆきまで 時代を変えたフォーク・ニューミュージックのカリスマたち』読了、★★★。そら、タイトルで買いますよそんなもん。流石にユーミンに関しては得る情報は皆無だったけれど(一応長いファンなんで)、その他9人に関しては知らなかったり忘れてたりする話が多く、読み物として楽しめました。
 岡崎武志『読書の腕前』読了、★★★★★。西原センセイの漫画『まあじゃんほうろうき』の名台詞に「あんたらはただの博打好き、あの人はホンマモンの博打打ち」というのがありますけれども、その体で言うなら私はただの本好き、筆者はホンマモンの本読み。紙魚と呼んで良い本の虫、活字を心から愛し文学に淫することができる(それしかできない)人の文章は、博覧強記もさることながら伝わってくる気迫が違います。
 寺島らて『或る日、木曜会で(1)』読了、★★★。助走ですね。百鬼園先生のファンですんで、続きも当然チェックします。

 昨日、生徒登校初日。3月まで63回生の担任だった主任先生(化学)と私(国語)は、今年度それぞれ異なる学年で副担任を務めることになりました(残りお二人、数学・体育先生は中1で担任を務められます)。
 そうしたら、8時30分からの職員朝礼が終わったあと、SHRのために学級日誌と出席簿とを抱えて自分のクラスへ……行かなくてもいい! 8時40分から10分間を拘束されていない!
 国語「化学先生、化学先生、そんなとこ(←職員室のご自分の机)に座って何やってるんですか、早く行かなくちゃ」
 化学「いや、俺も、教室に行かんでいいっていう事実にもの凄い違和感があるんよ。いいんやろか働かんで」
 国語「ねえ、僕ですら4年間毎日教室に行ってたんで、ちょっと手持ち無沙汰ですもん」
 化学「俺、担任やないの、多分16年ぶりとかよ?」
 国語「凄え!」
 今度は、その日の放課後、生徒が下校するあたりの時間、各クラス担任の先生がSHRをしている頃に廊下ですれ違って。
 化学「先生、何しよると?」
 国語「いや、することを探してるんです」
 化学「俺ら、もうF校に居場所がないんやないやろか」
 何ロスだよ、っつー話ですけど。

 でもって、今日。1限に高校生の対面式(高1と高2・3年とが顔合わせをする式典)があり、後は今日明日で課題テスト(今日が英国、明日が数学と理社)の受験。の日に高3某クラスの担任先生が年休を取られ、私が代わりに朝と帰りとのSHRを行うことに。8時40分が暇じゃないぜ!
 ……と、その高3クラスに行きました、ら。

 し~ん。

 リアルに声を出して「あら?」と首かしげ。SHR開始8時40分の5分前に教室に入り、本日の課題テストの時間割を板書している私は生徒に背中を向けていることになるのですが、その背後からの「無音」に違和感がひしひし、「あれ、何か、違っているよ?」
 板書終えて振り返った時、40人弱のクラス生徒全員が課題テストに向けての自主に勤しみ私語の一つも聞こえやしないというか既にしてほぼ全員出席してて空席が皆無というその状態、その状態こそ一般的な学校のデフォルトであるということを脳が認識するまでに結局SHR開始から3分程度かかりました。

 評議委員の号令で起立気をつけ礼をした後、教壇の上で金魚酸欠状態の私が最初に発した言葉は、「何なんでしょうこの静けさ。きみら、若しかして、話、聞くの?」
 あまりの話の聞かなさ情報感度の低さ出席率の悪さ、要するに甘さ幼さの洪水にこっちの感覚が狂ってたんだよこれが普通のクラスなんだよ、と63回生我らA組がやっぱり変なクラスだったんだよね、ということを確認したのが、次の台詞「私、あの、去年まで63回生の高3A組を担当しておりまして」と言ったらクラスの生徒がどっ! と笑った時。あぁ、やっぱりそこで笑う程度には「変さ」は伝わってたのね(私が積極的に伝えてた側面はありますけど、盛ってはないからねぇ)。「そこなんて、SHR開始の時に10人不在なんてのがデフォで(生徒笑い)、私遅刻八部衆って呼んでたんですけど(笑い)、その遅刻八部衆、一人を除いて全員大学に一年遅刻することになったんで(笑い)、やっぱり入試って性格生活全てがはかられるんですよ皆さんは大丈夫ですね」

 ってか、これが普通のクラスなのかぁ。凄いなぁ。
 ……って言ったら、旧A組出席番号11番が「それが担任力の差なのだよ池ノ都くん!」とか言うわけよ。でもって出席番号29番が「え~、俺ら何だかんだで結構話聞いてたくない?」とか言うわけよ。そしたら28番が「いや、確かに俺らは話聞いてなかった。うん。でもまぁ、池ノ都さんは結構頑張ってた方だと思うよ」とか言うわけよ。そこへ遅れて来た26番が「でもまぁ、俺は毎日遅刻しても合格したけどね」とかマスクしててもそれと分かるドヤ顔で言うわけよ。そしたら出席36番が「出た~! 嫌やわ~、こういうの嫌やわ~!」って煽って私がそれに「お前は絶対留年するっつかしろ!」って被せるんだわ。
 早くも懐かしいわ何ロスかってそら63回生ロスっつかA組ロスに決まっとるわ。

 いや、A組の人ともやりとりは(少ないながら)やってるんですよ。でも、基本真面目なんですよ。浪人生活についての相談はそれは真剣に考えないといけない軽口抜きですし。大学生とのメールのやりとりも、
 K「履修仮組みしたら週休3日になりました」
 私「毎日大学に行くっ!」
 K「ゼミ連とビジコン実行委員になる(予定)ので用事はあると思います。でもまじめな話授業ない曜日に終日バイトとかやめておいたほうがいいですかね」
 私「です。大学に必ず行きなさい。もう絶対に」
 K「はーい(´・ω・`)
 みたいな直球ですし。あ~、反射的で享楽的で刹那的で一笑い以外なんの益もない駄弁を話せる相手がごそっと減ったのは痛いっ!(←これでも4年間担任でした)

 さて、かくあるべき64回生の皆さんの課題テスト、1限英語監督、2限国語出題。の後、14時からは今し方出題した国語(現代文100点分)の採点をひたすら。夜までかけて一晩で終わらせました。集計作業その他は、明日の朝行いましょう(今年度初の5時出勤です)。
 で、その課題テストは、評論は東大(77年辻田克巳を改題して50点分)、小説は共通一次(81年川端康成を改題して50点分)。どちらも予習無しの実力テストでした。その評論問題にて。
 本文中の傍線部「すべからく醒めつつ淫すべし」について「すべからく~べし」と再読する漢字(須)の書き取りを問い、「中3で習ってるから皆知ってるし、出題前からある程度覚悟してたんだけど案の定(同時出題の)漢文の問題文の中に答えがあったし、出題ミスみたいになってゴメンねてへぺろ」って或る生徒には言ったんですけど、じゃあこの正答率4割弱っていうのは何なんだよ、と。基本事項、再読文字の知識というのと、問題文はちゃんと読む態度というのと、両方押さえときましょうね(にっこり)。

 「もりき」で日本酒を飲んで、帰宅。