あれは浦島玉手箱 遠いむかしの物語り

 阪野吉平『徴兵体験百人百話』読了、★★★★★。プロの書き手ではない筆者による、110人の徴兵体験者の体験談聞き書き。捜索や選択編集を極力廃した(それを入れ込む手管を持たなかった)、方言までそのまま残る書きっぷりから伝わってくる戦争体験(徴兵戦場での体験が半分、敗戦後の収容所捕虜時代の体験が半分)のリアルは一言。重いよ。
 小見出し抜粋。「街の中で野犬が死んだ赤子をくわえているのを何回も見た」「明日銃殺されるという日に周恩来が来て、助けられた」「古参兵になってからは、神様みたいに楽だった」「麻酔薬なしで、骨をノコギリで切って、ぐるりの肉を寄せ集めて、十七針も縫った」「身体検査不合格で、悲観して、鉄道自殺した者もいた」「帰る頃、蒋介石からの勲章をもらった。蒋介石のおかげで日本へ帰れた」「弾は、俺の目に当たって、耳のそばを通って外へ出た」「古参兵が捕虜を連れてきて、新兵の度胸試しだと、俺だに捕虜を銃剣で殺させた」「中隊長が『この戦は負け戦だ。こんなところで死んではダメだ』と言った」「特攻隊員たちはブルブル震えて何も話すこともなく飛んでいった」「威張っていて働かないと、いつの間にか事故死する。本当は周りの者に殺されたのよ」「ジャボースケのアレは小さいなと言われて触られた」「天皇の大きな絵とスターリンの絵があって、『どちらかを踏んで通れ』と言われた」「黒塗りの自動車が来て、その中から黒縁眼鏡をかけた東条閣下が降りて来たなよ」「俺たちが投げた手榴弾を敵が拾って投げ返すのよ。それで死んだ人もいたった」

 午前中に年休を取り昼前に出勤。内覧会だLEGEND飲み会だで全然意識していなかったんですけれど、台風が直撃するんですね、明日の休校を知らされる。
 本日高3は第2回校内模試受験。私は出題も監督もないので、自分の仕事。大学生・浪人生問わず、今日は63回生が大勢職員室に訪れたので、そのお相手をしたり。

 「勉強してる?」と聞いたら。浪人生は「してますよ」と答えるか、自信なさそうに口を噤むか(やってはいるんでしょうけれども、自分よりやっている人を思い浮かべるとそうは言えないんでしょうね)。大学生は「してません」と答えるのがデフォルトかな。
 現実の大学生活は、これは断言しますけれども、楽しいんです。でも、じゃあ、お懐かしや地元福岡に帰ったらどうなるか。現実を離れてオンラインの世界に潜ったらどうなるか。地元もオンラインも、脱現実の世界です、そこではついつい甘えや本音やが吐露されてしまうもので、「楽しくない」とか「辛い」とかそういうお言葉が飛び交いがちになってしまう様子。あれは全部「楽しくない(ことも無いことはない)」「辛い(ことも探せばある)」の括弧が省略されてるだけです。
 こないだお話した63回生文化祭実行委員長Uくんは流石の一言で、「大学生が自分の大学disりまくってるせいで浪人生のテンションがだだ下がりしてるから、俺が大学楽しいって布教しなきゃ」とLEGENDの責務(笑)

 というわけで浪人生の方々は「大学生が大学disるせいで大学に行くモチベーションが下がるわ~俺が勉強に手がつかんのは現役生のせいやわ~」とかクソみたいなこと言ってないで勉強して下さいね。本日私と話した浪人組は、結局私が「勉強しろ」以外の言葉を発しなかったことが不服やも知れませんが。

 さて本日いちばん面白かったのは、我らがA組から東大文三のMくんとお話ししていた時。事前に上記文化祭実行委員長から「MはF校を捨てた!」と何があったか知らないけど(多分どうせちょっと付き合いが悪そうに見えるとかオンラインでの反応が遅いとかそのくらいなんでしょうけれども)言われておられたことを笑い話程度にツッコんでみようかなぁ、と思ってたら、別口で来てた東大女子某嬢が遠くから駆け寄って来て「あれっ、Mくんじゃ~ん。めずらし~大学では全然会わないのにこんな所で~。F校捨てたんじゃなかったの~?」の言を残して走り去って行かれまして。
 私「今の何だったんだろ、単なる悪口じゃんか(大笑)」
 M「いや、あの、大学には行ってます!」
 私「でしょうねぇ」
 元同級生の浪人組から噂話で色々いじられ倒したMくんが「いやぁ、浪人組はデリカシーがないですねぇ」と仰ったのには「現役生は浪人生の横に立ってるだけでデリカシーが無いのかも」とお答えしておきました。
 このMくんからは色々お話を伺いたかったのですが、今日は会議仕事があったので中断、残念。いつかゆっくりお話を伺う機会があればいいなぁ(あ、でも、「F校を捨てた」なら機会がないかも、あはは)。

 明日は台風休校。ですが本日夜は雨風無し。「もりき」が休みなので、少し前からちょっとだけ気になっていたもののまだ行ったことのない肉料理屋にふら~っと。昨日食った肉が余りにも旨くて敵が悪かったんですけれども、割と美味しかったと思う(牛ハラミステーキ、豚ハーブ焼き、テールクッパ)。瓶ビール600円始め、値段設定は割と攻めてる感。
 一人でカウンターで飲んでたら、後ろの4人掛けに座られたご老翁方とふっとお話が弾み始めまして。理由は、4人が柔剣道繋がりのグループでF校の先生方ともお知り合いであられたこと、そして内1人が「もりき」の定番にして私が愛してやまない日本酒「山の壽」の社長さんだったこと。日本酒、結構おごってもらっちゃった、えへへ。