悲しい水です人間は あなたの為の水を

 午前中に水道会社の人から、水道管と給湯器との清掃指南があるので、出勤は午後から。で、待ってる間にリビングで偶然つけたテレビで、本当に久しぶりにドラマを観ることに。1時間の単発ドラマ再放送は、NHKの福岡発地域ドラマ「ここにある幸せ」、宮本信子松田翔太と。優しいお婆ちゃんが悩める若者と向き合う、という設定だけで一発KOです(脚本は「ちゅらさん」の人でした)。番組が10時までだったので、9時半予定の水道会社の人に電話をして30分遅らせていただきました。我が儘。
 ドラマの後、水道の人が来る前にクリーニング店、と思ったらシャッターの貼り紙に「勤労感謝の日につき店休」と。進学校の国語教師、今日は「健康に勤労できることに感謝し一層仕事に励む日」だと思ってました。水道会社の人もそうなんじゃないかな。

 清掃指南の(マンションと契約している水道会社の)方のお名前は大番屋さんと仰り、こないだ初めてご挨拶した時に、どちらが先に「珍しいお名前ですね」と口に出すかのチキンレースをしたんですけれども、本日の延長戦で私の方から口を割って敗北。「屋号由来の名字なんですね」「全然由来を知らないんですけれども。池ノ都さんというのも」「実家の商店が堀に囲まれていたからだ、と聞いたことが」
 さて、清掃指南の内容が至難っちゃ言わないまでも面倒臭い、というか何年かごとに水道管清掃・給湯器取り替えを数万・数十万単位の金を出して行わなければならないというのが負担な訳でして(財産としての水道管、ってのが分譲初体験くんには今イチピンとこないのね)。でもって水道管に水垢が貯まる動脈硬化、給湯器の劣化、を「防ぐ為の浄水装置の設置工事を、マンションの殆どの方が行っておられるのに池ノ都さんからの申し込みがないので、不思議に思っていました。35年間の保証がつきますが」「あら大番屋さんそれなら先に言って下さいよ水道管取り替えとか言ったら床を剥がすから取りあえず引っ越しみたいなレベルで面倒臭いんでしょ、給湯器すげ替えとかン十万なんでしょ、いいですよいいですよ今のうちの工事でそんなこんなが事前に防げるんならお宅様にお願いしますよお金なら出しますよ12月ボーナスですし」というやりとりで、早速本日夕方の工事が決定。
 さて、浄水装置(リース)の見積もり、月々3300円のレンタル料を35年間払い続けると……138万6000円っ! 「140万っつったら、車買えますね」「ええ、そうなりますね」「水って高いんですねぇ。誰だ水と安全はタダだとか言ったやつは」「済みません」「いや、良いんですけどね。だって、一日2杯生ビール飲んだら1年で36万5000円でしょ、その4年分ですから」「はぁ……でですね、リースではなく買い取りという形にしたらですね、40万円ちょっとの料金になりまして月々の払いは勿論不要になります」「なんでしょう、水だけに流れるように話が進みますね。買い取ります買い取ります、だってビール1年分でしょ、要するに」
 というわけで、分割割高をお断りしてボーナス一括のお約束、善は急げで工事は本日16時から。我ながら将来絶対オレオレ詐欺とかネズミ講とかに引っかかるタイプだよなぁ、と思うので貯蓄はせずに若いうちにこういう話には積極的に乗るようにしよう……って、あれ?

 昼前に学校に入り、浪人生の小論文その他の添削。15時にご来校は文系4人組、Iくん・Hくん・Mくん・Tくん。必要な印刷物を手伝ったり、プリントや教材やをお渡ししたり、近況報告を伺ったり、預かっていた添削をお返しがてら書き方指南をしたり……というのを、Hくん・Mくん・Tくんの3人について行った時点で16時、そろそろ自宅の工事が始まる時間です。私、それに立ち会わないといけない。というわけで、Iくんはタクシーで自宅に連れてって、そこで小論文指導を行うことに。面談大好きIくんとは、どうせ夕食がてらの約束だったし。と言うわけで、Mくん以下3人とは失礼ながらここでお別れ、これでラーメンでも、のお小遣いをお渡しして、次は校内模試会場でお会いしましょう。
 タクシーで自宅に戻り、工事の立ち会いの間に早稲田・慶應の小論文指導。ちょうど、今朝クリーニング店の帰りに買ったマグカップがあったのでコーヒーでおもてなししながら(まさか、客をもてなす日がやってくるなんて……)。口を開けば「早く社会人になりたい」と流石一橋大学志望だ、というIくんは、工事の人に「池ノ都先生(←契約時の書類で、勤務先を明かしています)の同僚の方ですか?」と間違えられたのをメチャメチャ喜んでました。年上に見られて喜ぶ、というのは面白いメンタリティです。

 工事終了、論文指導終了、後の17時過ぎにタクシーで移動。お寿司は別の機会で本日は野菜料理の「バッタ屋」、ここは昨年閉店したK市名物の中華料理屋「光華楼(こうかろう)」の近くにあるので、タクシーの運転手さんには「旧光華楼までお願いします」と言えば通じます。さてその少し後。
 I「先生、キンパローって覚えてる?」
 私「ん? キンパロー? ……全然思い当たらない」
 I「そうか」
 私「え、何なの。気になる」
 I「うん」
 私「言いなさいよめっちゃ気になる」
 I「……中3の修学旅行の、京都のホテル、だった、と思うよ」
 って恥ずかしそうにもじもじとなんだこいつの「可愛い」の破壊力はと殆ど呆れる。「バッタ屋」ではとろろ鍋とピザ。最初に出してもらった野菜(トマト・ナス・椎茸)から喜んで貰えたので良かった。特に椎茸は、アワビか肉か、っていう味と食感に感動してましたね。
 お話は、受験にまつわる様々な愚痴を聞くのが中心。Iくんはどこにいようとその場所と周りの人を大切にする人間だから大丈夫で、でも今は先ず自分のことに集中して勉強をする、という私からは至極当たり前の話。19時までの90分間、それにしてもよく食ったね、と若者の食欲に驚き。後半は、私大人なんで、でもって勤労感謝の日なんで、しっかりお酒を飲みました(瓶ビールと日本酒2合)。

 Iくんと別れた後、軽く飲み直しのつもりで近くの小料理屋「A」に。マジで最近入り浸ってますね。アメリカの地ビールという珍し物、今年初のボジョレーも。小鉢3種はポテトサラダ、ナスの煮浸し、おでん盛り……の所へK市内の美味しいおでん屋「H」のママさんがふらり現れたので「準備する料理のチョイスを間違った! おでん屋におでんは出しづらいわ~!」と女将さんは頭を抱えておられました。おでん屋さん、店では無国籍風の(おおたか静流が来てるみたいな)装いですが、本日はドレスで。
 気持ちよく飲んで帰宅、即就寝。